99クレージー

山本律磨

人形の家(2)~ワクワクエンドカード付~(脚本)

99クレージー

山本律磨

今すぐ読む

99クレージー
この作品をTapNovel形式で読もう!
この作品をTapNovel形式で読もう!

今すぐ読む

〇テレビスタジオ
「さあ!続いてはあきら君のコーナーです!」

〇ポップ
つくもざわあきら君「くう~~~~~~ッ!」
つくもざわあきら君「つくもざわあきらのカツ丼MAP!」
つくもざわあきら君「取材オッケーいただきました~っ!」

〇取調室
つくもざわあきら君「見て下さい!このオシャレな店内!」
つくもざわあきら君「とてもカツ丼屋とは思えませ~ん!」
後田「いや、カツ丼屋じゃないし」
つくもざわあきら君「ここって、ご夫婦でやってらっしゃるんですか~?」
前田「夫婦に見えるか?」
つくもざわあきら君「う~んと。何を注文しようかな~?お勧めってあります?」
後田「いいから早く食え」
つくもざわあきら君「それじゃあ頂きま~す!」
つくもざわあきら君「う~ん。この喉越し、たまりませ~ん」
後田「カツをすするな。気色悪い」
前田「蛇かお前は」
つくもざわあきら君「く~っ」
つくもざわあきら君「完食しました~~~~~~~ん!」
前田「あっそ」
つくもざわあきら君「さて、ここからが本題です」
つくもざわあきら君「このカツ丼くじで次の聞き込み先を決めてください」
前田「はあ?」
つくもざわあきら君「さあ、遠慮なく!」
後田「チッ!」
つくもざわあきら君「おっと、このボールに書かれている場所は」
  『自宅』
つくもざわあきら君「と、いう訳で次の行先は僕の自宅です!」
つくもざわあきら君「それじゃありがとうございました~」
つくもざわあきら君「失礼しま~す」
つくもざわあきら君「くう~・・・」

〇モヤモヤ

〇黒

〇雑誌編集部
九十九「で、ボッコボコにされた後から取り調べがスタートしたという訳さ」
九十九「どう思う?和泉成」
和泉「まあ、現時点では自業自得としか」

〇取調室
令「九十九昭。ヤオヨロズ対魔部甲級対魔士。三十五歳独身」
令「ふむ・・・」
九十九「・・・?」
令「パス」
九十九「き、貴様あっ!今、勝手に婚活候補にして速攻切り捨てただろ!」
令「出雲神学院大学を主席で卒業し地元の神社で陰陽師としての研鑽を積んだのち、昨年上京」
令「ヤオヨロズ対魔部に入社後、わずか半年で部内の花形『警備部付対魔士』に推挙」
九十九「当然だろう。僕はエリートなんだよ」
令「そのエリートさんに都合よく赴任先の『空き』が出来た。青龍部隊対魔士吉備真喜夫氏の失踪、及び死亡」
九十九「まあ、その辺りは運というヤツですね~」
九十九「吉備何某氏は大変お気の毒ですが、まあ、運を操ることも呪術師の才のひとつ」
令「ならお前の才もここまでだ」
令「この首都警随一の美少女刑事・・・」
九十九「え?美少女?どこ?どこ?」
令「美熟女刑事小角令がジュクジュクに搾り上げてやるから覚悟しろ!」
令「とりあえず貴様のアリバイからだっ!この一週間の行動を秒単位で説明しろ!」
令「それとも早々にこいつの出番かな~♪」
令「ねえねえ、どの指から潰されたい?親指とひとさし指は残しておいた方がいいと思うなあ~」
九十九「ファ~ン♪じゃないよ」
前田「悪い事は言わん。とっとと白状しろ」
後田「警部のファ~ン♪は脅しじゃないぞ」
令「ねえねえ♪どの指?どの指?」
令「あんよでもいいよ。しばらく歩けなくなっちゃうけどね。あはははっ♪」
九十九「サイコ女め」
九十九「しかしあれだね小角刑事。君も自称有能な割には署内でひどく冷遇されてるようだね」
令「ア゛ア゛ン?」
九十九「この僕を逮捕すればどうなるか全く知らされていないとは」
令「え?」
塚越「もういい小角」
令「塚越さん」
塚越「釈放だ」
九十九「釈放『だ』?」
塚越「釈放です九十九さん大変失礼を致しました」
令「ど、どういう事ですか!まだ拷問、いや、尋問は始まったばかりです!」
塚越「『上』からのお達しだ。すぐに釈放しろ」
塚越「その男、ヤオヨロズCEOのダチらしい」
令「・・・それって」
塚越「手出し無用のド貴族さんってこった」
塚越「入社も青龍部隊配属もゴリゴリのコネだ。吉備対魔士が生きていようと亡くなろうと無理矢理その座を奪うくらい出来る」
塚越「むしろこちらさんにとっちゃライバル蹴落とすのにいちいち殺す方が遥かにリスキーだろう」
九十九「まあリスキーさ加減では状況証拠と拷問で事件を解決しようとするそちらの捜査姿勢も中々なもんですがね」
令「じゃ、じゃ、じゃあ、あのダイニングメッセージはどういう意味ですかっ!」
塚越「ダイイング」
九十九「食卓で何を見たんだ君は」
令「『99クレージー』と新任対魔士九十九」
令「いち捜査員として、この偶然は看過できません!」
九十九「知らないよそんなの。こっちが聞きたい」
九十九「全く、ダイイングだかダイニングだか知らないけどいい迷惑だよ。改名しようかな、安倍なんちゃらとかに」
塚越「まあ、そのあたりはこちらの仕事だ。おいおい調べていくとしよう」
塚越「私は親子二代にわたっての刑事なんでね。角袖魂も筋金入りなんですよ」
九十九「左様でございますか。では今後のご活躍をお祈り申し上げます」
九十九「それじゃあ」
九十九「どいてくれますか?熟熟刑事さん」
令「・・・クッ」
塚越「自宅までお送り致しましょうか?」
九十九「勿論、結構。一応僕にも近隣住民に対しての世間体というヤツがあるんでね」
九十九「それではドロンいたしま~す!」
九十九「・・・」
九十九「・・・」
令「何が近隣住民よ。宿舎暮らしのくせに」
塚越「しかも他の社員とは別格の高級マンションときた」
塚越「その時点で気付くべきだったな。ヤツが、ヤオヨロズの上層部と繋がってると」
塚越「超高度経済型資本主義国家、ニッポン国においてその屋台骨を担うヤオヨロズCEOの絶対権力は立法も司法も越える」
塚越「蘇我総監の電話一本でこれだからな。お前の拷問上等主義もヤツには使えん。むしろ署内幹部全員の首が飛ぶと心得ておけ」
令「分かりました。自重致します」
塚越「もっとも・・・」
塚越「『99クレージー』の捜査は続ける」
塚越「じゃないと仏さんが浮かばれねえ」
令「・・・」
令(九十九昭・・・絶対に逃がさない。たとえ誰の首が飛ぼうとも)
令「角袖魂、ですね」
塚越「ああ、クソデカ魂だぜ」

〇雑誌編集部
和泉「う~ん」
和泉「なんか、アレですね」
和泉「こう言っちゃ何ですがどっちかって言うとこの人達の方が悪役っぽいですね」
大和「え~?『達』って僕も~?心外だな~」
和泉「ああ、いえ!この人ですこの人だけ!」
九十九「和泉成。君とはいつか決着をつけるときが来るだろう」
坂上隊長「CEO」
坂上隊長「青龍部隊の隊長としてひとつ宜しいですか」
大和「うん。何でも聞くよ」
坂上隊長「彼についてもう少し詳細に教えて頂きたい」
坂上隊長「警備違士と対魔士は互いに助け合う役職。彼の今までの職務態度では些か隊の信頼を得られません」
大和「今話した通りのただのお友達さ。それ以上でも以下でもない。友情にレベルを付けるのは嫌いなんだ」
大和「それに職場内のいざこざは君達で処理したまえ。大体信頼関係の構築には時間がかかるものさ。長い目で付き合ってやってくれ」
九十九「そうそう。総大将の言う通り。細長い目で見てやって頂きたい」
坂上隊長「にしても吉備殿と九十九氏の職務倫理感には大きな隔たりを感じます。その差に我々が苦慮しているのもまた事実」
杜屋副隊長「早い話、金輪際、我々を試したり謀ったりする様な真似は止めて頂きたい!いわんや命令無視など言語道断!」
九十九「承知した」
藤原「あと、警備違士の残業は基本ですよ。てか勤務時間なんてあってないようなもの。 禍異物の出現時間は概ね夜なんだから」
九十九「把握した」
菅原「あと、君って僕の初めての後輩になるからちょくちょく立てて欲しいな」
九十九「考慮する」
和泉「あと、すぐにキレ散らかす所どうにかして下さい。いちいち面倒臭いです」
九十九「我慢する」
大和「随分な量の苦情申告だな。さすがの僕も 庇いきれないぞ」
九十九「いやだなあ~我々はもう仲間じゃないか。呑もう呑もう。君達の意見全部呑もう」
九十九「遅刻もやめよう。残業もしよう。次回からはアナーキーな無責任男から有言実行型の破天荒主人公に路線変更だ。わっはっは!」
和泉「そう言いながらCEOが帰った瞬間にバチギレするパターンなしですよ」
九十九「・・・チッ」
  『くろかね台地区に丁級禍異物出現』
  『くろかね台地区に丁級禍異物出現』
  『青龍部隊疾く出動せよ』
  『青龍部隊疾く出動せよ』
大和「ほお~。午前中出動とはお誂えむきだね。定時で上がれるよ昭ちゃ~ん」
九十九「よおし!変身っ!」
和泉「負けるかっ!」
藤原「和泉、馬鹿やってないで行くぞ」
菅原「じゃあ行こうか~九十九君。あ、これから僕のこと気軽にパイセンって呼んでいいよ」
九十九「は~いパイセン~。今度奢ってくださ~い」
菅原「何がいい~?あと年いくつ~?」
九十九「35で~す。焼肉がいいで~す」
菅原「10個上なのにエグイたかり方だね~」
九十九「お褒めにあずかり~♪」
菅原「褒めてな~い♪」
  つづく
大和「・・・」
大和「じゃあ、最後に」

〇キラキラ
  読了率促進用エンドカード、大和真太郎
大和「ちょっとだけだぜ」

成分キーワード

ページTOPへ