武術の心得

夏目心 KOKORONATSUME

3 間違った正義(脚本)

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〇通学路
  翌日。
日村正雄「あ〜かったりぃ・・・最近霧島の奴、手持ち少ないとか言い訳ばっかだよな・・・」
阿久井俊夫「本当それだよな。親からパクれば良いのに、あいつビビリにも程が有るぜ」
霧島唯斗「二人共お早う!探したぜ!」
日村正雄「あれ?霧島じゃ無いか。朝からどうしたんだよ?」
阿久井俊夫「何だ?まさか自分から金渡しに来たのか?」
霧島唯斗「あぁ!お前等に最高のプレゼントを用意したんだ!俺と一緒に来てくれないか?」
日村正雄「最高のプレゼント!?何だか面白そうだな!阿久井、行って見ないか?」
阿久井俊夫「確かに気に成るな!霧島!早く教えろよ!」
霧島唯斗「決まりだな!着いて来い!」

〇ビルの裏
日村正雄「なぁ霧島。最高のプレゼントって何なんだ?そろそろ教えてくれよ」
阿久井俊夫「てか何処へ連れてくかと思ったら、何も無ぇ所じゃ無いか?」
霧島唯斗「あぁ、そろそろプレゼントを見せるよ。向こう見てみな?」
日村正雄「向こう?」
狭間正義「お前等だな?霧島君を虐めてた不良グループは?」
阿久井俊夫「うげ!?このおっさんは確か・・・!?」
日村正雄「最近噂に成ってる説教してくるおっさん!?」
霧島唯斗「二人共何言ってるんだよ?この人は正義の味方だよ」
日村正雄「せ、正義!?お前頭でも打ったか!?」
狭間正義「霧島君から話は全て聞かせて貰った!人の金を横取りしたり、嫌がってる事を平気でやらかして、そんなヘラヘラした奴等には」
狭間正義「普通の仕置じゃ足りないな!お前達を警察に引き渡してやる!!」
阿久井俊夫「おいおいおいおい!!こいつはヤバいぜ!!日村!早く逃げないと!!」
日村正雄「そ、そうだな!!」
  怯える日村と阿久井を余所に、霧島は片手に鉄パイプを握り締めていた。
日村正雄「おい霧島、何の冗談だよ!?」
霧島唯斗「何って、日頃のお礼に俺等がお前等にプレゼントしてやるのさ」
阿久井俊夫「は、はぁ!?どう言う事だよ!?」
霧島唯斗「お前等は俺が止めてって言っても聞いてくれなかった。お前等が止めないなら、俺も、いや、俺達も止めないから!」
日村正雄「お、おい!早まるな霧島!考え直せ!!」
霧島唯斗「お前等なんか・・・潰してやる!!」
  霧島は鉄パイプを握って正義と共に日村と阿久井を容赦無く叩き伏せた。二人共まともに動けなく成る程に痛め付けられ、
  二人は警察の元に送られるのだった。

〇教室
安西雫「あ!誠二お早う!」
神坂誠二「あぁ、お早う雫」
安西雫「その後どうだった?ちゃんと寝れた?」
神坂誠二「まぁ、一眠りしたら少しはマシに成ったかな?」
安西雫「良かった!でも何か有ったら相談してね!」
神坂誠二「あぁ、有難う」
安西雫「え!?何の騒ぎ!?」
神坂誠二「警察のパトカー!?何だろう行って見よう!!」
  突然鳴り響くパトカーのサイレンに驚き、俺達は音の方へと走り出した。

〇大きな木のある校舎
日村正雄「痛ぇ、痛ぇよぉぉ・・・」
阿久井俊夫「な、何もあそこまでしなくても・・・」
高崎浩一「お巡りさん!これは一体何が有ったんです!?内の生徒がこんなにされて!?」
男性警官「それがこちらにも良く分からなくて・・・職員の者が来た時、ボロボロに成ったこの二人が署の前に放置されたのを見つけて、」
男性警官「悪い奴だから逮捕してくれって置き手紙まで置かれて、制服を調べたらこの学校の者だって分かったので・・・」
高崎浩一「おいおい・・・!?何処のどいつだ!?此処まで人を痛め付ける馬鹿たれは・・・!?」
安西雫「誠二!あの二人!!」
神坂誠二「おいおい!何が有ったってんだよ・・・!?」
男性警官「兎も角、我々はこれから暴行した犯人の捜索に当たります」
高崎浩一「まぁ、分かりました。こいつ等の事は我々が何とかしますので。何か有ったら教えて下さい」
男性警官「はい!こちらも全力を尽くします!」
日村正雄「ひっく・・・ひっく・・・!!」
高崎浩一「お前等待ってろ・・・直ぐ病院へ連れてくからな!!」
安西雫「誠二、これどう思う?」
神坂誠二「考えたくは無いけど、これは人一人で傷付けられる様な感じじゃ無い。見た感じ道具を使ってるし、二人位でやったと思う」
神坂誠二「これをやったのは・・・霧島だと思う」
安西雫「え!?確証は有るの!?」
神坂誠二「あくまで可能性だよ。こいつ等に恨みが有るとしたら霧島しか思い付かない!」
暗森敬一「君達!一体何が有ったんだ!?」
神坂誠二「暗森先生!あのですね・・・」
  俺は暗森先生に事の顛末を話した。
暗森敬一「そ、そんな馬鹿な話!?霧島は何処に!?」
安西雫「あたしは今日、霧島君の姿は見てません。誠二はどう?」
神坂誠二「いや、俺も見てないが・・・」
神坂誠二「もしかして・・・やっぱりあいつが・・・!?」
暗森敬一「いや、結論付けるのはまだ早い。霧島君を探すのを手伝ってくれないか?」
安西雫「分かりました!今から聞き込みします!」
  俺達は直ぐに霧島を探したが、この時は誰も霧島を見て居なかった。電話を試みたが、霧島に繋がる事は無かった。

〇学校の廊下
神坂誠二「え!?まだ来て無いんですか!?」
男性教員「そうなんだ・・・霧島の自宅にも連絡して見たが親御さん達も何も知らないと」
安西雫「虐めが原因の不登校・・・でも、日村君と阿久井君があんな風にされて・・・何か別の理由とか思い付きません?」
男性教員「う~ん・・・私にも心当たりが無い。元々大人しくて良い子だったんだけど」
神坂誠二「分かりました。俺、彼と同じ剣道部なので、何か有れば教えて下さい」
男性教員「有難う!これから緊急の教員会議を行うから、私はそろそろ行くよ」
安西雫「分かりました。呼び止めて申し訳有りませんでした」
神坂誠二「う〜ん・・・あぁ言うタイプに限って悪い奴に成り下るかね・・・」
安西雫「有り得る話よ誠二。真面目だったり、優しかったりする人に限って、反発して悪い奴に成る例は沢山有るわ。そう言うのに」
安西雫「憧れて、間違った道へ行ってしまうのも不思議じゃ無い」
神坂誠二「う〜ん・・・そう聞くと難しいな・・・」
暗森敬一「あれ?神坂と安西さん、此処で何してるんだい?」
安西雫「あ!暗森先生!あたし達、霧島君の担任に霧島君の事聞いてて!」
神坂誠二「それで、何か分からないかなと思って・・・」
暗森敬一「そっか・・・もし有れをやったのが霧島だとしたら、そう成る前に対処出来なかった僕等の責任だからな。ともあれ、」
暗森敬一「これからあんな風にされない様に皆で話し合いに行くから、君達も危ない事はしないで」
神坂誠二「分かりました」
暗森敬一「あ!そうだ!神坂、今日の部活は中止にして、僕と一緒に来て貰えないかな?」
神坂誠二「ん?一体どちらへ?」
暗森敬一「今日の課題が全て終わったら、霧島の家に行って見ようと思う。何か分かるかも知れないから」
神坂誠二「そう言う事なら、分かりました!」
安西雫「先生、あたしも一緒して大丈夫ですか?少しは力に成れると思います!」
暗森敬一「有難う。僕もそろそろ行かないとだから、また後でね!」
安西雫「霧島君、見つかると良いね」
神坂誠二「見つけてやるさ。何がなんでも」
  暗森先生からの頼みで、俺達は霧島の家に放課後に向かう事に成った。正直嫌な予感がしてままならないが、その時が来るまで
  出来る事をやるのだった。

〇一戸建て
  放課後、俺と雫は暗森先生と共に霧島の家に訪問しており、霧島の親から情報収集をしていた。
霧島母「私も思い付く限りで探したんですが、どうしても見つけられませんでした。電話しても繋がらなくて・・・」
暗森敬一「そうですか・・・家に居た時、何か変わった事とか有りませんでしたか?」
霧島母「そうですね・・・剣道部に入ってから、あの子は毎日の様に竹刀を握って家の庭で素振りの練習をしてまして、」
霧島母「最近何を思ってたのか、呼び出したりしたら何処か高圧的な態度に成る事も有って・・・」
暗森敬一「成る程・・・分かりました。もし帰って来たら、一度学校に連絡する様にとお伝え下さい。彼の事は、我々が責任を持って」
暗森敬一「対応致します」
霧島母「お願いします!こちらからも、何か分かったら教えて下さい!」
暗森敬一「分かっては居たけど、まだ帰って来て無いだなんて・・・」
安西雫「どうします暗森先生?あたし達まだ時間有りますから、今一度霧島君を探しに行きませんか?」
暗森敬一「手伝ってくれるのは有難い。だけどもうこの時間帯だ。18時に成ったら迷わず帰って貰うよ。明日の事も有るし」
神坂誠二「分かりました。雫、俺は向こうを探すよ」
安西雫「分かった。ならあたしはあっちね!」
  少ない時間の中で再度霧島を探しに行く事と成った俺達だったが、何処かから誰かの足音が聞こえて来た。
霧島唯斗「・・・・・・!?」
神坂誠二「霧島!?」
暗森敬一「霧島!一体何処で何してたんだ!?皆心配したんだぞ!?」
霧島唯斗「・・・・・・」
暗森敬一「なぁ霧島。この前言い過ぎた事は謝る。せめて何が有ったか聞かせてくれないか!?」
霧島唯斗「・・・煩い・・・」
暗森敬一「え?」
霧島唯斗「大人は何もしてくれなかった!だったら、俺が自分で解決するしか無いじゃないか!!俺は正義の味方のおじさんと会った」
霧島唯斗「おじさんは教えてくれた!悪い奴がヒーローに倒されるのは、そいつが倒されて当たり前な奴だって!あの二人もそうだ!」
霧島唯斗「あいつ等は沢山ボコボコにされて、警察に引き渡されて当たり前だったんだ!」
暗森敬一「霧島!それで弱い人が間違ってたら、その人も自分の手にした力で傷付けるのか!?」
霧島唯斗「当たり前だ!俺は決めたんだ。間違った奴はおじさんと一緒にやっつける!俺は正義の味方に成るんだ!!」
暗森敬一「正義の味方?一体何を言って・・・?」
安西雫「先生!詮索は後です!早く霧島君を捕まえましょう!あの子鉄パイプなんて持ってました!」
暗森敬一「・・・!そうだね!すまない二人共、手伝ってくれ!」
神坂誠二「・・・!分かりました!」
  俺達は霧島を追い掛けたが路地裏等に入り込まれて見失ってしまった。霧島が自宅に戻った時、片手に鉄パイプを握り締めていたのを
  俺も確認し、霧島の言う正義の味方のおじさんと言う言葉に、何だか嫌な予感がした。

次のエピソード:4 力の使い方

コメント

  • 鉄パイプを持ち歩くのは即アウトでしょ!
    虐めから身を護る為に武道を始めるのは自分でもありましたが、復讐は流石にしていないですね・・・
    あと祖父に憧れもありましたし・・・
    因みに夏目心さん。
    剣道のルール初心者ながらも一番やってはいけない一本取った後や勝った時にガッツポーズする行為をやっていない当たり武道のルールはしっかり理解されていますよ。

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