元くのいちとセルフレジ(脚本)
〇スーパーの店内
映栄杉しのぶ「よし、買い忘れはないね。 っと・・・・・・ん?」
映栄杉しのぶ「ちょいと店員さん、アレはなんだい? 昨日までは無かったじゃないか」
店員「あちらは、お客様ご自身でお会計をしていただく機械式のレジでございます」
映栄杉しのぶ「へぇ、自分でやるのかい? んじゃ、ちょいと試してみるとするかね」
〇スーパーのレジ
セルフレジ「いらっしゃいませ。袋をセットしてください」
映栄杉しのぶ「なるほど、機械の向こうに店員がいて喋るのかい! はいよ、風呂敷。ええと、セットってのは・・・・・・」
セルフレジ「袋の持ち手をフックに掛けてください」
映栄杉しのぶ「持ち手だって? 風呂敷にそんなもんありゃしないよ」
セルフレジ「袋の持ち手をフックに掛けてください」
映栄杉しのぶ「ああもう、分かったよ。結べばいいんだろう、ほら、こうやって・・・。ああ、面倒くさい!」
店員「あの、お客様。重量で管理するシステムになっていますので、台に広げて頂ければ大丈夫です」
映栄杉しのぶ「それならそうと早く言っとくれよ。ったく、この機械の方の店員は融通が利かないねぇ・・・・・・」
セルフレジ「もう一度、商品のバーコードをかざしてください」
映栄杉しのぶ「ん? どうしたんだい、バナナだけえらく反応が悪いじゃないか」
セルフレジ「もう一度、商品のバーコードをかざしてください」
映栄杉しのぶ「だからやってるってんだよ。なんだい、売りたくない理由でもあるのかい?」
セルフレジ「もう一度、商品のバーコードをかざしてください」
映栄杉しのぶ「お前さんが通してくれなきゃ会計が進まないだろ。ほら、怒らないからちゃんと話し──」
映栄杉しのぶ「お、そうそうできるじゃないか・・・。って、なんだいこの六百円ってのは!?」
セルフレジ「・・・」
映栄杉しのぶ「じゃあこの袋に書いてある二百円ってのは、一本あたりの値段なのかい!」
セルフレジ「商品のバーコードをかざしてください」
映栄杉しのぶ「無視するんじゃあないよ! これじゃ詐欺じゃないか! ちょっと!」
店員「あ、あのお客様! ただいま個数の訂正処理をいたしますので、少々お待ちを・・・!!」
映栄杉しのぶ「支払方法は現金、でよしと。ええと、財布は・・・。ああ、風呂敷の中か」
セルフレジ「エラーが発生しました。商品を袋に戻してください」
映栄杉しのぶ「んん!? もしかしてこの財布かい!? 嫌だね、これは商品じゃないよ!」
セルフレジ「エラーが発生しました。商品を袋に戻してください」
映栄杉しのぶ「違うって言ってるじゃないか。ほら、バーコードなんてついてないだろう!?」
店員「あの、重量が変わってしまったようですので・・・。お手数ですが、もう一度最初から・・・」
映栄杉しのぶ「最初から・・・って」
「おーい、まだかよー」
「これ何分待ちなわけ?」
映栄杉しのぶ「い、いつの間にこんな大人数が並んで・・・。要は、重さが釣り合えばいいんだろう? ちょ、ちょいと待っとくれ!」
〇スーパーの店内
〇スーパーの店内
〇スーパーの店内
〇スーパーのレジ
映栄杉しのぶ「よし、これだけ集めてくればどれか釣り合うんじゃないかい・・・・・・!」
セルフレジ「エラーが発生しました。商品を袋に戻してください」
「いや、さすがに無理だろそれは・・・・・・」
セルフレジ「エラーが発生しました。商品を袋に戻してください」
「絶対やり直した方が早いだろ。や、でもワンチャン・・・・・・?」
セルフレジ「・・・・・・エラーが発生しました。商品を袋に戻してください」
「あ! ちょっと、今惜しかったじゃん! いけるってこれ!」
映栄杉しのぶ「なら・・・。これはどうだい!!」
セルフレジ「・・・・・・お会計を続けてください」
映栄杉しのぶ「よっしゃあぁあ!!」
映栄杉しのぶ「ああ、これでやっと終わるよ! あとは釣銭とレシートを忘れないように────」
店員「あの、お客様? 恐れ入りますが、今その風呂敷に入れられた商品は、レジを通されていないのでは・・・・・・」
〇スーパーマーケット
映栄杉しのぶ「いや、まさか万引きに間違われるとはねぇ・・・。まったく、いつもより何倍の時間がかかったのやら」
映栄杉しのぶ「おや、ちょうどいいところにアンケートかい」
映栄杉しのぶ「『セルフレジの中の店員に教育が行き届いていない』・・・っと」
映栄杉しのぶ「色々と助けてくれたあの店員も、頭の固い新人の世話ばかりご苦労なこった」
重量センサーのあるセルフレジを使ったことがなかったので、勉強になりました! しのぶさんと同じ過ちを犯さないよう気を付けます。笑