第十四話 絆(脚本)
〇火山の噴火
魔物「いい気分だろう 人間たちの哀れな戦いを見下ろすのは?」
アルル姫「み・・・」
アルル姫(あれ、声が出ない・・・)
魔物「声を出そうとしても無駄だ、アルル姫」
魔物「まだ魔物の姿になったばかりだからな 身体が慣れるまで喋ることはできない」
魔物「・・・生まれたての赤ん坊のようにな」
アルル姫(そんな・・・)
〇溶岩池のある洞窟
〇火山の噴火
アルル姫(みんな・・・戦うのをやめて)
アルル姫(どうして人間同士が争うの? 一番悪いのは・・・魔物よ)
アルル姫(そう、悪いのは魔物 つまり・・・私)
アルル姫(私がいるから、魔界と人間界が揉めるのよ)
アルル姫(だったら、私がいなくなればいい・・・)
アルル姫(痛いっ!)
アルル姫(でも、このくらい・・・)
魔物「おい、自分で自分を傷つけるな!」
魔物「さっさと魔王様のところへ戻るか ・・・だがガブリエルは置いていけないしな」
ヤコブ隊長「アルルーーっ!」
アルル姫(え・・・?)
ヤコブ隊長「アルルは私の妻だ。返してもらう」
ルーラ(女騎士)「アルルちゃんはね、私の可愛い妹なの! 私たちの家族なのよ!」
魔物「ほう 取引を受けたのは人間のほうだというのに」
ヤコブ隊長「取引を受けたのはアルル── つまり、アルルを人間だと認めるのだな」
ヤコブ隊長「ならば やはりアルルはこちらにいるべきだ」
ヤコブ隊長「はぁ!」
魔物「ひぃっ!」
ヤコブ隊長「姉貴!」
ルーラ(女騎士)「言われなくても分かってるわよ!」
ヤコブ隊長「アルル、大丈夫か?」
アルル姫「・・・て」
ヤコブ隊長「何だ?」
アルル姫「・・私を、殺して・・・」
ヤコブ隊長「できるか阿保! 貴様はここでおとなしく──」
魔物「アルルを返せ!」
ルーラ(女騎士)「ごめん、ヤコブ! 私一人じゃ・・・」
ヤコブ隊長「姉貴、交代だ! アルルを頼む」
ルーラ(女騎士)「え?」
ヤコブ隊長「ガブリエルは死んでいなかった つまり──」
ヤコブ隊長「──私一人でもアイツを倒せる可能性が 高いということだ」
ルーラ(女騎士)「ちょ、ヤコブ!?」
〇溶岩池のある洞窟
ガブリエル騎士団長「さようなら、わが弟よ」
ノア(絵描き)(アレクさんが・・・)
ノア(絵描き)(動け、動くんだ僕の身体・・・っ!)
ノア(絵描き)「はっ!」
ノア(絵描き)「アレクさんっ!」
ノア(絵描き)「う、ああぁ・・・!」
アレク(庭師)「ノア!?」
アレク(庭師)「何で俺を・・・」
ノア(絵描き)「私は”持たざる者”です。 ・・・でも、おびえるだけじゃない」
ノア(絵描き)「時には盾となり、誰かを守れる・・・」
ノア(絵描き)「なんのこれしき。 僕よりも強いアレクさんを 守れたから・・・僕は・・・」
アレク(庭師)「おい、ノア!! しっかりしろ!」
アレク(庭師)「くっそ・・・」
アレク(庭師)「兄貴! 俺、絶対にお前のこと許さな──」
アレク(庭師)「・・・兄貴?」
ガブリエル騎士団長「私は、泣いて・・・?」
ガブリエル騎士団長「はは・・・ははは・・・」
ガブリエル騎士団長「そうか、彼は・・・ とても強い騎士だ・・・」
ガブリエル騎士団長「まるで、過去の私のよう・・・」
アレク(庭師)「兄貴・・・」
ガブリエル騎士団長「私は・・・何をしていたのだろうな」
ガブリエル騎士団長「人間の持つ 『感情』というものは時に力を越える」
ガブリエル騎士団長「私は弱き心を支配され 強くありたいがために 魔物の側についてしまった・・・」
ガブリエル騎士団長「だが、私の守りたいものは──」
〇島の家
アレク(幼少期)「お兄ちゃん!」
アレク(幼少期)「お兄ちゃん、かっこいい!」
アレク(幼少期)「僕もいつか、お兄ちゃんみたいに・・・」
ガブリエル「ああ、なれるさ 強い心を、持ち続けていればな」
アレク(幼少期)「・・・」
〇溶岩池のある洞窟
ガブリエル騎士団長「私の守りたいものは──」
ガブリエル騎士団長「『弱いけれど強い』そんな人間たちだ」
ガブリエル騎士団長「だから私は、騎士団長になったんだ」
ガブリエル騎士団長「アレク、すまなかった」
アレク(庭師)「兄貴・・・」
ガブリエル騎士団長「ノア、と言ったか」
ガブリエル騎士団長「勇敢な騎士よ・・・」
ガブリエル騎士団長「これで時期に目を覚ますだろう」
ヤコブ隊長「やぁ!」
ガブリエル騎士団長「私たちもあちらに向かおう」
アレク(庭師)「兄貴・・・おう!」
〇火山の噴火
ヤコブ隊長「魔物はおとなしく──」
ヤコブ隊長「魔界に帰れ!」
魔物「お前もなかなか強いな・・・」
魔物「だが──」
魔物「ちょっと痛いくらいだな!」
ヤコブ隊長「くそ、弱点が分かれば・・・」
ガブリエル騎士団長「アイツの弱点は頭の先だ!」
ヤコブ隊長「ガブリエル・・・!?」
ガブリエル騎士団長「長い間共にいたんだ そのくらい知っている」
魔物「な、ガブリエル! 貴様、寝返ったのか!?」
ガブリエル騎士団長「寝返るも何も・・・ 私は最初から人間だ!」
ガブリエル騎士団長「私とアレクでやつを拘束する その間に、ヤコブはアイツの弱点を」
ヤコブ隊長「・・・御意」
アレク(庭師)「兄貴、右側な。俺は左にまわる!」
ガブリエル騎士団長「頼んだ」
「はぁぁぁぁあ!」
魔物「うわ、何だよコレ!」
ヤコブ隊長「はあぁぁぁあ!」
〇溶岩池のある洞窟
ルーラ(女騎士)「うわぁ、本当に倒しちゃった・・・」
ヤコブ隊長「アルル!」
アルル姫「ヤコ・・・ブ・・・」
アルル姫「どう・・・し・・・て?」
ヤコブ隊長「アルルは私の妻だからだ」
アレク(庭師)「でも、お前 最初はアルルを魔物に返す気だったろ?」
ヤコブ隊長「そういう可能性がある以上、 否定はできないからな」
ヤコブ隊長「どうしようもないときは、 そうしようと思っていた」
ヤコブ隊長「だが、今は──」
ヤコブ隊長「どうしようもなく、そうしたくはない」
ヤコブ隊長「アルルは、私の隣にいるべき”人間”だ」
アルル姫「わたし・・・魔物・・・だよ?」
ヤコブ隊長「違う、アルルは人間だ」
アルル姫「え・・・」
ヤコブ隊長「貴様は私の妻だ。家族だ。 ・・・そうだろう?」
アルル姫「ヤコブ・・・」
アレク(庭師)「アルルは人間だ。 幼いころから一緒にいたんだから、 俺が一番知ってる」
ルーラ(女騎士)「そうよ。 アルルちゃんは私の妹だもの」
アルル姫「みんな・・・あたし・・・」
アルル姫「うう、ぐすん・・・」
アレク(庭師)「うわ、何だよこの揺れ!」
アレク(庭師)「クッ!」
???「お楽しみ中申し訳ないね」
ヤコブ隊長「貴様は・・・」
ガブリエル騎士団長「魔王様・・・」
ガブ様、洗脳がとけたってことかな。良かった~、でもなんであんな……と思っていましたが、魔王様が現れた瞬間、
「あっ、なーるほど」
と思ってしまいました😂美人に惑わされたか!納得納得!みたいな😂
夫婦が心を通わせるシーン、美しいけど、やはり本来の姿で見たいですね~!
ヤコブさん……ようやく感情を言動に出してくれて…😂 ロングスパンでのツンデレって、かなり格好良く映りますね😊
アルル姫の”推し活”をメインに据えながらも、どのキャラクターも魅力いっぱいで素敵です✨ そして、魔王様を残してのラスト、どのようなエンディングを迎えることになるのかドキドキです🥰
毎話ラストの引きが面白く、つい一気読みしてしましました。また、魔族お姉さんキャラを、あのような大役で登場させて頂き、嬉しいです^^
コメディ作品と思いきや、力がある者の心の弱さや、力がない者の心の強さも描かれ、色々と考えさせられるストーリーでした。最終回は、家族同士で戦うことになるのか、それとも和解の道があるのか…アルルたちの行末、見届けさせてもらいます!