勇気という名のRPG(ロール・プレイング・ギア)

篠也マシン

第3話「LOVE over PEACE」(脚本)

勇気という名のRPG(ロール・プレイング・ギア)

篠也マシン

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〇SHIBUYA109
我浜ユウト「くっ・・・!」
魔剣士ディマカエリ「2つの盾で、どんな奇策を繰り出すのかと思っていたが──」
魔剣士ディマカエリ「まさか守り続けるだけとはな」
  ・・・ユ・・・ト君
結城イツカ「ユウト君、大丈夫!?」
我浜ユウト 「何とか、まだ生きてますよ」
熊城博士「少年──RPGは装備した者の魔力を、極限まで増幅できる」
熊城博士「私の分析では、君とその怪物のスペックは同等だ」
熊城博士「しかし、圧倒的に違うものがある。それが何か分かるか?」
結城イツカ 「気合でしょ?」
熊城博士「100%違う」
我浜ユウト 「──戦闘の経験値ですね」
熊城博士「その通りだ。誰かさんと違い、君は頭も切れるようだな」
結城イツカ 「バカで悪かったわね」
熊城博士「今は攻撃をしのぎ、経験値を稼げ」
熊城博士「こちらが攻撃するターンは、必ず来る!」
我浜ユウト 「分かりました!」

〇研究所の中枢
リオナ局長 「熊城君、あなたが他人を応援するなんて、めずらしいわね」
結城イツカ 「本当、雪でも降りそう」
熊城博士「あの少年と怪物は、素晴らしい研究材料なんだ」
熊城博士「面白い戦いになればなるほど、良い研究になる。応援するのは当然さ」
「・・・」

〇SHIBUYA109
我浜ユウト「右──」
我浜ユウト「次は左か!」
魔剣士ディマカエリ(反応速度が上がった・・・!?)
魔剣士ディマカエリ「ユウトよ、貴様は面白い男だな」
魔剣士ディマカエリ「こんなにも早く、我の2回攻撃に対応できるとはな」
魔剣士ディマカエリ「だが、いつまでも遊んでるわけにはいかん!」

〇空
我浜ユウト「攻撃パターンを変えてくるなんて・・・!」
熊城博士「少年、今の攻撃を受け止めていたら、大きなチャンスだったぞ」
我浜ユウト 「簡単に言ってくれますね」
我浜ユウト 「奴は戦いのプロ・・・経験で上回るには、百年かかりそうですよ」
我浜ユウト 「一体どうすれば──」
結城イツカ「みんなの想いを、力に変えるのよ!」
我浜ユウト 「は?」
結城イツカ「今、この瞬間──世界中のみんなが、君を応援してる」

〇荒廃した街
青年「誰か・・・あの怪物を倒してくれ!」

〇男の子の一人部屋
男の子「僕たちの世界を・・・どうか守ってください!」

〇地下街
女の子「あの時のお姉ちゃん、お兄ちゃん・・・頑張って!」

〇空
結城イツカ「世界の命運が、君の肩にかかってる」
結城イツカ「みんなの想いを力に変え、悪を討つのよ!」
我浜ユウト 「・・・」
我浜ユウト 「まったく、イツカさんらしい言葉だ」
我浜ユウト 「でも、俺はそんな綺麗事で、心は動きませんね」
結城イツカ「えっ」
我浜ユウト 「この星には、何億もの人が生きている──そのことは知識として理解できます」
我浜ユウト 「でも、実感なんて微塵もない」
我浜ユウト 「この街に何万人も住んでるということさえ、ピンと来やしません」
我浜ユウト 「そんな幻みたいな人たちの「命運がかかってる」「応援されてる」と言われても──」
我浜ユウト 「正直「知ったこっちゃない」って感じですね」
結城イツカ「はぁ!?」
我浜ユウト 「俺にとって守るべき『世界』とは、とても狭い」
我浜ユウト 「俺が好いてる数人が、幸せに生きていればそれでいいんですよ」
結城イツカ「めちゃくちゃ自己中な発想ね・・・」
我浜ユウト 「安心してください。イツカさんもその数人に入ってますから」
結城イツカ「もう、変なことばかり言って・・・!」
我浜ユウト 「だから、もっと気合の入る応援をお願いできませんか?」
我浜ユウト 「そうすれば、あなたの言う『世界』とやらも、守ってみせます」
結城イツカ「・・・」
結城イツカ「分かったわ。もし、魔王を倒したら──」
結城イツカ「1回、デートしてあげるわよ!」
我浜ユウト 「よしっ! 約束ですよ!!」

〇研究所の中枢
結城イツカ 「まるで子供ね。だから、年下は苦手なのよ」
熊城博士「こんなくだらないことで、勝てるわけが──」
熊城博士「馬鹿な! 魔力が上がっただと!?」
リオナ局長 「心の持ちようで、こうも変わるなんて!」
熊城博士「実に興味深い──この少年、やはり最高の研究材料だ!」
結城イツカ 「まったく・・・」
結城イツカ 「ユウト君──キミは、私以上のバカね」

〇SHIBUYA SKY
魔剣士ディマカエリ「今度こそ、沈め!」
我浜ユウト「──今だ!」
魔剣士ディマカエリ「2本の剣を、同時に受け止めただと!?」
我浜ユウト「ようやく、タイミングが合ったな」
魔剣士ディマカエリ「くっ・・・剣が盾にくい込んで、離れない!」
我浜ユウト「これでお前の2回攻撃は封じた」
魔剣士ディマカエリ「だが、貴様だって何もできまい」
魔剣士ディマカエリ「膠着したまま、永久に過ごすつもりか?」
我浜ユウト「安心しろ、決着はすぐにつく」

〇仮想空間
  [そうび]
  ▶(E)ロール・プレイング・ギア
  ▶はずす
   すてる

〇SHIBUYA SKY
魔剣士ディマカエリ「装備を外した!?」
我浜ユウト 「RPGとお前は動けないが──」
我浜ユウト 「生身の俺は別だ!」
魔剣士ディマカエリ「考えたな! だが、人間の身で我を傷つけることは──」
魔剣士ディマカエリ「魔力を込めた剣!? 魔導兵器の中に隠していたのか!」
我浜ユウト 「ありったけの魔力、お前にくれてやる!!」

〇研究所の中枢
リオナ局長 「ユウトさん、今ですっ!」
熊城博士「勝て、少年!」
結城イツカ 「ユウト君、ぶち込ませ!!」

〇SHIBUYA SKY
魔剣士ディマカエリ「──ククッ、見事な一撃だ」
魔剣士ディマカエリ 「まさか、我が人間ごときに敗れる日が来ようとはな」
我浜ユウト「封印されたままの方が良かったか?」
魔剣士ディマカエリ 「いや、この上なく面白い戦いに満足している」
魔剣士ディマカエリ 「唯一の心残りは、この先の戦いを見れないことだな」
我浜ユウト「この先の戦いとは、どういう意味だ・・・?」
魔剣士ディマカエリ 「勇者よ・・・」
魔剣士ディマカエリ 「束の間の平和・・・精々・・・楽しむがいい」

〇渋谷スクランブルスクエア

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次のエピソード:第4話「ひとりじゃない」

コメント

  • 主人公とヒロインを初め、登場人物がそれぞれの価値観で動いているところがリアリティあって好きです!
    主人公、ひねくれているわりにはデートで気合いが入るあたり、年相応にかわいいところもあるなあと微笑ましくなりました💕
    果たしてこの先どんな戦い敵が待ち受けているのか…!?

  • 王道ヒーロー物語に、主人公の利己的なキャラクターが相まって楽しませて頂いております。キャラもボイスも自作!もちろんストーリーもですが。完成度が素晴らしいです。
    デート。あんまりデレそうにないですが、果たして…楽しみにしてます。

  • みんなの思いを乗せて!生身で突撃!肉を切らせて骨を断つ!最終決戦らしい終わり方…と思ったら、ラスボスじゃない!?😳(まだ2話ですし笑)
    綺麗事だけじゃないユウトの行動原理は共感できますね!
    どんな成長と戦いが待っているのか続きが気になります!!

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