勇者にはほしい才能がある

東龍ほフク

12/バカ、本狂いに読書を勧められる(脚本)

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〇西洋の街並み
マモ「‥‥‥‥!」
マモ「あっ‥‥‥」
マモ「あ、ああぁぁあ‥‥‥」
マモ「おまっ‥‥‥」
マモ「ギッ‥‥‥ギンくん?」
マモ「大丈夫‥‥‥?」
マモ「だっ、だい‥‥‥」
涙目ギン「落ち着けぇ! このアホォ!!!!!」
涙目ギン「泣きてぇのは、こっちだっつの!!!!!!」
ギン「つぅか、落ち着いて聞けぇ!!!!!」
ギン「‥‥‥別に、痛みはない」
マモ「‥‥‥‥‥‥え?」
ギン「右手は、“向こう側”にちゃんとある」
ギン「切断されたわけではない」
ギン「右手に、あの妖精を掴んでいる感触がある」
ギン「転移しようとしたが、どうやらこうして 捕まえられていると転移できないらしい」
ギン「多分、このまま奴‥‥‥と手を 引っ張り出せると思う」
マモ「‥‥‥おぉ‥‥‥ それは、良かった‥‥‥」
  ギンは、謎の空間から”妖精を掴んでいる
  右手”をゆっくり引き抜いた。
ギン「‥‥‥‥」
ギン「右手ありゅっ! ついてりゅっ!!!!」
???「くっそ‥‥‥ ヴァのまりょくじゃ つかまれてると てんい できないのだ‥‥‥!」
???「ヴァがもっと まりょくあったら おまえの みぎてごと てんいできたのに‥‥‥!」
(こ、怖すぎる‥‥‥!)
ギン「な、なぁお前‥‥‥ヴァっ君?」
???「はぅあ!!!!!! なんで、ヴァのなまえ しってる????」
ヴァガ「ヴァ、いつ『ヴァガ』って なのった????」
ギン((だって、さっきっから自分の名前を 一人称としてわめいてるじゃねぇか‥‥‥))
ギン「なぁ‥‥‥頭が悪いから、こうやって 他人に大事な名前バレちまうんだぞ?」
ギン「文具盗難のことも兼ねて、事情聴取‥‥‥ ちょっとご同行願いますかね‥‥‥?」
ヴァガ「ぢぢょお チャーシュー‥‥‥?」
ヴァガ「なにいってるか よくわからないけど‥‥‥ はぁい‥‥‥」
ギン((わかんないの?))

〇戦線のテント
ギン「‥‥‥で、バカちゃん。 何で泥棒してたのか、ちゃんと順序立てて 物事を説明できまちゅか?」
マモ「お前、それはバカにしすぎでは‥‥‥」
ヴァガ「『バカ』ぢゃないっ! 『ヴァガ』っっ!!!!!!」
ギン「はよせぇ」
ヴァガ「ぐぇえ‥‥‥」

〇森の中の小屋
  案の定、ヴァガの説明は冗長で
  ド下手糞だった。
  ので‥‥‥要約すると、こうだ。
  ヴァガは、妖精界で勉強大嫌いの
  落ちこぼれだった。
  そんなバカは「文房具を隠せば勉強が
  出来なくなる=勉強しなくて済む」と
  いう謎理論で妖精界の文具を隠しまくった。
  ‥‥‥が、妖精の長や学校の先生に見つかり
  どちゃクソに叱られ、
  妖精界を追い出された。

〇西洋の街並み
  そして、たまたまやって来た
  この町で
町の子「あーあ。宿題イヤだなぁ‥‥‥」
町の子「ほんと、勉強なんてやってらんないよなぁ」
ヴァガ「にんげんにも べんきょうキライな やつら いた!」
ヴァガ「よし! あっちではおこられたけど、 こっちで ぶんぼうぐを ぬすんだら‥‥‥」
ヴァガ「とっても「ありがとう」 いわれるかも しれない!」
  と、いうわけで文具を盗みだしたそうな。

〇戦線のテント
ギン「‥‥‥どういうワケぇ?」
マモ「‥‥‥別に、理解しようとしなくて いいんじゃないか?」
ヴァガ「と、いうわけでヴァは べんきょうギライな ひとのために ぶんぼうぐを かくすのだ!」
ギン「‥‥‥‥」
ギン「おい、バカ」
ギン「文房具を隠されて困っちゃう人が いる事は考えた?」
ヴァガ「こまる‥‥‥?」
ギン「文房具がないから、お絵描きが 出来なくて困ってる子がいたぞ」
ヴァガ「はぅあ!!!!!」
ヴァガ「それは ごめんなさい なのだ‥‥‥」
ギン「あとな、お前には信じられないかもだが‥‥‥」
ギン「世の中には勉強が好きな子もいるんだよ」
ヴァガ「うそだろ?!?!?!」
ギン「お前は、そういう子たちの楽しみを 奪ってたんだぞ?」
ヴァガ「そ、そうなのか‥‥‥」
ギン「あとお前、小説は‥‥‥読まねぇだろうなぁ」
ギン「絵本は読む?」
ヴァガ「えほんは すき! 絵がおおい! わかりやすい!」
ギン「お兄ちゃんな? その絵本の“絵がないバージョン”を 書くのが趣味なんだよ」
ヴァガ「えほんの “絵がないバージョン”!!!!!???」
ヴァガ「にーちゃん すごいね! えほんの 絵がないバージョン かいてるんだね!」
マモ((あぁ、ただ「小説を書いている」と 言ったって「だから?」とか ほざきそうだから、絵本をはさんだのか))
ギン「だから、文房具がないとゴッツ困るんよ」
ヴァガ「うぅ‥‥なんかもう わかんなくなって きたけど‥‥‥」
ヴァガ「とにかく ごめんなさい‥‥‥」
ギン「盗んだ文房具はどこにやったんだ?」
ヴァガ「ドゥイプーワした さきのじげんに あるよ」
ギン「文具をとってきて、 町の人に返してあげなさい」
ヴァガ「はぁい‥‥‥」
ギン「‥‥‥」
ギン「魔物と戦うより疲れるな‥‥‥」
マモ「おつかれ」
ギン「‥‥‥‥‥」
ギン「ところでさぁ‥‥‥」
ギン「あの時、俺も気が動転してたから 記憶があいまいなんだけど‥‥‥」
ギン「お前‥‥‥‥」
ギン「泣いてくれてた‥‥‥‥?」
マモ「‥‥‥‥‥」
マモ「‥‥‥‥‥」
マモ「‥‥‥‥何だソレ、知らん」
ギン「だよなぁ〜! やべぇ幻覚が見えてたもんだなぁ!」
ギン「周りも暗かったしな!」
マモ「‥‥‥‥」

〇黒
  あんなに泣いたのは、
  給食当番の時にカレーをぶちまけて
  しまった事を、皆に泣いて
  土下座した以来だろうかな。
  ※ポカする時は結構なデカいポカするタイプ

〇空

〇西洋の街並み
  俺達は、町の人にアホな事情を説明しつつ
  文房具を配り返した。
???「このバァカ!!」
街の娘「あんたのせいで、どんだけ迷惑したと 思ってるのよ!」
  ギンは、投げられた石を
  片手で見事にキャッチした!
ギン「まぁまぁ。 いらつく気持ちは超わかりますけど、 石投げちゃあかんっすよ」
ヴァガ「にーちゃぁん‥‥‥」
ギン「体が小さいから、脳ミソが鼻くそ くらいしかないんすよ‥‥‥」
ギン「シワもない、トゥルントゥルンの 鼻くそ脳ミソ‥‥‥」
ギン「許してあげて下さい‥‥‥‥!」
ヴァガ「にーちゃん ヒドイ!!!!!」

〇古書店
ギン「なぁ、お前‥‥‥」
ギン「その“バカ”を放置しておくと、 またいつか他の人に迷惑かけちゃうぞ?」
ヴァガ「でも、バカは なおらない‥‥‥。 べんきょう キライだもん‥‥‥」
ギン「そんなあなたに! 本!!!!」
ヴァガ「本‥‥‥?」
ギン「勉強は出来なくてもいいわ!」
ヴァガ「うぉほ?!」
ギン「なんなら、俺も勉強は出来ん!!!!!!!!」
ギン「その代わり、本を読んで他者の 気持ちや考えを知れ!」
ギン「いろんな考えや、人生観の人に触れろ!!!」
ギン「絵本を読めるのなら、小説もいける!」
ヴァガ「そ、そう‥‥‥?」
ギン「読もうぜ‥‥‥?  活字漬けになろうぜ‥‥‥?」
マモ「お前、何どさくさに紛れて 洗脳しようとしてるんだ‥‥‥」
ヴァガ「えぇ〜‥‥‥字がおおいの だいじょうぶ かなぁ‥‥‥?」
ギン「‥‥‥‥」
ギン「アググ・リシュケの 『ムラサキが集う』って本、知ってる?」

次のエピソード:13/アググ・リシュケ作『ムラサキが集う』

コメント

  • 片手で石をキャッチするギン氏かっこいい件……👼
    それよか、マモ氏の変貌がギャップ困っちゃいますよもう……!😭😭😭
    カレー奢ってあげたいです…………!!!!🍛

  • いや〜〜〜〜手ぇが取れてなくって良かった!!!そしてマモの狼狽ぶりに笑いました😂😂😂新規立ち絵かわい過ぎるでしょう!良かれと思ってのヴァガの動機もかわいいですね。面白かったです!

  • くっ…… 嫌いになれないタイプのヴァカだ……
    私も二十歳超えるまで「しょーせつなんて😏」って感じだったので無駄に感情移入してしまいました。笑

    あとSDのマモ、カワイイっすよ

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