デス・パレードは祈りと共に

はじめアキラ

エピソード31・戦の中(脚本)

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〇教会の控室
小野坂真里亞「あ、蒼様・・・!」
矢倉亮子「お、落ち着いて、蒼!何を言っているのかわかってるの!?」
須藤蒼「冗談だとでも思ってる?本気も本気だよ」
須藤蒼「記憶を失って、何もわからない状態で、誰より不安だったはずなのに・・・」
須藤蒼「輪廻さんは、子供だからってだけで僕を助けてくれた」
須藤蒼「僕のことだけじゃない。他の人達のこともみんな、助けるために命さえ賭けられる。そんな貴い人なんだ」
須藤蒼「あの人はこんなところで死んでいい人じゃない!」
須藤蒼「それなのに、おばあちゃん達はあの人を見殺しにしようとしてる!自分達の所業がバレたくないからってだけで!」
須藤蒼「だったら僕も、僕に出来得る手段をすべて使って抵抗するまで!」
須藤蒼「あの人を助けるためなら僕も・・・ずっと逃げ続けていた僕も、命を賭ける!賭けられる!」
須藤蒼「さあ選んで、おばあちゃん!僕が死んで一番困るのはおばあちゃんでしょう!?」
矢倉亮子「ま、待って、蒼。誤解よ。本当に誤解なの」
矢倉亮子「私は彼を見捨てるつもりなんかない、本当よ?」
矢倉亮子「貴方は彼が、真の救世主だと思っているんでしょう?私もそう信じたいわ」
矢倉亮子「だから最後に、それを証明してもらおうというだけじゃないの。神様の加護があるなら、毒なんかに負けたりしないって・・・」
須藤蒼「神様、ね」
須藤蒼「おばあちゃんにとって、神様ってなんなの?」
矢倉亮子「え?」
須藤蒼「神様っていうのはさ、自分を信じる人だけ助けてくれるような心の狭い存在なの?」
須藤蒼「だって僕にも、おばあちゃんにも、誰にも見えないんでしょう?誰もどんな姿をしてるかなんて知らないんでしょう?」
須藤蒼「見えないものをそう簡単に信じることなんてできないよ。できなくて当たり前なんだよ」
須藤蒼「なのにおばあちゃんは、信じないことが罪だという。信じない者は救われなくても仕方ないと。殺されても当然だと」
須藤蒼「世界を作った神様は、“信じない”人間さえ作ったはずなのに。そんな矛盾することってある?」
矢倉亮子「そ、それは、その・・・」
須藤蒼「神様が本当に神様なら。この世界を作ったなら。人々を平等に愛してくれるというのなら・・・」
須藤蒼「誰だって救われる権利が、愛される権利があって当然。なのに、どうして自分達の信者だけ贔屓するの?守ろうとするの?」
須藤蒼「その答えは、一つしかない」
須藤蒼「教祖であるおばあちゃんにとって、その方が都合がいいからでしょ?」
須藤蒼「信者はおばあちゃんを持ち上げてくれて、お金を払ってくれるから!」
須藤蒼「そういう“親切な”人達だけ贔屓したいから!その人たちのことだけ大事にして、都合の良い事を吹き込むんだ。違う!?」
矢倉亮子「ま、まあ!なんてこと言うの蒼!?」
矢倉亮子「私は本気で、世界を、人々を救おうと身を粉にして働いているというのに・・・!」
須藤蒼「それ以上近づくな!」
矢倉亮子「!!」
須藤蒼「それ以上近づくなら、僕は本当に死ぬよ、いいの!?」
矢倉亮子「や、やめなさいって蒼。わ、悪かったわ。おばあちゃんが悪かったから、ね?」
矢倉亮子「そんなこと、貴方にできるわけないでしょう?首を斬るのって、本当に痛いのよ?苦しいのよ?」
矢倉亮子「そんな死に方したくないでしょ?ね、刃物を下ろしなさい」
須藤蒼「そう思うならさっさと救急車を呼んで。さっきから僕はそれしか要求してない!」
矢倉亮子「そ、それは・・・」
小野坂真里亞「・・・・・・」
須藤蒼(落ち着け、僕。思った通り、おばあちゃんは動揺している。この手は間違いなく有効だ)
須藤蒼(あとは、うまい具合に場所を誘導して、電話のところまで行く・・・!)
須藤蒼(この部屋の机の上なら、外部に繋がる電話がある!おばちゃんが信者とのやり取りに使ってた電話が・・・!)
須藤蒼(それを使えば、119番通報ができる!110番も・・・!それで、チェックメイトだ・・・!!)

〇黒

〇教会の控室
須藤蒼「わあっ!?」
須藤蒼「な、ナイフが・・・っ!」
小野坂真里亞「させませんよ、蒼様」
矢倉亮子「お、小野坂さん?」
小野坂真里亞「勝手をお許しください、教祖様。ですが、蒼様の動きが不自然だったので気にしていたのです」
小野坂真里亞「確かに自分を人質にして、教祖様に選択を迫るというのは実に有効な手段でしょう」
小野坂真里亞「ですが、教祖様がすぐに頷かないのは見えていたはず」
小野坂真里亞「本当の狙いは、隙を見て机の上の電話を使うことですね?」
須藤蒼「くっ・・・!」
矢倉亮子「な、なんてこと・・・」
小野坂真里亞「ナイフは床に。そして、目の前には私と教祖様の二人」
小野坂真里亞「蒼様は男の子ですけど、それでも成人女性二人に適うほどではありません」
小野坂真里亞「どうか、教祖様の信念にご理解を。教祖様は本気で世界を救おうとされているだけ」
小野坂真里亞「そのためには、何がなんでもこの計画の全容が世間に知られるわけにはいかないのです」
小野坂真里亞「貴方は長年世話になった教祖様を、教団に所属する信者たち全員を、路頭に迷わせるおつもりですか?」
須藤蒼「・・・・・・っ」
矢倉亮子「蒼、分かって頂戴。私達は、貴方を虐めたいわけじゃないのよ」
矢倉亮子「ほら、こっちにいらっしゃい。警察が来れば貴方だってただでは済まないのだから・・・」
須藤蒼(どうする?どうすればいい・・・!?)
須藤蒼(見たところ、あの小野坂さんは格闘技経験者だ。どう見ても僕に勝ち目はない・・・!)
須藤蒼(舌を噛み切って死ぬ、と言えばまだ脅しは通じるけど・・・そもそもこっちには時間がない!)
須藤蒼(こんなことをしている間にも、輪廻さんが・・・!)
須藤蒼(どうする?どうする?どうすればいいんだ!?ああ、本当にどうすれば・・・!?)
須藤蒼(ここが、袋小路?もう詰んでる?そんなことない、輪廻さんならきっと諦めない!)
須藤蒼(何か手があるはずだ!何か、何か・・・!!)

〇黒
「蒼くん!」

〇教会の控室
須藤蒼「え!?」
小野坂真里亞「!!」
矢倉亮子「な、なぜっ・・・」
まちか「蒼くん!助けに来たよ!!」
みれい「あたし達だけじゃないぜ!!」
女性「わけわかんないけど、一応恩あるわけだし!」
老人「ここまで来たらやるしかないな・・・!」
男の子「教えろよ、俺達は何をすればいい!?」
須藤蒼「ああ、みんな・・・!」

次のエピソード:エピソード32・願の中

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