告白現場を見られたら俺がクビに成った件

夏目心 KOKORONATSUME

2 挫折からの再スタート(脚本)

告白現場を見られたら俺がクビに成った件

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〇一人部屋
黒川誠也「あぁ、何だかやる気起きねぇ・・・」
  店長に店を追い出されてから一週間。あの後俺は店長に言われた事がショックで立ち直れずに居た。カラオケ店の厨房を
  任されて、一度も自分の料理を不味いと言われた事が無く、同僚達とも上手く出来て居たのに。俺は今まで何をして来たのかと
  自分を疑って居た。
黒川誠也「幾ら貯金が有るとは言え、このままで居るのは不味いよな・・・でもあんな事言われちゃ料理なんてする気も起きないし、」
黒川誠也「何か良さげな仕事見つけないと・・・でもまたあの店長見たいな人が居たらどうしよう・・・」
  俺は渋々スマホを取り出し、求人サイトに目を通した。出来れば前より働き易い環境が無いか、そんな詰まらない感情を抱きながら
  求人を漁って居たら、自宅のインターホンが鳴り響いた。
黒川誠也「ん?誰か来たのか?」
  インターホンの音に反応した俺は、スマホをしまって玄関へ赴くのだった。

〇マンションの共用廊下
黒川誠也「はい、黒川ですが何か・・・って!?」
野島明奈「お早う誠也!ちょっとは休めた?」
 高島楓「久し振り。やっぱ君と居ると落ち着く」
佐倉まどか「誠也さん、その後大丈夫でしたか?」
黒川誠也「いや、その・・・待って下さい!何で皆さんこんな所に!?」
野島明奈「決まってるでしょ!あたし等あの店バックレて来たから!」
黒川誠也「ば、バックレ!?良いんですか!?そんな事したら・・・」
佐倉まどか「良いんですよ!誠也さんがリストラされてから、明奈先輩達と話し合ったんですよ!私達だけであの人の下で働けるかどうか」
 高島楓「その結果、私達も退職しようとしたけど、店長命令とか言って退職届を破かれて、だから思い切ってバックレる事にしたの」
黒川誠也「は・・・はぁ・・・」
野島明奈「まぁ、あの頭のネジが取れた店長は適当にあしらってるし着信拒否も入れたから気にする事無いし、あたし等お腹減ってるから」
野島明奈「誠也にご飯作って貰いたいんだけど」
黒川誠也「え!?俺が作るんですか!?俺もう料理辞めようかと・・・」
野島明奈「そんな細かい事は良いから!さぁ早く!美人を何時までも待たせるもんじゃ無いわよ!」
黒川誠也「分かりました!分かったから押さないで!」
  自宅に訪問して来たのはカラオケ店で共に仕事した同僚達だった。態々バックレてまで此処に来た事は正直驚いたが、
  半ば強引に俺は料理を作る事と成ってしまった。

〇おしゃれなリビングダイニング
野島明奈「材料はあたし達が適当に買っといたから、これで何か作って頂戴」
黒川誠也「分かりました。どれどれ・・・・・・良し、これなら・・・皆さんはゆっくりしてて下さい。テレビとかゲームとか、」
黒川誠也「勝手に弄って構いませんので」
野島明奈「お!気が効くね!これでビールとか有れば!」
 高島楓「駄目ですよ先輩。私達の目的忘れましたか?」
野島明奈「じょ、冗談よ!それやらなきゃ此処に来た意味無いし!」
黒川誠也「まぁ、良く分かりませんが余り騒がない様にお願いしますね?」
佐倉まどか「誠也さん、良かったら手伝いましょうか?」
黒川誠也「いや、これ位なら大丈夫だよ。まどかさんもゆっくりしてて良いから」
佐倉まどか「そ、そうですか・・・」
野島明奈「あいつ、あの店長に言われた事大層気にしてるね」
佐倉まどか「そうですよね・・・誠也さんは何も悪く無いのに・・・」
 高島楓「悪いのは全部あいつ。誠也君は何も悪く無い」
野島明奈「それらを踏まえて、あたし等は今此処に居る。皆確りやるよ」
 高島楓「はい!」
佐倉まどか「そうですね・・・落ち込んでる場合じゃ無い・・・!」
  俺が一人で黙々と料理をする中、彼女達は俺が持ってる対戦ゲームで白熱していた。暫くして、俺は貰った材料で作った
  料理を完成させた。
黒川誠也「皆さん、お待たせしました」
佐倉まどか「わぁ!これは美味しそうですね!」
 高島楓「明奈先輩、ご飯出来ましたから、ゲームは中断です」
野島明奈「待って!もう少しで楓に勝てそうだったのに!もう一回!」
佐倉まどか「先輩・・・目的を履き違えてますよ?」
野島明奈「あぁ御免!熱く成っちゃうとつい・・・」
 高島楓「良いから食べましょう。冷めたら勿体無いです」
黒川誠也「どうでしょうか?最近料理やって無いから自信無いんですけど」
野島明奈「・・・・・・」
野島明奈「美味しい!いや真面目に美味しいよ!」
 高島楓「流石・・・厨房やってただけの事は有るわ」
佐倉まどか「本当です!一度食べて見たいと思ってましたが、もっと早く食べたかった!」
黒川誠也「え!?でも店長からは不味いって・・・」
野島明奈「何時までそんな事気にしてるの?あんなの誠也を陥れる為の店長の嘘だよ」
黒川誠也「え?それじゃあ俺がリストラされたのって・・・」
 高島楓「あいつのエゴだよ。あいつは自分が得する事しか興味無い」
佐倉まどか「そうですよ!誠也さんは何も悪く無いんです!だから自信持って下さい!」
黒川誠也「あ、はい・・・」
野島明奈「それはそうと誠也、貴方もボサっとして無いで食べた方が良いよ。あたし等はあんたに話が有って来たんだから!」
黒川誠也「わ、分かりました!」
  言われるがままに俺は朝食を済ませた。最近まともに食事して居らず、自作した料理すら食べて無かったからか、自分の料理が
  何だか美味しくて、何故落ち込んでたのかさえ疑問に感じてしまった。暫くして落ち着き、明奈先輩が本題に入る。
野島明奈「さて、満腹に成った所だし、誠也これからどうするの?」
黒川誠也「これからですか?新しい就職先を探すつもりですが?」
野島明奈「そっか。まだ新しい仕事見つけて無いんだね。もし誠也さえ良ければ、あたし達と企業しないかい?」
黒川誠也「え!企業!?具体的に何すれば!?」
野島明奈「驚くのも無理無いけど落ち着いて。あたし最近バーテンダーの資格取ってね。これを活かして自分達の店を作りたいのよ」
野島明奈「誠也には、あたしの店の厨房を任せたいんだけど、どうかな?」
黒川誠也「で、ですが、俺の料理は店長経由でお客様から不評だって・・・」
野島明奈「ちょっとちょっと!さっき自分で作ったの自分で食べたでしょ?あたし等が食えてあんただけ不味いとでも感じた?」
黒川誠也「いや・・・その・・・確かに美味かった」
野島明奈「でしょでしょ!誠也、あんな奴の言う事はもう忘れた方が良いよ!あたし等もバックレてるからどの道今戻っても良い事無いし、」
野島明奈「何より此処からは自分等のやりたい事やろうよ!」
野島明奈「どうだい?どの道仕事探すなら、またあたし等とやらないかい?」
黒川誠也「先輩・・・」
野島明奈「決めるのは誠也だ。良く考えて!」
黒川誠也「・・・・・・」
黒川誠也「・・・・・・どの道行く所無いなら・・・」
黒川誠也「確認です。本当に俺で良いんですか?」
野島明奈「あぁ、あたし等はあんたが良いんだ。だから来たんでしょ?」
黒川誠也「分かりました。俺は厨房で間違い無いですか?」
野島明奈「決まりだね!その通りだよ!」
黒川誠也「分かりました!」
佐倉まどか「嬉しいです!また誠也さんと働けるなんて!」
 高島楓「私も待ってた。私は前と同じ機械整備よ」
黒川誠也「皆さん、改めてまた宜しくお願いします。先輩、資格取ったって事はコンセプト決まってるんですか?」
野島明奈「あぁ、まだ説明して無かったね。あたしがこれからやる仕事はダーツとカラオケが楽しめるバーだよ」
黒川誠也「何だか楽しそうですね!」
野島明奈「でしょ!今はまだ準備段階だけど、あたし等四人住み込みで働ける場所用意してるから!」
黒川誠也「分かりました」
野島明奈「場所を案内するから、今から行ける?」
黒川誠也「大丈夫ですよ!」
野島明奈「良し良し!なら片付けて終わらせて早く行こう!」
  思いも寄らぬ先輩達の訪問で、俺は新しい仕事に行き着く事が出来た。何より嬉しいのは、俺には味方に成ってくれる人が
  居る事。まだ俺にはやれる事が有る事。それがハッキリ分かった今、俺の中の迷いや蟠りは何処かへ消えて行った。
  片付けを終わらせた後、俺達は明奈先輩のバーに案内されるのだった。

〇シックなバー
  明奈先輩に連れられて、俺達はこれから開くバーに招かれた。
黒川誠也「此処がこれからやるバーですか。凄く綺麗ですね」
野島明奈「でしょ!こんな感じの店を持つのがあたしの夢だったんだ!」
佐倉まどか「とってもお洒落です!何だか落ち着く雰囲気ですし」
 高島楓「うん・・・悪く無い・・・」
黒川誠也「先輩、厨房は何処に有ります?」
野島明奈「・・・っと、料理人なら先ずそこが気に成るわよね。向こうの方よ!」
黒川誠也「有難う御座います!早速設備見せて貰います!」
佐倉まどか「良かった・・・誠也さん、元気を取り戻した見たいで・・・」
 高島楓「本当それ。これでやっと一緒に仕事出来る」
野島明奈「取り合えず、誠也が戻って来たら今後の方針を話すよ」
佐倉まどか「分かりました」
野島明奈「本当に大変なのは此処からさ。皆確り頼むよ!」
  その後、俺が厨房から戻った後、明奈先輩から今後の方針を打ち明けられた。大体必要な物は揃ってるし、自分用の部屋も
  用意されてる。前のカラオケ店でやってた各々の役職。俺は厨房。楓さんは整備や掃除。まどかさんはウェイターとヘルプ。
  明奈先輩はカウンター、経理等と俺達の取り纏めを行う。先ずは準備期間に約半年は使うので、これから俺達は忙しく成るだろう。

〇事務所
影山修「ええい!何故あの三人に繋がらないんだ!?」
  俺がリストラされた後、あのカラオケ店の店長は明奈先輩達に電話で呼び掛けていたが一行に繋がらない。彼女達から
  着信拒否をされていたのだった。
影山修「何故三人揃って欠勤されてるのだ!?一体何処に問題が有ったと言うのだ!?」
影山修「あぁ、まどかちゃん・・・君が居ないと淋しいよ・・・」
  三人がバックレた原因が自分の行いだと気付いて無い様子の店長だったが、そんな店長はさて置き、こっちはこっちで
  仕事をするのだった。

次のエピソード:3 本格始動

コメント

  • 2話目で凄い状況ですね・・・退職拒否されたから女社員全員バックレ
    しかも、カラオケ店を作るという壮大さ・・・凄い・・・ここで話が終わってもいいですが・・・
    根本的な問題が解決していませんし、絶対元店の店長も行動を起こしますよね・・・どうなるか?

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