映栄杉さん家はお侍

編集長

ポイ活にハマるお侍の妻(脚本)

映栄杉さん家はお侍

編集長

今すぐ読む

映栄杉さん家はお侍
この作品をTapNovel形式で読もう!
この作品をTapNovel形式で読もう!

今すぐ読む

〇スーパーマーケット
近所の奥さまA「あら、映栄杉さんもポイント狙い?」
映栄杉しのぶ「いや、ポイントカードなんか持ってないよ。持ち歩くのが面倒だからね」
近所の奥さまA「あら、もったいない。今日は10倍デーなのに」
映栄杉しのぶ「おや、今日は随分と気前が良いねぇ」
近所の奥さまA「このお肉・・・『タダ』なのよ」
映栄杉しのぶ「そ、その肉が、タダ!?」
近所の奥さまA「そうよぉ。貯まったポイントで交換したんだもの」
映栄杉しのぶ「しかも和牛・・・! これがタダになるってのかい!?」
  ──これが全ての始まりだった。

〇コンビニのレジ
コンビニ店員「ポイントカードはお持ちですか?」
映栄杉しのぶ「いや、持ってないよ」
コンビニ店員「使い方で、ポイントを二重ドリ、三重ドリできますよ」
映栄杉しのぶ「なるほど、ここでは和牛じゃなくて鳥がもらえるって訳だね」
コンビニ店員「はい?」

〇薬局の店内
薬局の店員「お客さま。こちらの商品はポイントが2倍になりますが」
映栄杉しのぶ「いつもの美容液がかい?」
薬局の店員「貯まったポイントで、美顔器と交換もできますよ」
映栄杉しのぶ「美顔器だって!?」
薬局の店員「ところで、ポイントカードはお持ちですか?」
映栄杉しのぶ「・・・持ってないよ」

〇銀行
銀行員「ただいまポイントカードキャンペーンを行なっております」
映栄杉しのぶ「ここでもかい」
銀行員「公共料金の支払いで、ポイントが20%プラスになりますよ」
映栄杉しのぶ(たかが数円のポイントなんていらないと思ってたけど、これはもしや錬金術なのかもしれないね)

〇スーパーのレジ
スーパーの店員「では、お会計いたします」
映栄杉しのぶ「ほら、ポイントカードだよ」

〇古本屋
本屋の店員「ありがとうございました〜」
「ちょいと待ちな」
映栄杉太郎丸「母上!」
映栄杉しのぶ「ポイントつけたかい? レシート見せてみな」
映栄杉太郎丸「捨ててきたでござるよ」
映栄杉しのぶ「なにやってんだい。獲得ポイントがわからないじゃないか。すぐ取ってくるんだよ」

〇飲み屋街
映栄杉蔵之介「拙者ともあろうものが、酒席に遅れるとは!」
「まてまてまてーい」
映栄杉蔵之介「しのぶ!?」
映栄杉しのぶ「この店は、飲み放題付きAコースがポイント増し増しになってるよ」
映栄杉蔵之介「今日は軽く飲むだけで───」
映栄杉しのぶ「ならせめて、会計はお前さんがまとめて払ってポイントを貯めとくれ」
映栄杉蔵之介「この店のポイントカードなぞ持っておらぬぞ」
映栄杉しのぶ「今から作るんだよ。ほら」

〇映画館の入場口
先輩「いやぁ、まさかあの、カルボナーラが伏線になってるとは・・・」
映栄杉ともえ「確かにあのお方、初めから怪しゅうございましたね」
先輩「そこを踏まえて、また、最初からじっくり見たい映画だな」
先輩「あー、なんか無性にカルボナーラが食いたくなってきた! 飯、行くか」
映栄杉ともえ「はい!」
「ちょいと邪魔するよっ」
先輩「うわっ! なんだ? いきなり」
映栄杉ともえ「母上!?」
先輩「え? ともえちゃんのお母さま?」
映栄杉しのぶ「娘がいつも世話になってるみたいだね」
先輩「い、いえ。こちらこそ・・・」
映栄杉しのぶ「映画のチケットを買う時にポイントをつけたか確認にきたんだよ」
映栄杉ともえ「ちゃんとつけましたよ・・・」
映栄杉しのぶ「よろしい」
映栄杉しのぶ「ちなみに今日はこのビルのイタリアンがポイント増し増しだよ」
映栄杉しのぶ「で、会計の時はともえのポイントカードを使っとくれ」
映栄杉ともえ「は、母上・・・」
映栄杉しのぶ「映画も月頭がポイント増し増しだから、次回は来月頭にどうだい?」
先輩「・・・え、えっ?」
映栄杉ともえ「いい加減にしてくださいっ!」
映栄杉しのぶ「ネット予約でもポイントは付くからね!」

〇映栄杉家の外観
映栄杉しのぶ「今日はそこのスーパーがポイント2倍デーだよ」
近所の奥さまA「さすが映栄杉さん!」
近所の奥さまB「私なんてこの間、うっかりポイント消滅させちゃって」
映栄杉しのぶ「使う前に・・・消えた?」
近所の奥さまA「あらぁ、映栄杉さん。 ポイントには、有効期限があるのよ?」
映栄杉しのぶ「有効期限だって!?」
映栄杉しのぶ「どれどれ」
映栄杉しのぶ「ホントじゃないか! えっと、次のポイントの有効期限は・・・」
映栄杉しのぶ「来週!?」

〇映栄杉家の廊下
映栄杉太郎丸「ただいま帰ったでござるー」
映栄杉太郎丸「な、何事でござるか!? この山積みのトイレットペーパーは! 部屋に入れないでござる!」
映栄杉しのぶ「そのうち減るから我慢しな」
映栄杉ともえ「大変です! 冷蔵庫の中が豆腐だらけで、買ってきた牛乳が入りません!」
映栄杉しのぶ「牛乳なんて今すぐ飲み干せばいいじゃないか。あと、今日から当分の間、主食は豆腐だよ」
映栄杉蔵之介「なんで拙者の寝床にキャットフードが積んであるのでござるか!?」
映栄杉しのぶ「いつか猫を飼うかもしれないだろ? 邪魔なら食べてくれてもいいんだよ」
「ええええ!?」
映栄杉しのぶ「これでポイントを無駄にせずに済んだね」

次のエピソード:お侍の息子とAI読書感想文

コメント

  • ポイ活あるある、よく分かります。
    せっかく貯めたポイントは有効利用したいですよね〜。
    シナリオから、しのぶのお茶目さが伝わりました。面白かったです✨

ページTOPへ