映栄杉さん家はお侍

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一分間最強とお侍(脚本)

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〇映栄杉太郎丸の部屋
映栄杉蔵之介「太郎丸! お主のナヨナヨとしたその性根、拙者が叩き直してやんよゴラァでござる!」
映栄杉太郎丸「なんですか父上、藪から棒に」
映栄杉蔵之介「拙者、とある配信番組を観て、男は喧嘩が強くなくてはならんと思ったのだ」
映栄杉太郎丸「はあ。何を観たのです」
映栄杉蔵之介「それは・・・」

〇黒
  一分間最強とお侍

〇映栄杉太郎丸の部屋
映栄杉太郎丸「つまり父上は格闘番組を観て、喧嘩ごっこがしたくなった、と」
映栄杉蔵之介「遊びにあらず! 一分間で人生を変えるのでござる」
映栄杉太郎丸「バカバカしい」
映栄杉蔵之介「ははん? さてはお主、ビビっておるな?」
映栄杉太郎丸「む?」
映栄杉蔵之介「痛みや恐怖を乗り越えられぬ者も確かにおる。無理強いはせぬよ。怖いのであろう?」
映栄杉太郎丸「吾輩はそんな弱虫ではござらん! いいでしょう。そこまで言うのなら、付き合って差し上げます」
映栄杉太郎丸「父上なんか吾輩にかかれば一発KOでござる!」
映栄杉蔵之介「よくぞ吠えた!」
映栄杉蔵之介「では、まず拙者と試合を行うに値するかどうか、オーディションで見極めさせて貰おうぞ!」
映栄杉太郎丸「・・・オーディション?」
映栄杉太郎丸「喧嘩をするのにそんな物が必要なのですか?」
映栄杉蔵之介「そういう物なのでござる! ついて参れ!」

〇街中の公園
映栄杉蔵之介「どうぞ、自己紹介を」
映栄杉太郎丸「は? え、えっと。吾輩は東京近郊に住まう映栄杉 太郎丸と申す者で・・・」
映栄杉蔵之介「舐めとんかゴラァ! でござる!」
映栄杉太郎丸「なんなのですか! どうしろというのです!」
映栄杉蔵之介「そんな話し方をする者に、拙者と試合をする資格はねえでござる!」
映栄杉蔵之介「もっと荒々しく、不良っぽく話しやがれ!」
映栄杉太郎丸「・・・こ、郊外の狂犬といえば、この太郎丸様でござる!」
映栄杉蔵之介「よいぞよいぞ! その調子でござる!」
映栄杉太郎丸「図体がでかいだけの父上なんか、けちょんけちょんにしてやるから覚悟しろやオッサン! でござる!」
映栄杉蔵之介「誰がオッサンだゴラァ!」
映栄杉太郎丸「事実でござろうが!」
映栄杉蔵之介「それを言えばお主はただのチビでござる!」
映栄杉太郎丸「人が気にしている事を! この! えいえい!」
映栄杉蔵之介「痛い痛い!」
映栄杉蔵之介「い、いきなり殴りかかってくるとは、良い度胸でござる・・・!」
映栄杉蔵之介「よし。お主を拙者とやりあうに値する男と認めてやるでござる!」
映栄杉太郎丸「さっさと試合させろやゴラァ! でござる!」

〇川沿いの原っぱ
映栄杉蔵之介「試合会場はここじゃあ!」
映栄杉太郎丸「いい雰囲気じゃねえか!」
映栄杉蔵之介「制限時間は一分間!」
映栄杉蔵之介「この短時間で全力を出し切り! 決着をつけようぞ!」

〇黒
  試合開始!

〇川沿いの原っぱ
映栄杉太郎丸「父上、いやオヤジ! おめえ毎晩毎晩お酒を飲みすぎなんでござるよ!」
映栄杉太郎丸「えいえい!」
映栄杉蔵之介「痛い痛い!」
映栄杉蔵之介「ぐぬぅ! そういうお主、いや、テメェこそ部屋に引きこもりっきりで不健康なんでござるよ!」
映栄杉蔵之介「おりゃおりゃ!」
映栄杉太郎丸「痛い痛い!」
映栄杉太郎丸「オヤジは足が臭えんだよでござる! えいえい!」
映栄杉蔵之介「テメエは好き嫌いが多いんだよでござる! おりゃおりゃ!」
映栄杉太郎丸「オヤジは──」
映栄杉蔵之介「テメェは──」

〇黒

〇川沿いの原っぱ
映栄杉蔵之介「ふぅ・・・っ。ふぅ・・・っ」
映栄杉太郎丸「はぁ・・・っ。はあ・・・っ」
映栄杉蔵之介「テメェ、強いじゃねえか」
映栄杉太郎丸「そういうオヤジこそ、やるじゃねえか」
映栄杉蔵之介「フフフ・・・」
映栄杉蔵之介「拙者らが組めば最強でござるな!」
映栄杉太郎丸「フフン! いかにも! 怖い物なんかなんにもねえでござる!」
映栄杉蔵之介「ハッハッハ!」
映栄杉蔵之介「では帰ろうぞ太郎丸! 拙者らの最強伝説はここから始まるのだ!」
映栄杉太郎丸「おうよ!」

〇映栄杉家の外観

〇映栄杉家の居間
映栄杉蔵之介「しのぶ! 酒と肴をよこせ! でござる!」
映栄杉太郎丸「アイスとジュースも持ってこいやあ! でござる!」
映栄杉しのぶ「・・・なんだいその口の利き方は」
映栄杉蔵之介「ああん? 最強の拙者らに口答えする気でござるか?」
映栄杉太郎丸「おおん? 身の程をわきまえた方がいいでござるぜ母上?」
映栄杉しのぶ「やかましい!!!」
「!?」

〇黒

〇映栄杉家の居間
映栄杉太郎丸「うぐぅ!」
映栄杉蔵之介「ぐふぅ!」
映栄杉しのぶ「その舐めた態度と口調をさっさと改めな!」
映栄杉蔵之介「は、はいでござる・・・」
映栄杉太郎丸「・・・映栄杉家最強は、母上でござった」

次のエピソード:イケメン月代パニック!

コメント

  • 父と子の間に芽生えた男同士の熱い絆を打ち砕く、映栄杉家最強の存在…どれだけ鍛錬しても叶わなそうですね。笑

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