ラウンジの幕開け前の

ましまる

①.ブギとミルクとコンビニと(脚本)

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〇ジャズバー
???「いらっしゃーい」
???「まだ開店前ですよー」
胡蝶 結女(こちょう ゆめ)「あのー・・・」
胡蝶 結女(こちょう ゆめ)「ピアノ演奏の件で参りました・・・」
店長さん「あー、はいはい」
店長さん「美登利ちゃんの紹介の子ですね」
店長さん「彼女の学生時代の後輩と伺ってますが」
胡蝶 結女(こちょう ゆめ)「はい、音大の後輩です」
胡蝶 結女(こちょう ゆめ)「美登利先輩には学生時代からずっと 今でもお世話になっています」
店長さん「アナタについて 彼女は面白そうに話していましたよ」
店長さん「「演奏も性格も個性的な子」ってね」
胡蝶 結女(こちょう ゆめ)「えっ・・・」
店長さん「まぁ見たところ 普通のお嬢さんって感じがしますけど」
店長さん「そうそう、履歴書は持ってきましたか?」
胡蝶 結女(こちょう ゆめ)「はい、こちらに・・・」
店長さん「ええと、なになに・・・」
店長さん「前職は、学校の先生!?」
胡蝶 結女(こちょう ゆめ)「・・・はい」
店長さん「どうして辞めちゃったのですか?」
胡蝶 結女(こちょう ゆめ)「実は・・・」
胡蝶 結女(こちょう ゆめ)「卒業式のときに、教頭先生から ピアノ演奏を頼まれまして、」
胡蝶 結女(こちょう ゆめ)「ちゃんとご指示のとおりに演奏したのに、」
胡蝶 結女(こちょう ゆめ)「何故か教頭先生に叱られ、暴力を振るわれ 退職に追い込まれたんです・・・」
店長さん「それは、典型的なパワハラですね」
胡蝶 結女(こちょう ゆめ)「はい・・・」
店長さん「そんな職場は 辞めて正解だったかもしれませんね」
店長さん「それで、ピアノ演奏のアルバイトを 探していたという訳ですか」
胡蝶 結女(こちょう ゆめ)「・・・はい」
店長さん「なら、しばらくは ウチでバイトされてはどうですか?」
店長さん「美登利ちゃんのお墨付きなら 腕前も大したものだろうし」
胡蝶 結女(こちょう ゆめ)「あっ、ありがとうございます!」

〇ジャズバー
店長さん「とりあえず、演奏する曲については アナタに一任しますから」
店長さん「候補曲は、すでに考えてあるのでしょう?」
胡蝶 結女(こちょう ゆめ)「はい、ある程度は・・・」
店長さん「そこで、念頭に置いておいてほしいことが 幾つかあるのだけど、いいですか?」
胡蝶 結女(こちょう ゆめ)「はい」
店長さん「まず、ウチは大人のピアノラウンジだから」
店長さん「この大人の雰囲気を邪魔しないよう 曲選びをしてほしいです」
店長さん「だから、技巧よりも雰囲気を重視ですよ」
店長さん「リストの超絶技巧練習曲よりも、 もっと寛げる曲を選んでくださいね」
胡蝶 結女(こちょう ゆめ)「わかりました」
店長さん「それと、流行りの曲のピアノアレンジも 無しにしてください」
店長さん「管理団体に知られたら 曲の使用料を払うことになりますから」
店長さん「管理団体よりも、アナタたち演奏者に できるだけお金を払いたいので」
胡蝶 結女(こちょう ゆめ)「えっ、流行り曲は禁止ですか・・・」
胡蝶 結女(こちょう ゆめ)「準備してきたのですが、 仕方ないですね・・・」
店長さん「ちなみに、それはどんな曲ですか?」
胡蝶 結女(こちょう ゆめ)「笠置シヅ子先生の「買物ブギー」です」
店長さん「・・・は、流行り曲ですか?」
店長さん(どの世代を対象とした選曲なんだ・・・)
胡蝶 結女(こちょう ゆめ)「戦後日本の大流行曲じゃないですか」
店長さん「・・・ええ、そうですが」
店長さん(しかも、「東京ブギウギ」ではなくて 「買物ブギー」って!?)
胡蝶 結女(こちょう ゆめ)「・・・ええと、どうされました?」
店長さん「・・・いや、何でもないですよ」
店長さん「ともあれ、「買物ブギー」を作曲した 服部良一氏は、90年代まで存命だったから」
店長さん「ウチで演奏すると 曲の使用料が発生することになりますね」
店長さん「だから、別の曲にしておきましょうか」
胡蝶 結女(こちょう ゆめ)「・・・はい」
店長さん「クラシック曲を弾くのはどうですか? ショパンのエチュードとか」
胡蝶 結女(こちょう ゆめ)「でしたら、1曲準備しています」
店長さん「ほう、どんな曲ですか?」
店長さん「とりあえず、軽く弾いてもらえますか」
胡蝶 結女(こちょう ゆめ)「わかりました」

〇ジャズバー
  (結女さん演奏中)
店長さん「はい、ストップ!」

〇ジャズバー
胡蝶 結女(こちょう ゆめ)「・・・えっ、もういいのですか?」
店長さん「この曲の演奏は、やめておきましょうか」
店長さん「お客さんの大半が「鼻からミルク」を 連想してしまいますので」
胡蝶 結女(こちょう ゆめ)「どうしてこの曲が 「鼻からミルク」なんですか?」
店長さん「ウチの客層って40代以上がメインですが、」
店長さん「その世代にとって、今の出だしは とある替え歌を連想してしまいますから」
胡蝶 結女(こちょう ゆめ)「・・・替え歌?」
胡蝶 結女(こちょう ゆめ)「そういうのがあるのですね」
店長さん「まぁ、若い人はご存知ないかもですが」
胡蝶 結女(こちょう ゆめ)「私、替え歌だったら、」
胡蝶 結女(こちょう ゆめ)「八代亜紀さんの素顔を誰も知らない、 というネタが一番好きです」
店長さん(それ、「鼻からミルク」の替え歌と 同じ人のネタ・・・)
店長さん「・・・この曲も無しにするとして、」
店長さん「他に用意してきた曲はありますか?」
胡蝶 結女(こちょう ゆめ)「実は、以上の2曲だけでして・・・」
店長さん(うち1曲が「買物ブギー」って・・・)
店長さん「でしたら、次の時までに クラシック曲を色々と用意してください」
店長さん「手持ちの曲は、 多いに越したことないですからね」
胡蝶 結女(こちょう ゆめ)「あっ、先ほどショッピングをしていたら 曲が思い浮かんだので、」

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コメント

  • 読み手は、「ラウンジの幕開け前の」の物語に引き込まれました。結女さんのピアノ演奏への情熱や新しい挑戦に応援したくなります。店長さんのサポートも心温まるものがあり、結女さんの成長が楽しみです。ジャズバーの雰囲気や曲選びの重要性が物語に深みを与え、次回の演奏が楽しみですね。

  • 学校を辞めた理由はパワハラでよかったのでしょうか。違ったような… 彼女がいたほうがお客さんも楽しめると思いますけどね。客層によりますが。カノンは何がよくないのかずっと気づきませんでした…

  • わわっ!凄い!✨演奏はましまるさんのピアノでしょうか?🥹✨私事ですが最近クラシックを調べていて、2人のやりとりを楽しませて頂きつつ勉強もさせて頂きました。💖博識でいらっしゃる〜🥹💕
    ましまるさん凄いですよね。広範囲に知識が豊富で語彙もある。会話のなだらかさも美しい。ましまるさんの話読むのワクワクします🥰

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