私にだけ冷たい旦那様がタイムリープしすぎて骨になった理由

ふゆ

3.逃げられた理由(脚本)

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〇貴族の応接間
アドリアン(夜か)
アドリアン(はあ)
執事「旦那様」
執事「これを」
アドリアン「『新婚夫婦の在り方』?」
アドリアン「教会発行の、夜の教本!?」
執事「もっ、申し訳ありません!」
アドリアン「退がれ!」
???「あら、アドリアンちゃんたら」
メランジェス伯爵婦人「ちゃんと読んでおきなさいよ」
アドリアン「母上!?」
アドリアン(アドリアン『ちゃん』?💢)
メランジェス伯爵婦人「あなた、あの子と寝室別にしてるでしょ?」
メランジェス伯爵婦人「いい加減にして頂戴!!」
メランジェス伯爵婦人「なんのために持参金ゼロの孤児の修道女を 嫁に貰ったと思ってるの?」
メランジェス伯爵婦人「うちに選り好みする余裕なんてないの、 分かってるわね?」
アドリアン「・・・」
メランジェス伯爵婦人「でもあの子、 本当にろくな教育を受けてないのね」
メランジェス伯爵婦人「あの子・・・」
メランジェス伯爵婦人「『式の途中で、夫に逃げられた聖女様』って、メイドたちに揶揄われてるみたい」
メランジェス伯爵婦人「大事なお客様全部覚えなさいって言ったら、みっともないくらいアタフタするし」
メランジェス伯爵婦人「とにかく!」
メランジェス伯爵婦人「あの子じゃ、 その気になれないかもしれないけど!」
メランジェス伯爵婦人「メランジェス家の存亡がかかってることは 忘れないように!」
母「それだけ!」
アドリアン「はあ」
アドリアン(強引に家に連れて来ておいて・・・ 嫁いびりとはね)
アドリアン「それにしても」
アドリアン(親の言われるがまま初夜を迎えて、)
アドリアン(教会にまで縛られる)
アドリアン「・・・」

〇黒
アドリアン「ほう」
アドリアン「獣のような体勢は厳禁とな」
アドリアン「人間の尊厳を保てと」
アドリアン「そこで保てと言われてもな・・・」
アドリアン「破ったら、食事はパンのみ?」
アドリアン「厳しいな・・・」
アドリアン「ふぅん、生活面でも規則があるのか」
アドリアン「え、これも駄目なのか?」
アドリアン「これが駄目なら、 男はいつ肉が食べられるって言うんだ💢」
アドリアン「馬鹿馬鹿しい」
アドリアン「・・・馬鹿馬鹿しいがつい読んでしまうな」
アドリアン「こんなことまで禁止!?」

〇貴族の応接間
アドリアン「この本を信じるならば」
アドリアン「神はよほど、 我が国の子孫を根絶やしにしたいらしい」
アドリアン「・・・」

〇黒
メランジェス伯「メランジェスのために死ね」
メランジェス伯爵婦人「あの子でたっぷり得をさせてほしいの❤️」
「色欲は罪 だが子孫を残す場合のみOK」
  どいつもこいつも
  好き勝手なことを

〇貴族の応接間
アドリアン「くそ・・・」
アドリアン「なんでもかんでも誰かの思い通りか」
アドリアン「あ」
アドリアン「・・・俺」
  あの子の泣いた顔を見たくない
アドリアン「よし!」
  神も親も関係ない
  大事なことを間違えちゃダメだ

〇貴族の部屋
アドリアン「イーダ、俺だ」
アドリアン「今まで放っておいて悪かった」
アドリアン「怒ってるのか?」
アドリアン「開けるぞ。嫌なら言え」
アドリアン「イーダ?」
アドリアン「どこに」
アドリアン「これは・・・」
  離婚証書?
執事「旦那様! イーダ様が屋敷を出られたそうです!」
執事「馬が一頭いなくなっていました!」
アドリアン「・・・」
アドリアン「彼女の字じゃない・・・」
執事「え」
アドリアン「何度書く様子を見てると思ってる! 似せてはいるが、彼女の字じゃない!」
アドリアン「追いかける。何かあったんだ」
執事「旦那様!」

〇アマゾンの森

〇アマゾンの森

〇密林の中
「え」
レナータ「イーダさんがお兄様から逃げたんですか?」
獣人リファ「彼女の字じゃない、って、勘違いじゃないのかあ?」
アドリアン(骨)「・・・」
アドリアン(骨)「ふ」
アドリアン(骨)「それなら、話は簡単だったんだがな」
アドリアン(骨)「俺は骨になっていないしな」
アドリアン(骨)「──イーダが見つかったのは、数日後のことだ」

〇教会内
アドリアン「・・・っ!」
執事「なんと惨い死体なんでしょう」
執事「獣人に、食い殺された体というのは」
執事「森のはずれで、烏に啄まれていたそうです」
執事「納棺師が手を施した結果がこれでは・・・」
アドリアン(だが確実に彼女だと分かる)
執事「どうして出て行ってしまわれたのでしょう?」
アドリアン「だから──誰かが彼女を連れ去ったんだ」
アドリアン「確かに、屋敷に侵入の形跡はなかったけれども」
アドリアン「騒ぎの音を聞いた者も・・・」
アドリアン「・・・」
アドリアン「二人きりにしてくれ」
アドリアン「イーダ」
アドリアン「イーダ」
アドリアン「俺はとんだ愚か者だったようだな」
アドリアン「君は俺に惚れてると思っていたよ」
アドリアン「笑えるだろ?」
  他に好きな男がいたのか?
  本当は結婚したくなかったんだな?
アドリアン「無理やり、結婚させたりして、」
アドリアン「本当に」
アドリアン「本当に──ごめん」

〇密林の中
獣人リファ「聖女を食い殺した!?」
獣人リファ(誰がやったのかな〜)
レナータ「他に好きな人って・・・」
レナータ「あなた、多重人格か何かなの!?」
アドリアン(骨)「気持ちも頭もグチャグチャのまま」
アドリアン(骨)「俺は祈った」
アドリアン(骨)「ただひたすら祈った」
アドリアン(骨)「そして奇跡が起きたんだ」
アドリアン(骨)「──最初のタイムリープの時、 確かに俺は奇跡だと思ったんだ」
  それが救いだったのか、
  蜘蛛の巣に絡め取られただけだったのか
  未だに答えは出ないけれども
  つづく

次のエピソード:4.同じことが起きた理由

コメント

  • 壮大なタイムリープ物ですね‼ 私のループ物なんかより、相当スケールが大きい。恐れ入りました🙇
    どこまで先を見越して、お作りなのか分かりませんが、期待値大ですね‼
    ファンタジーのようで細部はリアリティがありますね。領主の初夜権とか、体位まで指示していたカトリックとか聞いたことがありますww
    壮大と緻密さ…素晴らしいですね😃

  • アドリアン視点から見ると、景色が全然違いますね。
    全員が怪しく思える、私の妄想クセが爆発しそうです💦

  • そこではじめてのループが起こった、と。
    恐らく生きたまま食い荒らしたのでしょう。なかなか残酷な犯人ですね。犯人が毎回変わって彼女自体に問題があるのか、それとも犯人が凄すぎて何度もループしたところで止められないのか、気になりますね。

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