勇者にはほしい才能がある

東龍ほフク

22/エルム・ナキュ①禁煙しましょう!(脚本)

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〇結婚式場前の広場

〇本屋
本屋の店員「え〜。本日は『エルム・ナキュサイン会』に お越しいただき、誠にありがとうございます」
本屋の店員「‥‥‥では、これよりぃ‥‥‥」
本屋の店員「エルム・ナキュ先生にご登場して いただきますぅ〜」
本屋の店員‥「先生、どうぞぉ〜」
編集担当ちゃん「‥‥‥‥‥」
編集担当ちゃん「(先生! 早く来てください!)」
エルム・ナキュ「‥‥‥‥‥‥」
「えっ‥‥‥‥エル先生、男だったん‥‥‥?!」
「隣の人がエルム・ナキュじゃなくて?」
「普通に女だと思ってた!」
「‥‥‥えっ、ちょっと待って、 カッコよくない?」
エルム・ナキュ「‥‥‥‥‥///////」
編集担当ちゃん「逃げない!!!!!💢」

〇本屋
???「え〜‥‥‥改めまして‥‥‥」
エルム・ナキュ「すいません、エルム・ナキュです‥‥‥ 本日はありがとう‥‥‥ございみゃう(噛)」
女児「センセー!  センセーの『星姫さまシリーズ』好きぃ〜!」
女児「星姫さまを助けるためにユニコが とべるようにがんばったの好きぃ〜」
  ※ユニコ
  作中の『飛ぶ事が出来ない落ちこぼれ
  ユニコーン』
エルム・ナキュ「あっ、あああぁりがとう‥‥‥!」
女児「つづきは、もう出ないんですか?」
エルム・ナキュ「あっ。それなら、その意見を出版社に ハガキで出してくれると先生めっちゃ 嬉しいな‥‥‥」
エルム・ナキュ「グッズ展開の計画もあったんだけど、 ちょっと中でイザコザがあって 頓挫してるから、せっついてくれると嬉し」
編集担当ちゃん「子供にそこまで言わなくていい!」
エルム・ナキュ「にゃあ!!!!」
雑貨屋の青年「‥‥‥‥‥」
雑貨屋の青年「‥‥‥男性だったんじゃなぁ‥‥‥」
エルム・ナキュ「はは‥‥‥すみません」
雑貨屋の青年「いやいや。そんなの関係なく、 その美しい感性‥‥‥誠に素晴らしいぞぃ」
雑貨屋の青年「‥‥‥‥ジーコは『ノキースとミーナ』、 どっちとくっつくんですかね?」
エルム・ナキュ「えへへ〜 お楽しみにしてて下さい〜」
本好きのコ「ええっ、えっえっ‥‥‥‥」
エルム・ナキュ「どどどどどどうしましたかかかか???」
本好きのコ「お、おおお、男の人と話す予定では なかったのででで‥‥‥!」
エルム・ナキュ「ごごごごめんなさいいいいい イメージと違くてててて‥‥‥!」
エルム・ナキュ「では‥‥‥本も全て捨てて下さい‥‥‥」
エルム・ナキュ「本当にすみません、騙してすみません、そんなつもりじゃなかったんですけど、気がついたら何か女性作家と言われていまして、」
エルム・ナキュ「それを訂正する機会もないそのまま、こうしてせっかくの晴れの舞台で嘘を恥知らずにも大公開する事になり‥‥‥あぁあごめんなさ」
本好きのコ「あはは‥‥‥」
本好きのコ「ごめんなさい、大丈夫です!」
本好きのコ「ちょっと驚きはしましたが‥‥‥ この感じは正に『エルム・ナキュ』ですね」
本好きのコ「私、先生の『改行なしで延々と語りだす』 ところを読むの、すごく好きなんですよ」
エルム・ナキュ「か、変わってますね‥‥‥ ありがとうございます‥‥‥!」
編集担当ちゃん((ふふふ‥‥‥))
編集担当ちゃん「『売れる前にサイン会』をやっていたら 「顔で釣った」とか「本で勝負しろ」とか 言われたろうけど‥‥‥」
編集担当ちゃん「『売れてからサイン会』をやりましたからね‥‥!」
編集担当ちゃん「文句は言わせないわよ! 文壇のジジイ共!!!」
オージュ・ウォゲ「‥‥‥‥‥」

〇本屋
  〜サイン会 終了〜
編集担当ちゃん「お疲れ様です、先生」
エルム・ナキュ「人が多いよぉ‥‥‥死ぬ‥‥‥」
エルム・ナキュ「脇汗と手汗が無限製造されてるよ‥‥‥」
編集担当ちゃん「今日いらした方々は全員、 先生の味方ですってば‥‥‥」
エルム・ナキュ「そ、そうなんだよね、喜ばなきゃなのにね」
エルム・ナキュ「嬉しい事なんだよね!」
エルム・ナキュ「直接、読者さんのお顔が見れるなんて ありがたいね!」
エルム・ナキュ「担当ちゃんが企画してくれたおかげだよね! 改めて、こんな私を引きずり出してくれて ありがとう!」
編集担当ちゃん「‥‥‥‥‥ /////」
オージュ・ウォゲ「おい、済んだか?」
エルム・ナキュ「あっ。待っててくれたの? ありがとう、オージュ‥‥‥」
オージュ・ウォゲ「明日の準備もあるだろう。 サイン会の片付けなんざ、 その女に任せとけ」
エルム・ナキュ「ちょっと! その言い草‥‥‥」
編集担当ちゃん「‥‥‥別にいいわよ、先生」
編集担当ちゃん「行ってもいいけど、その代わり‥‥‥」
編集担当ちゃん「‥‥‥‥キスして」
照れエルム・ナキュ「えっ、ちょ、あっ、いや‥‥‥」
編集担当ちゃん「だって、行くならしばらく会えないじゃない」
照れエルム・ナキュ「あっ‥‥‥‥え〜〜〜‥‥‥‥」
「‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥」
エルム・ナキュ「‥‥‥‥‥‥」
エルム・ナキュ「‥‥‥‥‥‥////////」
オージュ・ウォゲ「‥‥‥なぁ、アググ・リシュケを殺した ピュー社の編集員なんてやめとけよ」
オージュ・ウォゲ「ピュー社で働く人間なんて、 きっとろくなもんじゃない」
エルム・ナキュ「‥‥‥もうっ、またその話?」
エルム・ナキュ「担当ちゃん、そんなんじゃないからっ」
エルム・ナキュ「彼女は私を発掘してくれて 押し上げてくれた、大切な人なんだから‥‥‥」
エルム・ナキュ「‥‥‥‥」
エルム・ナキュ「よ、よし行くぞっ」
オージュ・ウォゲ「そういや、待ってる間にお前の新刊 読んだけど」
オージュ・ウォゲ「甘っちょろいキャラが甘っちょろい考えで 甘っちょろい展開で面白かったぞ」
エルム・ナキュ「それ、褒めてる?!」
オージュ・ウォゲ「私には思いつかない甘っちょろい 優しい話だから妬んだだけだ、気にするな」
エルム・ナキュ「‥‥‥‥‥‥💧」
エルム・ナキュ「‥‥‥‥あっ!! トス先生の新刊買わなきゃ!」
オージュ・ウォゲ「気持ちはわかるが、また今度にしろ」

〇草原

〇山道
エルム・ナキュ「うぇ〜ん‥‥‥本が読みたいよぉ‥‥‥」
オージュ・ウォゲ「ハイハイ、これが終わったらな」
???「なぁ、そこのアンタ‥‥‥」
喫煙兵士「軽装すぎねぇ?」
喫煙兵士「俺らが何しに行くかわかってんの? ピクニックじゃねぇんだぞ?」
エルム・ナキュ「え〜っとぉ‥‥‥‥」
エルム・ナキュ「逆に訊くけど、そんな重いモン着て ちゃんと動けるんです‥‥‥?」
喫煙兵士「はぁ?!」
エルム・ナキュ「私、そういうの着ちゃうほうが 動きづらくて駄目になるので‥‥‥」
喫煙兵士「そんなナヨナヨしてて、よぅそんな事が 言えるなぁアンタ‥‥‥」
エルム・ナキュ「そちらこそ、タバコですか?」
エルム・ナキュ「肺が汚れちゃいますよぉ‥‥‥ やめたほうが‥‥‥」
喫煙兵士「うっせー! イケメン!」
エルム・ナキュ「はぅ‥‥‥」
オージュ・ウォゲ((いや、褒め言葉では‥‥‥?))
募集兵士A「── つっ! 魔物だっ!!!!」
募集兵士B「皆! 構えっ‥‥‥」
喫煙兵士「ひゃえぇっ!!!」
喫煙兵士「ふゎ‥‥‥?!」
エルム・ナキュ「うぇ〜‥‥‥あぶなぁ〜い‥‥‥」
エルム・ナキュ「ほらほら、皆さん! とっとと片付けちゃいましょう!」
エルム・ナキュ「虫、きもぉい‥‥‥」
オージュ・ウォゲ「お前、相変わらず口調と行動が 一致してないよな‥‥‥」
オージュ・ウォゲ「なんだよ、うるさいな」
エルム・ナキュ「オージュ、バカ!!!!! 魔物が飛び散るような事しないでってば!!!」
オージュ・ウォゲ「馬鹿。飛び散らせた方が、周りの魔物への 牽制(ケンセイ)になるだろ?」
兵士ら「お、俺たちも続くぞっ!」
兵士ら「お、おぉ〜‥‥‥」
喫煙兵士「お、俺ら必要か‥‥‥?」
喫煙兵士「そんな動けるんなら‥‥‥」
喫煙兵士「そりゃ、鎧なんて邪魔だわな‥‥‥‥」

〇山道
喫煙兵士「あんた‥‥‥めちゃくちゃ動けるじゃねぇか‥‥‥」
喫煙兵士「魔物の大半、あんたが殺ったじゃん‥‥‥」
エルム・ナキュ「えぇ〜? 別に普通ですよ、あんなの」
エルム・ナキュ「目に入った魔物に向かっていって 剣を振って頭なり何なり斬り落として ドーンでバーンで終わりじゃないです?」
喫煙兵士((“普通”って何だっけ‥‥‥))
エルム・ナキュ「もぉ〜、また吸うぅ‥‥‥」
エルム・ナキュ「タバコって、ずっと吸えてないと イライラしちゃうんですよね?」
エルム・ナキュ「こんな遠征先 ── 山奥でタバコを きらしちゃったら、どうするんです?」
エルム・ナキュ「‥‥‥‥どうなるんです?」
喫煙兵士「うるせぇなぁ〜! お袋かよ、アンタ!」
エルム・ナキュ「『袋』なんて‥‥‥! 下ネタやめて下さいよ!///////」
喫煙兵士「どこが???!!!!??」
他の軍人「お、俺らも頑張ろう‥‥‥!」
喫煙兵士「お、俺も頑張ろ‥‥‥」
喫煙兵士「ひぃい‥‥‥!」
喫煙兵士「あっ! 俺のタバコ、落ちっ ── !」
喫煙兵士「ひぃいいっ!!!!」
エルム・ナキュ「タ、タバコさん! 何やってるんですかぁ!」
エルム・ナキュ「大丈夫ですか? タバコさん‥‥‥」
喫煙兵士「俺の‥‥‥タバコ‥‥‥!」
喫煙兵士「グチャグチャにっ‥‥‥!!!」

〇黒
  まぁ、何やかんやで魔物の群れは
  主に、この2人がめちゃんこ倒し ── 。
  3日の討伐活動を終え、その帰路の中 ──

〇林道
喫煙兵士「もうダメだ‥‥‥ 皆、俺を置いていってくれ‥‥‥」
喫煙兵士「ニコチンが切れて、もう動けない‥‥‥」
他の兵士「‥‥‥うん、置いてくわ」
他の兵士「魔物のエサにでもなっててくれ」
エルム・ナキュ「皆さん! ヒドイですよ!!」
エルム・ナキュ「ほら。タバコ切れ、 言わんこっちゃない‥‥‥‥!」
エルム・ナキュ「‥‥‥近くに村があるそうなので、 よろしかったら私がタバコを 買ってきましょうか?」
喫煙兵士「あ、ありがとう‥‥‥‥! 頼む‥‥‥!」
エルム・ナキュ「わぁあ‥‥‥! いってきます!」

〇林道
エルム・ナキュ「‥‥‥‥‥」
エルム・ナキュ「タバコさん、どうぞ」
喫煙兵士「おぉお、ありがとう、心の友よ‥‥‥! タバコパシリ、感謝しま‥‥‥‥」
喫煙兵士「‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥」
喫煙兵士「ん?」
エルム・ナキュ「‥‥‥すいません」
エルム・ナキュ「タバコって、たっくさん種類あるんですね‥‥」
エルム・ナキュ「なので、どれを買えばいいのか わかりませんでした‥‥‥‥!」
エルム・ナキュ「なので、代わりに 『禁煙アンソロジー小説』を 買ってきました!」
エルム・ナキュ「愛煙家の作家6人が禁煙体験をしてみた 面白いエッセイですよ!」
禁煙兵士「銘柄なんて何でもえぇわっっ!!!!!! タバコ買ってこいやイケメン、 ゴラァっっ!!!!!!💢💢」
エルム・ナキュ「いい機会じゃないですかっ! これを機に禁煙してみましょうよっ!」
休憩中兵士「そうだよ。万年金欠なんだから いいかげん、タバコやめて貯金しろよ」
他の兵士「彼女にも「ケムくてウザい」とか 嫌われてるじゃねぇか」
喫煙兵士「うぅ‥‥‥本で肺が膨れるかよ‥‥‥(?)」
オージュ・ウォゲ「ねー、もう早く帰ろうよぉ〜」

〇立派な洋館

〇兵舎
エルム・ナキュ「ひぃいいいん💦疲れたぁあああああ💦💦 本読みたい書きたい読みたい書きたい、 お家の中でゴロゴロしてたいぃい」
オージュ・ウォゲ「はいはい、お疲れ」
エルム・ナキュ「担当ちゃんと次作の打ち合わせもしたいなっ」
オージュ・ウォゲ「‥‥‥私も、小説が書きたい‥‥‥」
ワッキーニ大臣「魔物遠征討伐隊の諸君、4日間の遠征 ご苦労であった」
ワッキーニ大臣「‥‥‥‥‥‥」
ワッキーニ大臣「すまぬが、3時間の休憩の後‥‥‥ 今度は西方の方角にて遠征を命ずる」
ワッキーニ大臣「コレは、王の勅命である」
エルム・ナキュ「‥‥‥‥‥‥」
  読んだり‥‥‥書いたり‥‥‥‥‥。

次のエピソード:23/エルム・ナキュ②いいトシして

コメント

  • 先生×先生…。仲良いな!やりとり可愛すぎるぅ!!🥹✨💖しかもお2人ともお強くてギンさんと同じ境遇だったのか…🤔✨スチルも最高でした💖🤤
    タバコさんとのやりとりも可愛すぎてタバコさんまた出て欲しいです😆
    …エルム先生×タバコさんに参加してオージュ先生→エルム先生→タバコの3ピ(すいません)(ガチャピンみたいな目性癖なのかも…)

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