比来ネオの事件簿①(脚本)
〇マンションの入り口
〇高級マンションの一室
菜七子(ナナコ)「ちょっとちょっと、ネオくん!?」
菜七子(ナナコ)「その格好はどうしたの?」
比来(ヒライ)ネオ「通常営業の俺だけど〜?」
菜七子(ナナコ)「任務は聞いた?」
菜七子(ナナコ)「明日から君は、アイドルになるんだよ?」
比来(ヒライ)ネオ「潜入捜査ね。 分かってますよ」
比来(ヒライ)ネオ「VRゲーム『他担狩り』看板アイドルの1人、『響スイ』になるんだよね〜!」
比来(ヒライ)ネオ「それがさあ、」
比来(ヒライ)ネオ「事前調査でゲームしてみたら、偶然にも俺と顔がそっくりだったんだよ!」
比来(ヒライ)ネオ「アッチはCGキャラだけど!」
比来(ヒライ)ネオ「だからあえて、見た目はこのままでいいのかなと思ったけど?」
菜七子(ナナコ)「髪色が違うじゃない!」
比来(ヒライ)ネオ「あー」
比来(ヒライ)ネオ「実在しないキャラなのに、そこまでクオリティ求める?」
菜七子(ナナコ)「ファンはね、そーゆー細かい部分もちゃんと見てるの!」
菜七子(ナナコ)「靴の色、服のブランド、時計の値段に至るまで、」
菜七子(ナナコ)「推しの全てを把握しているのよ!」
比来(ヒライ)ネオ「怖っ」
菜七子(ナナコ)「怖くない!」
菜七子(ナナコ)「もしアタシがファンなら、理想とかけ離れた生ヒビキに」
菜七子(ナナコ)「ワッショイなんて出来ないわよ!」
比来(ヒライ)ネオ「ワッショイって?? なに・・・?」
菜七子(ナナコ)「とにかく。アナタもプロなんだから、意識して仕事しなさい!」
比来(ヒライ)ネオ「ハイハイ、分かったよ」
比来(ヒライ)ネオ「ねえ──」
比来(ヒライ)ネオ「前からナナコさんに言いたかったんだけど、いいかな?」
菜七子(ナナコ)「え」
菜七子(ナナコ)「な、何よ〜♥」
比来(ヒライ)ネオ「近所に昔から居る、世話焼きオバさんみたいだよね?」
菜七子(ナナコ)「は?」
比来(ヒライ)ネオ「もしくはテスト前にゲームしている子供を叱る、ヒステリーオカン♪」
菜七子(ナナコ)「なんだか知らんけど、デジャヴュだわ!!」
菜七子(ナナコ)「良いからさっさと美容室に行きなさい!」
菜七子(ナナコ)「お店が閉まっちゃうわよ!!」
比来(ヒライ)ネオ(ナナコさんをからかうの、ストレス発散になるんだよね♥)
比来(ヒライ)ネオ「はーい♥」
〇テラス席
美容師「スミマセン、今日は予約でいっぱいで・・・」
〇結婚式場のテラス
比来(ヒライ)ネオ「参ったな」
比来(ヒライ)ネオ「いつもの美容室が予約で埋まっているなんて」
比来(ヒライ)ネオ「ココは初めてだけど、看板に灯が付いているし、入ってみるかな」
「いらっしゃいませ」
比来(ヒライ)ネオ「初めてなんですが、すぐに出来ますか?」
「本日は受付け終了です」
比来(ヒライ)ネオ「エーッ!?」
〇美容院
神谷(カミヤ)「あ、スミマセン!」
神谷(カミヤ)「今日はコチラのお客様の貸し切りでして・・・」
比来(ヒライ)ネオ「ココもダメ!?」
比来(ヒライ)ネオ「もう10軒目なんだけど!」
比来(ヒライ)ネオ「そこを何とか!」
神谷(カミヤ)「いや〜・・・」
比来(ヒライ)ネオ「お願いだから、見捨てないで!!」
比来(ヒライ)ネオ「明日、どうしても髪を染めて仕事に行かなきゃいけないんです!」
蒔田(マキタ)(チッ、しつこい人だな・・・)
蒔田(マキタ)「悪いけど、コチラのお客様が優先なので、無理なんですよ」
比来(ヒライ)ネオ「明日までに栗色に染めないと、ファンのコたちをワッショイさせてあげられないんです!」
蒔田(マキタ)「ワッショイって何ですか?」
比来(ヒライ)ネオ「俺も知らない!」
蒔田(マキタ)「はあ〜!?」
「染めてあげたら?」
キリゑ「私の髪、あと2時間はかかるんですよね?」
キリゑ「待ち時間もあるんだし、その間に施術してあげたらどう?」
キリゑ「それに・・・その人、芸能人じゃないかしら」
蒔田(マキタ)「エッ? そういえば、何処かで見たような」
キリゑ「『他担狩り』のCM、昨日見たわよ」
キリゑ「響スイさん」
比来(ヒライ)ネオ(めっちゃ勘違いされてるッ!)
比来(ヒライ)ネオ(待てよ。 却って好都合かもしれん!)
比来(ヒライ)ネオ「良く分かったね」
蒔田(マキタ)「ウワァ! 本物なんですか!?」
キリゑ「芸能人なら影響力ハンパないから・・・顧客に出来るチャンスよ?」
蒔田(マキタ)「確かに!」
神谷(カミヤ)「ちょッ・・・蒔田さん!?」
キリゑ「お兄さん、お隣にどうぞ!」
比来(ヒライ)ネオ「ありがとう! 助かったよ♪」
キリゑ「コチラこそ! 私も業界人なのよ。 それに──」
キリゑ「1人じゃ、怖かったから」
比来(ヒライ)ネオ「怖かった?」
キリゑ「私はキリゑ」
キリゑ「東京コレクションのランウェイを歩くファッションモデルよ」
キリゑ「今日は、コレクションのための仕込みをしてもらっているの」
比来(ヒライ)ネオ「モデルさんか。 通りで」
比来(ヒライ)ネオ「美人すぎてCGみたい」
キリゑ「アナタこそ!」
キリゑ「響スイはCGキャラだと思っていたけど、実在したとはね!」
比来(ヒライ)ネオ「それな!」
比来(ヒライ)ネオ「近々ファンだけに公表する予定なので、オフレコでお願いするね」
キリゑ「了解よ。あ、そうそう」
キリゑ「アナタ、ミステリーはお好き?」
比来(ヒライ)ネオ「人並みには」
キリゑ「私、最近ハマっているのだけど」
キリゑ「この暗号、どう思う?」
キリゑ「ヒントは鏡ですって」
比来(ヒライ)ネオ「ええっと・・・」
比来(ヒライ)ネオ「あ!」
比来(ヒライ)ネオ「『NON』って、ファッション雑誌の?」
キリゑ「・・・」
キリゑ「やっぱりね〜! よく分からないよね」
キリゑ「でも、あんまり騒ぐと面倒だから、内緒ね!」
比来(ヒライ)ネオ(騒ぐと面倒?)
蒔田(マキタ)「キリゑさん、お待たせしてスミマセン」
蒔田(マキタ)「次はストレートパーマのアイロン工程だから、携帯はロッカーに入れてね!」
蒔田(マキタ)「ヤケドでもされたら、困るからね・・・!」
キリゑ「はあい」
比来(ヒライ)ネオ(どういうことだ?)
比来(ヒライ)ネオ(まだ、何も分からないからトボけてみたけど)
比来(ヒライ)ネオ(彼女は俺に、何かを伝えたいみたいだ)
比来(ヒライ)ネオ(ただ)
比来(ヒライ)ネオ(彼女の言っていることと、携帯のメッセージの辻褄が合わない)
比来(ヒライ)ネオ(俺が座った時)
比来(ヒライ)ネオ(1人だと『淋しい』ではなく、『怖い』と言っていた)
比来(ヒライ)ネオ(携帯のメッセージの『NON』)
比来(ヒライ)ネオ(直訳すると『非』『無』だけど、今回はそれ以外の意味がありそうだ)
比来(ヒライ)ネオ(騒ぐと面倒だから内緒とは)
比来(ヒライ)ネオ(誰に対して?)
比来(ヒライ)ネオ(ここで一体、何が起きているんだ!?)
いいですねこういうサイドストーリー。
メインが変わると視点と雰囲気が変わって新鮮な気持ちで見られます。
今のところ何もわかりませんが…(推理力ゼロ…)
おおっ。なんだこれは。楽しみすぎる。
ゆきんこさんと美容室の組み合わせからあの人が出てくるかと思いきや、今回は純粋に事件の匂い。しかしこんなところで何が危ないのか携帯を鏡にかざしてみたけど分からない。
そしてナナコさんのデジャヴは時系列的には読者しか感じないデジャヴじゃないかとニヤニヤしました。
「他担狩り【特別編】」、面白そうなミステリー作品だね!登場人物の会話が軽快で、ストーリーも興味を引く展開だ。比来ネオの変装の腕前には驚かされたし、美容室でのトラブルも笑える。特に、キリゑさんとの出会いは意外な展開で、二人のやりとりが面白かった。ミステリー好きな私にとっては、キリゑさんの暗号にも興味津々だ!次の展開が楽しみで、ワクワクしてきたよ!