11 警告(脚本)
〇一人部屋
俺が右手足を怪我してから一週間程経った。期末テストが近い事も有り、一人黙々と勉強しているが、左手で字を書くのには
未だ慣れずに居たが、滅気てる場合でも無いのでやれる事はやる事にしていた。
鳥海宏斗「良く良く考えたら、俺最近ケーキ作りやって無かったな・・・先輩達に迷惑掛けてるんだよな・・・」
怪我の問題も有って最近はバイトも出来て居ない。正直こんな怪我は早く治したいが、こればかりは自分でもどうにも出来なかった。
「義兄さん、今大丈夫?」
鳥海宏斗「この声・・・どうした桃香?」
「義兄さんにお客さんだよ。私ちょっとお邪魔したく無いから、お客さんだけ通すけど良い?」
鳥海宏斗「どう言う事だ?まぁ良いや。通して」
「分かった!後はご自由にね!」
星宮まどか「鳥海君、お早う・・・」
鳥海宏斗「星宮さん?今日はどうしたの?」
星宮まどか「ちょっと心配だから、来ちゃった・・・」
鳥海宏斗「もしかして、怪我の事?」
星宮まどか「それも有るけど、何かこう、不便とかして無いかなって」
鳥海宏斗「そうだな・・・書けなくは無いけど左手で字を書くのがやり辛かったり、箸を持ったりするのは不便かな?」
星宮まどか「超有り触れた悩みだね」
鳥海宏斗「まぁ流石にテストは自分でやるよ」
星宮まどか「うん。それは大事だよ」
鳥海宏斗「あれ?今の声・・・」
星宮まどか「あぁ!今日あたしの独断でチャム連れて来たんだ!迷惑じゃ無ければ、籠から出して良いかな?」
鳥海宏斗「そうだったんだ。別に構わないよ」
星宮まどか「有難う!じゃあ出すね!」
星宮さんが持って来た籠の中にはチャムが入っていたので、俺は迷わず籠から出して上げる事を提案した。
鳥海宏斗「チャム、何か久し振り」
鳥海宏斗「あれ?何か俺に対して怒ってる?」
星宮まどか「何だろう?あたしも分からないんだよね」
鳥海宏斗「まぁ、何がともあれ、俺、勉強再開したいから、良いかな?」
星宮まどか「あ、うん!今日一緒に勉強するつもりで来たんだ!」
鳥海宏斗「そっか。じゃあ一緒にやろう」
チャムが俺に対して何か言いたげだが、俺にはそれが全く分からなかった。ともあれ、俺は星宮さんと共に勉強に打ち込むのだった。
〇一人部屋
星宮さんと共に黙々と勉強を進めていたら、気付いたら夕方に成っていた。
鳥海宏斗「さてと、もうこんな所で良いかな?」
星宮まどか「ねぇ、本当に大丈夫?」
鳥海宏斗「まぁ、未だに痛むけど、テスト当日には完治しないのは目に見えてるし・・・」
鳥海宏斗「何より、こんなの早く治して、バイトに復帰したいし、迷惑掛けるってこんなに嫌な気分に成るんだなって」
星宮まどか「め、迷惑って!事故に合ったのは鳥海君の所為じゃ無いよ!自分の事過信した運転手の方が悪いし!!」
鳥海宏斗「まぁ、確かに悪くは無いんだろうけど、こうもずっと休んでると罪悪感が半端無いと言うか」
星宮まどか「焦らなくて良いよ。変に焦ったら治る物も治らないよ。だから大丈夫だよ」
鳥海宏斗「有難う・・・まぁ、バイト先にはどの道謝るつもりだけど・・・」
星宮まどか「そっか・・・あのさ鳥海君。勉強始める前に桃香さんとちょっと話してたんだけどさ」
鳥海宏斗「え?何を?」
星宮まどか「あぁ、実はね・・・」
〇シックな玄関
時刻は星宮さんが家に訪問する辺りまでに遡る。
鳥海桃香「あれ?今日来客の予定有ったかな?はぁい!どちら様ですか?」
「その声、桃香さんだよね?」
鳥海桃香「その声、星宮さん!?急にどうしたんです?」
「何と言うかその、鳥海君のお見舞いに来たんだけど」
鳥海桃香「分かりました。直ぐドアを開けます」
星宮まどか「お、お邪魔します・・・」
鳥海桃香「何をそんなに固く成ってるんです?」
星宮まどか「何と言うかその、知り合いの家に自分から行くって経験余り無いから」
鳥海桃香「まどかさん・・・気を悪くするなら謝りますが、貴方ってぼっちなんですね」
星宮まどか「は、はい・・・まぁ、色々有ったから・・・」
鳥海桃香「まぁそこの所は聞きませんから。義兄さんのお見舞いですよね。義兄さんなら今部屋に居ます」
星宮まどか「あ、有難う。鳥海君の自室って何処に?」
鳥海桃香「まぁ案内位はしますが、その前に少し良いですか?」
星宮まどか「何か?」
鳥海桃香「最近義兄さんとどんな感じですか?」
星宮まどか「どんな感じって聞かれたら、まぁ大した変化とかは無いかな?」
鳥海桃香「そうですか・・・実際、義兄さんと一緒に居て貴方はどんな気持ちですか?」
星宮まどか「どうだろう・・・上手くは説明出来ないけど、鳥海君の力に成りたいって言うか、助けて上げたいって言うか・・・」
鳥海桃香「何ですその微妙な返答?」
星宮まどか「いや!その・・・あたしにも上手く答えられなくて!」
鳥海桃香「まぁ良いです。私も貴方と義兄さんに思う所が有りますから」
星宮まどか「え?どう言う事?」
鳥海桃香「前に話して覚えてるかはさて置いて、私は何時か義兄さんと同じ高校に行きたいと思ってますし、結婚したいとも考えてます」
鳥海桃香「ですが、もし貴方が義兄を好きだって言うなら、貴方の事応援したいなって思う自分も居ます」
星宮まどか「へ、へぇ・・・」
鳥海桃香「実際、私が義兄さんと結婚しなくても私達は既に家族ですし、義兄さんが何処の誰と結婚しても私達は兄妹で在る事に変わり無い」
鳥海桃香「ですし・・・」
星宮まどか「は、はぁ・・・」
鳥海桃香「まどかさん。もし本当に義兄の事好きなら、行動は早めに起こした方が良いですよ。他の誰かに取られたら、後で言い訳なんて」
鳥海桃香「出来ませんよ?」
星宮まどか「え!?」
鳥海桃香「まぁ私は義兄さんが幸せに成ってくれればどんな相手でも構いませんが、本気を出すなら早めの方が良いですよ」
星宮まどか「・・・・・・」
鳥海桃香「まぁ、全部もしもの話で、決めるのは全部貴方なので。言いたい事言わなかったりやりたい事やらなかったら絶対後悔するから、」
鳥海桃香「私もやりたい事はやりますし、言いたい事は言います。それで相手を傷付けたら謝ります」
鳥海桃香「義兄さんの部屋はこっちです。上がって下さい」
星宮まどか「う、うん!」
〇一人部屋
そして現在。
鳥海宏斗「桃香の奴そんな事を?」
星宮まどか「う、うん・・・多分、あたしに警告してくれたんだと思うけど」
鳥海宏斗「あいつそんな事言ってたのか・・・幸せって言っても良く分からないし、俺としては早く怪我治したいって言うか・・・」
星宮まどか「そ、そうだよね!あたしがまだ鳥海君に対してどう言う気持ちかもハッキリしてないし!焦っても良い事無いよね!」
鳥海宏斗「まぁ、そこの所は一人に成って良く考えた方が良いかもね。俺の事は気にしないで、自分がどうしたいか良く考えて見て」
星宮まどか「あ、有難う・・・」
その後、義父さんが帰宅し、俺から頼んで星宮さんを自宅に送り届けて貰う事にした。俺はまだ無理出来ない事も有り、
自宅の玄関まで星宮さんを見送る事と成った。
雰囲気が良いですね!
周りから応援される恋・・・
ライバルになりそうな義妹さんを背中を押してくれる展開・・・
続きが気になる!