魔王様は平和に憧れている

みちみち

エピソード10 狂気(脚本)

魔王様は平和に憧れている

みちみち

今すぐ読む

魔王様は平和に憧れている
この作品をTapNovel形式で読もう!
この作品をTapNovel形式で読もう!

今すぐ読む

〇城の救護室
  魔王城で手当てを受けたエリートは
  その後回復し

〇結婚式場前の広場
  街の広場で真実を語り
  己の悪行を謝罪した
  そしてその後
  街から追放され出禁となった

〇魔王城の部屋
メリッサ「坊ちゃん」
メリッサ「皆の準備はもう出来ましたよ」
メリッサ「これでようやく」
メリッサ「街に移り住むことが出来ます」
ケビン「うん」
メリッサ「坊ちゃんのおかげです」
ケビン「僕だけじゃない」
メリッサ「街の人々も我々を受け入れてくれるようで」
メリッサ「本当に良かった」
ケビン「そうだな」
メリッサ「さぁ行きましょう 坊ちゃん」
ケビン「僕は行けないよ」
メリッサ「えっ」
メリッサ「何故ですか?」
ケビン「ボビンを一人にはできない」
メリッサ「!」
ケビン「かと言って 街に連れて行くわけにはいかないだろう」
ケビン「僕はあいつの側にいる」
メリッサ「し、しかし坊ちゃん」
メリッサ「貴方がいないと 魔族の者達も不安がります」
メリッサ「誰が指揮を取ると言うのですか」
ジョン「そうですよケビン坊っちゃま」
メリッサ「ジョン!」
ジョン「ボビン坊っちゃまのお世話係はこのわたくし」
ジョン「わたくしが一生涯お守り致しましょう」
ジョン「それにボビン坊っちゃまは」
ジョン「わたくしが作ったスィーツが大好きですからね」
ジョン「わたくしが側にいなければ」
ジョン「ダメなんですからあの人は」
ケビン「ジョン・・・」
ジョン「ですからケビン坊っちゃまは安心して」
ジョン「皆と街に行ってくださいな」
ケビン「それは出来ない」
メリッサ「何故ですか坊ちゃん」
ケビン「ボビンは僕以上に 誰よりも一番に」
ケビン「僕のことを理解してくれていた」
ケビン「だけど僕は」

〇手
  あいつの心の声をまったく
  聞こうともしなかった

〇魔王城の部屋
ケビン「あいつが僕に助けを求めていることさえ 知らなかった」
ケビン「だからこれからはもっとちゃんと側に いたいんだ」
ジョン「坊っちゃま・・・」
ケビン「魔族の皆んなはきっと メリッサがいれば大丈夫だ」
ケビン「僕よりずっと頼りになる」
メリッサ「坊ちゃん」
ケビン「ん?」
メリッサ「ひとつ提案があります」
ケビン「?」
メリッサ「私も恥ずかしながら」
メリッサ「坊ちゃんの話しを聞いて 初めてボビン坊ちゃんの苦しみを知りました」
メリッサ「何か出来ることは無いか私になりに考えたのですが」
メリッサ「その・・・」
メリッサ「ひとつだけ方法が」
ケビン「え」
ケビン「何かあるのか?」
メリッサ「ええ・・・まぁ」
ケビン「教えてくれ!」

〇寂れた村
  先代の魔王様が何故あんなにも
  穏やかでいられたのか
  そして何故エリートに魔法で反撃しなかったのか

〇魔王城の部屋
メリッサ「疑問に思ったことはありませんか?」
ケビン「まぁ確かに 言われてみれば不思議だ」
ケビン「しかし父上はそういう性格なのだと思っていたけど?」
メリッサ「いいえ」
メリッサ「先代の魔王様もかつては」
メリッサ「ご自身の狂気を抑えるのに苦労されていました」
ケビン「あの父上が?」
メリッサ「ええ」
メリッサ「そして悩んだ先代は」
メリッサ「魔族の長老に相談したのです」

〇時計台の中
  そこで狂気を消し去る方法を知りました
  ですがそれは
  狂気を失くすのと引き換えに
  魔力を失うというものでした

〇魔王城の部屋
メリッサ「そして先代は悩んだ末に その方法を実践しました」
メリッサ「その方法を私も教わっていますが」
ケビン「!」
メリッサ「どうなされますか?」
ケビン「・・・」
メリッサ「しかしその方法を試すには」
メリッサ「ボビン坊ちゃんだけではなく」
メリッサ「ケビン坊ちゃんの魔力も必要になります」
ケビン「どうしてだ?」
メリッサ「先代の魔王の全魔力で やっと出来たことです」
メリッサ「坊ちゃん達には」
メリッサ「それぞれが先代の魔力の半分ずつしかありません」
メリッサ「ですからこの方法を試すには」
メリッサ「坊ちゃんお二人の魔力が必要となります」
ジョン「ダメですよそれは」
ジョン「それでは先代の二の舞です」
ジョン「先代の思想はとても立派なものですが」
ジョン「魔王が魔力を失うことは危険です」
ジョン「いざとなった時に」
ジョン「誰が皆を守ると言うのです」
ケビン「ジョン・・・」
ケビン「確かに不安なのはわかる」
ケビン「けど今は父上の頃とは状況が違う」
ケビン「魔族の皆も平和を望んでいるし」
ケビン「街の人々も信用してくれた」
ケビン「そして僕には仲間がいる」
ケビン「知恵を貸してくれる 頼れる人達がいる」
ケビン「きっと大丈夫だ」
ケビン「僕はボビンを救いたい」
ケビン「あいつはきっと 狂気から逃れることを望んでいる」
ケビン「それを叶えてやりたい」
ケビン「あいつにだって 平穏な暮らしをさせてやりたい」
ジョン「ケビン坊っちゃま・・・」
ジョン「仰せの通りに」
メリッサ「私も坊ちゃんの意志を尊重します」
ケビン「ありがとう 二人とも」
メリッサ「ではその方法をお教えします」
メリッサ「危険を伴いますので」
メリッサ「残念ながら 私は一緒には行けません」
メリッサ「皆を避難させるべく 先に街に向かいます」
メリッサ「よろしいでしょうか?」
ケビン「ああ、ありがとう」
ケビン「皆んなを頼む」
メリッサ「必ずお二人で」
メリッサ「来てくださいね」
メリッサ「待っていますから」
ケビン「ああ」
ケビン「約束だ」

次のエピソード:エピソード11 世界

成分キーワード

ページTOPへ