12 踏み出す一歩(脚本)
〇教室
あれから数日が経過した。期末試験は何とか乗り切る事が出来て、包帯やギプスもやっと取れて一人暮らしやバイトにも
やっと戻れる様に成り、バイト先にはそこまで怒られる事は無かった。
大島武「しかしまぁ、今思えば本当災難だったよな。テストの時とか、大丈夫だったか?」
鳥海宏斗「何とかやれたよ。やろうと思えば何でも出来る物だなって思えた」
大島武「超前向きだな・・・でも治ってくれて本当良かったよ!これから夏休みだし、皆で旅行とか行かないか?」
鳥海宏斗「旅行か!良いな!テストも無事終わった訳だし!計画して見ようか!」
前川敦子「鳥海!その後調子どうだい?」
鳥海宏斗「前川に黒部。あぁ、もう痛くも何とも無いよ」
黒部真由「本当良かった!バイトとか戻ったんでしょ!?」
鳥海宏斗「あぁ、暫くやって無かったから、普段そう言う事やれるってどれだけ嬉しいか良く分かったよ」
黒部真由「そっか。やっぱ健康で居るのが一番だよね!」
前川敦子「所で男共。あんた等何話してたの?」
大島武「あぁ、これから夏休みだからさ、皆で旅行しないかって話しててな」
黒部真由「そうなの!?何処行くか決めたの!?」
鳥海宏斗「まぁ落ち着いて。それはこれから話し合うから」
その後、俺は怪我も治った事も有り、何時もの生活に戻れた事が嬉しかった。授業の合間に大島達と旅行の相談をしながら、
俺は今日を楽しんでいた。
星宮まどか「鳥海君」
鳥海宏斗「星宮さん?どうかした?」
星宮まどか「怪我治ってから、調子どう?」
鳥海宏斗「あぁ、もう何とも無いし、これと言った不便も無いよ」
星宮まどか「そっか!もう大丈夫なんだね!」
鳥海宏斗「そうだ。今日大島達と夏休みに旅行行く話してたんだけど、星宮さん。良かったら一緒にどうかな?」
星宮まどか「旅行?」
鳥海宏斗「まぁ、まだ何処に行くとか決めて無いし、話し始めたばっかだから何とも言えないし、行き成りこんな事言われても」
鳥海宏斗「決められないよね?」
星宮まどか「大丈夫。後で大島君達の話あたしにも聞かせてね」
鳥海宏斗「分かった。俺から話すよ」
星宮まどか「うん。待ってる」
鳥海宏斗「さて、大島達にも星宮さんの事・・・って・・・」
鳥海宏斗「あれ?俺の机にこんなの入ってたか?」
次の授業の準備をしようとしたら心当たりが無い手紙が入っていた。中身を読んで見たら、屋上へ一人で来て欲しいとの
内容が書いて有った。
鳥海宏斗「何だろう。一応警戒する・・・か?」
悪戯だったら質が悪いが、一応行って見る事にした。
〇階段の踊り場
昼休み。
星宮まどか「あれ?あそこに居るのは・・・」
鳥海宏斗「・・・・・・」
星宮まどか「鳥海君?一人で屋上に行って何を?」
〇高い屋上
鳥海宏斗「取り合えず来ては見たけど、誰があれを書いたんだ?名前も書いて無かったし・・・」
一人で屋上に来ては見たが、辺りには誰も居なかった。引き返す理由も無いので少し待っていたら、誰かの足音が聞こえた。
木島瀬名「あ!鳥海宏斗君ですよね!お待ちしてました!」
鳥海宏斗「えっと、もしかして、あの手紙を書いた人?」
木島瀬名「はい!鳥海君と話すのは初めてでしたよね!私、隣のクラスの木島瀬名って言います!」
鳥海宏斗「木島さん・・・まぁ、初めまして」
木島瀬名「確かに、あれを書いたのは私です。鳥海君に話したい事が有って呼びました」
星宮まどか「・・・・・・」
鳥海宏斗「話したい事?」
木島瀬名「私、前から鳥海君の事が気に成ってて、一度話して見たいなって思ってたの。鳥海君ってバイトしたり、一人暮らししてるんでしょ?」
木島瀬名「誰でも憧れる事だけど、行動に移せるのって同い年ながらも凄いなって思うよ」
鳥海宏斗「え?そうか?俺はやりたいからやってるだけだったし。そんな凄い事してるつもり無いよ?」
木島瀬名「いやいや!謙遜する事無いよ!そう言うの、中々出来る人居ないよ!」
鳥海宏斗「まぁ、褒めてくれるだけ、有難いかな・・・」
木島瀬名「・・・って、話が逸れちゃったね。鳥海君、私が今日貴方を呼んだのは、貴方とお友達に成りたいからなの」
鳥海宏斗「友達?」
木島瀬名「うん。行き成り告白とかしたら困らせちゃうし、少しずつお互いの事知れたらなぁって思うから、どうかな?」
鳥海宏斗「そうだな・・・・・・まぁ、その位なら、断らなくても良いかな?」
木島瀬名「本当に!?なら、早速連絡先を・・・」
木島さんが俺と友達に成りたいと言い、その過程で仲良く成りたいとの事で、俺達は友達に成ろうとした時、
近くから誰かが走って来た。
星宮まどか「だ、駄目ぇ!!」
鳥海宏斗「え?星宮さん!?」
木島瀬名「あ、あの!何ですか行き成り!?」
星宮まどか「鳥海君こっち来て!!そこの貴方、この話無かった事にするから!!」
鳥海宏斗「え、星宮さん!?急にどうしてって!!」
木島瀬名「え、えぇ・・・」
〇体育館の裏
星宮まどか「はぁ・・・はぁ・・・!」
鳥海宏斗「星宮さん?一体どうしたんだよ?何時もの感じじゃ無いし、何か変だよ??」
星宮まどか「ほ、本当変だよね・・・あたし何やってるんだろう・・・」
鳥海宏斗「一体どうしたのさ?何か有ったなら聞くよ?」
星宮まどか「あたし・・・何て言うか、その・・・」
突然星宮さんに無理矢理連れて行かれて、俺達は一呼吸入れた後に、星宮さんは事情を話した。
星宮まどか「あたし、鳥海君が一人で屋上に上がってくの見て、気に成って追い掛けたら知らない女の子と話してるの見てさ」
鳥海宏斗「あれ?さっき俺が会話してたの見てたんだ・・・」
星宮まどか「それであの子が鳥海君と友達に成って、お互いの事知りたいなんて言い出したら、あたし居ても立っても居られなくて・・・」
鳥海宏斗「星宮さん・・・」
星宮まどか「だからあたし、鳥海君の事無理矢理連れ出して、傍から見れば迷惑な話だよね。人と喋ってるの邪魔するのって・・・」
鳥海宏斗「・・・・・・」
鳥海宏斗「ねぇ、星宮さん。真面目な事聞くんだけどさ。君、俺の事どう思ってる?」
星宮まどか「鳥海君の事?」
鳥海宏斗「冗談抜きで答えて。正直これは放って置けないよ」
星宮まどか「・・・あたしは・・・」
星宮まどか「あの時、見ず知らずのあたしがストーカーされて、たまたまだったとは言え鳥海君は助けてくれた。見返りとか求めずに」
星宮まどか「それまでずっと独りで、誰かに裏切られたりするのが怖かった。でも、鳥海君に助けて貰って、鳥海君の事が気に成って」
星宮まどか「このまま終わらせるのが嫌で、鳥海君の事見てたけど、どうやって声掛けたら良いか分からなかった。でも鳥海君はあたしと」
星宮まどか「友達に成ってくれた。今思えば凄く嬉しかったよ・・・」
鳥海宏斗「星宮さん・・・」
星宮まどか「鳥海君には本当の親が居ない事には凄く驚いた。車に轢かれたって聞いた時は凄く怖かった。死んじゃったらどうしようって、」
星宮まどか「凄く不安だった。ちゃんと生きててくれて本当嬉しかった!!」
鳥海宏斗「星宮さん・・・君は・・・」
星宮まどか「今日鳥海君があたしの知らない女の子と話してて、鳥海君が取られるんじゃ無いかって凄く怖かった・・・」
星宮まどか「鳥海君・・・あたしから離れないで・・・そこへ行くなら、あたしも連れてってよ・・・!!」
鳥海宏斗「・・・・・・!?」
鳥海宏斗「ま、マジかよ・・・星宮さんが、俺を・・・」
星宮まどか「やっと分かった・・・あたし、鳥海君の事が好きなんだって・・・鳥海君、あたしは・・・」
鳥海宏斗「・・・・・・!?」
鳥海宏斗「そっか・・・そうなんだね・・・」
鳥海宏斗「星宮さん、聞いて」
星宮まどか「鳥海君?」
鳥海宏斗「星宮さんの言いたい事は良く分かった。でも、それをやるって、結構重いと思うよ」
星宮まどか「え?」
鳥海宏斗「人と関わるって事は、自分が誰かを傷付ける事が有るって事だ。傷付けられるのは確かに怖い。でも、俺は俺一人の為に誰かを」
鳥海宏斗「傷付ける事の方がもっと怖い。多分俺、あの家族から逃げてたと思う」
星宮まどか「鳥海君・・・」
鳥海宏斗「一人暮らしして自分に力を付けるって言っても、俺、実の家族でも無いって理由だけで逃げてたと思う。桃香とか、義父さんや」
鳥海宏斗「義母さんに、これ以上迷惑掛けたく無いって言い訳してたんだと思う。ハッキリ言って、俺って凄くちっぽけなんだよ」
鳥海宏斗「一人暮らしって言っても、結局俺は誰かしらに助けられてる。大人に成ってもそれは変わらないかもだし。俺は・・・」
星宮まどか「関係無いよ・・・」
鳥海宏斗「星宮さん?」
星宮まどか「立場とか、どんな生き方したかなんて関係無いよ!ちっぽけだから何!?ちっぽけだけど鳥海君はあたしを助けてくれた!!」
星宮まどか「鳥海君が辛いならあたしに言ってよ!家族じゃ無いから頼らない?そんなの馬鹿だよ!!」
星宮まどか「鳥海君は優し過ぎるよ!自分が困ってるならあたしや桃香さん達を頼れば良いじゃん!」
鳥海宏斗「・・・・・・!?」
星宮まどか「何にも恥ずかしがる事じゃ無い!鳥海君が辛いなら、あたしを頼って!幾らでも力に成るから!だからあたしと付き合ってよ!!」
鳥海宏斗「・・・・・・星宮さん・・・本当に良いの?」
星宮まどか「これから辛い事とか一杯有るよ。なら、一緒に乗り越えようよ。一緒に強く成れば良いだけだもん!」
鳥海宏斗「・・・・・・あぁ・・・」
鳥海宏斗「あは、あははははは!!」
星宮まどか「と、鳥海君!?どうしたの!?」
鳥海宏斗「御免御免!何と言うかさ、星宮さんの話聞いたら、俺一体何を迷ってたんだろうって思ったら、何か自分がおかしく思えちゃって」
星宮まどか「鳥海君・・・」
鳥海宏斗「本当、こんな事にも気付けないなんて、俺って馬鹿だな。こんなんで良く一人暮らしなんて出来たな」
鳥海宏斗「星宮さん・・・いやまどか。俺何か気分が晴れたよ。そうだよな。どんなに辛くても、乗り越えれば良いんだよな」
星宮まどか「鳥海君・・・」
鳥海宏斗「俺も、まどかと一緒に居て凄く楽しいよ。傷付けない様には出来ないかもだけど、俺で良ければ付き合ってくれないか?」
星宮まどか「・・・!?鳥海君、本当に良いの?」
鳥海宏斗「あぁ、俺はまどかと一緒にやって行きたい」
星宮まどか「・・・!!有難う・・・宏斗!!」
一緒に過ごす中で、俺達はお互い、自分の気持ちに気付いて思いを打ち明けた。これから俺達は、乗り越えれば成らない事が
沢山有るだろうが、お互いの傷を背負いながら、俺達は一歩踏み出すのだった。
ここで真のライバル登場とは・・・
予告された手遅れになる直前でしたが、見事に手にしたようですね!
付き合う事になった二人の今後とはどうなるのかな?