4 星宮まどか(脚本)
〇教室
翌日。
星宮まどか「お、お早う鳥海君」
鳥海宏斗「あ、お早う星宮さん」
大島武「あれ?君って確か・・・」
鳥海宏斗「大島忘れたか?この前回し蹴りした子だよ」
大島武「あぁ!あの時の!?」
星宮まどか「わぁ!!あの、その、あの時はあたしも気が立ってたって言うか、その・・・!!」
大島武「いや、良いよ。今更そんなの気にしたって良い事無ぇから・・・」
星宮まどか「あの時は・・・その・・・御免なさい・・・」
大島武「まぁ良いけど、あんた、無愛想に見えたけど鳥海と何か有った?」
鳥海宏斗「あぁ、昨日友達に成った」
大島武「え!?鳥海お前、何した訳!?」
鳥海宏斗「何って・・・ちょっと困ってた所を助けて上げただけだよ」
大島武「へ、へぇ・・・」
前川敦子「皆お早う!」
黒部真由「ねぇ、何の話してるの?」
大島武「二人共おは〜!いやさぁ、鳥海が何か友達作っててさ・・・」
前川敦子「え?そんな珍しい事?」
大島武「いや、その友達がこの子でさ」
星宮まどか「あ、えっと・・・お早う御座います・・・」
前川敦子「って!この前の回し蹴りの子じゃん!?」
鳥海宏斗「ま、まぁ落ち着け前川!この子は悪い子じゃ無い。俺が保証するから!」
前川敦子「そ、そう・・・あたし等あんたの事先生にチクったけど、どうだった?」
星宮まどか「あ、そう言えばこの前怒られました」
前川敦子「だよね・・・」
黒部真由「ねぇ、あの時何か怒ってたの?何か有れば相談すれば良かったと思うし」
星宮まどか「別に・・・ちょっと考え事してたって言うか・・・」
黒部真由「そっか・・・もし困った事が有れば私達に相談してよね。何か力に成れると思うから」
星宮まどか「あ、有難う御座います・・・」
前川敦子「ま、まぁ鳥海が言うなら問題無いか。あたしは前川敦子。あんたは?」
星宮まどか「あたしですか?星宮まどかって言います」
黒部真由「宜しくね!私は黒部真由よ!」
大島武「俺は大島武。まぁこの前の事は仕方無かったって事で宜しく!」
星宮まどか「あ、はい・・・!」
俺と友達に成った事で大島達とも和解出来た星宮さん。俺から見ても彼女は周りと打ち解けるのが苦手そうだし、
これを機に皆と仲良く成れたらと、一人でそう考えていた。
〇高い屋上
午前中の授業が終わり、俺は一人星宮さんに呼ばれて屋上に来ていた。
鳥海宏斗「お待たせ!」
星宮まどか「あ、鳥海君。待ってたよ」
鳥海宏斗「それで、こんな所に呼び出してどうしたの?」
星宮まどか「あ、えっと、その・・・一緒にご飯どうかなって・・・」
鳥海宏斗「え?それなら、大島達と一緒でも良いと思うけど?」
星宮まどか「えっと・・・まだあたしが緊張すると言うか何と言うか・・・」
鳥海宏斗「まぁ、まだ思う所は有るか。良いよ。皆とはゆっくり仲良く成れば良いから」
星宮まどか「あ、有難う・・・」
星宮さんが俺を呼出した用件はランチタイムを一緒に過ごす事だった。大島達とも和解したとは言え、積極的に
声を掛けられるのはまだ俺だけ見たいだった。ともあれ俺達は昼食を始める。
鳥海宏斗「調子はどう?大島達は悪い奴じゃ無いから、近い内に打ち解けられそうだけど・・・」
星宮まどか「うん・・・話して見ると確かに悪い人達に見えなかった・・・」
鳥海宏斗「良かった。今度は皆で飯食おうな」
星宮まどか「うん・・・・・・あのさ・・・一緒にご飯ってのは建前なんだけどさ。聞いて欲しい事が有って・・・」
鳥海宏斗「聞いて欲しい事?」
星宮まどか「・・・あたし、小学生の時に鶏や兎の飼育係やってた時が有ってさ。動物好きだったから自分から立候補してたんだけどね」
星宮まどか「その時一緒に居たクラスの子と一緒に兎とかお世話してたんだけどさ。その時お世話してた内の一匹の様子がおかしくてね」
星宮まどか「その時あたしが、一緒に居たクラスの子に先生呼んで来てって頼んで、あたしは様子を見てたんだけど、その子が先生と一緒に」
星宮まどか「戻って来た時、その子があたしに、あたしが動物虐めてるって大声で叫んで、あたしは何もして無いのにあたしだけが先生に」
星宮まどか「怒られて・・・だからあたし、それ以降他人が信じられなく成って・・・」
鳥海宏斗「・・・!それで、それからどうしてたの?」
星宮まどか「困った事とか有ったら、何時もお母さんに話してたよ。お父さんは、あたしが小学生の時に・・・」
鳥海宏斗「そっか・・・御免、嫌な事聞いたよね?」
星宮まどか「ううん・・・鳥海君になら、話しても良いかなって・・・」
鳥海宏斗「そっか・・・」
星宮まどか「ずっと一人で居ようとしてるのは、あたしが誰かに裏切られるのが怖いからなんだ。あたしの事陥れた子の事は、」
星宮まどか「その後どう成ったか分からないけど・・・」
鳥海宏斗「そうか・・・俺は自分が誰かを傷付けたりする方が怖いけどな」
星宮まどか「え?」
鳥海宏斗「でも、話してくれて有難う。困った事が有れば、俺にも相談してよね。大層な事は出来ないけど」
星宮まどか「あ、有難う・・・鳥海君も、何か困った事が有ったら言ってね」
星宮さんが自分の事を打ち明けてくれた事に、何処か嬉しさを感じた俺は、星宮さんと共に昼食を済ませて午後の授業に挑んだ。
課題が終わった後、何時もの様にバイトへ向かうのだった。
早くもグループに打ち解け始めていると思えば、結構重い話が・・・
それは人を信じるのも怖くなるな・・・
けど・・・不愛想は違うという事に気づけて良かったですね・・・
どんな絆を結んでいくか楽しみですね!