熟語のルール

ましまる

熟語構成(脚本)

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〇学校の部室
  ──文芸部・部室──
ぶちょー「もう冬休みだけど、 何か予定は決まっているの?」
るる「ええと、近所のラーメン屋さんで 「全マシマシ」食べに行こうと思ってます」
るる「ちゃんとスープも「完まく」してきます!」
ぶちょー「うわぁ・・・」
るる「あと、カラオケにも行きたいです」
るる「あっ、ぶちょーも一緒に行きましょう!」
ぶちょー「カラオケかぁ・・・」
ぶちょー「あまり得意でないから遠慮しようかな」
るる「えー、ぶちょーと一緒に デュエットしたかったのに・・・」
るる「「ピエールとカトリーヌ」って曲!」
ぶちょー「・・・ごめん、知らない」
るる「じゃあ、「伊勢佐木町ブルース」は?」
ぶちょー「・・・知らない」
るる「「後から前から」は?」
ぶちょー「・・・知らない」
るる「「金太の大冒険」は?」
ぶちょー「・・・知らない」
るる「むー・・・」
ぶちょー「うん、知らない曲ばっかりで 楽しめなさそうな感じだから、遠慮するね」
るる「えーっ!?」
ぶちょー「だって、知らない曲ばかりだと 楽しめないでしょ!」
ぶちょー「「音楽」はそもそも、言葉の成り立ちから 「音を楽しむ」ものでしょ!?」
???「残念ながら、その表現は間違っているわ」
ぶちょー「えっ!?」
せんせー「確認だけど、小学校・中学校で 「熟語の構成」について習わなかった?」
ぶちょー「ええと、習ったような・・・」
せんせー「その習ったはずの熟語の構成パターンには 「音楽」を「音を楽しむ」とするものは 存在しないわよ」
ぶちょー「えっ、そうなんですか!?」
せんせー「ここは文芸部なんだから、 言葉の構造については敏感にならないと」
ぶちょー「・・・反論できません」
せんせー「という訳で、今日のところは 「熟語の構成」のお話をしてもいい?」
るる「はーい♪」
せんせー「アナタたちって文芸部員のクセして 日本語や文芸作品の会話をしていないから」
せんせー「ついに、ご覧の方からも ツッコミを頂くようになっちゃったのよ」
せんせー「だから、今回は 文芸部らしいテーマにしようかと思ってね」
ぶちょー「・・・メタはやめましょう」

〇学校の部室
せんせー「じゃあ、熟語の構成の類型について 見ていくことにするわね」
せんせー「いろんなパターンが存在するけど、 主な6種類を紹介するから」
「はーい!!」
せんせー「じゃあ、まずはコレね」

〇古い本
  ①.上下で主語・述語の関係

〇学校の部室
るる「・・・何か難しそう」
せんせー「言葉にすると難しく思えるけど、 例を出したら簡単に感じるわよ」
せんせー「例えば、「日没」 「日が没する」という主語・述語関係ね」
ぶちょー「でしたら、「頭痛」 「頭が痛い」も当てはまりますね!」
せんせー「そうそう、他には、 「骨折」「円安」「天授」「雷鳴」とかね」
るる「ほぇーー!」

〇古い本
  ②.上の字が動詞に、         
    下の字がその目的語・補語になる関係

〇学校の部室
せんせー「これも難しそうに思うかもしれないけど、 例を見たら簡単だから」
せんせー「代表例は、「登山」 「山に登る」という動詞・目的語でしょ」
ぶちょー「なるほどっ」
ぶちょー「それなら、「読書」「握手」なんかも ここに含まれますね」
せんせー「あとは、「開脚」からの「破瓜」とかね」
ぶちょー「・・・もっと他の例にしてください」

〇古い本
  ③.上の字が下の字を打ち消している

〇学校の部室
せんせー「これは簡単 「不」「無」「未」「否」などから 始まる熟語のことね」
ぶちょー「「不利」「非常」といったものですか」
ぶちょー「確かに、下の字の意味を打ち消してますね」
るる「ええと・・・」
るる「「不能」「不倫」「無理」とかもですか?」
せんせー「そうね・・・」
せんせー「「不能」な男性は「不倫」は「無理」ね」
ぶちょー「せんせー!!」

〇古い本
  ④.上下の字が修飾・被修飾の関係

〇学校の部室
せんせー「ま、単純に言えば 上の字が下の字を詳しく説明してるものね」
せんせー「例えば、「曲線」は 「線」を「曲がった」と説明してるでしょ」
ぶちょー「それでしたら、 「激怒」とか「新年」もですね」
るる「激おこー!」
ぶちょー「「げ・き・ど」ねっ!」
せんせー「このパターンは種類が多いから、 ポンポンと出てきそうね」
せんせー「「深夜」もあてはまるわね」
るる「えとえと、「温泉」」
せんせー「・・・「裸体」」
るる「・・・「美肌」」
せんせー「・・・「紅潮」」
るる「・・・「桃尻」」
せんせー「・・・「貧乳」」
るる「・・・「最高」」
ぶちょー「何て会話をしているんですかっ!!」

〇古い本
  ⑤.対・正反対の漢字の組み合わせ

〇学校の部室
せんせー「これが一番シンプルかな ただ反対の語を並べるだけだから」
せんせー「「男女」とか「着脱」が当てはまるわね」
ぶちょー「「前後」や「上下」、「緩急」もですね」
るる「ええと・・・」
るる「男女・・・着脱・・・ 上下・・・前後・・・緩急・・・」
ぶちょー「一体ナニを想像しているのか知らないけど」
ぶちょー「面倒だからツッコまないからね!」
るる「えーー!?」

〇古い本
  ⑥.意味が似た漢字の組み合わせ

〇学校の部室
せんせー「これは、さっきのケースの真反対ね」
ぶちょー「でしたら「学習」とか「温暖」みたいな 似た意味の組み合わせですね」
せんせー「そうそう」
るる「じゃあ、「邪悪」とか「卑劣」とか・・・」
せんせー「「挿入」や「恥辱」もね」
ぶちょー「「山岳」や「河川」もですよね」
るる「えとえと、「犠牲」や「悲哀」も」
せんせー「「淫靡」や「愉悦」もね」
ぶちょー「もー、2人が出してくる熟語が どれもマトモじゃない・・・」

〇学校の部室
せんせー「・・・というように、」
せんせー「熟語の構成について6パターンほど 見てきたけど、」
せんせー「「音楽」を「音を楽しむ」とするものは あったかしら?」
ぶちょー「・・・ありません」
ぶちょー「②の、動詞+目的語・補語のパターンが 一番近いですが、」
ぶちょー「それでしたら「楽音」という語順に なりますよね」
せんせー「ええ、その通りね」
ぶちょー「じゃあ、「音楽」って熟語は どれに当てはまるものなんですか?」
せんせー「正解は・・・」
せんせー「「⑥.意味が似た漢字の組み合わせ」よ」
ぶちょー「「楽」って「楽しい」という意味では?」
せんせー「実のところ、中国では紀元前から 「音」と「楽」のいずれも、 "music" "sound" の意味があってね」
せんせー「多少ニュアンスは違ったのだけど、 ほぼ似たような言葉として使われていたの」
せんせー「で、その後、7世紀ごろの文献では、 「音楽」という熟語で用いられるように なったのよ」
ぶちょー「知らなかったです・・・」
せんせー「少しは勉強になったかしら?」
ぶちょー「はいっ!」
るる「ええと、「音楽」が 「⑥.意味が似た漢字の組み合わせ」なら」
るる「「音楽」っていうモノは 「淫靡」な「愉悦」ってコトですねっ♪」
ぶちょー「なんでそーなるのよっ!!」
せんせー「そうよ、音楽は「淫靡な愉悦」とは 対極の存在なんだから」
ぶちょー「ですよねっ!」
せんせー「性欲が高まっているときに モーツァルトの曲を聴くと、」
せんせー「脳内にアルファ波が出て 性欲を抑制できるという説もあるんだから」
ぶちょー「せんせーーっ!!」
せんせー「そんな曲を作ったモーツァルト自身が スカト■ジストという話もあるのにね」
ぶちょー「せんせー、これ以上変なことを言うと 流石に怒りますからね・・・」
せんせー(何で、エレキギターで殴るのよ・・・)
るる(「音楽」って、 「襲撃」し「殺傷」するモノなんだ・・・)

コメント

  • 難しいけど、楽しかったです。
    勉強になりました。まあ文芸部のメンバーの会話はあまり参考にはしたくないですけど(笑) もちろん楽しい会話なんですけどね。

  • 「熟語のルール」は学園ジャンルの作品で、ただの国語のお勉強……のはずです、たぶん。学校の文芸部の部室で、熟語の構成のお話が展開されます。先生が熟語の6つの類型を教えてくれますが、その中に「音楽」を「音を楽しむ」とするものはありませんでした。文芸部のメンバーの会話やツッコミも面白く、学園生活を楽しんでいる様子が伝わってきます。熟語の構成のお話も興味深く、言葉の魅力を再確認できました。

  • 他の方のコメント欄でよくお見かけするのですが、こうした作品を書かれるのですね!!驚愕です。
    学習が苦手なので、もう感服いたしました~!!
    しかもそれを高度に下ネタ化しているのが凄い🤩
    上下・前後・緩急のあたりとか、こんな先生が居たら授業も集中できたろうなぁ~😄 
    なかなか高度なやり取りで面白かったです!!
    勉強になりました。

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