勇気という名のRPG(ロール・プレイング・ギア)

篠也マシン

第5話「鋼のヴェンデルガルト」(脚本)

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〇空港の滑走路(飛行機無し)
???「その剣、随分な魔力が込められているようですね」
???「しかし──」
我浜ユウト「くっ・・・届かない!」
???「当たらなければ、どうということはありません」
???「そちらのお嬢さんは、見てるだけで良いのですか?」
結城イツカ 「なんて奴なの! ユウト君を相手にしながら隙がない!」
???「今度はこちらのターンです」
我浜ユウト「この程度で・・・引き下がってたまるか!」
???「ダメージ覚悟で突っ込んでくるとは・・・!」
???「では、こちらも相応の技で応えましょう」
我浜ユウト「け、剣が止まった!?」
???「これは、あらゆる魔法を無力化する『絶対魔力障壁』」
???「魔力を帯びた剣は届きません」
???「散りなさい!」
結城イツカ 「ユウト君!!」
我浜ユウト「大丈夫・・・剣が壊れただけです」
???「よく耐えましたね」
???「ですが、武器はなくなりました──終わりです」
我浜ユウト「魔法が駄目なら!!」
???「力任せに殴りかかってくるとは、愚か者の浅知恵です」
我浜ユウト「き、傷一つない!?」
???「私の衣は特別製。物理攻撃も効きません」
結城イツカ 「そ、そんな・・・無敵だって言うの!?」
???「ようやく、私の恐ろしさが理解できましたか」
???「魔法や剣、数多の攻撃を無効化し、敵を殲滅する」
???「それが私、ヴェンデルガルトの力」
???「人呼んで──」
鋼のヴェンデルガルト「人間の勇者よ、ひれ伏しなさい!」
我浜ユウト「イツカさん、危ない!!」

〇空港の滑走路(飛行機無し)
結城イツカ 「ユウト君、平気!?」
我浜ユウト「・・・平気です。彼女役を守るのは、彼氏役の務めですから」
結城イツカ 「無駄口を叩ける元気はあるようね」
結城イツカ 「ただ、このままでは2人ともやられる」
結城イツカ 「封印柱を使うわ」
我浜ユウト「封印柱も、魔法の一つなんですよね?」
我浜ユウト「普通に撃っても、魔力障壁に防がれるだけです」
結城イツカ 「た、たしかに・・・!」
我浜ユウト「──俺が、何とか奴の隙を作ります」
我浜ユウト「イツカさんは、そこを狙ってください!」
結城イツカ 「そんなことできるの?」
我浜ユウト「そんなの分かりませんよ。でも、できなきゃ世界は滅ぶ」
結城イツカ 「自信があるのかないのか、どっちなのよ」
結城イツカ 「でも──」
結城イツカ 「君ならできる、そう信じてチャンスを待つわ」
我浜ユウト「まったく・・・何の根拠もなく信じるなんて、どうかしてます」
我浜ユウト「ただ──」
我浜ユウト 「俺の人生プランには、今日死ぬと載ってませんから」
我浜ユウト「イツカさんの期待に、応えてあげますよ!」

〇空港の滑走路(飛行機無し)
我浜ユウト「捕まえたぞ!」
鋼のヴェンデルガルト「純粋な力勝負ですか・・・」
鋼のヴェンデルガルト「まったく、無意味なことです」
鋼のヴェンデルガルト「力でねじ伏せても、私にダメージは与えられません」
我浜ユウト「問題ない、それが目的ではないからな!」
鋼のヴェンデルガルト「もう一人はどこに──」
結城イツカ「《我が血に眠る魔の力、我が願いに答えよ》」
結城イツカ「《我が心に宿る時封の力、今ここに顕現せよ》」
鋼のヴェンデルガルト 「後ろか!?」
我浜ユウト 「に、逃げられた!?」
鋼のヴェンデルガルト 「ただの弾丸? これなら──」
鋼のヴェンデルガルト 「いや、違う!? これは千年前の──」
結城イツカ「『1日』封印柱!!」

〇空港の滑走路(飛行機無し)
我浜ユウト 「イツカさん、やりましたね!」
結城イツカ「防がれると思ったんだけど・・・間一髪だったのかな?」
  ・・・イツカ君・・・少年
熊城博士「聞こえるか?」
我浜ユウト 「博士、どうかしましたか?」
熊城博士「怪物の分析が完了した」
熊城博士「2人共、研究室まで来てくれ」

〇魔法陣のある研究室
  WASO東京支局
我浜ユウト 「これは何ですか?」
熊城博士「怪物の魔力を、リアルタイムに測定したグラフだ」
熊城博士「魔力障壁を使った瞬間を見てくれ」
我浜ユウト 「魔力が大きく減った・・・?」
熊城博士「そう、あの魔法は魔力の消費が激しい」
結城イツカ 「それって──」
結城イツカ 「魔力障壁を使い続けたら、アイツの魔力は尽きるってことよね?」
結城イツカ 「なら、強力な魔法を連発し、押し切ってしまえばいいのよ!」
我浜ユウト 「イツカさん、今日は冴えてますね」
結城イツカ「ありがと──」
結城イツカ「──って、何か馬鹿にしてない?」
熊城博士「良い作戦だと言いたいが、100%失敗する」
我浜ユウト 「なぜですか?」
熊城博士「怪物の魔力は、我々をはるかにしのぐ」
熊城博士「先に魔力が尽きるのは、こちらだ」
結城イツカ「そんな・・・せっかく勝機が見えたのに」
我浜ユウト 「──博士、戦闘中の映像も見せてくれませんか?」
熊城博士「何か気になることでも?」
我浜ユウト 「ええ。封印柱を撃つシーンをお願いします」

〇空港の滑走路(飛行機無し)

〇魔法陣のある研究室
我浜ユウト 「やっぱり! 奴が封印柱に気づいてから、封印魔法が発動するまで間がある」
我浜ユウト 「魔力障壁を出す時間は、十分あったはずだ」
結城イツカ「つまり、理由があって出さなかった?」
我浜ユウト 「おそらく」
我浜ユウト 「博士。封印柱は、普通の弾丸に封印魔法を閉じ込めたモノなんですよね?」
熊城博士「その通りだ」
熊城博士「魔法が発動するまでは、ただの弾丸と区別かつかな──」
熊城博士「フフッ、そうか。その手があったか」
結城イツカ 「えっ、どういうこと?」
我浜ユウト 「なるほど。例の新装備と組み合わせれば──」
結城イツカ「ねぇ、ちょっと2人とも!」
熊城博士「少年、実に面白い作戦だ!」
「これなら勝てる!!」
結城イツカ「私にも教えてよー!!」

〇空港の滑走路(飛行機無し)
  封印から、23時間経過──
結城イツカ「もうすぐ決戦ね・・・」
我浜ユウト 「アイツを倒したら、またデートしてくださいね」
結城イツカ「君も懲りないわね」
結城イツカ「私のどこがいいのよ?」
我浜ユウト 「顔もスタイルも、ほどよい所でしょうか」
結城イツカ「こら、真面目に答えなさい」
我浜ユウト 「──幼い頃の俺に似てるんですよ」
我浜ユウト 「昔、正義の味方の真似事をしてたんです」
我浜ユウト 「いじめられっ子を助けたりもしました」
結城イツカ「へぇ、やるじゃない」
我浜ユウト 「でも、みんな守られるだけで、自ら戦おうとしない」
我浜ユウト 「感謝する奴はまだマシ。俺を盾に逃げ出す奴だっていた」
我浜ユウト 「自分勝手な奴らの多さに、ほとほと呆れましたよ」
我浜ユウト 「その結果──このひねくれ者が生まれたんです」
結城イツカ「まったく・・・」
結城イツカ「ひねくれてる自覚があるなら、直せばいいじゃない」
我浜ユウト 「この歳になると、性格は直せませんよ」
結城イツカ「大人みたいなこと言うのね」
我浜ユウト 「高校生は大人です」
結城イツカ「むう・・・生意気」
我浜ユウト 「だから、俺はそんなあなたが眩しくて──」
我浜ユウト 「いや、違うな」
我浜ユウト 「俺はあなたのそばで見届けたいんです」
我浜ユウト 「いつまで、そのくだらない正義感を貫き通せるかをね」
結城イツカ「随分ひねくれた恋心ですこと」
我浜ユウト 「──さて、今度はこっちの番です」
我浜ユウト 「どうして、年下と付き合うのが嫌なんですか?」
結城イツカ「ああ、それは──」
結城イツカ「私の方が、早く死にそうだから」
我浜ユウト 「どういう意味ですか・・・?」
結城イツカ「うちの母親・・・早くに亡くなったの」

〇おしゃれなリビング
  その時の父の悲しみ様と来たら、本当すごくて

〇おしゃれなリビング
  私が疲れて泣き止んだ後──

〇おしゃれなリビング
  夜になっても、父は泣き止まず──

〇おしゃれなリビング
  朝になっても泣き続けてたのよね
  それから父が泣き止むまで、小学生の私が父の世話をしたの
  信じられないでしょ?

〇空港の滑走路(飛行機無し)
我浜ユウト 「そ、それはすごいですね・・・」
結城イツカ「その時、知ったの」
結城イツカ「愛する人がいなくなった時、人はこれほど悲しむのだと」
結城イツカ「だから、私は大切な人に同じ悲しみを負わせたくないのよ」
我浜ユウト 「・・・つまり、恋人には早く死んでほしいってことですね」
結城イツカ「合ってるけど、もっとマシな表現をしてよ」
結城イツカ「これで、君と付き合う気がないと分かったでしょ」
我浜ユウト 「・・・」
我浜ユウト 「イツカさん、もう一つ聞かせてください」
我浜ユウト 「あなたの父親は、後悔してると思いますか?」
結城イツカ「何を?」
我浜ユウト 「早く死んでしまった母親と、一緒になったことを」
結城イツカ「そ、それは──」
結城イツカ「おしゃべりは、ここまでのようね」
我浜ユウト 「封印が解ける時間か」
結城イツカ「ねぇ、ユウト君・・・」
結城イツカ「君の人生プランに、今日はなんて書かれてるの?」
我浜ユウト 「昨日と変わりなく、今日も死ぬ予定はありません」
結城イツカ「そう」
我浜ユウト 「早く死んでくれなくて、残念ですか?」
結城イツカ「何言ってんの」
結城イツカ「この戦いが終わったら、デートする約束でしょ?」
結城イツカ 「長生きしてもらわないと困るわ」
我浜ユウト 「・・・任せてください」
我浜ユウト 「イツカさんの期待に、今日も応えてあげますよ」

〇仮想空間
  ロール・プレイング・ギアを
  そうび しますか?
  ▶はい
   いいえ

〇空港の滑走路(飛行機無し)
我浜ユウト「この──RPGの新しい力で!」

次のエピソード:第6話「ラストシューティング」

コメント

  • イツカの気持ちが少し和らいだようにも感じますね。
    ユウトとイツカの過去を知るほど二人ってかなり相性良さそうだし、ヴェンデルガルトの圧倒的な強さを身をもって知りながら前向きに対処していくところも似ていてバトルも恋心もどうなるかワクワクしています。次回も楽しませて頂きますね😊

  • 今年もよろしくお願いします。キャラクターもバトルも演出もカッコイイですね!!タップノベルでここまでやれるとは驚きです🫣 セリフのカッコ良さも相まって最高のバトル演出じゃないでしょうか⁉ 
    今年はなるべく、沢山の方の作品を読めるように頑張りたいと思います。

  • イツカは本当にどこまでもまっすぐですね。
    ユウトが眩しくなる気持ちがわかります😊
    ユウトもひねくれ者ムーブをしながらも、恋にまっすぐですね!お似合いの二人です✨️

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