デス・パレードは祈りと共に

はじめアキラ

エピソード24・子の中(脚本)

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〇研究施設の廊下
峯岸輪廻「・・・・・・っ」
須藤蒼「り、輪廻さん、大丈夫?」
峯岸輪廻「わ、悪い。少し眩暈がしただけだ」
須藤蒼「か、顔色真っ青だよ。やっぱり、血を抜きすぎたんじゃ」
峯岸輪廻「計算上は、まだ大丈夫なはずだ。少し貧血になってるだけだから、気にしなくていい」
須藤蒼「そんなこと、言われても・・・」
峯岸輪廻「それより、確認したいことがある。・・・この廊下に、カメラは?」
須藤蒼「ないと思う、けど」
峯岸輪廻「だったら、お前に質問だ。・・・さっきの三人の中に、信者はいたか?俺には、三人とも一般人にしか見えなかったが」
須藤蒼「!」
須藤蒼「た、確かに。見覚えのある顔もなかったし・・・演技してるようにも見えなかった」
峯岸輪廻「最後の試練には、信者も参加予定、だったな?」
峯岸輪廻「それがいなかったということは・・・」
須藤蒼「まだ、最後の試練は終わってない・・・」
峯岸輪廻「そうなる。次の扉の奥で、また何か試される羽目になりそうだ」
須藤蒼「そ、そんな・・・!もう、輪廻さん、ふらふらなのに」
峯岸輪廻「奴らにとっては、あの三人を見殺しにすることが正規ルートのつもりだったのかもな」
峯岸輪廻「これで俺が死んだら、きっとどこかで“馬鹿みてえ!”と嗤うつもりなのかもしれない」
須藤蒼「り、輪廻さんは馬鹿なんかじゃないよ!本気で人を助けようとしただけじゃないか!」
峯岸輪廻「お前がそう言ってくれるだけで、嬉しいよ」
峯岸輪廻「・・・うん、少し、眩暈が落ち着いてきた。大丈夫だ、ちゃんと歩ける」
峯岸輪廻「行こう、次の部屋へ」
須藤蒼「う、うん。無理、しないでね・・・」
須藤蒼(本当に大丈夫、なのかな・・・)

〇謎の部屋の扉
峯岸輪廻「・・・よし、入るぞ」
須藤蒼「う、うん・・・」

〇散らかった研究室
須藤蒼「あっ・・・!」
峯岸輪廻「くそがっ!またこのパターンか!」
まちか「あ、あ、ひ、人がきた、やっと・・・!」
みれい「助け?助けが来たのかよ?」
れつ「いや、なんだか、そういう雰囲気じゃないような・・・」
須藤蒼「子供ばっかり、三人も・・・!みんな、僕より年下みたいだ・・・」
峯岸輪廻「しかも、全員手錠と足枷に繋がれて、逃げられないようになってる・・・!」
峯岸輪廻「さっきの少年もそうだが、子供がアルバイトに応募したとは考えにくい」
峯岸輪廻「誘拐してきたか、信者の子供かどっちかだろうな・・・」
須藤蒼(もしくは、彼らの中に信者そのものがいるかもしれない・・・)
須藤蒼(僕が顔に見覚えがないからといって、信者でないとは言い切れないし・・・)
須藤蒼(幼い頃から洗脳教育を受けていて、立派に教団の思想に染まってる、なんてことも・・・)
峯岸輪廻「くそ、今度は何をさせようっていうんだ!なんなんだこの部屋は!」
須藤蒼「まるで、会社のオフィスみたいだね。気になるのは・・・あちこちに転がってるペットボトルと、注射器か」
須藤蒼「ペットボトルが五本、注射器が五本。嫌な予感しかしないよ・・・」
まちか「お、お願いします!わ、私達を、助けてください!」
峯岸輪廻「!」
まちか「わ、私達、友達同士で・・・一緒に、家に帰る途中で」
まちか「し、し、知らない人に、車に連れ込まれて、気づいたらここにいて」
峯岸輪廻「なっ・・・・・・!」
まちか「この部屋に閉じ込められて。そ、それで、人が来たらこう言いなさいって言われてるの」
須藤蒼「落ち着いて。誰に、なんて言われたの?」
みれい「変なババアだよ!あたしたち、そいつにここに連れ込まれて、手錠かけられて捕まったんだ!」
みれい「そこに、ペットボトルと注射があるだろ?あのペットボトルの中には、薬が入ってるらしいんだよ」
峯岸輪廻「薬?」
みれい「そう。どのペットボトルにも、注射器一本分の薬が入ってるんだってさ」
みれい「それを、ここにいる人間の誰かに注射したら、次のドアが開くんだって、あんたらにそう伝えろって!」
須藤蒼「ええっ!?そ、そんな・・・!」
れつ「・・・人間に注射すれば、誰でもいいって言ってた」
れつ「ここにいる五人のうちの誰かに注射すればそれでいい。でもって、五人全員に注射してもいいし、全部ひとりに打ってもいいって」
れつ「ただ・・・」
れつ「・・・五本あるうちの一つは、毒だと。打ったら死ぬ可能性がある、と」
須藤蒼「ど、ど、毒なんて・・・っ」
峯岸輪廻「今度はそういう試練か。どれが毒なのか、見極めろってことか?いや・・・」
峯岸輪廻(見極めたところで、結局は選ぶしかないわけだ。・・・毒を、誰に打つのかということを)

次のエピソード:エピソード25・言の中

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