第六話 心の読めない隊長(前編)(脚本)
〇森の中
「アルル姫! アルルちゃん!」
アルル姫「え、何? どうすれば──?」
ヤコブ隊長「はぁ!」
〇森の中
アルル姫「・・・!」
アレク(庭師)「アルル、大丈夫か!?」
アルル姫「え、ええ」
アルル姫(嘘──)
アルル姫(――助けてくれた)
「アルル姫! アルルちゃん!」
アルル姫「みんな・・・」
ヤコブ隊長「貴様ら、気を抜くなよ 気配は消えたが またいきなり襲ってくるかも分からぬ」
ヤコブ隊長「行くぞ 日が暮れてしまう」
ルーラ(女騎士)「もう、ちょっと待ちなさいよ!」
ルーラ(女騎士)「アルルちゃん、歩ける?」
アルル姫「あ、はい・・・」
ルーラ(女騎士)「んふふ」
〇空
〇西洋の街並み
〇怪しいロッジ
ヤコブ隊長「ヤコブ・マーティンだ 連絡していた二部屋を──」
アレク(庭師)「ああ、やっと着いた・・・」
ルーラ(女騎士)「森の中ではずっとビビっていたものね アレク♡」
アレク(庭師)「別にビビッてねえし!」
ヤコブ隊長「部屋割りは男と女でいいな」
ルーラ(女騎士)「あたしたちはそれでいいんだけど・・・」
ルーラ(女騎士)「アルルちゃんはそれでいいの?」
アルル姫「何でです? 別に構わな──」
ルーラ(女騎士)「だって ヤコブとアルルちゃんは”夫婦”じゃない♡」
アルル姫「な・・・※△〇*▼×※◇~!」
ルーラ(女騎士)「あっはっは!」
ヤコブ隊長「はぁ・・・ 弄るのも大概にしろ」
ヤコブ隊長「ほら、部屋の鍵」
ルーラ(女騎士)「どうも ほら、行くわよアルルちゃん」
アルル姫「は、はい~・・・」
〇簡素な部屋
ルーラ(女騎士)「それにしても小さい部屋ねえ」
ルーラ(女騎士)「アルルちゃんはプリンセスだし 余計そう思わない?」
アルル姫「いえ むしろなんだか落ち着きます」
ルーラ(女騎士)「そう、ならいいんだけれど ところで──」
ルーラ(女騎士)「どうなのよ、ヤコブとは」
アルル姫「どう、どは・・・」
ルーラ(女騎士)「だって夫婦でしょ? やることやってるのかな~って?」
アルル姫「や、やることって・・・!?」
ルーラ(女騎士)「うふふ アルルちゃん本当可愛いわね~♡」
アルル姫「もう! からかわないでくださいよ!」
ルーラ(女騎士)「ごめんごめん でもね、私は嬉しいのよ」
ルーラ(女騎士)「アルルちゃんが あんな弟のお嫁さんになってくれて」
アルル姫「いえいえ・・・」
アルル姫「って、え!? 弟!?」
ルーラ(女騎士)「そう、弟」
ルーラ(女騎士)「実はね、騎士団を辞めたのも ヤコブが隊長になったからなのよ」
ルーラ(女騎士)「どうも昔から喧嘩ばかりで そりが合わなくて──」
アルル姫「つまり ルーラさんは私のお義姉さん──」
ルーラ(女騎士)「そういうことになるわね」
ルーラ(女騎士)「お姉ちゃんって 呼んでくれて構わないわよ!」
アルル姫「え、あ、そんな・・・!」
ルーラ(女騎士)「話がズレたわね 私が言いたかったのは──」
ルーラ(女騎士)「あんな弟だけど アルルちゃんのことちゃんと守ってた」
ルーラ(女騎士)「・・・ちゃんと 想い合ってるんだなって思ったの」
アルル姫「・・・」
ルーラ(女騎士)「アルルちゃん?」
アルル姫「・・・お礼は 言わないといけないですよね」
アルル姫「私、さっき助けてもらったのに お礼を言えなかったから・・・」
ルーラ(女騎士)「そうね 家族でも、言葉にすることは大事」
ルーラ(女騎士)「私は言葉にしすぎて いつも喧嘩ばかりだけれど!」
アルル姫「私、ヤコブにお礼言ってきます」
ルーラ(女騎士)「あら、律儀!」
ルーラ(女騎士)「もう、ヤコブがうらやましいわ~♡」
〇英国風の部屋
ノア(絵描き)「男部屋はここですね」
ヤコブ隊長(それにしても──)
ヤコブ隊長(――まさかこいつらの戦闘能力が あそこまで低いとは)
ヤコブ隊長(やはりフールを置いてきたのは 惜しかったか・・・)
ヤコブ隊長(しかしなぜあの時 アルルの能力は発動しなかったんだ?)
ヤコブ隊長(この間と 条件がさほど違ったわけでもあるまい──)
アレク(庭師)「おい・・・」
ヤコブ隊長「何だ?」
アレク(庭師)「お前、アルルの旦那だよな」
ヤコブ隊長「ああ」
アレク(庭師)「だったら何で最初っから アルルのこと助けねーんだよ!」
ヤコブ隊長「は?」
アレク(庭師)「俺らが戦ってる時、お前静観してただろ!」
ヤコブ隊長「貴様はただ 木の影に隠れていただけだったようだが?」
アレク(庭師)「う・・・」
アレク(庭師)「で、でも!」
アレク(庭師)「あんなピンチになるまで 嫁を放っておくなんてどうかしてるだろ!」
ヤコブ隊長「私は 自分の出る幕ではないと判断しただけだ」
ヤコブ隊長「しかし 貴様らの戦闘力は期待以下だった」
ヤコブ隊長「だから仕方なくアルルを助けた 本来あの場では 私は力を使うべきではなかったと思う」
アレク(庭師)「お前・・・!」
ヤコブ隊長「大体なぜ貴様がムキになる」
アレク(庭師)「な、それは・・・」
ヤコブ隊長「まさか貴様 ──アルルの秘密を知っているのか?」
アレク(庭師)「アルルの秘密・・・?」
ヤコブ隊長「知らぬならいい」
アレク(庭師)「何だよ お前の知ってるアルルの秘密って!」
ヤコブ隊長「・・・魔物を殺す力」
アレク(庭師)「・・・」
ヤコブ隊長「前に一度 魔物に襲われかけた時に発動した」
アレク(庭師)「・・・まさかお前 今回もアルルに その力を発動させようとして――!?」
ヤコブ隊長「まあ、それもあるな」
アレク(庭師)「なんだと! ふざけるな!」
ノア(絵描き)「あ、アレクさん落ち着いて・・・」
アレク(庭師)「これが落ち着いていられっかよ! あーくっそ!」
ノア(絵描き)「・・・ヤコブ殿」
ヤコブ隊長「放っておけ 頭が冷えれば帰ってくるだろう」
〇怪しいロッジ
アルル姫(お礼、ちゃんと伝えなきゃね・・・)
アレク(庭師)「何だよ お前の知ってるアルルの秘密って!」
アルル姫(私の、秘密・・・?)
なんだ、お姉さんだったんですね
朝永さんのお話は、どの話も安定してて凄いです
このお話はプロットで結末までを最初に書かれているのでしょうか😧
文章量も程よく1話分が読みやすいです
ルーラさん、親しげな割に恋愛対象ではなさそうだと思っていたら、お姉さんでしたか!
そして戦力外判断される二人……😂が、頑張って~
そう!推しは何人いてもいいですよね!✨️
冒頭でヤコブ隊長の台詞名札に誤字があったみたいです(こそ
ルーラさんの正体って😲💦
そして、アルル姫の感情描写がステキすぎます!感情の揺れや戸惑いまでスッと心に響いてきます😊
そんなアルル姫の重大な秘密が明かされる展開、絶妙のタイミングで前編終了ですね😂