1 殻に籠もる女生徒(脚本)
〇学校の廊下
モブ女子1「あれ?星宮さんじゃん!」
モブ女子2「今日も早いわね」
星宮まどか「・・・・・・」
モブ女子1「ねぇ星宮さん。友達出来た?」
星宮まどか「・・・・・・」
モブ女子1「ちょっと!無視とか有り得ないし!!」
モブ女子2「気にする事無いわよ!顔見たら友達0人ですって顔してたし!」
モブ女子1「あぁ!言われて見れば!!」
鳥海宏斗「・・・あいつ等また人の事笑ってるよ・・・余程暇なんだな」
俺は鳥海宏斗。今年高校生に成って平凡を過ごしてる男だ。たまたま女子達が会話してる光景を目にしたが、その内の一人が
何も言わずに教室へ向かったので大事には至らなかった。
鳥海宏斗「まぁ、俺が気にする事でも無いか」
〇教室
鳥海宏斗「皆お早う」
前川敦子「鳥海お早う!」
黒部真由「お早う宏斗!」
鳥海宏斗「二人共お早う。何話してたんだ?」
黒部真由「あぁ、さっき敦子とね!」
大島武「お前等おっはよ〜!!」
黒部真由「あ!お早う大島君!」
集まっていたクラスメイト達と他愛の無い会話をする俺達。特に大きな変化も無ければ大したイベントも無い。
何気無い日常を過ごす。今はそれが楽しかった。
大島武「この前二年のマドンナ的な先輩に告白したんだけどさ、もう彼氏居るとか言われてめっちゃショックでさぁ・・・」
前川敦子「マドンナ的な先輩に告白とか、あんた無謀にも程が有るでしょ!!」
大島武「おい前川!笑う事無いだろ!!」
鳥海宏斗「大島、残念だけど俺から見ても無謀な挑戦だよ」
大島武「おい!鳥海お前まで笑うのかよ!!」
鳥海宏斗「まぁまぁ!後で美味い物奢るからさ!」
大島武「今行った事、忘れるなよ?」
鳥海宏斗「分かってるって・・・ん?」
星宮まどか「・・・・・・」
鳥海宏斗「あいつさっきの・・・そう言えば同じクラスだったか・・・」
前川敦子「鳥海、どうかしたの?」
鳥海宏斗「え?あぁ!何でも無いよ!所で、何の話してたっけ?」
黒部真由「だからぁ!さっき敦子とね・・・!」
大島武「鳥海、さっきの約束忘れるなよ?」
鳥海宏斗「分かった分かった!一人ずつ話して!!」
教室の隅で一人で居た星宮まどかの存在が気に成ったが、俺が気にしても良い事は無かった。俺達が他愛の無い会話をする中、
授業のチャイムが成り、俺達は今日の授業に打ち込むのだった。
〇階段の踊り場
大島武「あ〜授業やるのかったりぃ・・・入学して早々実力テストとか頭沸いてるかと思ったぜ・・・」
前川敦子「全く、大島も偶には勉強した方が良いよ。後で吠え面かくの自分なんだから」
大島武「でもかったるいのはかったるいんだよ」
鳥海宏斗「でも高校入れただけでもめっけもんだよ。大変なのはそこからだけど」
大島武「たく・・・あ〜、今日も帰ったら宿題か。俺何で此処に居るんだろう・・・」
黒部真由「何でって・・・将来の為とか?」
大島武「沢山勉強して、学者先生にでも成れってか?高学歴ニートって言葉知ってる?」
鳥海宏斗「まぁ、でも、やって損する事は無いと思うよ?」
大島武「んな事言われてもなぁ・・・あ〜何か気分転換してぇ・・・夏に成ったら水着のチャンネー拝むとか・・・」
前川敦子「女子の前でそんな話するとは良い度胸ね?」
大島武「そう言うなよ!男ってのはそう言うのが有れば生きて行けるから!」
鳥海宏斗「う〜ん・・・間違ってる様な、間違って無い様な・・・」
大島武「それが無きゃ漢じゃ無ぇよ!ん?」
星宮まどか「・・・・・・」
鳥海宏斗「あれ?あの子は・・・」
大島武「おぉ!可愛い子ちゃん発見!スタイル良さげだし、口説いて見るか!!」
前川敦子「ちょっと!無闇に手を出したら!」
大島武「平気平気!お〜い!そこの君一人!?」
星宮まどか「・・・・・・」
大島武「君、俺と同じ一年だよね?良かったら友達に成らない?折角同じ高校に居る訳だし・・・」
大島武「おい!無視する事無いだろ!待てって!!」
星宮まどか「・・・・・・!!」
鳥海宏斗「大島!危ない!!」
大島武「うわっ!?」
鳥海宏斗「大島!!」
大島は無理に相手を追い掛けて、それに怒ったのか相手は回し蹴りで大島を蹴り飛ばし、俺は透かさず大島を受け止めるが、
蹴られた拍子で大島共々階段から落とされた。
星宮まどか「ゴチャゴチャ煩い!放っといてよ!!」
大島武「へ?」
星宮まどか「友達とか、仲間とか、そんなの自分達で勝手にやれば良いじゃん!関係無い人まで巻き込まないでよ!!」
大島武「ご、御免・・・そんなつもりは・・・」
星宮まどか「次あたしに変に絡んで来たら、もっと高い所から突き落とすからね!!」
鳥海宏斗「大島・・・大丈夫か?」
大島武「す、すまねぇ鳥海・・・しかしまぁ、さっきの子怖かったなぁ・・・俺何か悪い事したかな・・・?」
鳥海宏斗「た、多分大丈夫。何もして無いと思うし、気に障る事したなら謝った方が良い・・・」
鳥海宏斗「それはそうと、そろそろ退いてくれないか?重い・・・」
大島武「あぁ、悪い!!後で何か奢るわ・・・」
星宮に蹴飛ばされながらも渋々起き上がる俺達。直ぐ側で見てた前川と黒部が慌てて駆け寄る。
前川敦子「ちょっと二人共大丈夫!?派手に蹴られてたけど!?」
黒部真由「宏斗!怪我無い!?」
鳥海宏斗「大丈夫、こっちは軽症だよ」
大島武「お前等心配するな。鳥海は俺が保健室連れてくからさ」
前川敦子「全く・・・しかしさっきの子、何か知らないけど何もあそこまでやる事・・・」
黒部真由「本当それだよ!後で先生に報告しなきゃ!!」
鳥海宏斗「ま、まぁまぁ!あの子にも思う所が有ったと思うから、下手に刺激しない様にね?」
前川敦子「いや、こう言うのはキチンと言わないと相手が付け上がるからちゃんと言った方が良いよ!見つけたら問い正してやるわ!」
鳥海宏斗「お、おう・・・」
何がともあれ、俺は大島と共に保健室へ行く事と成り、先生に見て貰ったら大した怪我は無かった。俺達が保健室に行ってる間、
前川は黒部と共に今日の出来事を先生達にチクっていた。
〇高い屋上
昼休み。
星宮まどか「・・・・・・」
星宮まどか「はむ・・・」
鳥海宏斗「あれ?君はさっきの・・・」
星宮まどか「何か様ですか?あたしお腹減ってるんで」
鳥海宏斗「いや、屋上で休もうと思ってて。君と会ったのはたまたまだから」
星宮まどか「そうですか。なら、早くあたしの視界から消えてくれませんか?自分の眼の前に他人を入れたく無いし、気配を感じたくも」
星宮まどか「無いんです」
鳥海宏斗「ず、随分と辛口だね。何か嫌な事でも有った?」
星宮まどか「貴方に話して、何か意味有るんですか?」
鳥海宏斗「わ、分かった!話したく無いなら無理に聞かない!それはそうとさっきなんだけどさ」
星宮まどか「何です?」
鳥海宏斗「さっき、俺のダチが君にちょっかい掛けたよな。不快な思いさせたなら謝る」
星宮まどか「もう気にしてませんよ。あたしちょっと気が短い方なんで」
鳥海宏斗「そ、そうなんだ・・・」
星宮まどか「所で、何時まであたしの視界に入ってるつもりですか?いい加減ウンザリなんですけど」
鳥海宏斗「す、凄く頑なだな・・・俺、鳥海宏斗って言うんだ。出来たら、また話し掛けて良いかな?」
星宮まどか「そう言うのは間に合ってます。それに貴方の名前なんて覚える気有りませんので」
鳥海宏斗「わ、分かった・・・邪魔なんてして御免ね。迷惑だったよね・・・?」
星宮まどか「はい。迷惑です」
鳥海宏斗「だ、だよね・・・それじゃあ・・・」
星宮まどか「あ、待って下さい・・・」
鳥海宏斗「ん?どうかした?」
星宮まどか「これ渡します」
彼女が制服のポケットから取り出したのは大量の絆創膏だった。
鳥海宏斗「え?こんなに?俺は大丈夫だよ?」
星宮まどか「いえ、さっき変な奴を蹴り飛ばした時に貴方の姿が見えて巻き込んじゃったから、怪我させちゃったなって思って」
鳥海宏斗「いや、大事に至らなかったから大丈夫だよ。それ、常に持ち歩いてるの?保健委員か何か?」
星宮まどか「あたし、良く嫌がらせされる事が有るから、常に持ち歩いてるんです。あたしの事目の敵にしてる人多いから」
鳥海宏斗「それ、野放しにして良い問題じゃ無いよね?」
星宮まどか「もう充分でしょ?早く何処か行って下さい」
鳥海宏斗「あ、あぁ・・・その絆創膏、君が持ってて。俺は大丈夫だから・・・」
星宮まどか「あ〜あ、時間無駄にしちゃった・・・」
鳥海宏斗「・・・・・・あの子・・・見てらんないな・・・」
いきなりの回し蹴り・・・
しかも人を吹っ飛ばせる威力とは・・・あの子強い!
昔面白映像で見た掟破りの回し蹴りぐらいしかないと思っていましたが・・・
危機を救って関係を作れた故にどんな展開になるのか楽しみですね!