勇者にはほしい才能がある

東龍ほフク

23/エルム・ナキュ②いいトシして(脚本)

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〇岩山
エルム・ナキュ「えっと、オージュに教えてもらった魔法‥‥‥」
エルム・ナキュ「おぉ〜✨」

〇岩山
エルム・ナキュ「わぁい! オージュに教えてもらった 魔法、撃てたよぉ〜」
オージュ・ウォゲ「貴様! そんな簡単にヘラヘラと 上級魔法を撃つなぁあああ!!!!!!💢」
オージュ・ウォゲ「くっそ‥‥‥案の定、腹が立つな‥‥‥! 解剖しちゃろか貴様‥‥‥」
エルム・ナキュ「何でよヤダよ、ヒドイよぉ‥‥‥」
エルム・ナキュ「‥‥‥だってさぁ、魔法で一挙に倒した方が 早いじゃん?」
エルム・ナキュ「とっとと魔物倒して早く帰って‥‥‥‥」
エルム・ナキュ「おウチで本読みながらお菓子食べて 小説書いて担当ちゃんとイチャコラして ゆっくりお風呂入ってウダウダするんだっ!!!」
オージュ・ウォゲ「キメ顔で言う事じゃないぞ」

〇立派な洋館

〇兵舎
ワッキーニ大臣「いやいやいや、素晴らしいぞぃ! オージュ殿と‥‥‥」
ワッキーニ大臣「エルム・ナキュ殿? ‥‥で、宜しいのか?」
エルム・ナキュ「あっ、はい。 ぜひ、そちらの呼び名で‥‥‥」
ワッキーニ大臣「貴君らの討伐の活躍を聞かない時はないぞ! 王も大変、感謝しておられる」
オージュ・ウォゲ「じゃあ、もう帰っていいすか?」
オージュ・ウォゲ「何日も帰宅していないので‥‥‥ もし、庭のチューリップが枯れていたら 賠償金をいただきますよ?」
ワッキーニ大臣「は、払おう‥‥‥」
ワッキーニ大臣「‥‥‥‥‥‥」
ワッキーニ大臣「エルム殿‥‥‥と、オージュ殿に命じる」
ワッキーニ大臣「『貴公らの剣術・魔術を  他の者にも教授せよ』」
ワッキーニ大臣「我が軍兵の戦力を上げたいのだ ‥‥‥‥これは、王からの命令である」
ワッキーニ大臣「ただの雇い人である貴君らをこんなにも 拘束してすまないとは思っている」
エルム・ナキュ「‥‥‥‥‥」
エルム・ナキュ「い や で す」
ワッキーニ大臣「脱兎の如く??!!」

〇城門沿い
エルム・ナキュ「冗談じゃない冗談じゃない冗談じゃない 冗談じゃない冗談じゃない‥‥‥‥」
エルム・ナキュ「もう、充分働いたじゃない! 私は帰るぞっ!!!!」
???「すいませぇえーーん!!!!」
???「お待ち下さい、エル様ぁぁ!」
エルム・ナキュ「?」

〇城門沿い
エルム・ナキュ「えっ、なぁに‥‥‥?」
兵A「剣術などを、我々にご教授下さいませ‥‥‥!」
エルム・ナキュ「い や で す」
兵B「すみません、これは我が王のわがままで‥‥‥」
兵B「そうして下さらないと、叱責されるのは ワキワキ様で‥‥‥」
エルム・ナキュ「ワキワキ‥‥‥?」
エルム・ナキュ「ワッキーニ大臣さん?」
エルム・ナキュ「ふふ‥‥‥あだ名で呼ばれちゃうほど 慕われてるの可愛い‥‥‥」
兵A「そうなんです。 ワキワキ様は王の無茶な命令を聞いたり している苦労人でして‥‥‥」
兵B「お願いします‥‥‥! これ以上、ワキワキ様に心労がかかると‥‥‥」
エルム・ナキュ「‥‥‥‥‥」

〇兵舎
エルム・ナキュ「‥‥‥‥」
エルム・ナキュ「ワキワキ‥‥‥! 私、やりますよ!」
ワッキーニ大臣「‥‥‥兵から、あだ名を聞きましたな‥‥‥?」

〇魔法陣2
  ── で、
  何だかんだでコミュ力の高いオージュの
  魔法講座は「わかりやすく面白い」
  ‥‥‥と、好評だったのに対し。

〇城の回廊
  一方、エルムの剣術講座は
エルム・ナキュ「あのね?  剣を握って魔物を睨むじゃない?」
エルム・ナキュ「するとさ、魔物の“ウィークポイント”を 感じるじゃない?」
エルム・ナキュ「そこに剣を振り下ろせば楽勝ですよ!」
軍人A「えっ‥‥‥?」
軍人B「『ウィークポイントを感じる』‥‥‥?」
エルム・ナキュ「どの順で、どこをどう斬ればいいか‥‥‥ その日に食べた朝ごはんで認識の速さが 変わりますよね?」
エルム・ナキュ「甘いミルクティーを飲んだ朝は、 魔物の関節の弱い部分がよく見えますよ!」
  感覚論だし、そもそもが独特すぎて
  講座もクソもなかった。
オウシ・ヤマ王「ん?」

〇刑務所の牢屋
エルム・ナキュ「‥‥‥‥」
エルム・ナキュ「‥‥‥何で?!」
ワッキーニ大臣「‥‥‥すまぬ」
エルム・ナキュ「剣術講座が不評すぎたからって ヒドくないですか????」
ワッキーニ大臣「いや、それとは関係なく‥‥‥」
ワッキーニ大臣「そのクソみたいな剣術講座中に、王が あなたのお姿を目にしたそうなのですが‥‥‥」
オウシ・ヤマ王「ほぅ? あんな細身なのに百戦錬磨なのか」
オウシ・ヤマ王「では、体をちゃんと鍛えたら もっと強くなるのでは?」
ワッキーニ大臣「── と」
エルム・ナキュ「‥‥‥は?」
ワッキーニ大臣「先生、こちらで筋トレしててくれませんか?」
エルム・ナキュ「やだぁ!!!!!」
エルム・ナキュ「別にいいじゃん×2‥‥‥! 筋トレしなくて今の強さなんだからいいじゃないですかイヤですヤダよぉ本読みたいよぉ‥‥‥」
エルム・ナキュ「‥‥‥‥‥‥」
エルム・ナキュ「『先生』?」
ワッキーニ大臣「あ、いや‥‥‥あの『エルム・ナキュ』かと 思うと、つい自然に『先生』と‥‥‥」
ワッキーニ大臣「‥‥‥先生、ミーナが正ヒロインですよね?」
エルム・ナキュ「私の仕事をご存知なら、ここから出して 執筆業をさせて下さいよ!」
ワッキーニ大臣「‥‥‥「それはそれ、これはこれ」で お願いします」
エルム・ナキュ「うわぁああああああんんんっっ!!!!」
ワッキーニ大臣((すねながら、高速腹筋を始めた‥‥‥))
ワッキーニ大臣「あの、先生‥‥‥せめて、差し入れをば」
ワッキーニ大臣「既読のものにならぬよう、最新刊を選ばせて いただきましたが‥‥‥いかがでしょう?」
エルム・ナキュ「‥‥‥‥‥‥」
エルム・ナキュ「頑張る‥‥‥‥!」
ワッキーニ大臣「‥‥‥‥‥‥」
オージュ・ウォゲ「あいつ、分厚い本を1冊与えてりゃあ 機嫌直りますよ〜」
ワッキーニ大臣((本当だ‥‥‥))
ワッキーニ大臣「‥‥‥では、先生。トレーナーさんの決めた スケジュールに沿って筋トレ頑張って下さい」
エルム・ナキュ「‥‥‥‥え?」
筋肉トレーナー「やぁ! 今日から付きっきりで筋肉増強 スケジュールのお手伝いをするよ!」
筋肉トレーナー「よろしくね!!!!!」

〇刑務所の牢屋
  ※エルム・ナキュ、高速スクワット中
???「あのぉ〜‥‥‥」
禁煙中の兵士「うわ‥‥‥ウワサどおり、マジで 筋トレのために監禁されてる‥‥‥」
エルム・ナキュ「タバコの人?! こんにちわ‥‥‥」
エルム・ナキュ「‥‥‥え? こんな所に何の用で?」
禁煙中の兵士「‥‥‥‥‥‥」
禁煙中の兵士「あんたからもらった禁煙アンソロ本を きっかけに、俺も禁煙を頑張ってみてるんだ」
禁煙中の兵士「まぁ‥‥‥他にもカノジョからドヤされたり、 経済的な事もあってだけどサ」
禁煙中の兵士「あの本、おもしれぇなぁ! いいトシこいたおっさんがタバコの事で あんなにもんどり打ってて」
エルム・ナキュ「でしょ〜、面白いでしょ〜」
禁煙中の兵士「禁煙がツラすぎて息子の前で号泣してる 先生が面白すぎたから、その先生の 他の小説も読んでみてるぜ!」
エルム・ナキュ「えへへ〜、それは素晴らしい流れ〜✨」
禁煙中の兵士「‥‥‥‥‥」
禁煙中の兵士「あ、あんた‥‥‥あの 『エルム・ナキュ先生』なんだって‥‥‥?」
禁煙中の兵士「俺の彼女が『真冬の鹿と向日葵』大好きで、 それですげぇ号泣してるんすよぉ」
禁煙中の兵士「先生が新作を出すと彼女の機嫌が 良くなるから、また新作出してくれよな!」
禁煙中の兵士「‥‥‥そんな人が、何で魔物と戦ってて そんてもって牢屋で筋トレを‥‥‥?」
エルム・ナキュ「あははぁ‥‥‥‥」
エルム・ナキュ「本当にそうですよねぇ‥‥‥」
エルム・ナキュ「何とか‥‥‥しまっす!」

〇空

〇荒地
エルム・ナキュ「おぉ〜。 『聖槍飛ばし』の魔法、すごぉい✨」
オージュ・ウォゲ「教えた魔法を秒で使いこなすの、 やめてくれないか‥‥‥?」

〇荒地
「お疲れ様ぁ〜」
「怪我人はこちらへ〜」
エルム・ナキュ「‥‥‥‥‥さて」
エルム・ナキュ「私は直行直帰する‥‥‥!」
オージュ・ウォゲ「お、おぅ‥‥‥」
エルム・ナキュ「いつも、律儀にいちいち城に戻るから 呼び止められて拘束されるんだ‥‥‥!」
エルム・ナキュ「私は直行直帰するっ!!! じゃあねっ!!!!!」
オージュ・ウォゲ「‥‥‥っつーか、あれだけ戦闘して まだそんな全速力する体力あるんか‥‥‥」

〇西洋の住宅街

〇おしゃれな居間
エルム・ナキュ「久々の我が家だぁぁぁぁああ!!!!!!!!」
エルム・ナキュ「ベッドだお菓子だ本だ‥‥‥」
  ※テーブルの上の花
エルム・ナキュ「お花ぁ‥‥‥癒やされるぅ‥‥‥‥」
編集担当ちゃん「先生、落ち着いてください‥‥‥!」
編集担当ちゃん「‥‥‥‥‥」
編集担当ちゃん「おかえりなさい‥‥‥」
エルム・ナキュ「た、ただいまぁ‥‥‥!!」
編集担当ちゃん「魔物の討伐の方は、もう大丈夫なんですか?」
エルム・ナキュ「あぁ! もうそんなん全然、大丈夫×2! 私とオージュがめっちゃ倒したからね!!」
編集担当ちゃん「‥‥‥少し、たくましくなっちゃいました?」
エルム・ナキュ「そぉ! 聞いてよ!! 城で筋トレを強要されてさぁ!!!💢」
編集担当ちゃん「そんな‥‥‥ 字書きに筋肉など不要だというのに‥‥‥」

〇木の上

〇木の上

〇木の上

〇西洋の城

〇謁見の間
エルム・ナキュ「‥‥‥‥‥」
エルム・ナキュ「王よ、何用でございましょうか‥‥‥」
エルム・ナキュ((直行直帰した後、一切 魔物討伐に 参加してない事を怒ってるのかな‥‥‥))
オウシ・ヤマ王「‥‥‥‥‥」
オウシ・ヤマ王「お主、うちのワッキーニ大臣が 魔導師でもある事を存じておったか?」
エルム・ナキュ「ワキワキさん、そうだったんです?!」
オウシ・ヤマ王「── なので、討伐をサボる貴様に代わって 前線に行ってもらった」
エルム・ナキュ「!」

〇草原
ワッキーニ大臣「ふむ、オージュ殿から教わった聖槍魔法‥‥‥ 2発しか出んのぉ‥‥‥」
オージュ・ウォゲ「2発も出るなんて凄いですよ! 秒で8発も出せるエルムうんこの方が どうかしてるんです」
オージュ・ウォゲ「ハイハイ、あっちにも助太刀 致しますかな」
ワッキーニ大臣「うむ‥‥‥」
ワッキーニ大臣((うーむ、やはり全盛期と比べると劣る‥‥))
オージュ・ウォゲ「大臣?!」

〇謁見の間
エルム・ナキュ「ワ、ワキワキが‥‥‥」
オウシ・ヤマ王「命に別状はないが、片足を食われてしもうた」
オウシ・ヤマ王「今は、地元に戻って療養中である」
オウシ・ヤマ王「── が、もしかしたらそのまま城には 戻ってこないかもしれんのぉ」
オウシ・ヤマ王「公務で広い城内や国内を見回るのは、 さぞ大変だからのぉ」
エルム・ナキュ「‥‥‥‥‥‥‥」
オウシ・ヤマ王「どなたかが戦場にいてくれていたら、」
オウシ・ヤマ王「私のワキワキはこんな事に ならなかっただろうになぁ」
エルム・ナキュ「‥‥‥‥‥‥‥」
オウシ・ヤマ王「いいトシして『やるべき事』と 『やりたい事』の優先順位もわからんのか?」
エルム・ナキュ「‥‥‥‥!」

次のエピソード:24/エルム・ナキュ③ケツは素手で拭け

コメント

  • ワキワキ大臣が…!かといってエルムさんがそれで責められるいわれも無いのに😢
    オージュさんサイコパスだから人に合わせられるの好きです💕笑

  • 大臣…すごく好みのタイプです…!上からの無茶ぶりに対応しつつ下からも慕われてるタイプの中間管理職…!!あだ名かわいいですね✨✨
    そして、こちらの世界に高性能な義足とかあるんでしょうか((( ; ゚Д゚)))いつか政務に復帰できる日をお待ちしています…!

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