姫様の推し事!

朝永ゆうり

第九話 ドラゴンに乗って(脚本)

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〇けもの道
ヤコブ隊長「はぁ!」
ノア(絵描き)「ルーラさん、右を!」
ルーラ(女騎士)「オッケー!」
ヤコブ隊長「怖いのか?」
アルル姫「違う!」
アルル姫「ただ どうしてこんなに魔物が出るのかなって」
アルル姫「無事に火山まで たどりつけるかなって・・・」
ヤコブ隊長「弱音を吐くのか 貴様の覚悟はその程度だったんだな」
アルル姫「な・・・っ! 弱音なんかじゃないわ おかしいなって思っただけ!」
ヤコブ隊長「なら、何が何でも火山まで行く 本番はそれからだろう」
アルル姫「・・・そうね」
ヤコブ隊長「はぁ!」
アルル姫「あれ、光──」

〇湖畔
ルーラ(女騎士)「ついたわね」
アレク(庭師)「はぁ、はぁ・・・」
ルーラ(女騎士)「ふふっ アレクお疲れ様 ずっとガードは気が張るものね」
アレク(庭師)「もう魔物、出ないんだよな?」
ノア(絵描き)「ええ ここは森の中と違って明るいですし 魔物も出ないでしょう」
アレク(庭師)「で、出るじゃねーか魔物!」
ルーラ(女騎士)「違う違う、この子たちがドラゴンよ」
アルル姫「これが、ドラゴン・・・」
アレク(庭師)「・・・ドラゴン乗れるなら 最初から乗れば良かったじゃんかよ!」
ノア(絵描き)「仕方ないですよ ドラゴンは我々と違い 移動制限がありますから」
ルーラ(女騎士)「ドラゴンたちは火山からのパワーがないと 生きられないのよ」
ルーラ(女騎士)「そのパワーが ギリギリ届くのがここまでってこと」
アルル姫「ねえ、ドラゴンって魔物じゃないの? どうして私にも見えるのかしら?」
ルーラ(女騎士)「うふふ アルルちゃんもドラゴン見るの 初めてなのね!」
ルーラ(女騎士)「ドラゴンは元魔物 ドラゴン族の長が 人間と魔法契約を結んだのよ」
ノア(絵描き)「ドラゴンは人間の世界に住む その代わり人間の役に立つこと」
ノア(絵描き)「本来は魔物が出ないように 管理もしてくれているのですが──」
ドラゴン「我々の手では負えないほどの 魔物が地上に流れている 申し訳ない」
アルル姫「しゃ、しゃべった!」
ヤコブ隊長「気にするな 元々ガブリエルが 止められなかったのが悪い」
ドラゴン「だが・・・」
ヤコブ隊長「我々はそれを止めるために来た 貴様らは我々を安全に火山まで運ぶことだ」
ドラゴン「・・・ありがたきお言葉 しっかりと努めさせていただきます」
アルル姫「あら、可愛い鳥さん」
アルル姫(・・・手紙?)
ヤコブ隊長「・・・悪い、少し外す」

〇古い本
フール副隊長「隊長がこれを受け取ったってことは 隊長たちは無事森を抜けて──」
フール副隊長「俺は無事 ドラゴンの手配をできたってことっすね☆」
フール副隊長「最近は辺境の森は めっきり魔物が出なくなりました」
フール副隊長「警備は怠らずしているのですが 出動はしていません」
フール副隊長「騎士団の気も緩み始めてきていたので 集落の復興と原因調査 正直ありがたいです」
フール副隊長「昼の森、夜の街── 隊長が行く先々ばかりに 魔物が現れているようですね」
フール副隊長「魔物たちの狙いが隊長なんじゃないかと 俺は踏んでます だから──」
フール副隊長「隊長は絶対に帰ってきてくださいよ~ じゃないと俺、俺・・・」

〇湖畔
ヤコブ隊長「・・・くらだん 私がいなくとも フール一人でなんとでもできるだろうに」
ヤコブ隊長「だが──」
アルル姫「ノア、何描いてるの?」
ノア(絵描き)「今まで出会った魔物ですよ メモ程度ですが」
ヤコブ隊長(魔物の狙いは、やはりアルルなんだな)
ルーラ(女騎士)「さーてさてみなさーん!」
ルーラ(女騎士)「ドラゴンは三体あたしたちは五人 どう振り分ける?」
ヤコブ隊長「私は一人で乗る」
アルル姫「な、なら私も一人が良いわ!」
ルーラ(女騎士)「・・・一体に三人はさすがに可哀想よ」
ルーラ(女騎士)「ここは、夫婦一緒がいいと思いまーす☆」
アルル姫「な・・・っ!」
ヤコブ隊長「・・・仕方ないな アルル、乗れ」
アルル姫「って、ヤコブもう乗ってるし! 待ちなさいよー!」
アルル姫「よいしょっと」
ドラゴン 「準備はいいっすか? では出発しますよ」
アレク(庭師)「俺はここで帰るので 後は二人で一体ずつどーぞ」
ルーラ(女騎士)「この森の中、一人で帰れるのかしらー?」
ルーラ(女騎士)「ほら、私が一緒に乗ってあげるから!」
アレク(庭師)「うわ、乗っちまった・・・」
ルーラ(女騎士)「ノアくんは一人で平気かしら?」
ノア(絵描き)「はい よろしくお願いしますね、ドラゴンさん」

〇空
アルル姫(もうすぐで火山に着く・・・)
アルル姫(待ってなさい、火山の魔物たち)
アルル姫(推しの敵は、私が討つ!)

〇雲の上
ドラゴン 「あと半分くらいで着きますよ」
ヤコブ隊長「ああ」
アルル姫(・・・にしても結構怖いな)
アルル姫(さっきより高いし、落ちたら・・・)
ヤコブ隊長「・・・ん?」
アルル姫(ううん、そんなこと考えちゃダメね)
アルル姫(ガブ様を死なせた相手に 対峙しなきゃいけないんだから・・・ このくらいで怯えてちゃダメよ!)
ヤコブ隊長「貴様・・・」
アルル姫「何?」
ヤコブ隊長「いきなり婚約を申し込んだり ガブリエルの敵討ちに行くと言ったり 家を抜け出したりしてたくせに──」
ヤコブ隊長「──やはり、怖がりだったんだな」
アルル姫「な・・・っ!」
アルル姫「別に怖くなんてないわ! 私は怖いものなんて──」
ヤコブ隊長「ならこの手は何だ?」
アルル姫「こ、これは・・・」
アルル姫「わっ・・・!」
ヤコブ隊長「おい、阿保!」
ヤコブ隊長「アルル!」

〇空
アルル姫「どうしよ、このままじゃ・・・」
ヤコブ隊長「アルルーーーっ!」

〇空
ヤコブ隊長「絶対に手を離すなよ」
アルル姫「うん・・・」
ノア(絵描き)「アルル姫ーっ!」
ノア(絵描き)「こちらのドラゴンに足をお掛けください それでヤコブ殿が 引っ張りあげれば・・・」
ヤコブ隊長「アルル、いいか?」
アルル姫(足をかけて)
アルル姫「うん」
ヤコブ隊長「いくぞ、イチニの・・・サン!」
アルル姫(・・・何とかドラゴンの上に戻れたわね)
アルル姫「ノア、ありがとう」
ノア(絵描き)「いえ、お気になさらず」
ドラゴン 「痴話喧嘩は 火山についてからでお願いしますよ」
アルル姫「そうね・・・ごめんなさい」
ヤコブ隊長「アルル」
ヤコブ隊長「私は別に貴様を 笑い者にしようと思ったわけじゃない」
アルル姫「え・・・?」
ヤコブ隊長「怖いものがあるのは当たり前だ むしろない方が恐ろしい」
アルル姫「ヤコブでもあるの? 怖いもの」
ヤコブ隊長「・・・毎日、怖いさ」
ヤコブ隊長「私がしたことで、民が傷付いたら 私がしなかったことで、 民を救えなかったら──」
ヤコブ隊長「それでも目の前のことを 片付けなくてはならない 騎士を率いる者として、それは当然だ」
アルル姫「ヤコブ・・・」
ヤコブ隊長「・・・貴様が阿保でなくて よかったと思っただけだ」
アルル姫「・・・ねえ」
アルル姫「ヤコブってどうしていつも笑わないの?」
ヤコブ隊長「は?」
アルル姫「口数も少ないし 表情も変わらないし・・・」
アルル姫「怖いものがあるとか、信じられないわ」
ヤコブ隊長「・・・そういう風に訓練してきたからだ」
ヤコブ隊長「それに それが隊長としてのあるべき姿だろう」
アルル姫(・・・もしかしてヤコブって ものすごく孤独な人なのかな)
アルル姫(全部一人で背負って生きてきたのかな?)
アルル姫(私、ヤコブの妻なのに──)
アルル姫(──ヤコブのこと、何も知らない)
ヤコブ隊長「ふっ やっぱり怖いんだな」
アルル姫「・・・うん」
アルル姫(今はそういうことに、しておこう・・・)
ドラゴン 「もうすぐ着きますよ ほら、あそこ。見えてきたでしょう」

〇火山のある島

〇空
アルル姫「あれが、火山・・・」
アルル姫(あそこにいるのが ガブ様を倒した敵・・・)

〇岩山
ドラゴン「それでは 健闘を祈っています」
アルル姫「ありがとう」
アルル姫(さて、いよいよね・・・)
アルル姫「みんな、行くわ──」
ヤコブ隊長「アルル、伏せろ!」
アルル姫「え──っ!?」

次のエピソード:第十話 姫様と庭師の秘密(前編)

コメント

  • 朝永さんのコメントを読むのも楽しみの一つです
    いつも丁寧に書かれてますね🤗

    ドラゴンの背中に乗ったり落ちたり、情景描写がわかりやすいです👍
    ヤコブと急接近したけど何か進展が更にありそう💕

  • アルル姫とヤコブ隊長の距離が近づきましたね✨☺️
    細やかな心の動きが素敵です✨🥰

    アルル姫が落ちてしまうところはヒヤッとしてしまいましたが、助かってよかったです✨

    あと、戻らせてもらう時のドラゴンの表情が可愛くてキュンときました!!😂

  • 手に語らせるスチル表現😊素敵です💕
    夫婦の絆が少しずつ深まってきましたね❤️
    そういえばアルル、隊長のことを考える時間が多くなって、あんまりガブ様って言ってませんね。

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