第4話「ひとりじゃない」(脚本)
〇渋谷駅前
結城イツカ「ちょっと早く来すぎたかな」
我浜ユウト 「おはようございます、イツカさん」
結城イツカ「ユウト君、えらく早いわね」
我浜ユウト 「それはこちらのセリフです」
我浜ユウト 「そんなに俺とのデートが、楽しみだったんですか?」
結城イツカ「違うわよ」
結城イツカ「約束したからには、しっかり相手してあげようと思っただけ」
我浜ユウト 「やれやれ、強がらなくていいですよ」
結城イツカ「勝手な解釈をしないでくれる?」
〇映画館のロビー
結城イツカ「映画なんて久しぶり」
我浜ユウト 「イツカさんは、観たいものはありますか?」
結城イツカ「そうね・・・」
我浜ユウト 「今は、この恋愛モノが話題らしいですよ」
我浜ユウト 「病気を患ったヒロインと、一途な男が──」
結城イツカ「そんなのより、コレが観たいわ!」
我浜ユウト 「・・・へ?」
〇岩山の崖
ヒーロー(レッド)「悪は絶対許さん!」
ヒーロー(レッド)「みんなの笑顔は、俺が必ず守る!!」
〇映画館の座席
男の子「頑張れ、レッドー!」
女の子「怪人なんかに負けるなー!」
結城イツカ「よしっ! 今がチャンスよ!」
「・・・」
「やったー!!」
〇渋谷駅前
結城イツカ「あー、面白かった!」
我浜ユウト 「初デートでヒーロー映画・・・しかも応援上映・・・」
結城イツカ「子供の時から、欠かさず観てるの」
結城イツカ「みんなの笑顔を守る正義の味方──やっぱり最高だわ」
我浜ユウト 「WASOに入ったのも、それが理由ですか?」
結城イツカ「ご明察」
我浜ユウト 「正義の味方になる夢を、見事に叶えたわけですね」
結城イツカ「いいえ。私の夢は、正義の味方になることじゃない」
結城イツカ「みんなの笑顔を守ることよ」
我浜ユウト 「何の違いがあるんですか?」
結城イツカ「フフッ、よく考えてみなさい」
我浜ユウト 「・・・?」
結城イツカ「──さてと、そろそろお昼にしない?」
我浜ユウト 「いいですね。何か食べたいものはありますか?」
我浜ユウト 「この辺りの店はリサーチ済みなので、任せてください」
結城イツカ「なかなか気が利くじゃない」
結城イツカ「それじゃあ・・・アレが食べたいわ」
〇焼肉屋
結城イツカ「うーん、美味しー!」
我浜ユウト 「初デートで昼から焼肉・・・しかも食べ放題・・・」
結城イツカ「急に敵が来て、食べる時間がなくなるかもしれないでしょ?」
結城イツカ「食べられる時は、ガッツリいかないと!」
我浜ユウト 「はぁ・・・」
結城イツカ「腹ごしらえが済んだら、日頃のストレスを発散しに行きましょう」
我浜ユウト 「どこに行くつもりですか?」
結城イツカ「ストレスを発散する場所と言えば、決まってるじゃない」
〇カラオケボックス(マイク等無し)
〇SHIBUYA SKY
結城イツカ「の、喉が痛い・・・」
我浜ユウト 「音程とか考えずに、叫ぶからですよ」
結城イツカ「テンション上がると、つい叫んじゃうのよね」
我浜ユウト 「まったく・・・」
結城イツカ「──こういう気を使わないデートも、たまには悪くないわね」
我浜ユウト 「俺と付き合いたくなってきましたか?」
結城イツカ「それはないない。前も言った通り、年下はタイプじゃないの」
結城イツカ「来世では、私より早く生まれてきなさい」
我浜ユウト 「無茶言いますね」
結城イツカ「フフッ」
???「ママー!」
女の子「早くー! すっごく綺麗な景色だよ!」
女の子の母親「わぁ、本当ね!」
「・・・」
結城イツカ「戦いの爪痕は残ってるけど、街は日常を取り戻したみたいね」
結城イツカ「君のおかげよ。改めて御礼を言うわ」
我浜ユウト 「御礼を言われる筋合いはありませんね」
我浜ユウト 「この街に住むすべての人のために、戦ったわけではないので」
結城イツカ「やれやれ、強がらなくていいのよ」
我浜ユウト 「勝手な解釈をしないでください」
結城イツカ「今日、たくさんの笑顔とすれ違ったでしょ?」
結城イツカ「私はそれだけで、戦った意味があったと思ってるわ」
我浜ユウト 「・・・相変わらず、まっすぐですね」
〇戦闘機の操縦席(空中)
東京湾上空
司令部「司令部より、ブルーナイト1へ」
司令部「10時方向に、正体不明の魔力反応あり」
司令部「そちらでも確認できるか?」
パイロット「ブルーナイト1、了解」
パイロット「こちらのレーダーでも確認できた」
パイロット「このまま対象に接近する」
〇雲の上
パイロット「あれは人か・・・?」
パイロット「いや、違う!?」
???「私を人間と間違えるとは、とんだ愚か者です」
???「今すぐ堕ちなさい」
パイロット「さ、避けきれない!」
〇空港の滑走路(飛行機無し)
東京湾近郊、駐屯地
隊員「偵察機の反応消失!」
隊員「攻撃を受けたようです!」
司令官「パイロットは!?」
隊員「何とか脱出に成功しています!」
隊員「正体不明の物体・・・こちらに急速に接近!!」
司令官「総員、第一種戦闘配備!」
司令官「これは訓練ではないぞ!!」
〇SHIBUYA SKY
結城イツカ「リオナさんからだわ」
リオナ局長「イツカ、東京湾に正体不明の怪物が現れたわ!」
結城イツカ 「まさか、魔王がついに・・・!?」
我浜ユウト 「今回も、違うかもしれませんよ」
リオナ局長「どちらにせよ、野放しにできないわ。ただちに東京湾へ向かって」
結城イツカ 「RPGのメンテナンスは終わってますか?」
リオナ局長「完了済よ」
リオナ局長「封印柱の使用も、あと少しで承認されるわ」
結城イツカ 「さっすがリオナさん、仕事が早い!」
リオナ局長「前回は準備が遅れて、危ない目に合わせてしまったからね」
リオナ局長「私と博士は、これから怪物の分析を行う」
結城イツカ 「何か分かったら、教えてください」
リオナ局長「ええ。今回の敵も未知数・・・気をつけてね」
我浜ユウト 「やれやれ・・・また、俺の力が必要になりそうですね」
我浜ユウト 「それなら、今回も条件が──」
結城イツカ「ユウト君、行くわよ!」
我浜ユウト 「ちょっと待ってください」
我浜ユウト 「なんで当然のように、俺も戦うことになってるんですか!?」
結城イツカ「今日は1日デートの約束でしょ?」
結城イツカ「彼女役のリクエストには、答えるものよ」
我浜ユウト 「怪物と戦うデートなんて、聞いたことないですけど」
結城イツカ「それに、海の近くでデートなんて素敵じゃない」
結城イツカ「着替えの用意もしてあるわよ」
我浜ユウト 「着替えと言っても、水着じゃなくてRPGですよね・・・・」
結城イツカ「かたいこと言わないの。君のこと、頼りにしてるんだから」
我浜ユウト 「都合の良い時だけ、おだてるのはズルいですよ」
我浜ユウト 「──まあ、いいでしょう。イツカさん一人では心配だ」
我浜ユウト 「正義感しか取り柄がないあなたを、俺がフォローしてあげます」
結城イツカ「そういう君は、強いけどひねくれすぎよ」
「・・・」
我浜ユウト 「お互い、一人じゃダメってことですね」
結城イツカ「その通りだわ──君も私も、半人前ね」
〇空港の滑走路(飛行機無し)
隊員「目標、有効射程に入りました!」
司令官「総員、攻撃開始!!」
隊員「全弾、命中しました!」
司令官「いくら怪物でも、この砲撃には一溜まりもないだろう」
???「この時代の大砲ですか──」
???「大した威力ではありませんね」
司令官「馬鹿な・・・傷一つ付いていない・・・!」
???「千年もあったのに、私を貫く武器一つ作れぬとは──やはり、人間は愚かです」
???「邪魔です。私の前から消えなさい」
???「そうはさせない!」
???「私の魔法を防ぐ人間がいるとは、驚きました」
結城イツカ 「みんなの笑顔を脅かす者は、容赦しないわ」
???「他の人間と桁違いの魔力・・・」
???「ディマカエリを倒したのは、あなたたちですね」
我浜ユウト 「奴の敵討ちに来たのか?」
???「そんなつもりは、毛頭ありません」
???「主上のために戦って死ぬことができた──彼は本望だったでしょう」
我浜ユウト (主上だと? やはりこの怪物も・・・)
???「──して、どちらが今世の勇者ですか?」
???「真っ先に消し去ってあげましょう」
「・・・!」
結城イツカ「どっちと言われてもね・・・」
我浜ユウト 「まっすぐなだけのイツカさんと──」
結城イツカ「ひねくれたユウト君」
結城イツカ「どちらか一人じゃ、不完全だわ」
我浜ユウト 「だから──」
〇仮想空間
ロール・プレイング・ギアを
そうび しますか?
▶はい
いいえ
〇空港の滑走路(飛行機無し)
我浜ユウト「俺と──」
結城イツカ 「私──」
「二人合わせて、『勇者』だ!!」
???「──面白い」
???「さあ、戦いを始めましょう」
日常回かと思いきや新たな展開!
「二人で勇者」とか激アツですね…!
ウキウキでデートの下調べしてきたユウトと、年上らしくユウトを振り回すイツカ、戦闘以外でもいいコンビ☺️
「着替えも用意してあるわよ」とかセリフがオシャレすぎました😂
自分の欲に忠実なデートコースではしゃぐイツカ、可愛いですね!😆
仕上げは海辺の戦闘デート……らしすぎる😂
凸凹しながらも二人でひとつな展開、アツいです!
今回も最高なアニメ作品を投下頂き、感無量です。
イツカの肉食系(?)女子ぶりに笑い、ユウトのマメ男ぶりに驚きました。
2人の仲が深まるデート回に終わらず、バディとしての関係もラストで強調されるあたりの演出がニクイ〜😆