〇綺麗な会議室
鈴喜真琴(すずき　まこと)「藤波レコード。確かSEASKYSが所属してるんだっけ」
悲河瑠璃(ひかわ　るり)「はい。知ってると思いますけど、ロイドpやVアイドルをプロデュースしてるとこです」
悲河瑠璃(ひかわ　るり)「SEASKYSのコンポーザーS.K.Yと歌い手鈴海（すずみ）のペアは看板ですね」
鈴喜真琴(すずき　まこと)「S.K.Yさんは元ロイドpだし、 鈴海さんは元歌い手」
鈴喜真琴(すずき　まこと)「ひめがリストに入れるのは分かるけど」
鈴喜真琴(すずき　まこと)「商業に行ったから、接触しにくいと思ってたんだよね・・・」
悲河瑠璃(ひかわ　るり)「実際、正攻法での接触は厳しそうです。ネット発と言えど事務所所属ですし」
悲河瑠璃(ひかわ　るり)「けれどU20オーディションなら話は別です」
悲河瑠璃(ひかわ　るり)「最終審査の合宿では、SEASKYSと参加者の懇親会が予定されているそうですし」
鈴喜真琴(すずき　まこと)「つまり、最終の合宿まで行けば、SEASKYSとリアルで会えるってことか」
悲河瑠璃(ひかわ　るり)「はい。僕たちは幸運なことに一応活動実績もありますし、不可能ではないかと」
鈴喜真琴(すずき　まこと)「う～～～～ん・・・」
鈴喜真琴(すずき　まこと)「確かにリストに入ってた曲数も多い方だし、S.K.Yさんはロイドp出身・・・」
鈴喜真琴(すずき　まこと)「襲撃犯の方のことも考えると、可能性高そうだけど・・・」
悲河瑠璃(ひかわ　るり)「なにか不安なことでも？」
鈴喜真琴(すずき　まこと)「いや不安なことだらけだけど」
鈴喜真琴(すずき　まこと)「まず最終まで行くかわからないし、逆にデビューしたらどうするのってのもあるし」
鈴喜真琴(すずき　まこと)「なにより・・・シンプルに・・・」
鈴喜真琴(すずき　まこと)「親の同意が得られる気がしない!!」
悲河瑠璃(ひかわ　るり)「あー・・・」
悲河瑠璃(ひかわ　るり)「確か勉強優先の教育方針で、部活すら禁止でしたっけ？」
悲河瑠璃(ひかわ　るり)「むしろなんで今までロイドpやれてるのか不思議ですらありますけど・・・」
鈴喜真琴(すずき　まこと)「パソコンはオンライン学習用」
鈴喜真琴(すずき　まこと)「あと最近ITが凄いらしいから勉強しろってことで買ってもらった」
鈴喜真琴(すずき　まこと)「DAWや音源はこっそりお年玉で買ったし」
鈴喜真琴(すずき　まこと)「まあ、そういう感じで、今まで勉強って嘘ついて曲作ってたレベルだからさ」
鈴喜真琴(すずき　まこと)「流石にデビューも視野に入れた事務所オーディションはちょっとね・・・」
鈴喜真琴(すずき　まこと)「一次はともかく、二次の時点でインタビューあり、三次なんか合宿でしょ」
悲河瑠璃(ひかわ　るり)「そうなんですよね・・・ 先輩の家庭事情的に厳しいか」
鈴喜真琴(すずき　まこと)「というかあんたのとこは大丈夫なの？」
悲河瑠璃(ひかわ　るり)「僕の家は、兄の高校生起業を否定しないどころか後押しした家庭ですよ」
悲河瑠璃(ひかわ　るり)「今更オーディションくらい全然問題ないですね」
鈴喜真琴(すずき　まこと)「やっば。まあ悲河のお兄さん、中学の頃から色々凄かったもんね」
鈴喜真琴(すずき　まこと)「確か機材も書籍も全面サポートしてくれるんだっけ？マジで羨ましいわ」
鈴喜真琴(すずき　まこと)「りぃるは割と人気あるから、オーディションもいいとこまで行きそうだし」
悲河瑠璃(ひかわ　るり)「別に先輩も最終狙えると思うんですけどね」
鈴喜真琴(すずき　まこと)「お世辞か」
悲河瑠璃(ひかわ　るり)「本心です」
鈴喜真琴(すずき　まこと)「・・・」
悲河瑠璃(ひかわ　るり)「あの。中学校で司書の先生と話してたときもそうでしたけど──」
悲河瑠璃(ひかわ　るり)「先輩って、褒められたとき露骨に挙動不審になりますよね」
鈴喜真琴(すずき　まこと)「う、うるさいな」
鈴喜真琴(すずき　まこと)「と、とにかくオーディションはいい案だと思うし興味はあるけど」
鈴喜真琴(すずき　まこと)「私は親の同意が絶望的だから無理そう」
鈴喜真琴(すずき　まこと)「悲河が行くならそれでどうにかならない？」
悲河瑠璃(ひかわ　るり)「うーん・・・正直僕はオーディションとかやらず、個人でゆったりやる予定でしたし」
悲河瑠璃(ひかわ　るり)「流石に一人で飛び込むっていうのはきついんですよねえ」
悲河瑠璃(ひかわ　るり)「２人の方が通過確率高そうですし」