忍び忍びに濡るる袖

ましまる

第二帖・小君(脚本)

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〇学校の部室
ぶちょー「せんせーが言う、光源氏の相手の男性って いったい誰のことですか?」
せんせー「そりゃ決まっているじゃない」
せんせー「空蝉の弟、小君クンよ」
ぶちょー「小君は光源氏のために 甲斐甲斐しくお仕えしただけですよ」
せんせー「そうそう、紀伊守の邸宅でも 小君クンは頑張っていたわよね~」
せんせー「でも、頑張りも空しく不首尾に終わり、 源氏の君はフテ寝しちゃうのよね」
ぶちょー「その不貞寝の際にも 小君は滅入ってしまった光源氏のために 健気に添い寝をしてあげていますよね」
せんせー「そう、その「添い寝」のことよ・・・」
せんせー「小君クンは、源氏の君のために 身も心も「慰めて」あげてるじゃない」
ぶちょー「あれは心の支えになってあげただけです!」
ぶちょー「断じて変な関係ではありません!」
るる「ええと・・・」
るる「ウツセミ・・・? 小君・・・・・?」
るる「よくわからないので、 イチから教えてほしいです・・・」
せんせー「そうね、説明が欠けていたわね」
せんせー「問題のシーンは、『源氏物語』の 第二帖「帚木」のラストの場面だけど、」
せんせー「そこに至るまでの簡単なあらすじを ご紹介しなきゃ・・・」

〇ハート
  なんやかんやで紀伊守の邸宅に赴いた  
  源氏の君だったのだけど、       
  紀伊守の義母の空蝉に興味を持ち出すの。
  で、空蝉と強引に関係を持ってみると  
  源氏の君は空蝉との行為に大層ご満足で。
  源氏の君はまたヤリたくなるのだけど、
  相手は人妻ということで       
  大っぴらにヤリに行けないという訳ね。
  そこで、空蝉の幼き弟である      
  小君クンを仲間に引き込み、      
  姉の空蝉へのメッセンジャー役にするの。
  で、善は急げということで、      
  源氏の君は小君クンにラブレターを託すも
  空蝉から返事を貰えずにヘコんじゃうの。
  で、強硬手段ということで、      
  また紀伊守の屋敷へお泊りに向かうけど、
  肝心の空蝉には避けられちゃうのよ・・・
  小君クンからその報告を受けた源氏の君は
  フラれたと感じて寝所で落ち込んだとさ。
せんせー「・・・というのが、大まかな流れね」
ぶちょー「違います!」

〇学校の部室
るる「えー、違うのですか・・・」
せんせー「違わないわよ」
ぶちょー「いや、こんな低俗な話じゃないですから!」
るる「じゃあ、ぶちょーが教えてください」
ぶちょー「わかった!」

〇雨粒
  「方違え」で紀伊守の屋敷に行った   
  光源氏は、そこで紀伊守の義理の母親の 
  空蝉にすっかり心奪われてしまうことに。
  空蝉は、光源氏の気品ある御姿と  
  熱意あふれる愛情表現に心動かされ、
  一夜を共にすることになるのだけど、
  空蝉は、光源氏に惹かれながらも  
  ずっと心の中に葛藤を抱えることに。
  「身分違いの恋である」ことと  
  「人の妻であること」がその理由。
  空蝉は、その心の中の感情に悩み苦しみ 
  光源氏からの手紙にも返事をできなくて。
  そんな心中を察することができずに  
  無神経に手紙を持ってきてしまう   
  幼き小君にも腹を立ててしまうことも。
  そうして、光源氏が自邸に来たときも  
  やはり小君がやはり取次に来たのだけど、
  空蝉は思い悩んだ挙句、      
  光源氏へお断りの和歌を贈ることに。
  お断りされた光源氏は、        
  たいそう打ちひしがれた、という話です。

〇学校の部室
るる「・・・なるほど」
るる「つまり、ヒカルゲンジは 弟の小君をパシリにしながらも、」
るる「姉の空蝉にはフラれたってコトですね!」
ぶちょー「・・・身も蓋も無い表現はやめて」
るる「で、ここからが男色シーンなんですねっ!」
せんせー「そう、ここからがね・・・」
せんせー「折角なので、原文で見ていこうかしら」

〇ソーダ
  「よし、あこだに、な捨てそ」      
  
  とのたまひて、御かたはらに臥せたまへり。
  若くなつかしき御ありさまを 
  うれしくめでたしと思ひたれば
  つれなき人よりは      
  なかなかあはれに思さるとぞ。

〇学校の部室
るる「・・・わからない」
るる「最初のカギカッコは誰のセリフ・・・?」
ぶちょー「光源氏が小君に言ったセリフよ」
ぶちょー「「せめてお前だけは見捨てないでくれ」と」
ぶちょー「傷心の光源氏が弱音を吐いてしまったのよ」
せんせー「・・・というセリフとともに、 源氏の君は小君クンを横に寝かせるのよ」
るる「・・・わっ、わわっ」
せんせー「ちなみに、さっきの源氏の君のセリフは、」
せんせー「与謝野晶子の訳では、 「おまえだけでも私を愛してくれ」 となっているわよ」
ぶちょー「・・・えっ、初耳です」
るる「・・・この展開って」
せんせー「間違いないわね・・・」
るる「・・・ですねっ!」
ぶちょー「もーー!!」
せんせー「だって、その後の描写がね、」
せんせー「小君クンは 「若く美しい源氏の君とご一緒・・・💕」」
せんせー「源氏の君は、 「あんな薄情な女なんかより、  この子のほうが可愛い・・・💕」」
せんせー「なんて書かれているから、 間違いなく想像しちゃうじゃない」
ぶちょー「これはあくまで親しみの表現です!」
るる「せんせー、この後って 2人はどうなっちゃうのですか?」
せんせー「第二帖「帚木」は、コレで終わるのだけど」
せんせー「第三帖「空蝉」で引き続き 2人の愛の様子が語られているわよ」
るる「帖またぎ~!」
せんせー「じゃあ、続きについても 原文で紹介するわね」

〇ソーダ
  寝られたまはぬままには、
  「我は、かく人に憎まれてもならはぬを、  
  今宵なむ、初めて憂しと世を思ひ知りぬれば
  恥づかしくて、ながらふまじうこそ思ひなりぬれ」
  などのたまへば、
  涙をさへこぼして臥したり。
  
  いとらうたしと思す。

〇学校の部室
ぶちょー「この箇所は、 光源氏が振られたショックで 眠れずにいるところですよね」
せんせー「そうそう」
せんせー「「こんなフラれ方したのは初めて・・・  恥ずかしく生きていくの無理」って」
せんせー「横の小君クンにグチっちゃうのよね」
るる「ヒカルゲンジ・・・ハートブレイク」
ぶちょー「それを聞いた小君が 傍らで涙を流してしまうのですよね」
せんせー「そう、自分のために涙を流す小君クンに 源氏の君は胸を打たれてしまうのよ」
せんせー「「いとらうたし」 何て愛おしいんだ・・・とね」
るる「愛が芽生えるんですねっ!」
ぶちょー「違うって!」

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コメント

  • 脳内光源氏オッサンで想像してましたけど17歳か…!17歳と12歳じゃ悪くないですね。当時の出産年齢とか考えるとアリ🎉
    色々解釈できて面白いですね。
    私はショタ堕ちしない光源氏を支持しま…す…🙇

  • アワワ。光る君が12歳に手を出し…いや、この頃は光源氏も未成年。うひゃー!
    『未成年』というタイトルで映画1本作れますね。
    慕っていても慰めるためでも、同性が同じお布団で添い寝はなかなかできないですよね。
    しかも小君を触りまくるのか…。
    クロ確定!
    せんせーの解釈に一票です。

  • 源氏物語にも男色要素があったんですね😂
    しかも、振られた相手の弟に手を出すとは、、、まあ、顔が似てるだろうから顔を重ねてしまったのかな☺️それにしても、12歳に手を出すとは光源氏もストライクゾーンが広いですね😂
    男色を必死に否定しようとするぶちょーは実に甲斐甲斐しいですね🤣次回も期待です!

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