デス・パレードは祈りと共に

はじめアキラ

エピソード25・言の中(脚本)

デス・パレードは祈りと共に

はじめアキラ

今すぐ読む

デス・パレードは祈りと共に
この作品をTapNovel形式で読もう!
この作品をTapNovel形式で読もう!

今すぐ読む

〇散らかった研究室
みれい「え、えっと・・・?」
まちか「お、お兄さん、何してるの?」
れつ「え、え・・・・・・!?」
峯岸輪廻「悪い、ちょっとじっとしててくれるか?せっかくいいもの見つけたんだから」
峯岸輪廻「よし、あと、ちょっと・・・!」
峯岸輪廻「よし!手錠が壊れた!」
まちか「ほ、ほ、ほんとに?あ、ほんとだあ!」
須藤蒼「良かった!これで、とりあえずこの部屋の中で自由に動けるね!」
みれい「あ、ありがとう。で、でもいいのかよ?」
峯岸輪廻「ん?」
みれい「だ、だって・・・あたし達、自由にして、大丈夫?下手なことしたら、あんた達、殺されちゃうんじゃ」
みれい「だ、だってあんた達も、無理やり拉致されてきたんだって話してくれたじゃん。 あたし達と、立場は同じようなもんだろ?」
みれい「誘拐犯たちの機嫌損ねたら、何されるかわかったもんじゃないっていうか・・・」
須藤蒼「・・・だ、そうだけど輪廻さん?」
峯岸輪廻「お前たちの手錠を切ってはいけない、なんてルール聞いてないぞ」
峯岸輪廻「誰も、そんな話は誘拐犯から聞いてないだろ?」
みれい「そ、そりゃそうだけど・・・」
峯岸輪廻「で、わざわざこの部屋に、手錠を切断できるような頑丈なペンチが置いてあるわけだ」
峯岸輪廻「切りたかったらお好きにどうぞ、ってことだと思うけどな」
須藤蒼「うんうん」
れつ「それはそうかもしれないけど、でも、いいのか?」
峯岸輪廻「何がだ?」
れつ「あんた達に課せられた試練は、ペットボトルに入った液体を注射すること。五本分あって、俺達は五人」
れつ「一人一本打ってもいいし、一人に五本全部打ってもいい。そうすれば、次に進めるって話のはず・・・」
れつ「そして、そのうち一本には、死ぬかもしれない毒が入ってる」
れつ「だったら、あんた達は、見知らぬ俺達三人の誰かに打ってしまった方がいい。そうすれば自分が毒にやられることはないんだから」
れつ「俺達を拘束したまま、無理やり薬を打ってしまえば早かったはずなのに。三人とも解放するなんて・・・」
峯岸輪廻「いや、それ無理だから」
まちか「無理って?」
峯岸輪廻「抵抗できない子供に毒かもしれない薬品を打って、自分だけ安全圏に逃げるなんてできない。無理。俺には無理だ」
まちか「でも、私達、初めて会ったのに」
須藤蒼「うーん、まあ、こういう人だから、輪廻さんは」
須藤蒼「僕だって、実際輪廻さんとは会ってそんなに時間経ってないのに、当たり前に庇うしねえ・・・」
須藤蒼「・・・輪廻さん、辛かったら座ってていいよ?まだ眩暈するんでしょ」
峯岸輪廻「あ、ああ。すまない。大丈夫だ」
まちか「え?お兄さん具合悪いんですか?」
峯岸輪廻「君は気にしなくていい。・・・話を先に進めるぞ」
峯岸輪廻「今回のゲーム、時間制限について誰か聞いてる人間は?」
まちか「・・・・・・」
須藤蒼「いない、みたいだね」
峯岸輪廻「アナウンスもないし、特に時間制限があるミッションではなさそうだな。ただ」
峯岸輪廻「さっきざっとこの部屋を確認したかんじだと・・・冷蔵庫の中には飲み水らしきお茶しか入っていない」
峯岸輪廻「トイレはあるし、手洗い場の水も出るみたいだから、最悪蛇口から水は飲めるけどな。食料がないんだ」
須藤蒼「と、いうことは・・・」
峯岸輪廻「この部屋に閉じ込められたままだと、いずれ俺達五人全員が餓死するってこと。それがタイムリミットと言えなくもない」
まちか「そ、そんなぁ・・・」
峯岸輪廻「その前に、ミッションをクリアして次のフロアに進めってことなんだろうな。さて・・・」
峯岸輪廻「ペットボトルにはよくよく見たら、AからEまでのラベルが貼ってある。このどれが毒なのか、見極めないといけない」
峯岸輪廻「毒ではないと言っている残りの液体も、四本も打ち込んだら体に害かもしれないしな。できれば分散したい」
峯岸輪廻「そのためには、どれが毒なのかを見極める必要がある」
みれい「ええ、見極めるって・・・どうやってやるんだよ?」
みれい「中身全部、透明な液体にしか見えないし・・・違いなんてあるかなあ?」
須藤蒼「ふんふん・・・臭いもしないね」
須藤蒼「これ実は全部ただの水、っていうオチないかな?そうだったら楽なんだけど」
峯岸輪廻「可能性はゼロじゃないが、楽観視しない方がいいな。・・・というわけで」
峯岸輪廻「君達三人、全員の話を聞かせてくれないか?なんでもいい、ヒントになるかもしれない」
みれい「あたし達、の?」
峯岸輪廻「そうだ。このミッションに、君達が選ばれた理由があると思う。何でもいい、覚えていることを教えてほしい」
峯岸輪廻「それと、君達の名前もな。ああ、言い忘れてた。俺の名前は、峯岸輪廻という」
須藤蒼「あ、僕は、須藤蒼って言います。よろしくね」
まちか「あ、あの、その・・・私、まちかです。森嶋まちか。それで、こっちが・・・」
まちか(・・・変な人たち、だなあ。どうして、笑ってられるの?怖くないの?)
まちか(この中で、今から誰かが死ぬかもしれないのに、なんで・・・?)

次のエピソード:エピソード26・瓶の中

成分キーワード

ページTOPへ