第07話 大日本銀行(脚本)
〇東京全景
〇繁華街の大通り
〇車内
運転中の男性「うわっ!」
助手席の女性「大丈夫?」
助手席の女性「凄いスピードだったわね、今のパトカー」
運転中の男性「事件か・・・もしかすると事故かな」
助手席の女性「折角久しぶりに二人で出掛けてるのに」
助手席の女性「渋滞とかにならなきゃいいけど」
〇大きい交差点
〇車内
小判 早馬(こばん そうま)「えーと、女鮫警部」
小判 早馬(こばん そうま)「本当に、サイレン鳴らして大丈夫ですか?」
小判 早馬(こばん そうま)「緊急でないのに鳴らしたら」
女鮫 蜂利(めざめ はちとし)「6ヶ月以下の懲役か、30万以下の罰金ね」
小判 早馬(こばん そうま)「そう、それです!」
女鮫 蜂利(めざめ はちとし)「大丈夫よ」
女鮫 蜂利(めざめ はちとし)「あとであたしに感謝すると思うわ」
女鮫 蜂利(めざめ はちとし)「『警部、ありがとうございました!』」
女鮫 蜂利(めざめ はちとし)「『良かったら抱いてください!』」
女鮫 蜂利(めざめ はちとし)「ってね」
小判 早馬(こばん そうま)「なりませんけどね!」
小判 早馬(こばん そうま)「着きました!」
小判 早馬(こばん そうま)「馬鹿言ってないで行きますよ!」
女鮫 蜂利(めざめ はちとし)「・・・ウブねぇ」
〇超高層ビル
大日本銀行
Bank of All Japan
〇高層ビルのエントランス
小判 早馬(こばん そうま)「事件起きてねぇーーーー!」
小判 早馬(こばん そうま)「いや、平和なのはいいですけどね!」
小判 早馬(こばん そうま)(こりゃ罰金はなくても減給かなぁ)
小判 早馬(こばん そうま)(一週間、もやし生活だな・・・)
女鮫 蜂利(めざめ はちとし)「おかしいわね」
女鮫 蜂利(めざめ はちとし)「今日ではないのかしら?」
小判 早馬(こばん そうま)「ちょっと警部、待ってください!」
女鮫 蜂利(めざめ はちとし)「何かしら」
小判 早馬(こばん そうま)「いい加減、説明して下さい」
小判 早馬(こばん そうま)「事件もないのにサイレン鳴らして」
小判 早馬(こばん そうま)「この仕事を何だと思ってるんですか!」
小判 早馬(こばん そうま)「妄想を追いかけるのが五課の仕事なら」
小判 早馬(こばん そうま)「俺は明日にでも異動願いを出します!」
女鮫 蜂利(めざめ はちとし)「はぁ、仕方ないわね」
女鮫 蜂利(めざめ はちとし)「コバンくんには説明するわ」
女鮫 蜂利(めざめ はちとし)「あたし、フォトリーディングができるの」
小判 早馬(こばん そうま)「書類を写真みたいに読める能力ですよね」
女鮫 蜂利(めざめ はちとし)「そ。お陰で事件を瞬時に把握できるわけ」
女鮫 蜂利(めざめ はちとし)「だけどある時──10年前くらいかしらね」
女鮫 蜂利(めざめ はちとし)「気づいちゃったのよ」
女鮫 蜂利(めざめ はちとし)「いくつかの事件の資料が、」
女鮫 蜂利(めざめ はちとし)「他の犯罪を浮かび上がらせることにね」
小判 早馬(こばん そうま)「まさか。信じられません」
女鮫 蜂利(めざめ はちとし)「例えば先日起きた宝石店強盗の現場写真」
女鮫 蜂利(めざめ はちとし)「隅々まで見たかしら?」
小判 早馬(こばん そうま)「もちろんです。あの写真が何か?」
女鮫 蜂利(めざめ はちとし)「実はあの写真の角に」
女鮫 蜂利(めざめ はちとし)「例の放火犯が写っていたわ」
女鮫 蜂利(めざめ はちとし)「手に怪しいポリタンクを持ってね」
女鮫 蜂利(めざめ はちとし)「もっと早く、あの資料を見ていれば」
女鮫 蜂利(めざめ はちとし)「事件は未然に防げたはずよ」
小判 早馬(こばん そうま)「そんなのただの偶然ですよ」
女鮫 蜂利(めざめ はちとし)「コバンくん、あたしの年間検挙数を?」
小判 早馬(こばん そうま)「約2500件。未だに信じられません」
小判 早馬(こばん そうま)「驚異的な数だと思います」
女鮫 蜂利(めざめ はちとし)「あれはね、高速推理だけじゃなく」
女鮫 蜂利(めざめ はちとし)「潜在犯罪を早くに抑えられた結果なのよ」
小判 早馬(こばん そうま)「なるほど。にわかには信じがたいですが」
小判 早馬(こばん そうま)「ここで俺に嘘をつく理由もありません」
小判 早馬(こばん そうま)「信じますよ、とりあえずはね」
小判 早馬(こばん そうま)「でももしその推理が妄想だったら──」
女鮫 蜂利(めざめ はちとし)「いつでも課長の座、譲ってあげるわ」
ボイスレコーダー「いつでも課長の座、譲ってあげるわ」
小判 早馬(こばん そうま)「言質、とりましたからね」
女鮫 蜂利(めざめ はちとし)「あら、抜かりないこと」
小判 早馬(こばん そうま)「ところで今何か騒がしくなかったですか?」
女鮫 蜂利(めざめ はちとし)「ああ、小物が騒いでたわね」
女鮫 蜂利(めざめ はちとし)「あれじゃないわ。行きましょ」
小判 早馬(こばん そうま)「どちらに?」
女鮫 蜂利(めざめ はちとし)「決まってるわ。頭取さんのとこよ」
小判 早馬(こばん そうま)「なるほど」
小判 早馬(こばん そうま)「了解です」
(居るんだったら働いてくれよ! 五課!)
〇施設の廊下
女鮫 蜂利(めざめ はちとし)「ところでコバンくん」
女鮫 蜂利(めざめ はちとし)「銀行強盗の逮捕率って知ってる?」
小判 早馬(こばん そうま)「昨年度のデータでは、96.2%です」
女鮫 蜂利(めざめ はちとし)「そう。日中の銀行強盗は成功率が低いわ」
小判 早馬(こばん そうま)「銀行は定期的な強盗対策研修をしてます」
小判 早馬(こばん そうま)「キーボードの隠し警報ボタンから」
小判 早馬(こばん そうま)「観葉植物による犯人の体格測定」
小判 早馬(こばん そうま)「死角の少ない、多数の監視カメラ」
小判 早馬(こばん そうま)「銀行ってほぼ、強盗対策基地ですからね」
女鮫 蜂利(めざめ はちとし)「ご名答。さすがエリートね」
女鮫 蜂利(めざめ はちとし)「だけど私の推理では」
女鮫 蜂利(めざめ はちとし)「事件は正午に起こる予想なの」
小判 早馬(こばん そうま)「成功率が低い日中にわざわざ?」
小判 早馬(こばん そうま)「余程の大馬鹿か」
女鮫 蜂利(めざめ はちとし)「余程の勝算があるってこと」
女鮫 蜂利(めざめ はちとし)「先導しているのは闇バイトの運営者」
小判 早馬(こばん そうま)「後者である可能性は高いですね」
小判 早馬(こばん そうま)「もう15時です」
小判 早馬(こばん そうま)「少なくとも今日ではない、ですか」
女鮫 蜂利(めざめ はちとし)「ええ。となると本番は明日以降」
女鮫 蜂利(めざめ はちとし)「出来ることはやっておきましょ」
???「どちら様ですか?」
女鮫 蜂利(めざめ はちとし)「警視庁、捜査五課の女鮫と申します」
女鮫 蜂利(めざめ はちとし)「お話をさせて頂きたくて」
???「お入り下さい」
女鮫 蜂利(めざめ はちとし)「失礼します」
〇教会の控室
大日本銀行 頭取「強盗ですか」
小判 早馬(こばん そうま)「心当たり、ごさいませんか?」
小判 早馬(こばん そうま)「犯人からの予告状とか」
大日本銀行 頭取「いえ、そのようなものは何も」
大日本銀行 頭取「ご存知、当行は日本最大の銀行ですので」
大日本銀行 頭取「もしあれば警察にご相談しておりますよ」
小判 早馬(こばん そうま)「そうですよね」
女鮫 蜂利(めざめ はちとし)「でも、あたしの見立てでは」
女鮫 蜂利(めざめ はちとし)「誰かが強盗を計画しているのは確かなの」
女鮫 蜂利(めざめ はちとし)「頭取さん。よろしければ明日から数日」
女鮫 蜂利(めざめ はちとし)「警察で銀行内に警備体制を敷いても?」
大日本銀行 頭取「業務の妨げにならなければ是非」
大日本銀行 頭取「より安全になるに越したことはありません」
女鮫 蜂利(めざめ はちとし)「ご快諾頂きありがとうございます」
大日本銀行 頭取「こちらこそ、よろしくお願いします」
〇高層ビルのエントランス
九条 醒夜(くじょう せいや)「よし、大体の構造は把握したな」
白宵 覚(しらよい さとる)「メインの入口が二つ、非常口が一つ」
白宵 覚(しらよい さとる)「三人で手分けして監視するか?」
九条 醒夜(くじょう せいや)「非常口に一般人おったら目立つやろ」
九条 醒夜(くじょう せいや)「裏はアルすけに任せよか」
三井 陽和(みつい ひより)「そうね、三人で入口を見張れば──」
三井 陽和(みつい ひより)「──っ!」
三井 陽和(みつい ひより)「うわ、最悪」
九条 醒夜(くじょう せいや)「どないした?」
三井 陽和(みつい ひより)「警察が事件を嗅ぎ付けたみたい」
三井 陽和(みつい ひより)「明日から、警備が大幅増強されるそうよ」
九条 醒夜(くじょう せいや)「なんやて!」
三井 陽和(みつい ひより)「捜査五課の刑事が頭取に直談判したそうよ」
白宵 覚(しらよい さとる)「捜査五課?」
九条 醒夜(くじょう せいや)「知り合いでもおるんか?」
白宵 覚(しらよい さとる)「逆だ。仕事で警察には絡むが」
白宵 覚(しらよい さとる)「五課というのは聞いたことがない」
白宵 覚(しらよい さとる)「やっぱりか」
白宵 覚(しらよい さとる)「警視庁に捜査五課なんて無いぞ」
九条 醒夜(くじょう せいや)「まさか、犯人が警察のふりして来たんか?」
三井 陽和(みつい ひより)「いいえ。彼らの心をスキャンしたけど」
三井 陽和(みつい ひより)「ちゃんとした刑事──」
三井 陽和(みつい ひより)「・・・」
九条 醒夜(くじょう せいや)「・・・」
白宵 覚(しらよい さとる)「・・・」
九条 醒夜(くじょう せいや)「あいつらか」
三井 陽和(みつい ひより)「そう。彼らが例の刑事よ」
白宵 覚(しらよい さとる)「一人、バスローブ着てなかったか?」
三井 陽和(みつい ひより)「見た目で判断しては駄目よ」
〇超高層ビル
彼ら、二人ともが
今すれ違っただけの私たちを覚えてる
相当に実力のある刑事よ
〇高層ビルのエントランス
九条 醒夜(くじょう せいや)「もうあかんやん」
九条 醒夜(くじょう せいや)「明日ここおっただけで職質されるわ!」
九条 醒夜(くじょう せいや)「強盗止めとる場合やないで」
九条 醒夜(くじょう せいや)「覚、僕が捕まる未来とか見えてへん?」
白宵 覚(しらよい さとる)「いや、今のところは」
白宵 覚(しらよい さとる)「俺の予知は大体が自分に関わることだ」
白宵 覚(しらよい さとる)「羽柴の件は、仕事に影響が出るからだろう」
九条 醒夜(くじょう せいや)「僕が捕まっても覚の人生に影響無いんか?」
白宵 覚(しらよい さとる)「そういうわけでは」
九条 醒夜(くじょう せいや)「覚が言わんでも能力が言っとるやん」
九条 醒夜(くじょう せいや)「覚、後生や。見捨てんといてくれ」
白宵 覚(しらよい さとる)(何か、凄く誤解されているような)
九条 醒夜(くじょう せいや)「僕には君しかおらんのやー」
白宵 覚(しらよい さとる)「お、おい。九条」
三井 陽和(みつい ひより)「二人とも、馬鹿やってないでいくわよ!」
「お、おお」
〇超高層ビル
九条 醒夜(くじょう せいや)「ごめんなぁ、ひよりん」
九条 醒夜(くじょう せいや)「覚の反応が面白くてつい」
三井 陽和(みつい ひより)「別に二人が騒ごうが勝手。だけど」
三井 陽和(みつい ひより)「監視カメラと警備の動きが変わった」
三井 陽和(みつい ひより)「もうあの銀行は、警戒態勢に入ったのよ」
白宵 覚(しらよい さとる)「指示したのはあの二人か」
九条 醒夜(くじょう せいや)「あー、明日が思いやられるわぁ」
三井 陽和(みつい ひより)「それと、白宵くん」
三井 陽和(みつい ひより)「インソムニアの研究機関によるとね」
三井 陽和(みつい ひより)「私たちの能力は、脳から来てるそうよ」
白宵 覚(しらよい さとる)「脳・・・か。確かに」
白宵 覚(しらよい さとる)「不眠で負荷がかかっている状態だ」
白宵 覚(しらよい さとる)「何が起こってもおかしくはないな」
三井 陽和(みつい ひより)「そう、だから私たちの能力は──」
三井 陽和(みつい ひより)「私たちの心のあり方でも変化する」
白宵 覚(しらよい さとる)「つまり俺が九条のことを真剣に心配すれば」
白宵 覚(しらよい さとる)「九条の未来を見ることができると?」
三井 陽和(みつい ひより)「どうかしらね」
三井 陽和(みつい ひより)「列車に戻りましょ。アルが待ってる」
白宵 覚(しらよい さとる)「・・・」
九条 醒夜(くじょう せいや)「覚、考えすぎんでええで」
九条 醒夜(くじょう せいや)「僕らの不眠の根っこは同じなんやから」
九条 醒夜(くじょう せいや)「いつか覚が不眠の原因を倒したら──」
九条 醒夜(くじょう せいや)「回り回って僕も助かるわけや」
九条 醒夜(くじょう せいや)「他人のことなんて気にせんでええねん」
九条 醒夜(くじょう せいや)「・・・」
九条 醒夜(くじょう せいや)「はは、柄にもないこと言うてもうた」
九条 醒夜(くじょう せいや)「僕、先行くわ」
白宵 覚(しらよい さとる)「・・・」
白宵 覚(しらよい さとる)(何も言えなかった・・・)
〇シックなリビング
あの日から俺は他人なんて──
どうでも良くなってしまったのだから
〇超高層ビル
白宵 覚(しらよい さとる)「心のあり方を変える、か・・・」
白宵 覚(しらよい さとる)「出来るなら、とっくにやってるさ・・・」
〇駅のホーム
アルテミス「ええーー!」
〇綺麗な会議室
アルテミス「警察が嗅ぎ付けてたーー!?」
アルテミス「今までそんなことなかったのに!」
三井 陽和(みつい ひより)「ずば抜けた記憶力の二人組だったわ」
白宵 覚(しらよい さとる)「やつらは世間に公表されてない所属だった」
白宵 覚(しらよい さとる)「間違いなく警察内でも選りすぐりだろう」
白宵 覚(しらよい さとる)「銀行強盗を止めるなら障害となるだろうな」
九条 醒夜(くじょう せいや)「極めつけに警備の増強やろ」
九条 醒夜(くじょう せいや)「やっとられへんわ」
白宵 覚(しらよい さとる)「ふと、思ったんだが──」
白宵 覚(しらよい さとる)「銀行強盗は彼らに任せたらどうだ?」
白宵 覚(しらよい さとる)「幸いこの事件は警察が察知している」
白宵 覚(しらよい さとる)「何も危ない橋を渡らなくても」
アルテミス「そういうわけにはいかないんだ」
アルテミス「不眠犯罪者は情報を持っている」
アルテミス「僕らの不眠を作った犯人のね」
三井 陽和(みつい ひより)「銀行強盗を止めるのは副次的なものよ」
三井 陽和(みつい ひより)「私が犯人から情報を引き出すのが目的なの」
九条 醒夜(くじょう せいや)「生け捕りせなあかんのよ」
白宵 覚(しらよい さとる)「だがどうする?」
白宵 覚(しらよい さとる)「あの二人は俺たちを覚えてるんだろ?」
九条 醒夜(くじょう せいや)「変装したところですぐバレるやろうしなぁ」
三井 陽和(みつい ひより)「・・・」
九条 醒夜(くじょう せいや)「どないした? ひよりん」
三井 陽和(みつい ひより)「一つだけ、方法がある」
三井 陽和(みつい ひより)「私たちが銀行に居てもいい方法」
三井 陽和(みつい ひより)「すごく・・・気が進まない、けど」
アルテミス「えっ! どんな方法?」
三井 陽和(みつい ひより)「それは・・・」
〇空
〇超高層ビル
「えー、このたび・・・」
〇高層ビルのエントランス
三井 陽和(みつい ひより)「一日頭取に就任しました☆」
三井 陽和(みつい ひより)「みいぴょで~~す」
マネージャー 黒宵「マネージャーの黒宵です」
マネージャー 十条「同じく十条や」
三井 陽和(みつい ひより)「今日は一日よろしくね~~」
三井 陽和(みつい ひより)「銀行のお仕事、みいぴょ気になる~~!」
銀行強盗阻止作戦、開始
女鮫警部侮れませんね、外でもバスローブなんて……
刑事組は中々良いコンビになりそうですね。実力はあるし女鮫を超えてやろうと言う気概もある。小判くん認めたがらなそうですけど。
そして今回は九条と覚が勘違いをされる目に。あんな言葉を聞いたら、周りの女性は期待しちゃいますよね仕方ない。
お膳立てが整っていよいよ本番ですね。一体、どんな展開になるのやら😉
一瞬見ただけで顔を覚える刑事二人は厄介ですね😥
一応覚達は味方ですけど、立場の違いから相まみえそうにないのがもどかしい……。
あと、最初に別に作品のあの夫婦が登場するのも良いですね。物語のあとも幸せそうにしてるのが分かって良かったです!
冒頭の二人は~!サービスありがとうございます!😆✨️✨️✨️
銀行強盗がコバエみたいな扱いされてる😂どんなデカイ案件が隠れているんでしょう。
有能バトル、熱くなりそうで楽しみです!