試しに校正のお仕事をやってみたところ……

ましまる

序論:知小謀大(脚本)

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〇テーブル席
依田 大樹「おう、お待たせ」
ましまる(仮)「ご無沙汰してます、センセ」
依田 大樹「で、今日はどうした?」
ましまる(仮)「センセにちょっと聞いてもらいたい お話がありましてね」
依田 大樹「はいはい、わかった」
依田 大樹「でも、その前に・・・」

〇テーブル席
依田 大樹「あー、うめー」
ましまる(仮)「・・・相変わらずの甘党ですね」
依田 大樹「で、話って何だ?」
ましまる(仮)「以前、私が「スキマ時間」で 校正のお仕事をしたときの体験談を・・・」
依田 大樹「要するにグチか・・・?」
ましまる(仮)「・・・はい」
依田 大樹「ま、イイけどさ」
依田 大樹「それより、お前さんよ・・・」
依田 大樹「そんなグチ吐きのために、わざわざそんな めかしこむって、妙なヤツだよな」
ましまる(仮)「めかしこんで・・・ますか?」
依田 大樹「ああ、普段と大違いだろ」
依田 大樹「いつもは・・・」

〇モヤモヤ
ましまる(真)「グギギ・・・オマエ・・・ノロウ」

〇テーブル席
依田 大樹「・・・って感じなのによ」
ましまる(仮)「流石に、こんなキレイなカフェでは あの姿は晒せませんから・・・」
依田 大樹「お前さんみたいなモンでも、 TPOをわきまえる神経は持ってるんだな」
ましまる(仮)「・・・はい」
依田 大樹「で、話を戻すけどさ・・・」
依田 大樹「お前さん、校正の仕事ができるほどの 文章能力は持ち合わせていないだろ」
ましまる(仮)「・・・はい」
依田 大樹「"TapNovel" とかいう所で たまに文章を出しているみたいだけど」
依田 大樹「日本語の正確さも、語彙力も、 最底辺と言えるレベルじゃねーかよ」
依田 大樹「誇れるのは下ネタの量だけだし ・・・それは誇れることでもねーか」
ましまる(仮)「・・・仰せのとおりデス」
依田 大樹「そもそも、校正の仕事なんて それまで経験したことあったのか?」
ましまる(仮)「全くないです」
ましまる(仮)「でも、近い経験は2度ほど・・・」
依田 大樹「おっ、どんな経験だよ?」
ましまる(仮)「ええと・・・」

〇散らかった研究室
ましまる(仮)「学生のとき、専攻していた分野の 研究室で学術誌を刊行していて、」
ましまる(仮)「半ば強制的に編集委員をやらされて、」
ましまる(仮)「応募論文の下読みから校正まで イロイロとさせられたことが・・・」
依田 大樹「それはまたレアな体験だな・・・」
依田 大樹「で、文章の構成とか表現とかを 指摘することもあったのか?」
ましまる(仮)「ほとんど無かったですね・・・」
ましまる(仮)「何せ、論文の執筆者は 学者センセイかそれに準ずる存在」
ましまる(仮)「一介の学生ごときが 論文構成にアレコレ言うのは無理でした」
ましまる(仮)「ごくごく稀にある誤字について 指摘するのが関の山でしたね」
依田 大樹「・・・だよな」

〇オフィスのフロア
ましまる(仮)「あとは、勤め先で ホームページ文章や広報誌の文言の 事前チェックをやらされたことも・・・」
依田 大樹「お前さん、広報部門にいたのか?」
ましまる(仮)「いいえ、全く関係のない部署でしたよ」
依田 大樹「じゃあ、何でそんな業務が・・・?」
ましまる(仮)「職場の広報の担当者が、アレな文章能力で 誤字脱字が平常運転だったんですよ・・・」
ましまる(仮)「しかも、その担当者が、よりにもよって 外部のお偉方の名前を間違ってしまい、」
ましまる(仮)「再発防止として、なぜか私が全ての文章の チェック役を命じられました・・・」
ましまる(仮)「その結果、広報から出される文章全ての 誤字脱字、表記ゆれ、人名等のチェック、 時にはリライトまでやらされましたね」
依田 大樹「それは結構な内容だな・・・」
依田 大樹「お前さんって、その職場で 余程ヒマそうにしていたのか?」
ましまる(仮)「いえ、ほぼ毎日、職場の最終退勤者でした」
ましまる(仮)「時間外労働時間なんて 過労死ラインを優に超えていましたし」
依田 大樹「じゃあ、ただの貧乏クジか・・・」
依田 大樹「ちなみに、その分の手当は出たんだよな?」
ましまる(仮)「勿論、一切出ませんでしたよ・・・」
ましまる(仮)「そもそも、残業代すら上限アリの職場で 毎月150時間はサビ残でしたよ(小声)」
依田 大樹「・・・労基マターじゃないかよ(小声)」

〇テーブル席
依田 大樹「・・・と、そんな半端な経験しかないのに」
依田 大樹「無謀にも、校正のお仕事に 挑戦してみたって訳か」
ましまる(仮)「・・・はい」
依田 大樹「しかもコミュ障なのに」
ましまる(仮)「コミュ障には違いないですが この話とは関係ないですって・・・」
依田 大樹「で、そんなコミュ障さんは 一体どこでお仕事を見つけてきたんだ?」
ましまる(仮)「在宅ワーク系のサイトです」
ましまる(仮)「動画サイトで公開する解説動画の台本の 校正担当の募集があり、」
ましまる(仮)「つい勢いで応募してしまいました」
ましまる(仮)「プロのライターさんが執筆した台本の 表現揺れやファクトチェックが 主なお仕事内容とのことでして・・・」
依田 大樹「身の程知らずだな・・・」
ましまる(仮)「それは承知していますけど、 日本語表現の勉強になると思ったんですよ」
依田 大樹「ま、確かに勉強にはなるわな」
依田 大樹「でもよ、今日はグチ吐きに来たんだろ!?」
依田 大樹「その仕事で、自身の能力不足が露呈して 泣き言でも吐き出したくなったって訳か?」
ましまる(仮)「いえ、それがですね・・・」
ましまる(仮)「依頼者である「管理者」さんから送られる プロライター執筆の台本の中身が、」
ましまる(仮)「とてつもなく稚拙な文章だったんです」
依田 大樹「・・・稚拙?」
ましまる(仮)「「てにおは」の使い方すらも 結構な頻度で誤りがあるレベルです」
依田 大樹「それって、読書習慣のない中学生の作文や」
依田 大樹「日本に来て間もない留学生の文章レベル ってコトか・・・?」
ましまる(仮)「ライターさんには悪いですけど、 そう言わざるを得ない水準でしたね」
依田 大樹「何か、想像とは違ったグチになりそうだな」
依田 大樹「まあいいや、どんな体験をしたのか 聞かせてくれや・・・」
ましまる(仮)「はい、じゃあ・・・」
  という訳で、具体的な話は次回以降に

〇チョコレート
  ~ お ま け ~
ましまる(真)「ということで、素の姿に戻りました」
ましまる(真)「これから校正の体験談を お送りしていくことになりますが、」
ましまる(真)「校正といえば、やはりアレを思い浮かべる 方も多いのではないでしょうか」
ましまる(真)「漢字を「ひらく」or「とじる」件について」
ましまる(真)「ご存知ない方に簡単に説明すれば・・・」
ましまる(真)「漢字→ひらがな、にするのを「ひらく」 ひらがな→漢字、にするのを「とじる」」
ましまる(真)「・・・と言います」
ましまる(真)「例を挙げると ・お目出度い ・話し易い という表現に対して、」
ましまる(真)「・おめでたい ・話しやすい と「ひらく」ことで、 読みやすくすることができます」
ましまる(真)「こういったチェックをするのも 校正のお仕事のひとつです」
ましまる(真)「今回の私とセンセの会話シーンで出てきた 「全く」「勿論」「一体」という言葉も、」
ましまる(真)「「まったく」「もちろん」「いったい」と 校正の指摘を受け「ひらく」ことになる 可能性もあるかと思われます」
ましまる(真)「でも、何でも「ひらく」と ひらがなだらけの文章となってしまい、」
ましまる(真)「逆に読みづらくなるうえ バカっぽい文体になることもあります」
ましまる(真)「なお、何を「ひらく」「とじる」べきかは 業界・団体・組織によっては レギュレーションを設けていたりします」
ましまる(真)「そのため、私も今回話題にした 校正のお仕事を行うに際して、」
ましまる(真)「まず「管理者」さんにレギュレーションの 有無を確認したのですが・・・」
ましまる(真)「「ひらく」「とじる」という 言葉の意味自体をご存知なかったようで、」
ましまる(真)「「よくわからないけどお任せします」 という嬉しくない言葉を頂戴しました」
ましまる(真)「この時点で察することができていれば、と 今となっては後悔ばかりです」
ましまる(真)「それでは、また次回にお会いしましょう」

次のエピソード:本論①:誤字誤用

コメント

  • ましまるさんお久しぶりです☺️
    ずーっとタップノベル来れてなくて、久々に見に来たらエッセイにましまるさんの作品を見つけて、あ!これ見たかったやつ!と読み始めました⭐沢山のご経験をされているんですね!読むの楽しみです

  • なんだか嫌な予感しかしないお仕事、というか管理人さんですね😂

    私は若い頃のお仕事で校正される側の人間でしたが、それでも自分でチェックとかはやってました…
    誤字って自分じゃ気づきにくいですよね💦

  • わー!!依田センセだ!!🥰💕ウレシイ!💖
    ひらく、とじる。恥ずかしながら初めて知りました。
    公正の方が手間を入れて下さるだけでかなり読みやすくなる大変な仕事ですね…🥹✨
    しかしましまるさん(仮)と(真)の姿が!😂✨それはそれで両方かわゆいです💕

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