デス・パレードは祈りと共に

はじめアキラ

エピソード26・瓶の中(脚本)

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〇散らかった研究室
峯岸輪廻「え?英検一級?八歳で?」
須藤蒼「すっご・・・。僕なんて五級も取れる気がしないのに」
れつ「ま、まあ・・・昔から、英語の歌に興味あったから」
れつ「あと、好きなアニメのファンに、海外の人が多くて。結構、英語でお喋りしてて、なんて言ってるのか知りたいなって」
れつ「SNSだと、英語圏の人達も、全然難しい英語使わない。少しでも話せるようになると、一緒に盛り上がれて凄く楽しいんだ」
れつ「そう思ったら、どんどん英語に興味が沸いてきた、というか・・・」
須藤蒼「好きこそものの上手なれ、っていうもんね」
れつ「ま、まあ、そうなる、かも」
れつ「ただ、試験はそれなりに自信があっても、いつも問題があって・・・」
須藤蒼「問題?」
れつ「・・・俺、ものすごい方向音痴だから。毎回道に迷って、試験会場に行くまでが一番の試練で」
れつ「お父さんもお母さんも、道を覚える練習をしなさいって言って、まず送ってくれないから・・・」
峯岸輪廻「ま、まあ。世の中にはいるな。道を覚えるのが極端に苦手な奴って」
まちか「れつは色々伝説があるんだものね」
まちか「友達のサッカークラブの応援に行こうとして・・・ものすごく早く出たのに、到着するのギリギリになったとか」
まちか「えーっと、一時間前に着くように出たのに駄目だったんだっけ?」
れつ「ば、バラすな、馬鹿!」
みれい「あっはっは!あたしのバスケ部の応援にも遅刻してきたもんなーれつは!」
峯岸輪廻「みれいは、ミニバスをやってるんだったか?」
みれい「まーね。あたしは隣町のクラブに入ってんだけどさ。始める前はすっごく迷ったよ。バスケにするか、サッカーにするか」
みれい「見ての通り、あたしスポーツなら何でも得意だからさ!特に球技・・・みんなでやる球技が大好きなんだ!」
みれい「でもまちかはインドア派だよな、あたしと違って。学校ではえっと・・・漫画クラブに入ってるんだっけ?」
まちか「え?あ・・・うんそう。私、漫画好きだから」
まちか「でも、全然上手くならないんだよね。毎日描いてるのに。それと、女の子を描くのは得意だけど、男の子苦手で・・・」
まちか「おうちの先生もいろいろ教えてくれるんだけど、先生たちは油絵とかが得意だから、漫画はあんまり・・・」
峯岸輪廻「・・・なるほど、みんな楽しい学校生活だったわけだ」
峯岸輪廻「確認なんだが、三人は全員一緒の学校に通っていたんだったか?」
みれい「そう。クラスも一緒なんだぜ。なあ?」
れつ「そうだな。一緒に帰るところだった」
峯岸輪廻「ちなみに、三人の出身県は?関東だとは思うんだが」
れつ「え?何でわかるんだ?」
峯岸輪廻「簡単だ。全員、言葉に方言らしきものが一切見当たらないからな。殆ど標準語を話している印象だ」
峯岸輪廻「イントネーションにも目立つものがない。ということは、東京とか埼玉とか神奈川とか、まあ都心近くのどこあだろうなと思って」
みれい「すっご、名探偵じゃん。あってる、あたし達江戸っ子だよ。みんな近所に住んでるんだ。幼稚園からの友達だし!」
まちか「二人とも、大人しい私にもすごく親切にしてくれるの。いつも感謝してる」
みれい「や、やーめろって、照れんじゃん!」
峯岸輪廻「・・・」
須藤蒼「? どうしたの、輪廻さん?」
みれい「つか、うっかりどうでもいい雑談しちゃったけど。これで何かわかったのかよ?」
峯岸輪廻「・・・まあ、一応な」
峯岸輪廻「・・・まちか。ペットボトルと注射器を、全員に配ってくれないか?一人ワンセットずつ」
まちか「え?い、いいですけど・・・結局、ランダムで一人一本ずつ打つことにするんですか?」
峯岸輪廻「まあな。でもまだ打たなくていい。配るだけだ、頼む」
まちか「は、はい・・・」
まちか「配りましたけど・・・」
みれい「どうするんだ、これ?」
須藤蒼「輪廻さん?」
峯岸輪廻「・・・まちかがA、みれいがC、れつがD。蒼がBで、俺がEか」
れつ「適当に配ったんだろ?それ」
峯岸輪廻「そうだな。でも、ボトルは手前からアルファベット順に並んでいた。そして、ボトルに近い位置に君達三人が座っている」
峯岸輪廻「まちかは、近くにいる君たちに先に注射器とペットボトルを渡した」
須藤蒼「それがどうかしたの?」
峯岸輪廻「適当に渡せばいい、すぐに打たなくていいと俺は言った。それなのに・・・子供達が持っているボトルの順番が飛んだのは何故か?」
峯岸輪廻「まちかがわざわざ、ボトルBを飛ばして、Cをみれいに、Dをれつに渡したからだ。で、Bを蒼に、Eを俺に渡した」
峯岸輪廻「蒼、Bのボトルと注射器をこっちに」
須藤蒼「え?あ、はい・・・」
峯岸輪廻「見た目に、違いはない、が・・・」
峯岸輪廻「・・・」
峯岸輪廻「まちか」
峯岸輪廻「君は、運営側の人間。教団の信者だ、そうだろう?」
れつ「は!?」
須藤蒼「え、えええええ!?な、なんで・・・っ」
まちか「・・・・・・っ!」
峯岸輪廻「そして、このボトルBに入っているのが、毒」
峯岸輪廻「・・・君は答えを最初から知っていたんだ。そうじゃなければ、わざわざボトルを飛ばさない」
須藤蒼「そ、それはたまたまじゃ・・・」
峯岸輪廻「他にも根拠がある。それを、今から説明しよう」

次のエピソード:エピソード27・声の中

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