あすの僕ら

木佐マコ

エピソード1(脚本)

あすの僕ら

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〇学校の屋上
  うわぁ!
  1日目
星桐彦「いてて・・・おい、大丈夫か」
姫路伊織「う、うん」
  バタンッ
星桐彦「今、その扉から誰か出て行ったか?」
姫路伊織「さあ?」
星桐彦「っていうか、なんだよ伊織(いおり)。 急にぶつかってくるなよ」
姫路伊織「桐彦(きりひこ)こそ、僕くらい受け止めてよ」
星桐彦「はあ?」
  キーンコーン♪ カーンコーン♪
星桐彦「あ? これって、もしかして本鈴(ほんれい)?」
姫路伊織「かも。急ごう」
星桐彦「次、俺のクラス、鬼の長井の授業じゃん! やっば!」

〇教室
  ドアが開き、桐彦が入ってくる。
星桐彦「はぁ・・・はぁ・・・セーフ!」
長井宏幸「セーフじゃない!」
  長井(ながい)が出席簿の角で桐彦の頭を小突く。
星桐彦「いって!」
  席に座っていた夏川が突然立ち上がる。
長井宏幸「お、おい! 夏川(なつかわ)、どこへ行く」
夏川乙女「帰ります。体調が悪いので」
「はあ?」
夏川乙女「では、さようなら」
長井宏幸「か、帰るって・・・夏川、待て!」
長井宏幸「お前、全然元気そうじゃないか! コラ!」
星桐彦「・・・・・・」

〇教室の教壇
  長井が授業をしている。
佐原俊平「夏川に助けられたな、桐彦」
星桐彦「全っ然助かってない」
星桐彦「出席簿の角で殴るなんて、長井性格悪いぜ。 いてて」
佐原俊平「夏川、マジで帰ったのかな。 学級委員長のくせに。 あれ、絶対に仮病だろ」
星桐彦「だな。明日、呼び出し決定」
長井宏幸「こら、そこ!」
長井宏幸「無駄口叩いてる暇があるなら、この問題を前で解いてみろ!」
佐原俊平「えっ! いや、は、発展問題なら、星くんが!」
星桐彦「な、佐原(さはら)、お前! お前の方が数学得意だろ!」
佐原俊平「苦手な星くんにこそ、発展問題はあると思います!」
長井宏幸「うんうん、友達同士、譲り合うのはいいことだな」
「ハ、ハイ・・・」
長井宏幸「そんなお前たちに、優しい俺は2問用意してやったぞ」
長井宏幸「さあ二人で前に出ろ。 そして解け!」
「ハ、ハイ・・・」

〇教室の教壇
星桐彦「屋上で転ぶわ、長井に目ぇつけられるわ、厄日か今日は」
佐原俊平「屋上で転んだ? あんな何もないところでか? おじいちゃんなの?」
星桐彦「俺は、朝起きて、学校来て、帰って寝る。 いつもと変わらぬ日々を平穏に暮らしたいだけなのに・・・」
佐原俊平「まさしく発想がおじいちゃんだな」
星桐彦「どこがだよ。学校来て家に帰る」
星桐彦「毎日なんて、その繰り返しで充分幸せだろ」
佐原俊平「やだやだ、そんな考え方」
佐原俊平「あ、そうだ。キミも恋したら? 俺みたいに」
星桐彦「“キミ”って、気持ち悪いな・・・」
星桐彦「て、え? お前、恋してるの?」
佐原俊平「しているんだな」
佐原俊平「ついでに彼女もいる。先週から」
星桐彦「え!」
星桐彦「こ、これは、唯奈(ゆいな)ちゃん!」
星桐彦「お前、いつの間に? どういうことだよ!」
佐原俊平「だから、先週だって。 俺、この話、お前にしてなかったっけ」
星桐彦「してないよ! こんなとんでもない話、忘れるわけないだろ!」
佐原俊平「それもそうか。 なんたって、俺の彼女、ミス須田高だからね」
星桐彦「嘘だ! 学校のアイドル唯奈ちゃんが、お前なんかと・・・」
佐原俊平「なんかとってなんだよ。 この弁当だって・・・」
「シュンちゃん!」
星桐彦「いいや、嘘だね! シュンちゃんはいつもそうやって・・・」
星桐彦「ん? シュンちゃん?」
佐原俊平「ユイたーん!」
星桐彦「ユ、ユイたんって・・・」
姫路伊織「ラブラブだね」
姫路伊織「諦めなよ。桐彦は恋愛に向いてないもの」

〇通学路
星桐彦「俺が恋愛に向いてないなんて、どうして分かるんだよ」
星桐彦「俺だって・・・」
姫路伊織「分かるよ。桐彦は恋をするタイプじゃない」
星桐彦「へえ。 クールな顔に似合わず、伊織くんって恋愛語っちゃうタイプ?」
姫路伊織「まあね」
星桐彦「ちょっとは照れろよ・・・」
姫路伊織「どうして?」
星桐彦「どうしてって・・・」
星桐彦「お前、やっぱちょっと変わってるよな」
姫路伊織「そう? それに恋愛なんかしたら、桐彦の望む生活とは程遠いものになるよ」
星桐彦「俺の望む生活?」
姫路伊織「いつもと変わらぬ日々を平穏に暮らしたいんでしょ? いつも言ってるじゃない」
星桐彦「・・・ああ、それか。まあな」
姫路伊織「恋なんかしたら、平穏なんかとはほど遠い生活になる」
佐原俊平「お先! 不幸な桐彦くん!」
星桐彦「な、不幸?」
佐原俊平「幸せのおすそ分けだ、受け取れ!」
  投げキッスをする佐原と唯奈。
佐原俊平「よーし、ユイタン、速度を上げるぞ! しっかりつかまっていろ!」
幸田唯奈「うん!」
星桐彦「・・・・・・」
姫路伊織「ほらね。 恋なんて、平穏とはほど遠く、みっともないことばかりだ」
星桐彦「二人乗り・・・」
姫路伊織「え?」
星桐彦「・・・二人乗りって、いいよな」
姫路伊織「ちょっと・・・あれで? 本気?」
星桐彦「好きな子と二人乗りしたい!」
姫路伊織「分かったよ。何度も言わないで」
星桐彦「俺は恋をするぞ!」
姫路伊織「はあ。 そうくるとは思わなかった・・・」
星桐彦「それに、明日は7月7日だ!」
姫路伊織「・・・だから?」
星桐彦「織姫と彦星だって、1年に1度あえるんだぞ!」
姫路伊織「ねえ、桐彦。 ちょっと性格変わってない?」
星桐彦「俺だって恋できるはずだ!」
姫路伊織「あの投げキッスに、変なもの入ってたのかな・・・毒とか」
星桐彦「7月7日! 待ってろ、七夕ー!」

〇一軒家

〇学生の一人部屋
星桐彦(・・・明日・・・恋)

〇学校の屋上
  うわぁ!
星桐彦「いってて・・・ん?」
  2日目

次のエピソード:エピソード2

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