武術の心得

夏目心 KOKORONATSUME

5 インターハイ(脚本)

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〇会場の入り口
  有れから数日。正義はあの日以来学校に来る事は無く俺達は日々鍛錬を重ねて、待ちに待ったインターハイ当日を迎えた。
霧原遊戯「しかしまぁ、有れだけの騒動が有って俺達が出場出来るだなんて夢にも思わなかったよ」
神坂誠二「本当ですよ。俺も一時はどう成るかと正直不安でした。霧原先輩、目標とか有りますか?」
霧原遊戯「野暮な質問だな。優勝一択に決まってるだろ?」
神坂誠二「ですよね!」
暗森敬一「おーい!皆揃ってるかぁ!?」
神坂誠二「あ!お早う御座います!暗森先生!」
霧原遊戯「お早う御座います。面子は揃ってますよ」
暗森敬一「そうか。出席確認取るから皆並んでくれ」
  暗森先生の指示で出席確認をした俺達は、メンバーが全員揃ったのを確認して会場へと足を運んだ。
霧原遊戯「なぁ神坂、お前にちょっと、頼みが有るんだが」
神坂誠二「ん?何でしょうか?」
霧原遊戯「いや、今は良いや。大会が終わったら話すよ」

〇野球場
安西雫「ほらほら!早くしないと試合始まっちゃうよ!!」
霧島唯斗「ま、待って下さいよ!まだ時間有りますよね!?」
安西雫「あたしに取っては大事な事なのよ!誠二の試合終わってたらどうするの!?」
霧島唯斗「誠二って、神坂先輩の事ですか?安西先輩って神坂先輩と一緒に居る事多いですが、付き合ってるんですか?」
安西雫「う〜ん・・・上手くは言えないけど、誠二が別の女の子と仲良くしてるのは嫌かな?」
霧島唯斗「は、はぁ・・・」
安西雫「それより早く席に座ろう!折角先生方から許可貰って応援に来たんだから!」
霧島唯斗「は、はい・・・」
  雫は霧島と共に俺達の応援に来ていた。二人が適当に席に座った後、開会式が始まり、ルール説明を聞かされる。
  試合は5対5のチーム戦で先に3勝した方が勝ちで、俺達は試合に挑む事と成った。
暗森敬一「さて、一部の者に取ってはこれが最後の大会に成る。自分の力を惜しみ無く発揮するんだぞ!」
神坂誠二「はい!!」
霧原遊戯「いよいよだな・・・」
  各々の準備が整い、いよいよインターハイが始まった。
男性審判員「これより、夏目高校対暁高校に寄る一回戦を始める物とする!一人目、前へ!」
  最初の一回戦が始まる。お互いに素早い動きと攻撃で一歩も引かない状況で、戦績はこちら側は一人目が負け。二人目が勝ち、
  三人目は引き分けと成り、四人目、副将戦でやる事と成った俺は、
神坂誠二「せい!!」
対戦相手「うわっ!?」
男性審判員「一本!!勝者、神坂誠二君!!」
対戦相手「・・・良い勝負でした」
神坂誠二「こちらこそ、有難う御座います」
  その後、大将戦にて霧原先輩が打ち勝ち、二回戦へと突入。俺達は持てる力を惜しみ無く発揮して何とか決勝戦へと
  足を踏み入れた。決勝戦でのこちら側の戦績は一人目が勝ち。二人目が勝ち。三人目は引き分けで、副将戦の俺は、
神坂誠二「くう!!」
対戦相手2「そこです!!」
神坂誠二「あう!!」
男性審判員「一本!勝負有り!!」
神坂誠二「・・・これは悔しいな」
対戦相手2「良い勝負でした。また何処かでやりましょう」
神坂誠二「はい、こちらこそ!」
霧原遊戯「神坂、大丈夫か?」
神坂誠二「申し訳有りません、俺が勝ってれば、もう優勝でしたのに・・・」
霧原遊戯「そう行き急ぐな。後は俺に任せて、やれる事やっとけよ」
神坂誠二「・・・はい!!」
安西雫「あぁ、誠二負けちゃったか・・・」
霧島唯斗「これはどっちに成るか分からなく成りましたね・・・」
男性審判員「これより、最終戦を行います。対戦者は、試合場へ!」
対戦相手3「宜しくお願いします」
霧原遊戯「こちらこそ・・・」
男性審判員「それでは、始め!!」
霧原遊戯「せい!」
対戦相手3「はぁ!!」
神坂誠二「先輩・・・頑張れ・・・!!」
  各々の攻防は激しく、正直どちらが勝ってもおかしく無かった。素早く動く中でお互いが一本ずつ取り合い、次の一発で勝負が
  決まる事と成った。
霧原遊戯「(落ち着け俺!気持ちで負けるな!次の一発で全てが決まる!)」
対戦相手3「(相手も同じ気持ちの筈・・・此処で全て決める!)」
霧原遊戯「・・・・・・」
霧原遊戯「どうだ!?」
対戦相手3「結果は!?」
男性審判員「・・・・・・?」
女性審判員「・・・・・・」
  審判員の人達は今の当たり判定を良く話し合っていた。霧原先輩達がドキドキしながら結果を待ち、審判員の人が声を出した。
男性審判員「お待たせしました。結果を報告します。この試合の勝者は・・・」
男性審判員「夏目高校、霧原遊戯君です!!」
霧原遊戯「え、えぇ!?」
対戦相手3「何と・・・僕の負けか。対戦出来て良かったです。そして優勝おめでとう!」
霧原遊戯「あ、有難う御座います・・・何だろう・・・何か今の気持ち言葉に出来ない・・・夢じゃ無いんだ・・・!!」
神坂誠二「先輩!!俺達やったんですね!!」
霧原遊戯「あぁ!夢なんかじゃ無い!こんな気持ちで引退出来るだなんて・・・!!」
霧島唯斗「安西先輩!皆が、皆が勝ちましたよ!!」
安西雫「えぇ!本当に優勝出来たなんて信じられないわ!!こんな事って有るのね!!」
  俺達のチームは激闘の末、見事に優勝を手にした。期待と不安で溢れてたが、まさか俺達が此処まで行けるとは思わなかった。
  全ての試合が終わり、俺達は表彰台に立ち、心から嬉しい気持ちで溢れ返っていた。

〇会場の入り口
霧原遊戯「あぁ駄目だ、興奮抑えられねぇ!!」
神坂誠二「本当ですよ!優勝出来るのがこんなに嬉しいだなんて!!」
  大会が終わった後、俺達は優勝した喜びを分かち合っていた。普段滅多に感じない感情だったので、どうしても抑える事が
  出来なかった。
霧原遊戯「でもこれで引退か。何だか寂しく成るな」
神坂誠二「あぁ、すっかり忘れてた。先輩、医大受かったら剣道どうするんですか!?」
霧原遊戯「う〜ん・・・本格的に医者に成りたいから、もう俺が剣道やる事は無いかな。何かしらの形で出来たら嬉しいけど」
神坂誠二「・・・何とも言えませんね」
暗森敬一「皆、今日は本当お疲れ様」
霧原遊戯「お疲れ様です!暗森先生、今日まで本当お世話に成りました。上手く言えないけど、剣道やって見て楽しかった!」
暗森敬一「有難う・・・霧原、これからどうするのか決めたのか?」
霧原遊戯「俺、剣道辞めて、今日から本格的に医者を目指します!」
暗森敬一「そうか・・・寂しく成るが頑張れよ」
霧原遊戯「はい!そうだ先生。神坂にあの事話しても良いですよね?」
暗森敬一「あぁ、すっかり忘れてたな」
神坂誠二「ん?何の話です?」
暗森敬一「いやな、前から霧原に相談されててな。神坂。君は今後剣道を続けるかい?」
神坂誠二「はい。そのつもりですが?」
暗森敬一「そうか・・・実はな、霧原から相談されてた事なんだが、神坂、これから内の剣道部の主将、君に任せたいんだ」
神坂誠二「えぇ!?俺が主将ですか・・・って、霧原先輩、もしかして・・・!?」
霧原遊戯「あぁ、俺が話したかったのってこの事だよ」
神坂誠二「えぇ!!でも、こう言うのって、皆で話し合う物じゃ・・・」
暗森敬一「まぁ落ち着け。霧原はずっとお前に頼みたかったそうなんだ。自分の後継人に成ってくれるなら神坂が良いって前から言われててな」
暗森敬一「何より、お前達一人一人の力で今日まで頑張って来れた。神坂、お前は周りを良く見てる。霧島の事、自分の事見たいに」
暗森敬一「悩んでただろ?」
神坂誠二「そ、そうですが・・・」
霧原遊戯「神坂、頼まれてくれないかな?俺の次はお前以外にやって欲しく無い。皆からの了承は既に得てるんだ」
神坂誠二「・・・・・・」
神坂誠二「・・・・・・」
神坂誠二「本当に俺で良いんですか?」
霧原遊戯「あぁ、俺はお前にやって貰いたい」
神坂誠二「・・・分かりました!引き受けます!」
暗森敬一「決まりだな」
霧原遊戯「どうも有難う!これで心置き無く引退出来る!!」
神坂誠二「霧原先輩、本当お世話に成りました。俺、このチームに恥じない主将に成って見せます!」
霧原遊戯「あぁ、楽しみにしてる!」
暗森敬一「さて、そろそろ頃合いだな。今日は解散!各々、寄り道せずに帰る様にな!」
神坂誠二「う〜ん・・・我ながら厄介な役を受けてしまった様な・・・」
安西雫「誠二。お疲れ様!」
神坂誠二「雫?そっか。来てくれてたんだ」
安西雫「えぇ、霧島君を誘ってね。彼もう帰っちゃったけど」
神坂誠二「そっか・・・」
安西雫「疲れてるでしょ?もう帰りましょう」
神坂誠二「そうだな・・・」

〇通学路
安西雫「そっか。誠二主将に成るんだね」
神坂誠二「あぁ、でも主将なんてやった事無いし、何して良いかも分からないんだ」
安西雫「多分誰でもそうだよ。学校の先生にしろ、何かしらの指揮官にしろ。あたしは誠二がやりたいと思った通りにやれば良いかなって」
安西雫「思ってるよ」
神坂誠二「やりたい様にか・・・今は想像出来ないな」
安西雫「まぁ、誰でも最初はそんなもんでしょ?やって初めて気付ける事も有るから」
神坂誠二「・・・まぁ、有れだな。何事も経験って奴か」
安西雫「そ!先ずはやって見る事が大事よ!その先で何か有ったら、その時の事はその時考えて、またやり直せば良いだけだから!」
神坂誠二「・・・そうだよな・・・有難う、何か元気でたよ」
安西雫「どう致しまして!夏休みに成ったら、次はあたしの番か」
神坂誠二「あぁ!水泳大会か!もうそんな時期だったか・・・」
安西雫「正直怖いけど、自分が何処まで行けるか試したいのも本当だよ」
神坂誠二「そっか・・・今度は俺が応援に行くよ」
安西雫「有難う!ねぇ誠二。水泳大会終わったら、あたしとデートしよう!」
神坂誠二「え?何だよ急に?」
安西雫「あたしに対するご褒美だと思って頂戴!楽しみにしてるから!」
神坂誠二「あ、あぁ・・・」
安西雫「じゃああたしこっちだから!誠二、また明日ね!」
神坂誠二「・・・また明日・・・か・・・」
  各々これからの不安や楽しみを抱えながら、俺達はまた、自分達の明日へと歩き出すのだった。

次のエピソード:6 正義の味方の行く末

コメント

  • 夏目高校剣道大会優勝と霧原の目標達成と良い結果となりましたか!
    剣道をやっている身であるから嬉しいですね!
    小手、面、胴と何処を狙って一本を取ったか気になりものですが・・・
    小説系で発声まで剣道を忠実にすると思考とかが分からなくなるので仕方ないですが・・・
    しかし、霧原の試合は凄そうなイメージですね!

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