エピソード1 因果と因縁(脚本)
〇洞窟の深部
天使「──返せ!! 『宝具』を盗む賊どもが!」
天使「極刑では済まされんぞ!!」
盗賊の女「──────」
盗賊の女「・・・あぁ・・・そういう事か・・・」
盗賊の女「間に合わなかったんだな、俺も・・あんたも」
天使「はあ?何を言って・・・・」
盗賊の女「上・・・見ろよ」
天使「── 上・・・」
天使「──!?」
天使「な、なんで・・・」
〇飛空戦艦
天使
なんで天界が・・・浮いてるんだ
〇城の回廊
──これは、数時間前まで遡る
天使「いいか、お前らよく聞くんだ!!」
天使「知っている奴もいるだろうが、近いうちここは戦場となる」
天使「毎年同様、”天界"の周回軌道上もっとも 地上に近づく事になる」
天使「その際、”アマルクの心臓”を盗もうする 人畜も現れる」
天使「──が、それを阻止するのが我々だ」
天使「日々の厳しい鍛錬と模擬戦を繰り返し、鍛えに鍛えた精神を持った我々がだ!!」
天使「できた生傷の痛みに襲われ、悲痛と苦痛に苛まれた日々もあったことだろう・・・」
天使「──だがそれも、今日この日で終わる」
天使「──不埒を働いた人畜どもに格の違いを見せつけろ!!」
天使「全ては天命のために!!」
(一同)
───全ては天命のために!!
天使「それでは、解散!!」
ぞろぞろ・・・
部下「よお、お疲れ カイ」
カイ「なんだアルス、なにかようか?」
アルス「いや、別に用があるとかじゃねえんだけど」
カイ「だったら、早く休め」
カイ「地上に近づくタイミングが分かっても、奴らの来るタイミングまでは分からないんだ」
カイ「他の奴が警護に当たっている間、お前は寝て体力温存しておけ」
アルス「──そんなお堅いこと言うんじゃねえよ!」
アルス「仕事の事ばかり考えていても、休められる気も休められなくなるでしょうが!」
アルス「それに俺たちは同期なんだ。仲良くしようぜラフに行こうぜ!ラフに!」
カイ「・・・それもそうか」
カイ「同僚と仲良くするのも隊をまとめるための 必要な事項か・・・」
アルス「相変わらずの真面目ちゃんだなあ・・・」
アルス「まあ、そんな部分が評価されたから隊長になれたのかもだけどな!」
カイ「・・・・・・」
カイ「・・・で、話はなんだ」
アルス「いや、カイってずっと体を鍛えてるけどなんでかな〜って思ってさ」
カイ「・・・知ってるだろ、俺の理由ぐらい」
アルス「うーん、なんとなく?」
アルス「でも確証じゃないから直接聞きたいな〜 と思って──」
カイ「だったら、言いたくない」
アルス「えー、隠し事するのはよくないですよー」
アルス「隊の統率力?にも関わってきますよ的なw」
カイ「機密情報だから黙秘する」
アルス「えー、けち!」
アルス「──ははっ」
カイ「・・・・」
カイ「お前は、”人畜”についてどう思う?」
アルス「人畜って、人間のことか?」
アルス「前から気になっていたんだけど、なんで人間のことを人畜って呼ぶんだよ」
アルス「人間でいいじゃん。言いやすいし」
カイ「──いや、だめだ」
カイ「──人間が、最も”下”に位置するからだ」
〇古い本
この世界には、神、天使、人間という種族間的序列が存在する
俺らのように羽が生え、魔法を使えるのが天界に住まう”天使”だ
しかし、そんな天使よりも遥か上・・・原点にして始祖、俺ら天使を創ったと言われる
存在──それこそが”神”だ
”神”は天使が使う魔法を上回り、全能という才を活かし、万物の創造を可能とする
同時に、姿も形も見たという者がおらず、謎多い存在でもあった
──序列には存在するが、正体不明の逸脱者、それこそが”神”
・・・しかし、この世には”ある事象"が存在する
──それは、天使が”人間”になってしまうという事だ
原因は、人間による精神汚染
人間には、天使を汚せるぐらい汚れきった心を持っており、伝染させる
近くにいるだけでも感染し、そうなってしまった天使は力や品性を奪われ、人間という下等で救いようのない種族に変えられてしまう
そうなってしまえば、当然この天界からも追い出され、迫害の対象と成りうる
だから天使は、人間や ”天使だった者”にも接触しようとする奴など存在しないし、
近づかないに越した事はないと誰もがそう
思っていた・・・
──が、事態はそう簡単でもなかった
〇モヤモヤ
──理由は ”アマルクの心臓”を狙う人間がいるということだ
神が作り出した秘宝"アマルクの心臓"は、使用者の願いを叶えるという代物だ
それ故に狙う人間も多く、叶えられた願い
次第では天使全滅なんて事もありえる
──にも関わらず、この天界の動きは決まっており、あろう事か人間に把握されている
そのため、天界が地上に最も近づくこの日に盗もうと乗り込んでくる
──例え、人間になるリスクがあっても、戦うしかないということだ
〇城の回廊
カイ「──あいつらさえ・・・人畜さえ、いなければこんな事をしなくても済むのに・・・」
カイ「まるで家畜のように人の物を貪り、盗もうとする直立二足する獣が・・・」
カイ「俺は、人畜が嫌いだ」
カイ「”真”の人から物を盗もうとできる精神が理解できない」
アルス「まあ、いくつか説はあるけどアマルクの心臓を使って天使や神になるため、なんて言われてるけどな」
アルス「話したことないから知らんけどw」
カイ「物頼みなんてどうしようもないな人畜・・・」
アルス「──はははっ」
アルス「ちなみにカイ、もしここにアマルクの心臓があったら叶えてほしいことってあるのか?」
カイ「考えた事もねえよ」
カイ「あまりそう言う事を言うと、欲に溺れて人畜みたいになるぞ」
アルス「ひでえ〜」
カイ「まあ、強いていうなら・・・」
アルス「ん?」
カイ「──”神になりたい”」
アルス「ぷッ・・・はははッ! 神かあ・・・」
アルス「カイも人間みたいな事言えるんだな」
カイ「なんだよ、悪いかよ」
アルス「いや、頭堅いカイが変な言うからさあ」
アルス「それにしても神って・・・ぷぷッ」
カイ「うるさい、ほっとけ」
カイ「ちょっと、宝物庫の様子を見てくる。 ──お前から離れるために」
アルス「おう、行ってらっしゃーい」
カイ「それと、俺は上司だから敬語使え」
カイ「いくら同期でも、無礼は許さん」
アルス「へいへい、すみませんでした 隊長⭐︎」
カイ「たくっ・・・じゃあな」
アルス「────」
アルス「なあ、隊長」
カイ「ん?なんだよ」
アルス「帰ってきたら隊長が神になりたい理由、聞かせてくださいよ」
カイ「────」
カイ「全て、終わったらな」
〇洋館の玄関ホール
カイ「あいつ、ほんと調子のいい奴だな・・・」
カイ「確か、宝物を見張ってる奴がいたはず──」
見張りの天使たち
──アイツさあ、まじウザくね
見張り天使たち
──ああ、カイ隊長なあ
カイ「──ん?」
見張りの天使たち
魔法もロクに使えねえのに隊長だぜw
見張りの天使たち
しかも、鍛錬とか言って、剣振ったり体力作りしかしねえしよお
見張りの天使たち
魔法には必要ないつうのw
見張りの天使たち
──と言うかさあ、普通に”邪魔”じゃね
見張りの天使たち
魔法も使えねえのに前線に出ようとしてさ、そっちの方が足引っ張られんだよ
見張りの天使たち
いっそのこと、隊長ごとやらねえw 戦いに乗じて後ろからそっと・・・
見張りの天使たち
いいじゃん、やっちまえやっちまえ!隊長に見せつけてやろうぜ、身をもってw
カイ「───ッ」
〇結婚式場の廊下
カイ「────クソ、クソッ!!」
カイ「見てない所では、いつもこうだ!」
奴らの言って通り・・・
──俺は、魔法が使えない
〇黒
カイ「天界では、生まれながら空を飛んだり魔法が使える存在を天使と呼び、」
カイ「逆に、生まれながらどちらの能力を持たない者は人間と呼ばれている」
カイ「──言ってしまえば、天使と人間の違いなど、それぐらいでしかないんだ」
カイ「そして俺は、魔法が使えない」
カイ「”生まれながらの体質” ”個性”と言ってしまえば聞こえはいいが、」
カイ「実際は、天使の資格を半分失った欠陥品だ」
カイ「周りが一個体の天使であるのに対し、俺は 中途半端な異物───」
カイ「それどころか、半分人間というバイ菌持った腫れ物だ」
カイ「魔法が使えない・・・たかが、それだけで周りから見られる視線も扱いも異なっていた」
カイ「いつからか俺は・・・”吐き気”が止まらなくなっていた」
カイ「吐いても吐いてもよくなるわけでもないのにまた吐いて・・・」
カイ「世界が、自分という全てが・・・」
カイ「──気持ち悪くて、仕方がなかった」
カイ「その頃から、知力、武力、権力・・・あらゆる”力”高上ために鍛えていた」
カイ「魔法が使えなくて何かの力に突出していれば、天使よりも天使、あるいは”神”にもなれるという淡い期待を持ちながら」
カイ「──でも、無謀だった」
カイ「俺が求めたもの全て、魔法で補う事ができたからだ」
カイ「何時間かけてできるようになった事でも、他の天使は魔法を使ってすぐできるようになる」
カイ「それどころか、鍛えるだけで到達できない 領域は、魔法なしで辿り着くことができない」
カイ「その事実を聞かされるたび、また俺は・・・」
カイ「─────」
カイ「・・・だから、俺は力を欲した」
カイ「・・・魔法でも補うことができない」
カイ「”神にも”匹敵するような力を、俺は───」
〇結婚式場の廊下
カイ「・・・なんて、無い物ねだりするのは俺らしくないな」
カイ「──隊長と・・・いや、前隊長と交わした約束だからな」
カイ「俺は、己の誓った天命のために役目を──」
───ドガーン!!!
カイ「───なんだ!?」
───ダッダダダダダダ!!!!
カイ「───銃声!! なんで・・・」
カイ「まあいい、急いで向かうしかない」
〇黒背景
いいじゃん、やっちまえやっちまえ!隊長に見せつけてやろうぜ、身をもってw
???「─────」
???「敵は三人・・・いや、一人減った」
???「──じゃあ、今が攻め時って事だな」
???「よし、神の宝具を奪いに行くぞ」
「???/ ??? / ??? ───了解」
〇洋館の玄関ホール
???「・・・・」
見張りの天使
───何者だ、お前は!!
???「───言う必要がない」
???「と、言いたいところだが・・・」
???「───お近づきの印に受け取れ」
???「────フンッ!!」
〇洋館の玄関ホール
見張りの天使
・・・・く、クソッ
???「悪いが・・・・」
???「──寝てろ」
───ダッダダダダダダ!!!!
見張りの天使たち
グハッ・・・
盗賊の頭「痛みで起き上がれんだろうが、全部ゴム弾だ・・・死にはしねえよ」
盗賊の頭「─────」
駆けつけた天使
──死ね、人間が!!
盗賊の頭「増援か・・・・」
盗賊の頭「───さっさと、片付けるか」
〇洋館の玄関ホール
カイ「はあ・・・はあ・・・」
カイ「───!!?」
盗賊の頭「よお・・・天使くん・・・」
駆けつけた天使
───が、ガハッ
ギリリリッ──
カイ「部下から手を離せ、賊物───」
盗賊の頭「何?お前、こいつらの頭か!」
盗賊の頭「いやー 俺もこんな弱い部下を持った時、 苦労したから分かるよ、気持ち」
盗賊の頭「お互い、お頭どうし仲良く───」
──ジャギ─ン!!
カイ「──感にさわる御託はいい。さっさと、部下から手を離せ!!」
盗賊の頭「おっ、やるねえ君!!」
盗賊の頭「──まさか、真剣握って突っ込んで来るとは、なアッ!!」
カイ「───くッ!!」
──ズサアアッ
盗賊の頭「力もあるし、度胸もある」
盗賊の頭「正直、天使は魔法に頼りきってくれてるから鎮圧が楽なんだけど」
盗賊の頭「お前さんみたいに武器の強さ知ってるとなると、ちっと厄介だなあ・・・」
盗賊の頭「──悪いが、片足の一本なくなる覚悟はしておいた方がいいぜ」
カイ「──覚悟?ここにいて、覚悟してないって事はないんだよ!!」
カイ「──俺らは、命をかけてやってるんだ。 足ごときで覚悟するほど、やわじゃねえ!!」
盗賊の頭「ふん、腹は決まってるってところか・・・」
盗賊の頭「ま、あんたの部下は、そうは思ってなかったようだが・・・」
カイ「──我の天命にかけて秘宝の死守及び、 賊物の殲滅を果たす!」
カイ「───はあああああ!!!」
カイ「────!!」
───ダッダダダダダダ!!!!
盗賊の頭「────チッ」
銃との相対速度だったら、こっちの方が速い
そして、あの型の銃は15〜30発までが限度
ちょうど30発、あの一回で撃ちきってる
──つまり、弾切れだ
盗賊の頭「─────」
──って、思うのが普通だよな
コイツの装弾は、”31発”の改造銃
──つまり、一発残してる
武器をよく知ってる
──だから引っかかる罠だよ
カイ「───はああああ!!」
ほらほら、突っ込んできた
──バイバイ、天使ちゃん
───ダン!!
キ─ンッ!!
盗賊の頭「──!!?」
──アイツ、剣に当てて弾道を!!
盗賊の頭「────チッ」
盗賊の頭「これで遊んだろ!!」
カイ「当たるか、そんな物!!」
盗賊の頭「───ッ!!」
カイ「──はあああああ!!!」
盗賊の頭「────っ ガハッ!!!」
やっべ、胸をもろに受けちまった・・・
もう助からんなかもな・・・これ・・・・
───でも、秘宝だけは貰ってくぞ
〇洋館の玄関ホール
──カチッ
盗賊の女「───おーら、よッと!!」
〇洋館の玄関ホール
カイ「───!? 天井が!!」
〇洋館の玄関ホール
〇洋館の玄関ホール
盗賊の女「秘宝は回収した、退くぞ!!」
カイ「───させるか!!」
カイ「───!!?射撃、どこから」
〇洋館の玄関ホール
???「う〜〜〜」
〇洋館の玄関ホール
カイ「──上か!!」
カイ「────ッ」
盗賊の女「──やらせるか!!」
カイ「そんなナイフに当たるわけ───」
盗賊の女「───”ザ・ルナ”」
カイ「───クッ!! 軌道が・・・変わった・・・」
盗賊の女「──おい、リリ!!早く、行くぞ」
リリ「う、うん」
カイ「──おい、待て」
カイ「────ッ!! 瓦礫が・・・」
〇結婚式場の廊下
盗賊の女「大丈夫だったか、リリ?」
リリ「うん、ありがとう お姉ちゃん」
盗賊の女「おっさんがやり合ってる隙に盗み出せたのは運が良かった・・・」
盗賊の女「とりあえずこんな所、早く下り──」
〇結婚式場の廊下
盗賊の女「───ッ」
盗賊の女「──大丈夫か!!リリ」
リリ「おねえ・・・ちゃん・・・」
盗賊の女「───おい、リリ・・リリ!!」
???
あーあ、避けられちゃった
盗賊の女「───ッ!」
アルス「どうも〜、人間さ〜ん」
盗賊の女「───何しやがる、お前ぇ!!」
アルス「いや〜、やっぱり人間は言葉使いも荒くて、品性がないですね〜」
アルス「だから、言葉も、姿も綺麗な・・・」
アルス「───天使になっちゃえ⭐︎」
盗賊の女「─────」
盗賊の女「───「ザ・ル──」
盗賊の女「──チッ ナイフを!!」
アルス「させないよ」
盗賊の女「───このッ!!」
アルス「力、あまりないね」
──グルッ
盗賊の女「───カハッ」
アルス「僕さあ、これでも結構女の子は好きなんだよ」
盗賊の女「───ど、どの口で」
──ぎちぎちち
盗賊の女「────グアッ!!」
アルス「あ、ああ、そういう意味じゃなくて・・・」
アルス「───女の弱点知ってるってだけ」
アルス「目、額、首、膀胱・・・」
アルス「何処を刺しても、死に至るぐらいの急所だけど、どこが一番痛いんだろうね?」
アルス「精神強めな君の体で試して───」
アルス「・・・・」
リリ「お姉ちゃんから・・・離れて!!」
盗賊の女「───” リリ”!!」
アルス「──ガキが」
リリ「────ッ」
盗賊の女「───来い! 「ザ・ルナ」!!」
アルス「───イッてぇえええ!!」
盗賊の女「───リリ!!」
───ガシッ
盗賊の女「───リリ、大丈夫だったか?」
リリ「・・・・ニコッ」
盗賊の女「帰ろうか・・・リリ」
アルス「──させるかよオッ!!」
盗賊の女「────ヌ"ン"あ"ああッ!!」
〇結婚式場の廊下
アルス「────!!」
アルス「───ッ 逃げたか・・・」
〇暗い洞窟
ハア・・・ハア・・・ハア・・・
盗賊の女「もう少しだ・・・野営基地に着く・・・」
盗賊の女「そうすれば、治療もできるからな・・・」
リリ「お姉ちゃん・・・私、役に立てた・・・かな」
盗賊の女「ああ、立った・・・十分に。リリがいなかったら姉ちゃん死んでたよ」
盗賊の女「だから、生きてくれ・・・」
リリ「────」
〇洞窟の深部
盗賊の女「──もうすぐだ!!」
盗賊の女「ここを抜けたら俺たちの基地に───」
リリ「・・・・・」
盗賊の女「・・・なあ、リリ?」
盗賊の女「(血が・・・止まってねえ・・・!!)」
リリ「・・・・・」
盗賊の女「──おい!リリ、リリッ!!」
布だけの治療じゃ無理があったか・・・
盗賊の女「────クソッ」
盗賊の女「俺が・・・こんな所に連れてきたばかりに」
盗賊の女「──血、輸血用の血さえあれば」
盗賊の女「・・・・」
盗賊の女「なあ、リリ・・・」
盗賊の女「───”血、欲しいよな”」
ガシッ
リリ「させません・・・絶対に」
盗賊の女「──ッ リリ・・・」
リリ「私は・・・私の意思でここに・・・」
リリ「だから・・・こうなったのも、自分が──」
盗賊の女「もういい・・・喋るな!!」
盗賊の女「────ッ!!」
切れ、切れ、自分の腕を切れ・・・・
たった一回、手首に切り込みを入れるだけだ
それで、リリを救えるなら俺は・・・俺は!
カチッ
盗賊の女「なんだ・・・」
盗賊の女「───!!?」
盗賊の女「──おいリリ・・・なんで口に」
リリ「─────」
リリ「はりあどう・・・おねえひゃん・・・ (ありがとう・・・お姉ちゃん・・・)」
盗賊の女「やめろ!!よせ──」
〇洞窟の深部
カイ「──どこ行った、あの人畜は!!」
アイツが言うには、人畜のらしき影が天界から降りるのを見たと言っていたが・・・
それにしても、かなりマズイ
上から責任問題を問われるのも面倒だが、盗られた物が天地をひっくり返すぐらい秘宝だ
同僚・・天命・・・そして、自分のためにも見つけなければ、絶対!!
カイ「───ッ」
盗賊の女「・・・・」
───いた!!
カイ「──返せ!! 『宝具』を盗む賊どもが!」
カイ「極刑では済まされんぞ!!」
盗賊の女「──────」
あの時の、天使か・・・
盗賊の女「・・・あぁ・・・そういう事か・・・」
盗賊の女「間に合わなかったんだな、俺も・・あんたも」
カイ「はあ?何を言って・・・・」
カイ「それより、盗んだ宝具を!!」
盗賊の女「──ほらよ」
カイ「おおっと・・・!?」
カイ「おい、秘宝を投げるな!!」
でもよかった、これで天命が遂行でき──
盗賊の女「──偽物だぞ、それ」
カイ「はあ!?」
カイ「──じゃあ、本物は?」
盗賊の女「・・・・」
カイ「──おい、本物は!!」
盗賊の女「俺も知らん・・・・」
カイ「ふざけるな!どこかに隠したんだろ!!」
カイ「さっさと隠した場所を吐け!!」
盗賊の女「・・・それよりもいいのかよ、話してて」
カイ「──お前が、場所を言わないからだろ!!」
カイ「こんな偽物を用意して、どこまで我々を愚弄すれば気が済むんだ、人畜!!」
カイ「さっさと場所を───」
盗賊の女「上・・・見ろよ」
カイ「──上・・・」
カイ「──!?」
カイ「な、なんで・・・」
〇飛空戦艦
天使
なんで天界が・・・浮いてるんだ
〇洞窟の深部
盗賊の女「・・・置いてかれたんだよ、普通に」
盗賊の女「俺らを追いかけるのに夢中で気づかなかったんだろうよ・・・」
盗賊の女「まあ、ようするに・・・”運が”なかったな」
カイ「・・・・・・」
カイ「・・・俺は、これからどうすればいいと思う」
盗賊の女「知らねえよ・・・関係ねえし」
盗賊の女「地上で生活するんじゃねえの ”人間”として」
カイ「───ッ」
カイ「そ、そんな・・・」
盗賊の女「──────」
〇洞窟の深部
はりあどう・・・おねえひゃん・・・
(ありがとう・・・お姉ちゃん・・・)
〇洞窟の深部
盗賊の女「リリ・・・・」
───ゴソッ
盗賊の女「──”帰ろうか・・・家に”」
──おい、待て
カイ「こんな目になったのも、お前ら人畜が──」
盗賊の女「──何度も口にするようで悪いが、私には関係ない」
盗賊の女「私らと戦ったのも追いかけたのも、全ては あんたの意思だ」
盗賊の女「──それに生じた結果も全てな」
カイ「────ッ」
カイ「・・・なら、アマルクの心臓をよこせ」
盗賊の女「───だから、持ってないって!!」
盗賊の女「それに持ってたら、俺が───」
カイ「だまれ!!」
カイ「───さっさと寄越せ!!」
盗賊の女「・・・・・」
盗賊の女「・・・いいぜ、相手してやるよ」
盗賊の女「──ちょうど、ぶっ殺したいと思ったんだ」
手に汗握るバトル展開と引き込まれる演出でした
続きが気になります!