エピソード11 世界(脚本)
〇牢獄
ボビン「よっケビン!」
ボビン「俺を説教しに来たのか?」
ケビン「そういうわけじゃない」
ケビン「ボビンが言うことも一理あるからな」
ボビン「へぇ・・・ じゃあ何しに来たんだ?」
ケビン「耳が良くて全て聞こえるんじゃないのか?」
ボビン「いや〜 あれ以降結界が張られちゃってさぁ」
ボビン「外の事はまったく」
ボビン「で、なに?」
ケビン「ちょっと来て貰いたいんだ」
ボビン「?」
〇要塞の回廊
ボビン「随分と静かだな」
ボビン「他の奴らはどうした?」
ケビン「皆んなもう街に向かったよ」
ボビン「あーそうなの?」
ボビン「みんな街に移住したのか」
ボビン「よかったね」
ボビン「どうせ俺は行けないけどな」
〇神殿の門
ケビン「着いたぞ」
ボビン「なんだここ?」
ケビン「まぁ入れよ」
〇時計台の中
ボビン「ここは?」
ボビン「!」
ボビン「誰かが外から鍵を?」
〇神殿の門
ジョン「ケビン坊っちゃま お願いします」
ジョン「お許しください ボビン坊っちゃま・・・」
〇時計台の中
ボビン「おい、なんのつもりだケビン」
ボビン「俺を封印でもしようってのか」
ケビン「お前をじゃない」
ケビン「お前と僕の」
ケビン「狂気をだ」
ボビン「なに!? そんなことが出来るのか!?」
ケビン「ただし」
ケビン「お互い魔力は失うけどな!」
ケビン「はぁぁぁ!!」
ボビン「な、なに なにをするんだ・・・」
ボビン「魔力が無くなる?」
ボビン「そんな事ダメに決まってるだろう」
ケビン「はあぁ!!」
ボビン「おいケビン!」
ボビン「ぐ、ぐああっ」
ケビン「許せボビン」
ケビン「お前と街で暮らす為だ」
ボビン「!?」
ボビン「その為に魔力を手放すのか!?」
ボビン「ダメだそんなのは!!」
ボビン「もしまたお人好しのオマエが」
ボビン「変な奴に騙されでもしたら」
ボビン「もう助けてやれなくなるんだぞ!!」
ボビン「俺のことはいい」
ボビン「置いていけばいい!!」
ケビン「・・・」
ボビン「もしまたお前を困らせる奴が現れたら」
ボビン「また俺を頼ればいい」
ボビン「お前の代わりにまたボコボコにしてやるから」
ボビン「まぁちょっとやり過ぎるけど」
ボビン「お前の信用はなくならないだろう?」
ボビン「悪い魔王は俺だけでいい」
ケビン「勝手に決めんなー!!」
ボビン「!!」
ケビン「助けて欲しいなら最初からそう言え バカやろーが!!」
ケビン「言われなきゃわからないだろうが」
ケビン「いいかボビン!!」
ケビン「俺はお前を絶対に街に連れて行く」
ケビン「もう一人にはしない!」
ボビン「・・・」
ボビン「・・・・・・!」
ケビン「また敵が現れて」
ケビン「また騙されても」
ケビン「今度は僕だけいい人ぶって逃げたりはしない」
ケビン「その時はちゃんと僕が」
ケビン「この手でブン殴るから」
ケビン「お前みたいにやりすぎたりしないから」
ボビン「・・・ごめんってぇ」
ケビン「だから安心しろ」
ケビン「ちょっと苦しいだろうが 僕と一緒だから我慢しろよ」
ボビン「!」
ケビン「ウオオオオォォ」
ボビン「ぐあ"あ"あぁ」
ケビン「ぐうぅっ」
ボビン「!!」
ボビン「うぅぅ」
ふらふら──
ケビン「だ、いじょうぶ、か・・・」
ケビン「ボビ・・・ン」
〇ソーダ
ボビン「・・・」
ボビン「どこ・・・だ・・・」
ボビン「・・・ここは・・・」
ボビン「おれ・・・は・・・?」
〇空
ボビン「──」
ボビン「そら」
ボビン「くも」
〇菜の花畑
ボビン「はなばたけ」
〇菜の花畑
ボビン「・・・・・・」
ボビン「きれいだ・・・」
青い鳥「チュンチュン」
ボビン「あ、はは」
ボビン「とり!」
ボビン「こんな穏やかな気持ちは」
ボビン「初めてだ」
青い鳥「バサバサッ」
〇菜の花畑
ボビン「青い空、白い雲」
ボビン「花畑に青い鳥」
ボビン「この世界がこんなにも綺麗だなんて」
ボビン「知らなかったなぁ・・・」
ボビン「ありがとうな・・・」
ボビン「ケビン」
ケビン「・・・」
ケビン「にこっ」
ケビン「!」
横になって空を見上げるボビン
ボビン「なぁケビン」
ボビン「俺は魔王は辞める」
ケビン「え?」
ボビン「魔王はやっぱり二人は要らないし」
ボビン「お前に任せるようで悪いけど」
ボビン「俺は自分の行くべき道を探したい」
ケビン「・・・」
ボビン「今は見るものぜんぶが新鮮で」
ボビン「ただただ楽しい!」
ボビン「幸せだ」
ケビン「ああ」
ケビン「そうだな!」
〇菜の花畑
ジョン「そろそろ参りましょうか 坊っちゃま達」
ボビン「わあっ」
ボビン「い、いたのか」
ボビン「全然気が付かなかった」
ボビン「やっぱり耳が遠くなってるな」
ケビン「・・・そうか」
ケビン「なら今度からは」
ケビン「側で話そう」
ボビン「え」
ボビン「うん!」
ジョン「わたくしも入れてください〜」
ボビン「やだ!」
ジョン「なんでですかっ!?」
ボビン「あはは」
ジョン「ほらほら」
ジョン「もう行きますよ」
ジョン「皆が街で待っています」
ケビン「ああ」
ケビン「行こう!」