第17話 疑心暗鬼(脚本)
〇校長室
白宵 覚(しらよい さとる)(なぜ、九条が新太を・・・?)
・・・さん、白宵さん!
白宵 覚(しらよい さとる)「ああ、すまない。それで?」
〇秘密基地のモニタールーム
涅群 騎士(くろむら ないと)「今夜、水族館に来れる?」
涅群 騎士(くろむら ないと)「話がしたい。できれば二人だけで」
白宵 覚(しらよい さとる)「他のメンバーは?」
涅群 騎士(くろむら ないと)「正直、会いたくはないかな」
涅群 騎士(くろむら ないと)「誰が敵なのかわからないからね」
白宵 覚(しらよい さとる)「俺は敵じゃないと?」
涅群 騎士(くろむら ないと)「だって、白宵さん──」
涅群 騎士(くろむら ないと)「家族に復讐するのが目的なんだよね?」
涅群 騎士(くろむら ないと)「なら、どこかの慈善屋よりは信用できるよ」
涅群 騎士(くろむら ないと)「「皆の不眠を治したい」人たちよりはね」
〇校長室
白宵 覚(しらよい さとる)「わかった。じゃあ夜に」
涅群 騎士(くろむら ないと)「予知は常に利かせておいた方が良いよ」
涅群 騎士(くろむら ないと)「何が起こるかわからないから」
〇商業ビル
〇車内
三井 陽和(みつい ひより)「なんて・・・こと」
明闇 暁仁(みょうあん あきひと)「どうした?」
三井 陽和(みつい ひより)「明闇さん、すぐに車を出して下さい!」
三井 陽和(みつい ひより)「このままじゃここも──!」
三井 陽和(みつい ひより)「失礼します!」
明闇 暁仁(みょうあん あきひと)(俺の足の上からアクセルをっ!?)
三井 陽和(みつい ひより)「ハンドルはお願いしますね!」
明闇 暁仁(みょうあん あきひと)「え? え?」
〇商業ビル
明闇 暁仁(みょうあん あきひと)「ちょっと待てぇぇぇええええ!」
〇屋上の隅
九条 醒夜(くじょう せいや)「さすがひよりん。気付いたか」
九条 醒夜(くじょう せいや)「あと3秒遅かったら投げとったで」
九条 醒夜(くじょう せいや)「ま、逃がさへんけどな」
???「んー! んんー!」
磯村 新太(いそむら しんた)「んんーー!(解けーー!)」
九条 醒夜(くじょう せいや)「騒がしいなぁ」
九条 醒夜(くじょう せいや)「後で拾いに来るから転がっときや」
九条 醒夜(くじょう せいや)「”走塁モード”」
〇繁華街の大通り
〇車内
三井 陽和(みつい ひより)「すみません、思いっきり踏んじゃって」
明闇 暁仁(みょうあん あきひと)「いやー、何かに目覚めるかと思ったぜ」
明闇 暁仁(みょうあん あきひと)「んはっはっは」
明闇 暁仁(みょうあん あきひと)「で、そろそろ事情を聞いても?」
三井 陽和(みつい ひより)「ええ、実は・・・」
〇渋谷のスクランブル交差点
〇車内
明闇 暁仁(みょうあん あきひと)「まさか、醒夜がね」
明闇 暁仁(みょうあん あきひと)「陽和ちゃん、彼とは仲が良かったろう?」
明闇 暁仁(みょうあん あきひと)「彼の心を覗いたことはなかったのかい」
三井 陽和(みつい ひより)「彼は、私に好意を抱いていましたから」
三井 陽和(みつい ひより)「その・・・心を読むのが恥ずかしくて」
明闇 暁仁(みょうあん あきひと)「なぜ? アイドルなんて好意の的だろう?」
明闇 暁仁(みょうあん あきひと)「誰かに好かれるなんて日常茶飯事のはずだ」
三井 陽和(みつい ひより)「アイドルの”好き”とは全然違いますよ」
三井 陽和(みつい ひより)「個人のはこう・・・熱量がすごくて」
明闇 暁仁(みょうあん あきひと)「んはっはっは。確かにそうだな」
明闇 暁仁(みょうあん あきひと)「若い男なんてエロい事しか考えないもんな」
三井 陽和(みつい ひより)「仲間のそんな部分、見たくないですから」
三井 陽和(みつい ひより)「でも、今思えば見ておけばよかった」
三井 陽和(みつい ひより)「私を好きだっていうあの態度も──」
三井 陽和(みつい ひより)「彼の作戦だったんでしょうね」
明闇 暁仁(みょうあん あきひと)「さあ、そいつはどうかな」
明闇 暁仁(みょうあん あきひと)「彼はそんな器用じゃ無さそうだがな」
三井 陽和(みつい ひより)「果たしてそうでしょうか・・・」
三井 陽和(みつい ひより)「──明闇さん! 伏せてっ!」
明闇 暁仁(みょうあん あきひと)「なんだ!? 一体どこから」
三井 陽和(みつい ひより)「わかりません!」
三井 陽和(みつい ひより)(九条くんの”声”は聞こえなかった)
三井 陽和(みつい ひより)(どうして?)
〇東京全景
九条 醒夜(くじょう せいや)「ははっ。見えるで〜。丸見えや」
九条 醒夜(くじょう せいや)「範囲を広げるほど人の数は増える」
九条 醒夜(くじょう せいや)「この距離なら、心を読むのは難しいはずや」
九条 醒夜(くじょう せいや)「悪いけど、ひよりんが僕を見つける前に」
九条 醒夜(くじょう せいや)「撃ち抜かせてもらうで」
九条 醒夜(くじょう せいや)「距離4000メートル、高速ストレート」
〇大きい交差点
〇車内
三井 陽和(みつい ひより)「また来ます! 車線を変えて下さい!」
明闇 暁仁(みょうあん あきひと)「くっ・・・!」
三井 陽和(みつい ひより)「きゃあっ!」
明闇 暁仁(みょうあん あきひと)「大丈夫か!?」
三井 陽和(みつい ひより)「わ、私はなんとか・・・」
三井 陽和(みつい ひより)(僅かな殺意を頼りに避けてはいるけど)
三井 陽和(みつい ひより)(完全な回避までは無理だわ)
三井 陽和(みつい ひより)「このままじゃ、車が先に駄目になります」
明闇 暁仁(みょうあん あきひと)「くっ。使うしかねぇか──」
明闇 暁仁(みょうあん あきひと)「”遺伝子の記憶”」
明闇 暁仁(みょうあん あきひと)「なるほど、こっちだ」
明闇 暁仁(みょうあん あきひと)「しっかり捕まってろよ、陽和ちゃん」
三井 陽和(みつい ひより)「きゃああああっ」
〇ビルの裏通り
九条 醒夜(くじょう せいや)「逃げられたか」
九条 醒夜(くじょう せいや)「まあええ。目的は磯村の確保やからな」
九条 醒夜(くじょう せいや)「今度会ったら逃さへんで、ひよりん」
明闇 暁仁(みょうあん あきひと)「行ったか?」
三井 陽和(みつい ひより)「ええ、もうこの辺りにはいません」
三井 陽和(みつい ひより)「明闇さん、一体どうやったんですか?」
明闇 暁仁(みょうあん あきひと)「”遺伝子の記憶”」
明闇 暁仁(みょうあん あきひと)「俺は祖先の知識を自分のものとして使える」
明闇 暁仁(みょうあん あきひと)「いま使ったのは物理学者とドライバーさ」
明闇 暁仁(みょうあん あきひと)「投球角度から醒夜の位置を推定して」
明闇 暁仁(みょうあん あきひと)「死角になる最短経路を割り出した」
三井 陽和(みつい ひより)「その知識があれば何でも出来そうですね」
明闇 暁仁(みょうあん あきひと)「そうでもない」
〇黒背景
祖先のじーさんばーさんが大勢いて
知識の出し合いをしてるのを想像してみろ
うるさそうですね
毎度そいつらを制するのは一苦労なんだよ
〇ビルの裏通り
明闇 暁仁(みょうあん あきひと)「醒夜は本気で俺達を襲ってきた」
明闇 暁仁(みょうあん あきひと)「残念ながら俺達二人じゃ逃げるのが限界だ」
明闇 暁仁(みょうあん あきひと)「覚やナイトと合流しなきゃな」
三井 陽和(みつい ひより)「でもあの二人、私達を警戒してますよ」
明闇 暁仁(みょうあん あきひと)「ええっ! なんでだよ!」
三井 陽和(みつい ひより)「九条くんが敵になったわけでしょ」
三井 陽和(みつい ひより)「彼らからすれば、私達が味方の保証はない」
明闇 暁仁(みょうあん あきひと)「そんな・・・」
明闇 暁仁(みょうあん あきひと)「覚〜ナイト〜! 俺は味方だって!」
三井 陽和(みつい ひより)「いい大人が泣かないでもらえます?」
明闇 暁仁(みょうあん あきひと)「だってどうする? 覚には予知の力がある」
明闇 暁仁(みょうあん あきひと)「探して会おうとしても逃げられるだろ?」
三井 陽和(みつい ひより)「でも何とかしなくちゃいけない」
三井 陽和(みつい ひより)「九条くんから逃げながら、ね」
明闇 暁仁(みょうあん あきひと)「そりゃ無理ゲーだぜ・・・とほほ」
〇空
〇水族館前
白宵 覚(しらよい さとる)「っはあ、はあ、はあ」
涅群 騎士(くろむら ないと)「白宵さん! こっちだよ。早く!」
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???「・・・ちっ、やっぱ開かへんか」
九条 醒夜(くじょう せいや)「いずれ出てくるやろ」
九条 醒夜(くじょう せいや)「待たしてもらうで」
〇秘密基地のモニタールーム
涅群 騎士(くろむら ないと)「よく無事に来れたね」
白宵 覚(しらよい さとる)「誰かさんが忠告してくれたおかげでな」
白宵 覚(しらよい さとる)「一つでも間違えれば大怪我だった」
涅群 騎士(くろむら ないと)「予知を使って避けられたんだね」
涅群 騎士(くろむら ないと)「怪我の原因は? やっぱり・・・」
白宵 覚(しらよい さとる)「ああ、そうだ」
〇オフィスビル前の道
九条の”投球”によるものだ
〇秘密基地のモニタールーム
涅群 騎士(くろむら ないと)「九条さんはインソムニア最強の戦力」
涅群 騎士(くろむら ないと)「もう安心して外を歩けないよ」
白宵 覚(しらよい さとる)「九条は本当に裏切ったのか?」
白宵 覚(しらよい さとる)「敵の能力で操られてる可能性も──」
涅群 騎士(くろむら ないと)「いや、それはないと思うよ」
涅群 騎士(くろむら ないと)「”洗脳”できるなら敵は焦る必要はない」
涅群 騎士(くろむら ないと)「出会い頭に術を掛ければいいだけだからね」
白宵 覚(しらよい さとる)「だったら九条は・・・」
涅群 騎士(くろむら ないと)「残念だけど、元々敵だったんだろうね」
涅群 騎士(くろむら ないと)「このタイミングで動いたのは恐らく──」
涅群 騎士(くろむら ないと)「磯村さんが本物の情報を持っていたから」
白宵 覚(しらよい さとる)「新太は何を知っていたんだ?」
涅群 騎士(くろむら ないと)「さあね。ただ、はっきりしてるのは──」
涅群 騎士(くろむら ないと)「謎を突き止めるまで、僕らは狙われ続ける」
白宵 覚(しらよい さとる)「やるしかない、か」
涅群 騎士(くろむら ないと)「と、いってもね・・・」
涅群 騎士(くろむら ないと)「外で動けるのは白宵さんだけ」
白宵 覚(しらよい さとる)「九条を躱しつつ情報を収集する、か」
涅群 騎士(くろむら ないと)「・・・無理じゃない?」
白宵 覚(しらよい さとる)「厳しいな・・・」
???「じゃあ、手伝おうか?」
白宵 覚(しらよい さとる)「誰だ!」
???「ふふふ・・・」
〇警察署の入口
〇役場の会議室
小判 早馬(こばん そうま)「監視カメラには改ざんの跡はありません」
小判 早馬(こばん そうま)「磯村は物理的に”消えた”ということです」
小判 早馬(こばん そうま)「って、信じられるかーー!」
女鮫 蜂利(めざめ はちとし)「小判くん、落ち着きなさい」
女鮫 蜂利(めざめ はちとし)「スローでは何か映ってたんでしょ?」
小判 早馬(こばん そうま)「黒い影が一瞬横切ったとしか・・・」
女鮫 蜂利(めざめ はちとし)「それで充分よ」
女鮫 蜂利(めざめ はちとし)「つまり”神隠し”ではなく”誘拐”ということよ」
小判 早馬(こばん そうま)「人間離れした速度で何かが連れ去ったと?」
女鮫 蜂利(めざめ はちとし)「秘密裏に犯罪者を確保するインソムニア」
女鮫 蜂利(めざめ はちとし)「街に多発する不眠症、記憶喪失の逮捕者」
女鮫 蜂利(めざめ はちとし)「異常なことは既に山ほど起きているのよ」
小判 早馬(こばん そうま)「では、磯村の件は・・・」
女鮫 蜂利(めざめ はちとし)「相手は正体をさらす危険を犯して誘拐した」
女鮫 蜂利(めざめ はちとし)「そう考えるのが自然ね」
小判 早馬(こばん そうま)「ならば追うべきは、磯村に親しい人間」
小判 早馬(こばん そうま)「確か彼は離縁した家族がいたはずだ」
女鮫 蜂利(めざめ はちとし)「職場にも事情は聞きたいわね」
小判 早馬(こばん そうま)「明日、朝一番で聴取に行きます」
女鮫 蜂利(めざめ はちとし)「じゃあロンダリングにはあたしが」
女鮫 蜂利(めざめ はちとし)「気になることもあるしね」
〇秘密基地のモニタールーム
明闇 暁仁(みょうあん あきひと)「ジャーン! 俺でした!」
明闇 暁仁(みょうあん あきひと)「お、おい覚! ちょっと待て!」
三井 陽和(みつい ひより)「白宵くん、止まって」
白宵 覚(しらよい さとる)「三井・・・予知を読んだのか」
明闇 暁仁(みょうあん あきひと)「問答無用で殴りに来ないでくれよ」
涅群 騎士(くろむら ないと)「疑わしきは罰せよ、だと思うけどね」
明闇 暁仁(みょうあん あきひと)「ナイト〜勘弁してくれよ〜」
白宵 覚(しらよい さとる)「どうやってここに?」
明闇 暁仁(みょうあん あきひと)「この設備の金を出してるのは俺だぜ?」
明闇 暁仁(みょうあん あきひと)「抜け道くらいは知ってるさ」
三井 陽和(みつい ひより)「それで、予知の警戒を解いた隙を狙ったの」
白宵 覚(しらよい さとる)「ずっと心をモニタリングされていたのか」
涅群 騎士(くろむら ないと)「悪いけど、僕らはあなた達を信じてない」
涅群 騎士(くろむら ないと)「敵じゃないという根拠はあるの?」
明闇 暁仁(みょうあん あきひと)「路上カメラに映った俺たちを見てくれ」
明闇 暁仁(みょうあん あきひと)「それが何よりの証明だよ」
涅群 騎士(くろむら ないと)「ちょっと待ってて・・・」
涅群 騎士(くろむら ないと)「なるほど、少なくとも敵じゃないか」
白宵 覚(しらよい さとる)「どういうことだ?」
涅群 騎士(くろむら ないと)「二人も九条さんに襲われてる」
涅群 騎士(くろむら ないと)「ずいぶん大変だったみたいだよ」
明闇 暁仁(みょうあん あきひと)「そうなんだよ、あいつしつこくてさ」
明闇 暁仁(みょうあん あきひと)「社用車が一台大破しちまったぜ」
三井 陽和(みつい ひより)「で、敵の敵は味方ってことでいいかしら?」
涅群 騎士(くろむら ないと)「ま、共同戦線くらいは張れるかな」
涅群 騎士(くろむら ないと)「白宵さんはどう?」
白宵 覚(しらよい さとる)「下手な真似をする前に察知する」
白宵 覚(しらよい さとる)「もう一瞬たりとも、予知を緩めない」
涅群 騎士(くろむら ないと)「決まりだね。じゃあ、改めてまたよろしく」
明闇 暁仁(みょうあん あきひと)「いやー、仲間に戻れて嬉しいぜ、覚」
三井 陽和(みつい ひより)「で、どうするの?」
白宵 覚(しらよい さとる)「明日の朝、新太の両親に話を聞くつもりだ」
白宵 覚(しらよい さとる)「段取りは──」
〇中規模マンション
〇綺麗なダイニング
アルテミス「醒夜・・・」
アルテミス「裏切ったなんて嘘だよね」
〇黒背景
三井 陽和(みつい ひより)「九条くんに襲われたわ」
三井 陽和(みつい ひより)「お願いだからマンションでじっとしてて」
三井 陽和(みつい ひより)「間違っても説得なんて考えないで」
三井 陽和(みつい ひより)「彼はきっとあなたにも容赦しない」
〇綺麗なダイニング
アルテミス「電話でひよりには言われたけど」
アルテミス「僕、全然納得できないよ」
アルテミス「醒夜、君は──」
〇競技場の通用口
九条 醒夜(くじょう せいや)「僕と同じような不眠の人を助ける、か」
九条 醒夜(くじょう せいや)「ええやん。その案件、引き受けたで」
九条 醒夜(くじょう せいや)「なってったって僕はヒーローやからな!」
〇綺麗なダイニング
アルテミス「嘘だよね、醒夜」
アルテミス「ヒーローは・・・裏切ったりしないよね」
〇古いアパート
磯村 月人(いそむら つきと)「はーい、磯村です・・・」
磯村 月人(いそむら つきと)「えーと。お兄さん、誰?」
九条の能力、すごいですね!😂
4000メートルでしたっけ??
プロ野球なんかチョロすぎるじゃないの~
いよいよ次回、黒幕登場ですか……
ドキドキしますね💦
醒夜の熱量が多い妄想…(*⁰▿⁰*)🌸
(ほんとすみませんこういうところ拾って!😂)
今回も面白かったです!✨
続きどうなるのか楽しみにしてます!✨
お忙しい中コンスタントに更新、、、
凄いです本当に!!👏