映栄杉さん家はお侍

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位置情報共有アプリと武家の娘(脚本)

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〇ハイテクな学校

〇おしゃれな教室
映栄杉ともえ「ああもうっ。うっとうしゅうございます」
ひなた「いつになく不機嫌じゃん。どうかしたの?」
映栄杉ともえ「見てください。この父上からのメールを」
  今どこにいるのでござるか? 何時に帰るでござるか? すぐに返事をするでござる
ひなた「うへぇ。過保護だね」
映栄杉ともえ「わたくしを心配しての事と思い、毎度律儀に返信しておりましたが、もううんざり」
映栄杉ともえ「父上のメールは無視いたします!」

〇映栄杉家の外観

〇映栄杉家の居間
映栄杉蔵之介「何ゆえ無視したのでござるか! どれほど心配したと──」
映栄杉ともえ「やかましゅうございます!」
映栄杉蔵之介「ぬ!?」
映栄杉ともえ「今日の予定は今朝お伝えしていたでしょう!?」
映栄杉ともえ「なのに何故しつこく聞いてくるのです!」
映栄杉蔵之介「それはお主を思っての事で・・・」
映栄杉ともえ「だからといって毎日毎日あのようなメールを送られては嫌にもなります!」
映栄杉蔵之介「・・・近頃は物騒な事件も多いと聞く」
映栄杉蔵之介「お主のような器量の良い娘は、いつ何時かどわかされてもおかしくないのでござる」
映栄杉ともえ「き、器量良しだなんてそんな・・・」
映栄杉蔵之介「かといって、拙者が四六時中張り付くわけにもいかぬ」
映栄杉蔵之介「ならばせめて居場所を知りたいと思う親心を、分かってはくれぬか」
映栄杉ともえ「む・・・」
映栄杉ともえ「父上のお気持ちは理解いたしました」
映栄杉ともえ「しかし、毎度返信するのは正直面倒・・・」
映栄杉蔵之介「面倒て」
映栄杉ともえ「そうだ! 位置情報共有アプリをお互いインストールいたしましょう!」
映栄杉ともえ「それで万事解決にございます!」
映栄杉蔵之介「いちじょ・・・? なんでござるかそれは」
映栄杉ともえ「お互いの居場所を共有できる優れモノにございます」
映栄杉蔵之介「お互いの!? そ、それでは拙者の居場所も筒抜けなのでは・・・?」
映栄杉ともえ「・・・父上? まさかわたくしの居場所を知りたがっておきながら、ご自身の居場所を知られるのは嫌なのですか?」
映栄杉蔵之介「そ、そういう訳ではござらぬ!」
映栄杉ともえ「ならば問題ございませんね。さっそくインストールいたしましょう」
映栄杉蔵之介「ま、待て! その・・・。そう!居場所を不特定多数に垂れ流しにするのは、プライバシーが──」
映栄杉ともえ「位置情報を共有する相手は選べます。家族間だけの共有に設定すれば、問題ありませんよ」
映栄杉蔵之介「ぐぬぅ! だが、なんか、こう・・・!」
映栄杉しのぶ「いいアプリじゃないか。ごちゃごちゃ言ってないで、さっさとインストールしちまいなよ」
映栄杉蔵之介「し、しのぶ!? お主まで・・・!」
映栄杉ともえ「ほら、母上もこうおっしゃっていますし」
映栄杉蔵之介「し、しかしだな・・・」
映栄杉しのぶ「・・・なんだい、やましい事でもあるってのかい?」
映栄杉蔵之介「ご、ござらぬよ!」

〇ハイテクな学校

〇おしゃれな教室
ひなた「じゃあ家族全員アプリ入れたんだ?」
映栄杉ともえ「ええ。これで父上の過保護メールから解放されました」
ひなた「おじさん、アプリ入れるの何でそんなに嫌がってたんだろうね?」
ひなた「・・・もしかして、いかがわしい場所にでも行ってたりして」
映栄杉ともえ「まさか。なんだかんだ言いながらも、父上は誠実な人です。そのような所へは行かれませんよ」
ひなた「まあ、たしかにともえ達を裏切るような人には見えないか」
映栄杉ともえ「とはいえ、父上に限らず家族が日中どこで何をしているかは知りませんね。せっかくですし、アプリで見てみましょうか」
ひなた「この小学校にいるアイコンは・・・」
映栄杉ともえ「弟の太郎丸です。給食を食べているのでしょうね」
ひなた「あれ? なんか、競馬場にいる人、いない?」
映栄杉ともえ「・・・このアイコンは、父上です」
ひなた「なんで競馬場に・・・。今日お休み?」
映栄杉ともえ「いえ、お仕事のはず・・・。まさか父上、サボって──」
ひなた「ちょ、まって!? 凄い速さで移動してる人いるよ!?」
映栄杉ともえ「これは母上ですね」
ひなた「川を飛び越えたりビルの上走ったりしてない!?」
映栄杉ともえ「まあ、元くノ一なので」
ひなた「くノ一ってこんな事できるんだ・・・」
映栄杉ともえ「しかし、これほど急いでどこに・・・」
ひなた「一直線に競馬場に向かってるように見えるけど」
「・・・あ」
映栄杉ともえ「父上と母上のアイコンが重なりましたね」
ひなた「おじさん、捕まっちゃったんだ」
映栄杉ともえ「・・・」
ひなた「・・・」
映栄杉ともえ「サボリの抑制もできるだなんて、いいアプリですね」

次のエピソード:一分間最強とお侍

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