魔王様は平和に憧れている

みちみち

エピソード5 真実と反撃(脚本)

魔王様は平和に憧れている

みちみち

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〇海沿いの街
  あれは星が綺麗な夜の事だった

〇ヨーロッパの街並み
「それで・・・」
レオパード「我はどうしたら良いのだ」
エリート「貴方が街の人間達に歩み寄りたいだなんて」
エリート「話を聞いただけで驚きました」
エリート「魔王様?」
レオパード「あぁそうとも」
レオパード「我々魔族は人間に歩み寄りたいと思っている」
レオパード「共に平和に共存できるように」
レオパード「努力をしていきたいと考えている」

〇戦場
  先代の魔王と街の人々に起こった争いを
  全て水に流そうなどとは言えない

〇ヨーロッパの街並み
レオパード「だがしかし我々の世代が」
レオパード「歩み寄り努力する事で」
レオパード「もう二度と」
レオパード「あのような過ちを繰り返さずに済むはずだ」
レオパード「その為の信頼を得られるなら」
レオパード「我はなんでもしよう」
レオパード「とはいえ現魔王である我が訴えたところで」
レオパード「誰も信じてはくれぬだろう」
レオパード「そしたら君が手を貸してくれると言ってくれた」
レオパード「我々魔族と街の人間たちの橋渡し役をしてくれると」
エリート「そうですよ魔王様」
エリート「その為に今宵貴方をここにお呼びしたのです」
エリート「人間である私の方が信頼は得やすいですからね・・・」
レオパード「ありがとう」
レオパード「君のような青年が我々を信じてくれて」
レオパード「手を貸してくれるとは」
レオパード「なんと頼もしいことか・・・」
エリート「お安い御用です」
エリート「平和の為ですから・・・」
エリート「さて・・・」
レオパード「・・・」

〇ヨーロッパの街並み
レオパード「な、何をしているんだね!?」
エリート「これから街中の花畑を燃やして廻るのですよ」
レオパード「何故そんな事を!?」
エリート「貴方がやった事にする為です」
レオパード「な、何故そのような事を!?」
エリート「大丈夫」
エリート「今宵貴方が此処に来た事は誰かが目撃しているでしょう」
レオパード「と、とにかく」
レオパード「火を消さなければ・・・!?」

〇ヨーロッパの街並み
エリート「魔族の分際で何を言っている」
エリート「何が平和だ」
エリート「何が歩み寄るだ」
エリート「それは魔族が口にする言葉じゃない」
エリート「貴様達がどれだけの綺麗事を並べても」
エリート「どうせ誰も信じやしないんだよ!!」
レオパード「そ、そんな」
レオパード「君は信じてくれたんじゃないのか」
レオパード「信じて手を貸してくれようとしたんじゃないのか・・・」
エリート「信じるわけないでしょう?」
エリート「私に魔王の片棒を担げとでも?」
レオパード「そ、そんな それなら何故」
エリート「鈍い人だなぁ・・・」
エリート「頭の中お花畑なんですか?」
エリート「魔王のくせに」
エリート「貴方を嵌める為に此処に呼んだのですよ」
エリート「私の出世に利用する為にね」

〇ヨーロッパの街並み
  あはははははは──

〇上官の部屋
エリート「その後も必死で火を消そうとしていたよ」
エリート「あれは滑稽だった」
エリート「で、その後は君が本で読んだストーリーの通りだよ」
エリート「しかし魔王という割に弱かったな」
エリート「魔法のひとつも使わないで」
エリート「平和ボケしていたのかな?」
エリート「全く魔王には魔王らしくして貰わないと困るよね」
エリート「魔王には魔王の役割っていうのがあるんだ」
エリート「悪役という勇者の引き立て役というね」
エリート「そうじゃないとバランスが乱れるだろう」
エリート「何を勘違いして良い存在になろうとしていたのか」
エリート「大人しく勇者に倒されればいいものを、ね」
ケビン(ごめんなさい父上)

〇英国風の部屋
  ごめん
  ごめんな
レオパード「ケビン・・・」
  あの日の父上の謝罪の意味を
  幼い僕は理解出来なかった

〇上官の部屋
  そして事実を知った今も
  全くもって理解出来ない!!
  謝罪すべきは父ではなく
  目の前にいるこの男だ──
ケビン「先生」
ケビン「謝ってください」
エリート「え?」
ケビン「街の人達を騙した事と」
ケビン「我が父と魔族達の気持ちを踏みにじった事を──!!」
エリート「父・・・父だって?」
ケビン「ああそうだ、僕は現魔王」
ケビン「あんたが嵌めた先代の息子だ!!」
エリート「──!?」
エリート「成る程ね」
エリート「あの魔力の強さはそういう事か」
エリート「まんまと騙されていたようだ」
エリート「まったく惜しいよケビン君」
エリート「それで、目的はなんだ」
ケビン「さっき言ったように謝罪を要求する!!」
ケビン「此処でではなく」
ケビン「街の広場で、皆の前でだ!!」
エリート「は、ははは」
エリート「私がそんな事をするとでも?」
エリート「君は魔王なんだろう?」
エリート「なら君の父親と同じように」
エリート「君の言う事は誰も信じない」
ケビン「証拠が無ければな」
ケビン「今までの会話は全部」
ケビン「この魔道具に全て録音させてもらった」
エリート「な、何!?」
エリート「ならそれを渡してもらおう──!!」
ケビン「これを奪っても無駄だ!」
ケビン「音声は全てこれの対となるものに転送されている」

〇魔王城の部屋
  メリッサ!
メリッサ「はい、坊ちゃん!」
メリッサ「音声は全てこちらに届いております!!」

〇上官の部屋
エリート「何!?」

〇魔王城の部屋
メリッサ「観念なさい、詐欺師エリート!!」
メリッサ「坊ちゃんに手出しをしようものなら」
メリッサ「我々魔族はお前をもう許さない!!」

〇上官の部屋
エリート「くっ──」
ケビン「先生・・・いやエリート」
ケビン「真実をきちんとあんたの口から皆に説明して欲しい」
エリート「・・・」
エリート「参った」
エリート「お手上げだよ」
ケビン「──!」
ケビン「ならこちらの要求を受け入れるのか?」
エリート「・・・仕方ない」
エリート「私の伝説もここまでのようだね」
ケビン「──!!」
ケビン「なら約束の日時は明日の正午」
ケビン「街の広場でだ」
エリート「・・・了解」

〇草原の道
ケビン「やった」
ケビン「やったぞ」
ケビン「明日、エリートが全てを話せば」
ケビン「我々魔族の無念と悪夢がようやく晴れる」
ケビン「父上・・・!!」

〇菜の花畑
マーガレット「今日は風が強いな・・・」
マーガレット「嫌な風──」
マーガレット「花は大丈夫だろうか・・・」
  きゃっ!?
エリート「動かないで貰おう」
エリート「大人しく着いてきてくれれば手荒な真似はしない」
マーガレット「・・・」

〇古い洋館
  坊ちゃん!!
メリッサ「た、大変です!?」
メリッサ「マーガレットが──」
ケビン「──!?」

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