第十一話 姫様と庭師の秘密(後編)(脚本)
〇岩山
ルーラ(女騎士)「アルルちゃんが──」
ノア(絵描き)「魔物の子・・・」
アレク(庭師)「ああ」
アレク(庭師)「アルルは幼いころに魔物に襲われた 集落からルロワ家に拾われた養子 表向きにはそうなっている」
アレク(庭師)「けれど、その実── 魔物と人間の間にできた子供 いわゆる『呪いの子』なんだ」
アレク(庭師)「それも──」
〇謁見の間
アレク(庭師)「──ボヌール王国の国王と魔王の子供だ」
ガブリエル騎士団長「魔物と人間の交わりは禁忌 国王様もそれを お分かりだったのですよね?」
ボヌール王国 国王「私は魔王にかどわかされたのだ!」
ボヌール王国 国王「だがどうしても 我が子を手放せなかった──」
ガブリエル騎士団長「お気持ちは分かります でも、彼女は『呪いの子』」
ガブリエル騎士団長「このままでは成長するにつれて 魔物のような容姿になっていくでしょう」
ガブリエル騎士団長「全て魔物になってしまったら もちろん人の心も──」
ボヌール王国 国王「ガブリエルよ、何とかできんか?」
ガブリエル騎士団長「ならば・・・封じてしまいましょう 彼女の能力を、すべて」
ボヌール王国 国王「それはありがたい!」
ガブリエル騎士団長「はぁぁあ!」
ガブリエル騎士団長「彼女に力を封じる魔法をかけました これで、彼女は普通の”見えざる者” として生活できるでしょう」
ガブリエル騎士団長「ですが、封じても一時的なもの いづれ彼女が大きくなった時に 呪いは再発する可能性が──」
ボヌール王国 国王「そこを何とか! 何とかできんのか!」
ガブリエル騎士団長「私の力ではそこまでは・・・」
ガブリエル騎士団長「あとは、彼女が大きくなった時に 異性と交われば より人間の力が強くなるかと」
ボヌール王国 国王「結婚させればいいのだな!」
ガブリエル騎士団長「・・・そうですね」
ガブリエル騎士団長「それから、念のため彼女はここではなく 遠い村で育てましょう 魔物に見つからないように」
ボヌール王国 国王「・・・ああ、そうだな」
〇外国の田舎町
〇荒廃した市街地
アレク(庭師)「それで、アルルは田舎町で育った けれど、そんなある日――事件が起きた」
アレク(庭師)「アルルの居場所を突き止めた魔王が その村に攻撃を仕掛けたんだ」
〇謁見の間
アレク(庭師)「何とか守られたアルルは そのままお城へ戻された けれど──」
ボヌール王国 国王「魔王から書状だと!?」
『アルルを魔界に返せ
そうすれば魔物たちも
人間界から手を引こう』
『だが、もし返さなければ
その時は、力ずくでアルルを奪うまで』
ボヌール王国 国王「な、なんと!」
ボヌール王国 国王「ガブリエル、何とかしてくれ!」
ガブリエル騎士団長「・・・私には、ブレーヴの騎士を まとめる仕事があります なので、すぐには無理ですが──」
ガブリエル騎士団長「――いずれ、火山の魔物を 倒しに行くことをお約束しましょう」
ガブリエル騎士団長「魔界と人間界との入り口である 火山を封じてしまうのです」
ボヌール王国 国王「なるほど!」
ガブリエル騎士団長「それまでは・・・ 私の弟、アレクをこちらに寄越しましょう」
ガブリエル騎士団長「まだ幼いですが、能力は私に劣りません それに、アレクは無意識のうちに ガードを張る癖がありまして──」
ガブリエル騎士団長「この王都全体をバリアで包む程度 簡単なことです」
ボヌール王国 国王「そうか。アレク、頼めるか?」
アレク(幼少期)「・・・うん」
〇岩山
アレク(庭師)「アルルが結婚を急いで お見合いづけだったのはそのためだ」
アレク(庭師)「こだわってたから なかなか決まらなかったけど──」
ルーラ(女騎士)「目的のために うちの弟と結婚しちゃったのね」
アレク(庭師)「その首の鱗は 彼女が能力を発動したからだと思う」
アレク(庭師)「封じられた力が発現して 少しずつアルルは 本来の姿に戻ろうとしてる」
ルーラ(女騎士)「・・・今の話だと アルルちゃんが人間になるには 人間と交わる必要がある──」
ノア(絵描き)「結婚するだけでは 意味はないということですか」
ヤコブ隊長「だろうな」
ルーラ(女騎士)「ならヤコブ なんでアルルちゃんと交わらないのよ!」
アレク(庭師)「ま、交わるって・・・!」
ヤコブ隊長「はぁ・・・」
ヤコブ隊長「その必要はないだろう 先ほどの話を聞いていたのか?」
ヤコブ隊長「魔物を静めるには もう一つ、方法がある」
ノア(絵描き)「ヤコブ殿、まさか・・・」
アレク(庭師)「お前、アルルを魔物に渡す気なのか!?」
ヤコブ隊長「・・・」
アレク(庭師)「否定をしないのは肯定なんだよな!? 自分の妻だぞ!? それに、アルルは──」
ヤコブ隊長「それで、この世界が平和になるなら」
アレク(庭師)「はぁ!?」
ヤコブ隊長「ふっ・・・ ボヌール王国にいる時間が長すぎたか」
ヤコブ隊長「貴様は 愚かなボヌール王国に懐柔されたようだな」
ヤコブ隊長「ボヌールの王がしたことで どれだけブレーヴ王国が 被害を被っているか──」
アレク(庭師)「ふっざけんな!」
ノア(絵描き)「ちょ、ちょっとアレクさん!」
アレク(庭師)「アルルはちゃんと人の心をもった人間だ! だから、結婚だって──」
ヤコブ隊長「ふん 貴様がそのつもりなら、相手になってやる」
ルーラ(女騎士)「ちょっと、ヤコブまで・・・」
ノア(絵描き)「お二人とも、落ち着いてくださ──」
「はぁぁぁあ!」
アルルの意外な秘密が解ると同時に、複雑な関係が色々見えてきて面白かったです!!さすがですね。
何よりアルルをどうするかについて2人の意見が分かれて対立しているのが、ドラマを盛り上げて上手いなと思いました。
魔物に差し出すか人間の男と交わるか。話がどちらに転がるのかというのが目が離せない感じになりますね🤔
ええー取り合いみたいになっちゃった💦😧
そうですね、このお話って最初は興味のない結婚相手と段々仲良くなるって話かと思ってたけど、最初からアレクがアルルちゃんに好意を寄せている描写がありましたもんね😧
うーん一筋縄ではいかないですねー!
アルル、ちゃんと国王の娘だったんですね。
魔王は女性……?
しかし交わるってそんな……!(きゃ)そんな設定が!じゃあそういう展開あるんですかっ!あれ?Rついてないな??
ヤコブ隊長の言動は果たして本心か……顛末が気になります。