デス・パレードは祈りと共に

はじめアキラ

エピソード32・願の中(脚本)

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はじめアキラ

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〇研究施設の廊下
まちか「・・・・・・」
みれい「・・・・・・」
れつ「・・・おい」
れつ「言いたいことがあるなら言いなって」
みれい「あ、いや、うん・・・その・・・」
まちか「・・・ねえ」
まちか「私達、このままでいいのかな」
みれい「いいのかって?」
まちか「私達にもやれることがあるんじゃないかってこと」
まちか「・・・ここで、輪廻さんを見ているのも大事だけど、でも」
まちか「蒼くんは今、一人で戦ってる。私達ただ、ここで待ってるだけでいいのかな」
まちか「輪廻さんなら・・・蒼くんを一人で戦わせない、きっとそう思うの」
れつ「でも、俺達にできることなんて」
まちか「あると思う。・・・ううん、できることがないなら、見つけなきゃ」
まちか「一つ考えてることがあるの。巻き込んじゃって二人には申し訳ないけど、でも・・・」
まちか「力を、貸してくれないかな。私、恩返しがしたい!」
みれい「まちか、お前・・・」
れつ「いい顔になったな、お前」
れつ「わかった。俺達、何をすればいい?教えてくれよ」

〇実験ルーム
女性「・・・はあ」
女性「息はできるし、ぬるいお湯が冷えていかないのはいいんだけど・・・」
女性「うちら、いつまでこうやって水に浸かってないといけないわけ・・・?」
女性「本当に助けは来るの?ねえ?」
老人「やかましい。いつまでそんなことをぐだぐだと言ってる気だ」
老人「喚けば喚くだけ体力を消耗するだけだろうが」
女性「何よ、不安に思って愚痴るのも駄目なわけ!?」
女性「正直いつまでもこんな狭いところにいるなんて嫌に決まってるんだから・・・!びしょ濡れだし出られないし!」
女性「そ、それに段々トイレに行きたくなってきたし・・・!」
男の子「あー・・・それは、困るな」
男の子「俺達も他人事じゃない・・・」
女性「でしょでしょ!?ほんと、あの人達助けに来てくれるのかな?来てくれないとマジできっついんですけど・・・!!」
男の子「え!?」
みれい「おいまちか!この部屋で合って・・・ってなんだこれ!?カプセルの中に人が閉じ込められてる!?」
れつ「しかも水の中に浸かってる・・・なんだよこれ・・・!?」
まちか「そういう試練だったみたい。輪廻さんと蒼くんが、私たちの部屋に来る前に試練を受けた部屋がここなの」
まちか「そこの三人の人!今助けます!」
みれい「え、あの人達、カプセルから出してやるのか?どうやって?」
れつ「方法があるのか?」
まちか「ある。万が一の時のために、操作方法教えてもらったの。あそこにある端末で、ガラスを開閉できるの」
まちか「やり方も教えてもらったから、多分私、できる」
まちか「皆さん、今助けます、でもそのかわり・・・」
まちか「そこから出たら、私達と一緒に・・・輪廻さんと蒼くんを助けてください!お願いします!」
女性「え、え?助けてくれるの!?」
老人「輪廻さんと蒼くん・・・とはさっきの二人だな?あの二人に何かがあったのか!?」
男の子「わ、わかった!俺に何ができるかわからないけど、助ける!命の恩人だからな!!」
女性「わ、わけわかんないけど、わ、わかった!助ける!助けるから、ここから出して、お願い!」

〇黒

〇教会の控室
矢倉亮子「ま、まさかそんな・・・っ」
小野坂真里亞「くっ・・・!」
須藤蒼「・・・!」
須藤蒼(・・・一人では駄目だけど、みんながいれば!)
須藤蒼「ポッドに入っていた皆さんは、そこの髪の長い女性の足止めをお願いします!」
須藤蒼「まちかちゃん達は、おばあちゃんを止めて!その間に、僕が外部に連絡する!!」
矢倉亮子「あ、蒼っ!?まだ貴方は・・・っ!!」
須藤蒼「僕は諦めない!絶対に・・・大事な人の命だけは、絶対に!!」
みれい「よし来た!」
れつ「了解!!」
まちか「戦うよ・・・私達だって!!」
矢倉亮子「あ、あんた達!邪魔をしないでちょうだい!特に、まちかちゃん!貴方はうちの教団の信者でしょう!?」
矢倉亮子「教祖である私に逆らうなんて、それが許されると思ってるの!?お父さんやお母さんだって・・・!!」
まちか「そう、私、ずっと間違ってた。パパとママの言う通りにしていればいいって、ずっとそう思い込んでた」
まちか「でも違った。間違ってることは、間違ってるってちゃんと言わなきゃいけないってこと」
まちか「私、誰かを平気で傷つける“神様”より・・・命がけで誰かを守れる“人間”の方がずっとカッコイイって思うから!!」
矢倉亮子「ぐっ・・・!!」
女性「確かに、命の恩人見捨てたら、さすがにかっこ悪いし!」
老人「私も男だ、腹はくくる・・・!!」
男の子「負けるもんか!」
小野坂真里亞「くそっ・・・三人はさすがに・・・!!こんなはずでは・・・・・・!!」
須藤蒼(よし、ナイフも拾った。おばあちゃんと秘書は、みんなが足止めしてくれてる!)
須藤蒼(少しでも時間稼ぎできれば、それで充分!!)
「はい、こちら警察ですが・・・事件ですか?事故ですか?」
須藤蒼(繋がった!)
須藤蒼「お願いします、助けてください!山奥の教団施設で、人が死にそうになってるんです!」
須藤蒼「住所は●●県××市▲▲町、〇〇山の二合目付近で・・・」
小野坂真里亞「く、くっ・・・ここまで、か・・・!」
矢倉亮子「あ、あああ・・・どうして、なんで? 私は間違ってないわ。間違ってない、間違ってない、間違ってない・・・」
矢倉亮子「全ては世界を救うためなの、ためなのに!どうして、どうしてこうなるのよおおおおおおおおおおお!!」

次のエピソード:エピソード33・蒼の中

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