第51話 探検!ドーナツの国!①(脚本)
〇王宮の入口
カオス「タイムスリップ成功! ここがドーナツ王朝か」
エジプト「!?」
カオス「さーて、ドーナツの木はどこにあるんだ?」
エジプト「あんた・・・ドーナツを持っておるのか」
カオス「ジイさんどうした、ヘロヘロじゃねえか」
エジプト「もう3日もろくに物を食べとらんのじゃ・・・何か恵んでくれんか」
カオス「つっても、俺がドーナツにできるのは生き物だけだからな。今はムリだな」
エジプト「うう・・・」
カオス「元気出せって! ドーナツの木があれば無敵だぜ。オレ様は家に持って帰って、ドーナツ農園を作るつもりでよ」
エジプト「はあ・・・?」
カオス「ムチャクチャ美味いドーナツ食い放題って夢みたいだろ! 絶対に持って帰ってやるぜ!」
兵士「貴様、王様に逆らうつもりか!」
???「市民を苦しめる者を、俺は王とは認めない!」
カオス「王様相手にケンカか? 楽しそうだな」
〇王宮の入口
???「ピラミッドづくりを市民に強いるのはやめろ! みんな疲弊している」
カオス「アイツどっかで見た顔だな」
ドーナツ王「見た顔だと思えば・・・お前、書記官のヒカルポクラテスではないか」
ヒカルポクラテス「かなり前に辞めましたけどね」
カオス「へえ、アイツもヒカルって名前かよ」
ドーナツ王「何がそんなに不満だ。 報酬も与えているだろう」
ヒカルポクラテス「こんな小さなドーナツ一つで、何が報酬だ!」
カオス「それがドーナツだと!?」
ヒカルポクラテス「なっ!?」
カオス「ちっちぇえし、穴も開いてない・・・昔のドーナツって、あんパンみてーだな」
カオスが食べようとしたとき、ドーナツ王が指をパチンと鳴らした。
ドーナツ王「アン・ドーナツ」
ドーナツ王の掛け声と同時に、カオスの持つドーナツが消失した。
カオス「!? なんだ!?」
ドーナツ王「・・・話は終わりだ。城に戻る」
兵士「はっ!」
ヒカルポクラテス「待て、ドーナツ王!」
カオス「ドーナツ食わせろよ!」
ドーナツ王は兵士を連れて立ち去った。
カオス「クッソ~、ドーナツ食い損ねた!」
ヒカルポクラテス「王を諫(いさ)めるチャンスだったのに・・・」
カオス「なあ、ヒカルなんとか。あのドーナツどこ行けば食えるんだ?」
ヒカルポクラテス「・・・ヒカルポクラテスだ」
カオス「元祖ドーナツに違いねえ、絶対食うぞ。 案内しろ、ヒカルなんとか」
ヒカルポクラテス「ヒカルポクラテスだ!」
〇ピラミッド
何百もの市民たちが巨大な石を運び、ピラミッドを建設している。
市民たちは石を運び終わると、鞭を持った役人の前に列を作った。
役人「今日の報酬だ、感謝しろ!」
市民「ありがとうございます、ありがとうございます・・・」
ヒカルポクラテス「見ていられないよ。あの王がいる限り、市民は貧しくなるばかりだ」
カオス「へえ、あそこで石を運べばドーナツ貰えるのか」
ヒカルポクラテス「労働に見合わない対価だと思わないか? あんな小さなドーナツ一つで」
カオス「文句言うくらいなら、自分で作ればいいじゃねえか」
ヒカルポクラテス「・・・材料がないんだ。 砂漠では作物が育たなくて」
カオス「? じゃあ、王はどうやって」
ヒカルポクラテス「ドーナツ王は、砂からドーナツを作ることができる」
カオス「砂!? あの王、生き物じゃないモンからも作れんのか!」
ヒカルポクラテス「王が施すドーナツは市民の貴重な食糧なんだ。だからこそ公平に──」
カオス「すげーな! ますます食いたくなった!」
ヒカルポクラテス「えっ?」
カオスは巨大な石を一人で持ち上げる。
カオス「これ、どこに運べばイイんだ?」
ヒカルポクラテス「ええええ!?」
- このエピソードを読むには
会員登録/ログインが必要です! - 会員登録する(無料)