第三話 オタクたるもの、詳しけれど(脚本)
〇西洋風の部屋
アルル姫(・・・寝れない)
アルル姫(っていうか寝れる方がおかしいでしょ! こっちは覚悟決めて結婚したっていうのに)
ヤコブ隊長「そもそも私はガブリエルの敵討ちに行くと 約束した覚えはない」
アルル姫(──って何様よ!)
アルル姫(ここにいても何もできないなら──)
アルル姫「出てってやる!」
アルル姫「あ、あれ・・・!?」
アルル姫「うそ、開かない──」
アルル姫「あ!」
〇木の上
アルル姫「あはは、楽勝! 窓から出ればいいんだもの」
アルル姫「お城でもよく脱走してたけど こういうのって案外役に立つものね」
アルル姫「あとは ゆっくり幹を伝って──」
「アルル姫!?」
〇古い洋館
フール副隊長「何やってるんすか そんなところで!」
アルル姫「何って・・・ えっと、その・・・」
フール副隊長「あーもう 今おろしますから暴れないでくださいよ」
アルル姫「べ、別に 脱走しようとしてたわけじゃないから!」
フール副隊長「・・・脱走しようとしてたんすね」
アルル姫「ギクッ」
フール副隊長「アルル姫、気持ちは分かります」
フール副隊長「隊長って言葉足らずで あんまり印象良くないっすよね」
フール副隊長「でも悪い人じゃないんです それに 姫の願いだって叶えようとしてる」
アルル姫「え・・・?」
フール副隊長「だからもう少し待ってみましょーよ ほら 退屈だったら俺が話し相手になりますから」
〇西洋風の部屋
フール副隊長「姫、めちゃめちゃ詳しいじゃないっすか! 戦法とか攻撃とか 本当に”見えざる者”なんすよね?」
アルル姫「ええ でもガブ様を応援する者として それは当然のこと」
フール副隊長「すげぇ・・・ 騎士団の中でもリアルに使えそうな 戦術ばっかでしたよ」
フール副隊長「一体敵の見えないアルル姫が どうやって理解したのか──」
アルル姫「簡単よ! ガブ様と敵の描かれたガラス板を 用意してもらって──」
アルル姫「「でたな!」「しゃー」 「はーっ!」「ぐへぇ・・・」って──」
フール副隊長「・・・つまり お人形遊びの要領ってことっすか」
アルル姫「・・・言ってしまえば 確かにそうね」
アルル姫「馬鹿にしてるでしょ!」
フール副隊長「いえいえ全然 それ、むしろ騎士団で使えねーかなって」
フール副隊長「そうだ、姫! ここにいても退屈でしょうし 魔物退治に協力してくれません?」
アルル姫「え?」
〇空
フール副隊長「アルル姫~!」
〇古い洋館
アルル姫「待っていたわ! ノア!」
ノア(絵描き)「お久しぶりです、アルル姫」
ノア(絵描き)「お元気そうで何よりです ショートヘアもとてもお似合いで」
ノア(絵描き)「その髪型は ヤコブ殿のご趣味、でしょうか・・・?」
アルル姫「ちがうから!」
アルル姫「あ、フール 頼んでいたものは?」
フール副隊長「こちらに!」
アルル姫「さすが! ああ、これで心が潤うわ!」
フール副隊長「良かったっす! さっそく中を見せてもらっても?」
アルル姫「ええ、もちろん! 見たら驚くわよ・・・」
フール副隊長「わ、すご・・・」
アルル姫「でしょでしょ! 愛しのガブ様コレクション!」
アルル姫「これ、ぜーんぶ ノアが作ってくれたのよ」
フール副隊長「マジっすか! ノアさん、ボヌール王国の元騎士って 聞いてたんすけど──」
ノア(絵描き)「僕、一応”見える者”なんですけど 魔物との戦闘時に腕を怪我してしまって」
ノア(絵描き)「騎士を辞めた後 しがない絵描きをしておりました」
ノア(絵描き)「たまたま教養本に載せていただいた ガブリエル殿のイラストに興味を持った アルル姫が──」
アルル姫「この人なら!ってお願いして たっくさんガブ様を描いてもらったのよ!」
フール副隊長「なるほど! ノアさんは多才なんすね!」
フール副隊長「しっかしそっくりっすね 本当に団長だ・・・」
ノア(絵描き)「ブレーヴの騎士の方に そう言っていただけて嬉しいです」
アルル姫「これからここに 新たなガブ様コレクションが 増えるなんて・・・」
フール副隊長「・・・そういう約束でしたもんね 『アルル姫が騎士団に戦術を教える』 『その見返りに新作ガブ様グッズを作る』」
アルル姫「ええ♡ あ、早く中に入りましょ! ガブ様をお部屋に飾らないと!」
アルル姫「フール それ運ぶのよろしくね~」
フール副隊長「了解っす!」
〇西洋風の部屋
アルル姫「これはこっちに並べて〜っと──」
アルル姫「あぁ・・・ ガブ様ガブ様ガブ様♡」
「貴様──」
ヤコブ隊長「浮かれるのも良いがほどほどにしておけ アイツをここに呼んだ理由を 忘れるなよ」
アルル姫「そんなの 言われなくたって分かってるわよ!」
フール副隊長「あー、すみません うちの隊長あんな感じなので・・・」
ノア(絵描き)「いえ、アルル姫も 変わらないなと思いまして」
ノア(絵描き)「ですが、ここに呼ばれたからには 僕もきちんと役目を果たすつもりです」
アルル姫(そっか ノアは私のせいで連れてこられた みたいなものだものね)
アルル姫(ただ絵を描いていたいだけの彼を 騎士団のために利用させるみたいな 形になって・・・申し訳ないわ)
アルル姫「ねえ、ノア」
ノア(絵描き)「何でしょう、アルル姫」
アルル姫「ごめんなさい、巻き込んでしまって」
ノア(絵描き)「いえ、かまいません アルル姫が一番のお得意様ですからね 僕はまたお役に立てて光栄です」
アルル姫「ノア・・・」
「おい!」
ヤコブ隊長「無駄話が済んだなら さっさと行くぞ」
アルル姫「え、ちょ、もう行くの!? もう少し再会の余韻を──」
ヤコブ隊長「何を言っている そこの赤髪も一緒に行くぞ」
ノア(絵描き)「はい、ヤコブ殿」
〇森の中
ガブリエル騎士団長「敵はこの森全域に くっ・・・数が多すぎる!」
〇戦線のテント
ヤコブ隊長「貴様 こういう局面ならどうする?」
アルル姫「ガブ様ならきっと こっちに騎士を配置するわね」
アルル姫「ガブ様が得意なのは 中央に集めて雷でドーン!だけど それほどの力があるのは──」
ヤコブ隊長「──私くらいだな」
アルル姫「ええ だからもしあなたが動けないなら──」
アルル姫「──こうね」
フール副隊長「なるほど一対一に引き込むんですね それなら力の弱い騎士でも 充分に戦える──」
ヤコブ隊長「なかなかやるな」
アルル姫「当たり前じゃない ガブ様だもの!」
ヤコブ隊長「・・・貴様の頭には それしかないんだな」
アルル姫「な・・・っ!」
ノア(絵描き)「ヤコブ殿 出来上がりました!」
ノア(絵描き)「こちらでいかがでしょうか?」
ヤコブ隊長「ご苦労 よくできている」
アルル姫「あの、それは・・・?」
ヤコブ隊長「貴様には関係ない おい絵描き、そこのヤツに 報酬を描いてやれ」
ノア(絵描き)「は、はい!」
アルル姫「何あの態度・・・」
ヤコブ隊長「おい、貴様ら!」
騎士たち「はいっ」
ヤコブ隊長「今夜の討伐だが アルルの提案でいくことにする」
アルル姫(え、いきなり!?)
ヤコブ隊長「詳しくはそこの紙にメモをしてある 分からなければ本人に直接聞け なお出発は半刻後 以上」
騎士たち「はい!」
フール副隊長「姫、なかなかの大役っすね まあ実際に現地に行くのは俺たちなんで ちゃちゃっと討伐してきちゃいますね!」
アルル姫「え、でもでもでも・・・」
フール副隊長「大丈夫っすよ あんな感じだけどきっと 隊長は姫のこと認めてるんすよ」
アルル姫「まあこれは私の提案っていうか ガブ様の戦法だから 負けるわけないって分かってるけど──」
騎士「プリンセス ここってこういうことで合ってます?」
フール副隊長「ほらほら出番っすよ!」
アルル姫「え、ええ・・・ これはね、──」
アルル姫(・・・何でこんなことになっちゃうのよ 私はガブ様の敵討ちに 行きたかっただけなのに)
アルル姫(こんなことに巻き込んで 確かに退屈しのぎにはなったけれど でもまさか本当に実戦に応用するなんて!)
アルル姫(はぁ・・・もう! 昨日からちょくちょく思ってたけど──)
〇空
「ヤコブって めちゃくちゃ 自分勝手すぎない〜〜〜っ!?」
これめちゃくちゃ面白いですね!
ガブ様のサムネ!同じ様に見えてもアルルちゃんにとっては
全然違うし、なんだったら何人いてもいいのよ!ってウキウキした声が聞こえてきそう💕
オタク、推し活、言葉として括られている方が分かりやすかったりイメージが浮かびやすいですが、私は詳しい人、こだわれる人、それについて深く調べたり覚えたりしても苦じゃない人、みたいな印象があるんです
すみません、変なこと言って💦
ガブ様グッズ笑いましたwwwアルル姫、ブレなくて可愛いですね!
アクスタ戦術をみんなで真面目に覗き込んでいるところを想像すると面白いです😆
愛しのガブ様コレクション🤣🤣 何という推し愛の凄まじさ👍
各キャラの個性や魅力が存分に打ち出されていて(…アルル姫が最も個性的なのは言うまでもありませんが😂)、どのシーンを取っても、会話から動きからもう楽しすぎます✨