映栄杉さん家はお侍

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断捨離くノ一とフリマアプリ(脚本)

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〇映栄杉家の居間
映栄杉しのぶ「はぁ。何でこんなに物が増えるんだろうねぇ」
映栄杉しのぶ「どれも大切な思い出の品、捨てるには忍びないし」
映栄杉しのぶ「・・・ん?」
テレビ「不用品売るならフリマアプリ・ウルカイ!」
映栄杉しのぶ「フリマアプリねぇ」

〇映栄杉家の居間
映栄杉太郎丸「母上、今日のおかずは豪華でござるな」
映栄杉ともえ「お小遣いを増やしていただけるとは・・・母上、うれしゅうございます!」
映栄杉蔵之介「やや、なんと! これは幻のお酒」
映栄杉蔵之介「しのぶが用意してくれたでござるか!?」
映栄杉しのぶ「売上がたくさん入ったからねえ。このくらい構わないよ!」
映栄杉しのぶ「箪笥の肥やしがこんなお金に変わるなんて・・・そうだ」
映栄杉しのぶ「今まで手が届かなかった高級化粧水、買っちまおうかねぇ」

〇映栄杉家の居間
映栄杉しのぶ「ふふ、良いことづくしだね」
映栄杉しのぶ「それ、登録だよ!」
映栄杉しのぶ「なるほど、写真を撮って値段を決めるだけなのかい」
映栄杉しのぶ「これはあの人が買ってくれたんだよねぇ、まだ結婚前だったか」
映栄杉しのぶ「けれど、もうあたしには若すぎる・・・ええい、出品だよ」
映栄杉しのぶ「よしよし、後は値段を決めて──」
  『出品完了しました』
映栄杉しのぶ「おやまあ、随分と簡単じゃないか!」
映栄杉しのぶ「よし、どんどん出品しちまうよ!」

〇映栄杉家の外観

〇映栄杉家の居間
映栄杉しのぶ「おや、もう売れたのかい! どれどれ・・・」
  こんなに良い下駄が300円なんて、お買い得ですね。購入させていただきます
映栄杉しのぶ「あれ、こんな値段で売っちまったよ」
映栄杉しのぶ「は!? 元より最低出品額が入れてある──」
映栄杉しのぶ「――もしや、何かの罠なのかい!?」
映栄杉しのぶ「おや、また売れたよ」
映栄杉しのぶ「――いや、コメントか」
  購入を検討しています。500円でどうですか?
映栄杉しのぶ「このかんざしを500円で譲れだって!?」
映栄杉しのぶ「これは大切な旦那が、あたしのために選んでくれたかんざしだよ!」
映栄杉しのぶ「――いや、落ちつきな、しのぶ」
映栄杉しのぶ「さっき間違えて下駄を300円で売っちまったじゃないか」
映栄杉しのぶ「なんとしてもかんざしは売らなきゃいけないね。それ、値下げには応じよう」
  『999円ならお譲り可能だよ』
映栄杉しのぶ「1円の値引きでどうだい!」
  600円では難しいですか?
映栄杉しのぶ「なんだい、失礼な奴だね」
映栄杉しのぶ「いやいや、なんとしても売るんだよしのぶ。ええい!」
  『990円でどうだ!』
  650円では?
映栄杉しのぶ「このかんざしの価値はそんなもんじゃないってのに。なかなかのケチっぷりだね。ならば」
  『980円』
  700円
映栄杉しのぶ「むむ、なかなか粘るじゃないか。もしやその道のプロなのかい!?」
映栄杉しのぶ「ならばこちらも忍として、相手の心を読むまでさ」
  『965円』
  800円
映栄杉しのぶ「ほらみろ、近づいてきたよ! もう少し・・・」
  『950円』
映栄杉しのぶ「どうだい! ・・・おや?」
  では950円でお願いします
映栄杉しのぶ「ほれやった、50円の値下げであたしの勝利だよ!」
映栄杉しのぶ「さて、梱包しないと」
映栄杉しのぶ「・・・専用の箱が必要なのかい!?」

〇映栄杉家の玄関
映栄杉太郎丸「母上! 帰ったでござ──」
映栄杉しのぶ「うう・・・」
映栄杉太郎丸「母上、どうしたでござるか!?」
映栄杉しのぶ「売上が・・・」
映栄杉太郎丸「売上?」
映栄杉しのぶ「1円も出ないって、どういうことだい!?」

〇映栄杉家の居間
映栄杉蔵之介「夕飯はこれだけでござるか?」
映栄杉しのぶ「そうだよ。我が家にはお金がないからね」
映栄杉ともえ「母上、ライブのチケット代を建て替えて欲しく──」
映栄杉しのぶ「払えるわけないじゃないか」
映栄杉蔵之介「やや、今日は発泡酒にござるか?」
映栄杉しのぶ「仕方ないさ、高いお酒なんて夢のまた夢だからね」

〇映栄杉家の外観
宅配業者「お届け物でーす」

〇映栄杉家の居間
映栄杉蔵之介「しのぶ、なにやら落ち込んでいただろう」
映栄杉蔵之介「ほれ、プレゼントでござる」
映栄杉しのぶ「あんた、これ一体どこで──」
映栄杉蔵之介「フリマアプリでござる」
映栄杉蔵之介「いやぁ、出品者がなかなか値下げに応じてくれなくて困ったでござるよ」
映栄杉しのぶ「それ──」
映栄杉蔵之介「ん?」
映栄杉しのぶ「出品したの、あたしだよ!」
映栄杉蔵之介「な、なんと!?」
映栄杉しのぶ「ええい!」
映栄杉蔵之介「ぎゃぁぁぁあ!」
映栄杉しのぶ「忘れたのかい、それを買ったのはあんただろう!?」
映栄杉蔵之介「なるほど。だから見覚えがあったのでござるな」
映栄杉蔵之介「ならば手元に戻ってよかったではないか」
映栄杉しのぶ「・・・でも」
映栄杉しのぶ「あたしの売上〜〜〜!」

次のエピソード:元くのいちとセルフレジ

コメント

  • 利益を上げるのはなかなかに難しいですね。それにしても見事なオチでした。

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