高嶺の花に手を伸ばして

夏目心 KOKORONATSUME

5 速水のデート(脚本)

高嶺の花に手を伸ばして

夏目心 KOKORONATSUME

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〇男の子の一人部屋
  入学してから約一ヶ月。5月上旬の連休。今日は俺の家に智也と速水が遊びに来ていた。
須藤智也「それで、ここがこうなる訳で・・・」
星野慎太郎「あぁ、分かって来た分かって来た!」
星野慎太郎「しかしまぁ、やっぱ智也に勉強見てもらって正解だよ!お前の説明分かり易いし!」
須藤智也「そう言ってくれると嬉しいよ!なんと言うかこう、自分の世界が開拓される見たいでさ!」
星野慎太郎「あぁ!なんかその気持ち、今なら分かるよ!それはそうと・・・」
速水康太「ぐがぁぁ・・・」
星野慎太郎「なぁ、こいつどうするよ?」
須藤智也「こうなる事は最初から分かってたんだよな・・・学校来てるとは言え、授業真面目に受けてるかどうかまでは分からねぇよ・・・」
星野慎太郎「このまま寝られても困るわな・・・おい、起きろ速水!」
速水康太「・・・は!俺は一体なにを!?」
須藤智也「何をも何も無いだろ?俺が話してる途中で寝ちまったんだよ?」
速水康太「あぁしまった!今日はアカリさんとデートの日じゃ無いか!今何時だ!?」
星野慎太郎「安心しろ・・・まだ午前中だ・・・」
速水康太「え?そうなのか?何だ、ほっとした・・・」
須藤智也「そう思うなら次行くぞ・・・速水、この前の国語の小テストヤバかったんだろ?今度は寝るなよ?」
速水康太「あ、そうか、勉強してたのか・・・」
  居眠りしてた速水を叩き起こして、俺達は勉強を再開した。
須藤智也「所で、デートがどうとか言ってたけど、何かあったの?」
速水康太「あぁ!実はな!あの月島アカリさんと今日デートする事になってるんだよ!」
星野慎太郎「俺も最初聞いた時は何かの冗談かと思ったよ・・・良くOKもらえたな・・・」
速水康太「あぁ!俺も一昨日は断られたけど、粘って昨日電話したらアカリさんが折れてくれたんだ!!」
須藤智也「え?電話したの?てか良く番号教えてもらえたね・・・」
速水康太「あぁ!裏ルートから女の子の電話番号採取してる奴がいてな!そいつから聞いたんだ・・・って・・・」
速水康太「あ!やべ!!」
星野慎太郎「裏ルート?電話番号採取?」
須藤智也「速水・・・お前一体何を・・・」
速水康太「違う違う!今の無し!今の無しだからな!!」
星野慎太郎「速水・・・幾ら俺らが友達でも、庇い切れない事だってあるからな?」
須藤智也「そうだよ・・・本当にそんな事してる奴がいるなら、直ぐに高崎先生達に知らせないと・・・」
速水康太「違う!本当に違うからな!!ほら!勉強の続きやろう!な!!」
  何だか速水が裏で良からぬ事を仕出かしてる様に見えたが、俺達ははぐらかされてしまった。何がともあれ、
  俺達は勉強を再開して、速水のデートの時間が来るのを待つのだった。

〇池袋駅前
  それから、デートの約束の時間となり、速水に頼まれて俺達は裏から様子を見る事となった。
速水康太「あぁ、まだかなぁ・・・まだかなぁ・・・」
須藤智也「おいおい、あんな調子で大丈夫かよ・・・」
星野慎太郎「てか、俺らが裏でコソコソしてる意味なんてあるか?自分のデートなんだから自分一人で何とかしろって・・・」
須藤智也「て言うか・・・俺としては女の子との初デートにゲーセンチョイスするセンスに突っ込みたいわ・・・」
星野慎太郎「まぁ、確かに・・・しかも自分一人で勝手に決めるとなればな・・・」
須藤智也「あ、慎太郎、月島さん来たよ!」
星野慎太郎「いよいよか!速水の奴、確りやれるか?」
月島アカリ「速水君!お待たせ!」
速水康太「あぁ!アカリさん!お待ちしてました!」
月島アカリ「今日は宜しくね!それで、今日はどこに行くんだっけ?」
速水康太「この前話した通り、ゲーセンです!」
月島アカリ「そっか!ゲーセンって殆ど行った事無いから、色々教えてね!」
速水康太「はい!それじゃあ行きましょうか!」
須藤智也「どうする慎太郎?俺あいつ一人でも大丈夫な気がするんだけど・・・」
星野慎太郎「後で変に感想求められても困るだろ?仕方ないから追い掛けよう・・・」
須藤智也「聞いた俺が馬鹿だったよ・・・」

〇ゲームセンター
月島アカリ「へぇ・・・ここがゲーセンかぁ、改めて見ると中はこんな感じなんだね・・・」
速水康太「はい!中はやかましいと思いますが、ジャンルも豊富で、やって見ると面白い物ばかりです!俺のオススメは・・・」
須藤智也「何だ・・・あいつ問題無さそうじゃん・・・」
星野慎太郎「安心するのはまだ早い・・・ここからどうなるかはあいつ次第だから・・・」
月島アカリ「あたしは普段こう言う所には本当行かない方だけど、速水君はどの位の頻度で行くの?」
速水康太「俺ですか?そうですね・・・俺もどっちかと言うと進んで行く方じゃ無いけど、慎太郎や智也とは良く一緒に行く方ですかね?」
月島アカリ「そうなんだ!今度は星野君と須藤君も誘って行きたいね!」
速水康太「いやいや!あいつらがいなくても俺が満足させますよ!何やります?」
月島アカリ「そうね・・・それじゃあ・・・」
  何だかんだ速水は月島さんとゲーセンデートを楽しんでいた。バトル、ダンス、シューティング等、色んなジャンルのゲームを
  楽しみ、満足した所で速水達はゲーセンを後にした。

〇通学路
月島アカリ「今日は本当にありがとう!新鮮な感じで楽しかったよ!」
速水康太「そう言ってくれると嬉しいです!また誘っても良いですか?今度は映画とか!」
月島アカリ「良いわね!」
月島アカリ「それはそうと、速水君にお願いがあるんだけど・・・」
速水康太「え?何です?」
月島アカリ「良かったらなんだけど、星野君の電話番号持ってたらあたしに教えてくれない?今日は学校休みだったから本人に頼めなかったけど、」
月島アカリ「もし持ってたら教えて欲しいの!」
速水康太「え?何で慎太郎の電話番号を?確かに持ってますが、俺だけで充分じゃ無いですか?」
月島アカリ「お願い!どうしても欲しいの!教えてくれたら一緒に映画とか行ってあげるから!」
速水康太「・・・どう言うつもりか知りませんが、アカリさんがそこまで言うなら・・・」
月島アカリ「やった!ありがとう!あたし帰り道こっちだから!速水君またね!」
速水康太「・・・・・・」
須藤智也「速水!」
速水康太「あ、お前ら・・・」
星野慎太郎「俺らがいなくても良い感じだったじゃん!どうだった?」
速水康太「う〜ん・・・デートは確かに楽しかったんだけどな・・・」
須藤智也「楽しかったけど、どうした?」
速水康太「何か良く分からないが、慎太郎の電話番号教える事になった・・・」
星野慎太郎「え?教えたの?」
速水康太「あぁ、それで次のデートの約束成立してな・・・」
星野慎太郎「いや、どうして今回のデートで月島さんが俺の番号聞く訳?」
速水康太「俺が聞きてぇよ・・・」
  今日のデートは無事に終了して、俺達は解散した。月島さんが俺の電話番号を聞きたいと言っていたそうだったが、
  この時の俺はそこまで気に止めなかった。

次のエピソード:6 寄り添い

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