勇者にはほしい才能がある

東龍ほフク

16/忘れ ʓ 前に聞 Ɩ ı ᘔ (脚本)

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〇山道
ギン「ここら辺だって、雪が積もってるのが 普通な土地なのに〜〜」
ギン「あつ〜〜い」
ギン「そういやぁさぁ‥‥‥」
ギン「ダメだった恋愛小説のあらすじ、聞く?」
マモ「‥‥‥まだ『ダメ』と決まったわけじゃ‥‥‥」
ギン「ダメダメ! 殴っちゃったもんよ!」
マモ「いつかまた書き直して、それを見せてくれよ」
ギン「いいよ 俺が忘れる前にサクッと聞いといてくれよぉ」
マモ「‥‥‥お前、自分の作品を忘れるほど 作品に愛着ない人間じゃないだろ」
ギン「じゃ、語るべ」

〇テクスチャ
  ある所に、彼女持ちの男に恋を
  してしまったコがいたんだ。
先読みマモ「なるほど。 その男の彼女を暗殺して、男を奪うんだな」
先読みマモ「さすが、アググ・リシュケ信者は やる事が早くて気持ちいいな」
ギン「‥‥‥違うやぃ」
  そのコは別に男を女から奪う気もなく、
  また特に自分から告白する気も
  さらさらなかった。
  『あぁ‥‥‥でも、彼への愛しい思いが
  日々日々つのっていくわ‥‥‥』
  『つらい‥‥‥‥つらいわ‥‥‥』
先読みマモ「なるほど。その苦しみから開放されたくて 男のほうを殺害するんだな」
得意げマモたん「さすが、アググ・リシュケ信者は やる事が早くてやはり気持ちいいな」
ギン「お前、俺を何だと思ってる?!💧」

〇魔法陣2
  ある日、女は『ドキドキ☆恋の魔法陣』と
  いう本を使って“とある悪魔”を
  召喚するんだ。
しつこいマモ「あ〜、わかった。 悪魔に男か女を殺させるんだな」
しつこいマモ「嫌いじゃないぞ、自分の手は汚さない女」
  (無視)
  『汝、横恋慕がつらいか』
  『どれ、どちらをどうしてくれようか?』
  『‥‥‥‥』
  『悪魔様。どうか、私のこの恋心を
  消していただけませんか』
  『?!』
  『あの人へのこの想いを、記憶を消して
  いただけないでしょうか』
  『そんなものでいいのか、小娘』
  『はい』
  『‥‥‥承知した』
  『で? その代償は何だ?』
  『考えたのですが‥‥‥』
  『足の指1本でよろしいでしょうか?』
  『良いぞ。その願い、聞き届けた』
  こうして、女は男への『好き』の気持ちを
  消して楽にしてもらった。

〇林道
マモ「ふむ、あのクソバカ編集者が「切ない」と 言っていたのはそういう事か」
ギン「おっめぇ‥‥‥途中、何回チャチャ入れて‥‥‥」
ギン「‥‥‥‥」
ギン「‥‥‥はい。まだ続きます」
マモ「‥‥‥?」

〇テクスチャ
  男への恋心を消してもらった女は、
  心穏やかな日常生活に戻れた。
  心穏やかに生活できた‥‥‥
  が、再び同じ男に恋をしてしまった。
  女と男は生活圏が近かったから、
  また自然とお関わりしてしまったんだ。
  記憶を消してもらったはずなのに、
  また同じ声・顔・笑顔に恋をして。
  また『その男には既に愛する人がいる』事を
  知って。

〇魔法陣2
  本棚にあった魔術本を見て、
  また悪魔を呼び出し。
  『‥‥‥‥‥‥』
  記憶を消す前の事を覚えていない
  はずなのに、再び足の指を代償に
  記憶を消してもらい。

〇テクスチャ
  また、恋をして

〇魔法陣2
  記憶を消してもらって

〇テクスチャ
  また、恋をして

〇魔法陣2
  『ねぇ、悪魔さん』
  『私の“手の指”1本で彼の記憶を
  私から消してくれないかしら』
  『足の指は“生まれつき無い”から、
  大事な大事な手の指を1本』
  『このバカ女が!!!!!』
  『何回、同じ男に恋しとるんだ!!!!』
  『‥‥‥‥え?』
  『まずは引っ越せ!生活圏を男とずらせ!!』
  『えっ? えっ??』

〇西洋風の部屋
  悪魔は、女を男の生活圏から遠く
  離れた地へ引っ越しさせた。
  足の不自由な女に代わって
  悪魔が荷造りや事務手続きをした。
  『悪魔さん、ありがとう』
  『ねぇ、初対面の私に何でそこまで
  してくれるの?』
  『──── っ』
  オプションとして、悪魔は男の記憶と同時に
  醜い自分の記憶もいちいち女から
  消していたのだ。
  『どうしましょう。
  お礼できるものと言ったら‥‥‥』
  『眼球お1つ、いりますか?』
  『おやめ!!!!!!』
  『貴様、もう少しシャンとしろ!』
  『覇気がない! 
  ちゃんとメシは食べてるのか?!』
  『‥‥‥‥ババロア食べた‥‥‥』
  『正気か?!?!?!』
  『メシ作ってやるから、シャンとしろ!』

〇草原の道
マモ「なんだろう‥‥‥悲劇臭がすごい‥‥‥」
マモ「いい意味で楽しみ‥‥‥‥」
ギン「あと、何書いたっけ〜?」
ギン「忘れちった☆」
マモ「は?」
マモ「だからお前、そんな奴じゃないだろって‥‥‥」
マモ((もう、魔物が姿を見せてなくても 気配だけで居場所わかるのかよ‥‥‥))
ギン「ただいまぁ〜」
マモ「‥‥‥にしても、お前は作中で体を 欠損させるのが好きだな」
マモ「ペドロさんの顔の皮を剥ぐし、 部隊長の耳ちぎるし」
ギン「ははは」
ギン「でも『ニワトリのデッカちゃん』では 欠損してないぞ?」
ギン「あれは欠損どころか‥‥‥」
マモ「‥‥‥‥何だソレ」
ギン「え? 学校の国語の授業で書いた絵本 あるじゃん」
マモ「‥‥‥それは知らない」
マモ((‥‥‥そうか))

〇城の廊下
マモ((俺が”壁に貼られたギンの読書感想文”で ギンを知る前の授業だったから‥‥‥))
マモ((この俺が知らないのか))

〇草原の道
マモ「これまた、不穏そうで面白そうだな 教えてくれよ」
ギン「‥‥‥‥‥」
ギン「へぇ、ソレは知らないのか‥‥‥」
先を歩くギン「そういやお前、学校生活のいつに 俺を知ったんだよ」
先を歩くギン「今更『黙秘』で黙るなよ?」
マモ「‥‥‥壁に貼られたお前の読書感想文の 横柄さに惚れたのが最初だった」
朗らかギン「‥‥‥‥‥あぁ〜! あれね!」
マモ「そこから、日直日誌のお前のところだけ 読んだりとか」
朗らかギン「図書室で俺が借りた本を 猿真似して読んだりとかな」
楽しそうなギン「へぇ〜、なるほど」
ギン「‥‥‥‥‥‥」
楽しそうなギン「そんな昔からダンマリ決め込んで、 俺と関わらないようにしながら 監視してたんだなぁ」
楽しそうなギン「「こいつ、いつも1人で本読んでるな」って 哀れみの目でも向けてました?」
マモ「‥‥‥‥‥」
マモ「すまん。何が言いたいんだ」
ギン「いやいやいやいや?」
ギン「無言の応援をありがとうよ」
マモ((‥‥‥言い方に意図的にトゲがある))
マモ((‥‥‥俺はあいつに嫌われている))
マモ((‥‥‥‥いや、そもそもか))

〇黒
  違う。
  そんな事を言いたいわけじゃねぇのにな。
  怒りと感謝と申し訳なさと恐怖で
  ワケわかんなくなってるな。
  ‥‥‥‥‥。
  あいつに、
  「ごめん。小説が書けなくなった」と
  言ったら、捨てられるのかな俺。
  ‥‥‥‥‥‥。
  文字を読 ƕ でも、目が滑 ʓ 。
  考えていた話の構成が、以前よ レ)更に
  組み立てられなくなってい ਡ 。
  ──── ほら。
  書いたはず、さっき説明 ᒐ たはずの
  恋愛小説をもう忘れかけている。
  ‥‥‥‥あぁ、言えねぇなぁ。
  Ɩ ı ち”ファン”に相談する作家な ꩢ て
  ダセェわなぁ。

〇暖炉のある小屋
ギン「ウッ‥‥‥」
ギン「キャラの言動が前半と後半で 矛盾してもぅた‥‥‥」
ギン「終わった‥‥‥」
マモ「あきらめるな!」
マモ「ふて寝するな!」
マモ「小説書くのをやめたお前なんて、 ただの『糞の詰まった肉袋』だぞ!」
ギン「さすがにその言い草はヒドすぎねぇ???!!!」

〇黒
  うわ。
  俺、क॑いつの中で『糞詰まり肉袋』に
  なっㄘゃうんだ。
  ‥‥‥‥‥

次のエピソード:17/糸色 女子 言周 丰゙ソㄑ ƕ

コメント

  • マモたんがギンしゃんを狂わせていく…
    なのにマモたんも辛くなっていく…
    この話ではそういう話は無いと思っていても🥹てなってしまう…✨尊い
    前回のコメで余計なこと言ってすいませんでした!本当に申し訳ないです💦
    しかしギンさん欠損もの好きですよね。私もマモたん位追いたい…。✨
    G様のお名前が出てきて🤤でした💕

  • 作中作の凄惨さが、マモの想像の上を行ってる…。足の指一本で止まらないところが非常にいいですね。この恋愛物語、好きです。
    そしてギンの欠損は肉体面ではなく…仮に魔物を倒すほどお話を作れなくなっていくのなら、こんなに残酷な話は無いですね。次回も楽しみです。

  • 拝読させていただきました。手ブロで交流させていただいております夜月と申します。崩れていく文字や、お父様の過去とか、散りばめられた不穏な要素がいつ形を成して襲ってくるのか気になって仕方がないです…!そしてギクシャクしてしまった二人がどうなっていくのかも…!!続きを楽しみにしております。

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