第14話 決着(脚本)
〇撮影スタジオのセット
小判 早馬(こばん そうま)「スタジオ及びテレビ局を封鎖!」
小判 早馬(こばん そうま)「誰一人として外に出すな!」
〇おしゃれなリビング
テレビ視聴者「あれ? TTVが急に映らなくなった」
テレビ視聴者「ネット放送の方も途絶えてる」
テレビ視聴者「『走り屋・爆』の再放送、どうすんだよ」
テレビ視聴者「知らんけど」
テレビ視聴者「テレビ局で何かあったんじゃないの」
テレビ視聴者「停電とか?」
テレビ視聴者「殺人事件とか、ね」
「二人とも、出かけるよ」
「はーい」
〇高層ビルの出入口
〇車内
救命士「搬送先は大東大病院ですよね?」
秘書 木崎 都(きざき みやこ)「はい! 先方にはお願いしてあります」
救命士「わかりました。急ぎます!」
秘書 木崎 都(きざき みやこ)「社長・・・」
〇高層ビルの出入口
ディレクター「はあ・・・はあ・・・」
ディレクター「何とか抜け出せた・・・」
ディレクター「ちっ。あっちもこっちもか」
ディレクター「だが・・・」
〇車内
ディレクター「要は病院に着かなきゃいいんだろう?」
ディレクター「手術が出来なければ奴は死ぬ」
ディレクター「そうすれば、また『アレ』が貰える」
ディレクター「ふふふ・・・」
〇大きい交差点
通行人「いるんだよなぁ、救急車についていくやつ」
通行人「しかし妙に距離が近いような」
〇市街地の交差点
ディレクター「オラオラ、止まれ! 轢くぞ!」
〇車内
ディレクター「交通事故より搬送が大事か」
ディレクター「その気概は認めよう・・・だが」
ディレクター「この土手でお仕舞いだ! 羽柴!」
〇土手
〇土手
ディレクター「痛てて・・・」
ディレクター「おお!」
〇川沿いの原っぱ
〇土手
ディレクター「ははは! やった! やったぞ!」
ディレクター「これで明日からぐっすり眠れる・・・」
アルテミス「飛び降りるなら言ってよ、覚!」
白宵 覚(しらよい さとる)「猫はこういうの得意だろう」
アルテミス「僕だって気持ちの準備が必要なんだよ!」
白宵 覚(しらよい さとる)「仕方ないだろ、俺だって緊張してたんだ」
白宵 覚(しらよい さとる)「いくら予知で見えていてもだな」
ディレクター「猫が喋っ・・・いや、それより!」
ディレクター「君たちはなぜ救急車に同乗していた!?」
白宵 覚(しらよい さとる)「同乗というか、なあ」
アルテミス「あの車には僕たちしか乗ってないよ」
ディレクター「羽柴はどこだ! 隠すなら──」
白宵 覚(しらよい さとる)「今度は止めないよな?」
アルテミス「もちろん! あれは、悪い人」
白宵 覚(しらよい さとる)「じゃ、遠慮なく」
ディレクター「・・・えっ」
ディレクター「ええーーーー!」
〇空
ディレクター「なんで・・・っ! 避け・・・っ!」
ディレクター「うぎゃああぁあーー!」
〇空
〇土手
中堅の警官「警部補! ディレクターの河野です!」
ディレクター「うう・・・なぜ俺のプランが・・・」
小判 早馬(こばん そうま)「これで最後か・・・にしても」
小判 早馬(こばん そうま)「今回はわからないことが多すぎますね」
女鮫 蜂利(めざめ はちとし)「羽柴への殺害予告は本物だった」
女鮫 蜂利(めざめ はちとし)「首謀者は主要な撮影スタッフ全7名」
小判 早馬(こばん そうま)「いずれも前科のない者たちばかり」
小判 早馬(こばん そうま)「インソムニア・・・っ!」
小判 早馬(こばん そうま)「・・・女鮫警部?」
〇高層ビルのエントランス
〇撮影スタジオのセット
〇土手
女鮫 蜂利(めざめ はちとし)「小判くん、現場検証はお願いするわね」
女鮫 蜂利(めざめ はちとし)「あたし、今日は帰るわ」
小判 早馬(こばん そうま)「えっ!?」
小判 早馬(こばん そうま)「あ、いや。お疲れ様です」
中堅の警官「警部、今日は叫ばないんですね」
〇川沿いの原っぱ
女鮫 蜂利(めざめ はちとし)「ああ、鑑識課かしら。あたし」
女鮫 蜂利(めざめ はちとし)「似顔絵捜査官にお願いしたいことがあるの」
〇大学病院
〇病院の診察室
大東大病院 医師「胸骨骨折ですね」
大東大病院 医師「といっても、骨はズレてないですし」
大東大病院 医師「安静と鎮痛剤で充分ですよ」
秘書 木崎 都(きざき みやこ)「ですって。よかったですね、社長」
羽柴 総一郎(はしば そういちろう)「やれやれ。銃弾というのは凄いな」
羽柴 総一郎(はしば そういちろう)「計算上は打撲で済むはずだったんだがな」
羽柴 総一郎(はしば そういちろう)「骨折した上に気を失ってしまうとは」
秘書 木崎 都(きざき みやこ)「だから止めましょうと言いましたよね」
羽柴 総一郎(はしば そういちろう)「返す言葉もない」
〇お台場
一時間前──
〇店の休憩室
羽柴 総一郎(はしば そういちろう)「スタッフ全員が私の命を!?」
秘書 木崎 都(きざき みやこ)「はい、確かな筋から手に入れた情報です」
〇黒背景
↑確かな筋
〇店の休憩室
羽柴 総一郎(はしば そういちろう)「しかし今さら番組を中断できないぞ」
秘書 木崎 都(きざき みやこ)「ええ、そこで」
羽柴 総一郎(はしば そういちろう)「ケチャップとコンクリートブロック?」
秘書 木崎 都(きざき みやこ)「これで撃たれたふりをして下さい」
秘書 木崎 都(きざき みやこ)「そして・・・入って下さい!」
「失礼します! イブイケグループの──」
救命士「御堂 蛍佑です!」
救命士「名取 舜二です!」
秘書 木崎 都(きざき みやこ)「お二人は俳優さんです」
秘書 木崎 都(きざき みやこ)「救命士に扮した彼らとスタジオを脱出し」
〇ビルの裏
秘書 木崎 都(きざき みやこ)「ロケ用の車で病院へ逃げます」
〇店の休憩室
羽柴 総一郎(はしば そういちろう)「怪我をしないのに病院に向かうのかい」
秘書 木崎 都(きざき みやこ)「そんなのわからないでしょう?」
秘書 木崎 都(きざき みやこ)「手術室も押さえさせて頂きました」
羽柴 総一郎(はしば そういちろう)「やれやれ、都くんは心配が過ぎるな」
〇病院の診察室
秘書 木崎 都(きざき みやこ)「社長、最後まで信じてなかったですよね?」
羽柴 総一郎(はしば そういちろう)「暗殺なんて非現実的だからね」
羽柴 総一郎(はしば そういちろう)「だがまあなんだ・・・」
羽柴 総一郎(はしば そういちろう)「すまなかった。そして・・・ありがとう」
秘書 木崎 都(きざき みやこ)「ひっ、秘書として当然のことです」
秘書 木崎 都(きざき みやこ)「それより、まだ油断しないで下さいね」
秘書 木崎 都(きざき みやこ)「犯人もまだ捕まってませんし」
秘書 木崎 都(きざき みやこ)「はい、木崎です」
秘書 木崎 都(きざき みやこ)「わかりました。ありがとうございます」
秘書 木崎 都(きざき みやこ)「暗殺グループが捕まったそうです」
秘書 木崎 都(きざき みやこ)「これで・・・一安心・・・」
羽柴 総一郎(はしば そういちろう)「み、都くん!」
秘書 木崎 都(きざき みやこ)「良かったです・・・ふえええん」
秘書 木崎 都(きざき みやこ)「社長がもし死んじゃってたら、私──」
「・・・」
大東大病院 医師「・・・」
秘書 木崎 都(きざき みやこ)「しゃ、社長が居なくなったらっ!」
秘書 木崎 都(きざき みやこ)「仕事が無くなりますからねっ!」
羽柴 総一郎(はしば そういちろう)「ふ・・・ふふ」
〇大学病院
羽柴 総一郎(はしば そういちろう)「はははははっ」
秘書 木崎 都(きざき みやこ)「笑い事じゃありませんよ、本当に・・・」
〇駅のホーム
〇シックなバー
九条 醒夜(くじょう せいや)「おー、覚。無事やったんやな」
白宵 覚(しらよい さとる)「・・・まあな」
アルテミス「大変だったんだよ!」
アルテミス「神様のふりはさせられるし」
アルテミス「車からは飛び降りるしさー」
白宵 覚(しらよい さとる)「他に方法がなかったんだ」
アルテミス「結果、助けられたから良かったけど」
白宵 覚(しらよい さとる)「ところで九条、急用ってのはなんだ?」
白宵 覚(しらよい さとる)「そんなに暇じゃないんたが・・・」
???「本当、急に来いって、横暴だよね」
涅群 騎士(くろむら ないと)「おまけにニュースは社長暗殺の話ばかり」
涅群 騎士(くろむら ないと)「全部見える僕の身にもなって欲しいよ」
白宵 覚(しらよい さとる)「ナイト! どうしてここに!?」
涅群 騎士(くろむら ないと)「本当は出てきたくなかったけど」
涅群 騎士(くろむら ないと)「ある人から脅されたんだ」
〇水族館前
出てこないと水族館閉鎖するってね
〇シックなバー
白宵 覚(しらよい さとる)「水族館の持ち主!?」
九条 醒夜(くじょう せいや)「せやで」
九条 醒夜(くじょう せいや)「今日呼んだんは、その人に会わせるためや」
九条 醒夜(くじょう せいや)「水族館の持ち主、そして──」
三井 陽和(みつい ひより)「インソムニアのインフラを作った人」
三井 陽和(みつい ひより)「この電車もその人が作ったものよ」
九条 醒夜(くじょう せいや)「なあ、覚。考えてもみい」
九条 醒夜(くじょう せいや)「こないな設備、半端な金持ちじゃ出来へん」
九条 醒夜(くじょう せいや)「こないなことが出来るんは──」
涅群 騎士(くろむら ないと)「”世界的な富豪”とかだよね」
白宵 覚(しらよい さとる)「まさか・・・!」
アルテミス「ごめんね、覚」
アルテミス「本人から口止めされてたんだ」
九条 醒夜(くじょう せいや)「来とるんやろ? はよ顔出しや」
???「やあ、みんなお集まりのようで」
白宵 覚(しらよい さとる)「・・・あんたは!」
羽柴 総一郎?「よっ、覚。助けてくれてありがとな!」
羽柴 総一郎?「いやー、まさかスタッフがグルだとはなぁ」
羽柴 総一郎?「流石の俺も参ったよ。ははははっ」
白宵 覚(しらよい さとる)「アルテミス。遠目に見てただけだが──」
白宵 覚(しらよい さとる)「この人、こんなキャラだったか?」
アルテミス「だってこの人、羽柴社長じゃないんだよ」
羽柴 総一郎?「実は7年前、本物に死なれちゃってさ」
羽柴 総一郎?「仕方なく社長代行やってるんだが──」
羽柴 総一郎?「窮屈で参っちまうよ。あっははは」
白宵 覚(しらよい さとる)「つまり、羽柴社長の偽物ということか」
羽柴 総一郎?「だけど、会社は成長を続けているんだぜ」
羽柴 総一郎?「それが死んだあいつとの約束だからな」
羽柴 総一郎?「では改めて自己紹介しよう」
明闇 暁仁(みょうあん あきひと)「明闇 暁仁(みょうあん あきひと)──」
明闇 暁仁(みょうあん あきひと)「それが俺の本当の名前、そして」
明闇 暁仁(みょうあん あきひと)「インソムニアのメンバーだ。よろしく、覚」
白宵 覚(しらよい さとる)「マジかよ・・・」
〇公園通り
〇レストランの個室
六道 睦月(ろくどう むつき)「やっほー、覚。個室ってまた豪勢だねぇ」
白宵 覚(しらよい さとる)「誰かさんが高級フレンチとか言うからだ」
白宵 覚(しらよい さとる)「一体いくらすると・・・」
六道 睦月(ろくどう むつき)「大丈夫だって」
六道 睦月(ろくどう むつき)「出演料が入ったから、今日は俺の──」
白宵 覚(しらよい さとる)「まさか、払うのか?」
六道 睦月(ろくどう むつき)「しまった! スーツに着替えたから・・・」
六道 睦月(ろくどう むつき)「財布、置いてきちまった」
白宵 覚(しらよい さとる)「一瞬期待しちまったじゃねぇか!」
ウェイター「お客様、お飲み物は何になさいますか」
六道 睦月(ろくどう むつき)「俺、生一つ!」
白宵 覚(しらよい さとる)「じゃあ、俺もそれで」
ウェイター「畏まりました」
白宵 覚(しらよい さとる)「実はな、睦月」
六道 睦月(ろくどう むつき)「親にでも会ったか」
白宵 覚(しらよい さとる)「なっ──」
六道 睦月(ろくどう むつき)「何年ダチやってると思ってんだ」
〇オフィスの廊下
驚いたのは俺の方だっつーの
危うい表情しやがって
本番直前なのに話しかけちゃったよ
〇レストランの個室
白宵 覚(しらよい さとる)「そいつは悪かったな」
六道 睦月(ろくどう むつき)「すぐ冷静になってくれて良かったよ」
白宵 覚(しらよい さとる)「誰かさんが盛大に空腹を訴えたお陰だな」
六道 睦月(ろくどう むつき)「あれは生理現象だっつーの!」
白宵 覚(しらよい さとる)「冗談だよ」
白宵 覚(しらよい さとる)「俺の復讐心を吹き飛ばすくらい──」
白宵 覚(しらよい さとる)「お前という存在は、俺にとって・・・」
六道 睦月(ろくどう むつき)「すやーーーー」
白宵 覚(しらよい さとる)「・・・やると思ったぜ」
ウェイター「生二つ、お持ちしました」
六道 睦月(ろくどう むつき)「あ、飲みまーす!」
白宵 覚(しらよい さとる)「やれやれだ・・・」
〇空
六道 睦月(ろくどう むつき)「いやー、食った食った」
〇公園通り
六道 睦月(ろくどう むつき)「最後の肉の上に黒い塊が載ったやつ」
六道 睦月(ろくどう むつき)「あれ旨かったなー」
白宵 覚(しらよい さとる)「単品で三回もおかわりしやがって・・・」
白宵 覚(しらよい さとる)「シェフも呆れてたぞ」
六道 睦月(ろくどう むつき)「人の奢りだと余計に旨くてつい」
白宵 覚(しらよい さとる)「ついじゃないよ、全く・・・」
白宵 覚(しらよい さとる)「だけどまあ、いいか」
白宵 覚(しらよい さとる)「これが最後になるかも知れないからな」
六道 睦月(ろくどう むつき)「なに? 覚、死ぬの?」
白宵 覚(しらよい さとる)「ちげーよ! 勝手に殺すな」
白宵 覚(しらよい さとる)「明日なんだよ」
白宵 覚(しらよい さとる)「会社の売上勝負、結果発表」
〇空
辻堂 与壱(つじどう よいち)「ローンダ♪ ローンダ♪ ロンダリング♪」
〇大会議室
辻堂 与壱(つじどう よいち)「ロンダリング金融~♪」
辻堂 与壱(つじどう よいち)「お待ちかね、重役レースの結果や」
辻堂 与壱(つじどう よいち)「葛! 前出ろ!」
倉谷 葛(くらたに かずら)「うっす、親方」
辻堂 与壱(つじどう よいち)「合計売上、1億8376万や。ようやったな」
辻堂 与壱(つじどう よいち)「これで覚との差はおおよそ6千万や」
倉谷 葛(くらたに かずら)「クククク・・・」
倉谷 葛(くらたに かずら)「ハッハーーーー!」
倉谷 葛(くらたに かずら)「聞いたな、お前ら! 俺の勝ちだ!」
「流石です! 葛さんっ!」
倉谷 葛(くらたに かずら)「親方、副社長になったら・・・」
辻堂 与壱(つじどう よいち)「ああ、好きにしてええぞ」
倉谷 葛(くらたに かずら)「聞いたか、"差し押さえ"ども!」
倉谷 葛(くらたに かずら)「お前らは全員クビだぁ!」
倉谷 葛(くらたに かずら)「あとお前ら会社に借金、あるよな?」
白宵 覚(しらよい さとる)「借金だと!?」
磯村 新太(いそむら しんた)「そんなもん、ねぇっすよ。葛さん」
倉谷 葛(くらたに かずら)「ククク・・・それがな、まだ残ってんだよ」
倉谷 葛(くらたに かずら)「お前らの親が残した借金がなぁ!」
倉谷 葛(くらたに かずら)「死ぬまで高利で取り立ててやらぁ!」
倉谷 葛(くらたに かずら)「ありがたく思え!」
ロンダリング金融 社員「流石、葛さん!」
ロンダリング金融 社員「その厳しさ、憧れるぅ!!」
倉谷 葛(くらたに かずら)「ひゃーっはっはっはっは!」
あけましておめでとうございます😊
冒頭のハマちゃんとロンのカメオ出演にホッコリしてからの、怒涛の展開にオオーッとなりました。 秘書ちゃんのツンデレというか、ギャップ萌えが良かったとか、まさかの羽柴社長がインソムニアメンバーに驚いたとか。
まだまだ女鮫さんと葛の動きもあるし、もう書きたいことが1話にテンコ盛りすぎて書ききれません😭
プロジェクト頑張って下さい!また来ます。
まさか影武者だったとは。
しかもめちゃめちゃ長期にわたり成り変わってるなんて、色んな意味で優秀さが伺えますね。
警部にはマークされるし、ロンダリング金融側でも厳しい状況。どう克服するのか。
でてきたー!見覚えのある視聴者でてきたー!😆
そこからカーチェイスだったので、視聴者参戦しちゃうかと思いましたwwwそしてニクいトリック✨️やっぱり事前の安全対策はしてたんですね!
社長の正体も予想外でした😳
そして親友とのラブ……だめだ、BL趣味はないのにカップルに見えます😂
勝敗は、6000万差と言っただけで覚の売上を明かしてないのが気になってるんですが……深読みしすぎ?