夢見るうさぎと子守唄

ぐらっぱ

三曲目 兎と車のディヴェルティメント(脚本)

夢見るうさぎと子守唄

ぐらっぱ

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〇道

〇道
ウータミィ「──どうしたの? 迷子になっちゃった?」
ウータミィ「大丈夫大丈夫 心配しないで 私がそばにいるよ」
ウータミィ「安心して 私がなんとかしてみせるから」
「⋯⋯」

〇黒

〇美しい草原
シーファ「車が大変な事になってるって? ⋯⋯どれどれ ぱっと見は普通そうだけど」
ウータミィ「うう⋯⋯ どうしようどうしよう」
シーファ「落ち着けよ 様子見てやるからさぁ 車がどうなったっていうんだ?」
ウータミィ「中に⋯⋯」
シーファ「中?」
シーファ(卵が心配だな⋯⋯)
シーファ「様子を見てみるか」
シーファ「⋯⋯これは!?」

〇車内

〇美しい草原
シーファ「⋯⋯」
シーファ「干からびた根っこみたいなのが あるだけだが これがどうしたんだ?」
ウータミィ「人参ちゃん達が干からびちゃったの!」
シーファ「⋯⋯そうか 車内は暑かっただろうからな ご愁傷様」
シーファ(あのクソ人参の仲間達か かわいそうだけど仕方ないな 一応慰めといてやるか)
ウータミィ「せっかく食べ頃だったのにぃ!!」
シーファ「はい?」
ウータミィ「これじゃあすぐ販売できないよぉ 早く水に浸けておかないと 復活に時間かかっちゃう」
シーファ「って、復活するんかい!」
ウータミィ「そりゃあ野菜だし復活するでしょ? 半年以上放置してたらカビちゃうかもだけど」
シーファ「野菜⋯⋯そう、野菜だよな なんか釈然としないが」
シーファ「そうだ、卵はどうなってるんだ」
シーファ「くっそ ドアが開かねえ!」
車「ぶぅ」
シーファ「うお!? クッサ!!」
車「おぎゃぁ! おぎゃぁ!」
ウータミィ「ベイビーちゃん起きちゃった」
シーファ「ちっ⋯⋯ おい、子守唄でまた眠らせてくれよ」
ウータミィ「うーん⋯⋯」
シーファ「どうしたんだ?」
ウータミィ「ベイビーちゃん 何かして欲しいのかもしれない」
シーファ「はぁ?」
ウータミィ「多分⋯⋯ 不安なんだと思う 安心させてあげたいな」
シーファ「どうやって? 赤子とはいえ こいつは異星人だし車だぜ?」
ウータミィ「きっと大丈夫」
シーファ「何か名案でもあるのか?」
ウータミィ「名案ってわけじゃないけど 私に出来る事は⋯⋯」
ウータミィ「歌ってみる! 不安を吹き飛ばすような楽しい歌を」

〇キラキラ
ウータミィ「心配しな〜い〜で♪ あなたは一人じゃ〜ない〜♪」
ウータミィ「私がそばにい〜るよ〜♪」
パープルヘイズ「ニン♪」
ウータミィ「こわが〜らないで〜♪ 一緒にあそぼ〜よ♪」
パープルヘイズ「ニン♪ ニン♪」
ウータミィ「ルル〜ルルル〜♪」
パープルヘイズ「ヒソヒソ⋯⋯ ほら、お前も歌えェ」
シーファ「はぁ? 俺は歌えねぇって」
パープルヘイズ「プロデューサーなのにィ?」
シーファ「このクソ人参⋯⋯!」
シーファ(歌なんて得意じゃないんだが 仕方ない⋯⋯)
シーファ「る、るーるるるー」
パープルヘイズ(チョロいなァ)
ウータミィ「ほら、みんなと〜もだ〜ちさ〜♪」
ウータミィ「さぁ、勇気を出して〜♪ ココロの〜と、び、らあけよ〜♪」
シーファ(あれ⋯⋯? なんだか楽しくなってきたような)
「ら、らららら〜♪」

〇美しい草原
車「⋯⋯」
車「キャッキャ」
シーファ「ドアが開いた!」

〇車内
人参「ニー」
ウータミィ「良かったー 無事な子もいる」
ウータミィ「乾いちゃった子は水に漬けなきゃ」
パープルヘイズ「ニンニンー」
人参「ニー」
紫人参「ニャー」
パープルヘイズ「ニンニニンニニン!」
人参「ニー!」
パープルヘイズ「これでェよしィ」
シーファ「ふぅ、とりあえず卵は自分で⋯⋯ って、お前何を話してたんだ?」
パープルヘイズ「べつにィー」
シーファ「なんかムカつくな ⋯⋯まぁいい 卵はどこいったかな」
シーファ「あったあった」
シーファ「え? なんだよ?」
人参「ニッ!」
シーファ「そこの卵を取らせてくれよ」
人参「ニー!」
紫人参「ニャー」
シーファ「おいおいクソ人参 お前の仕業か? 卵を渡してくれよ」
パープルヘイズ「誰がクソ人参だァ!」
シーファ「うっわ!? 増えた?」
パープルヘイズ「何言ってるんだァ?」
紫人参「ニャー!」
シーファ「みんな顔が一緒で見分けつかねぇ」
パープルヘイズ「見分けのつかない人にはァ 卵は渡しませェん」
シーファ「このクソ人参⋯⋯!」
パープルヘイズ「みんなァー 卵は大事な物だから守るぞォ」
人参達「ニンニンー!」
シーファ「チッ⋯⋯ 人参達団結して卵を守ってやがる 今は難しそうだな」
シーファ「お? この車、TV付いてるんだな」

〇黒

〇荒野の城壁
アナウンサー「──連日お送りしております 隣国で起きた窃盗事件ですが 犯人はまだ見つかっていません」
アナウンサー「我が国に逃走の可能性もあり 国境付近では警備を強化し──」

〇黒

〇密林の中
ゴリラ「ゴッゴッゴ」
「ゴーリラー♪」
ゴリラ「ゴッゴッゴッゴ」
「ゴーリラー♪」
ゴリラ「キタナナニシロク バスドオリー♪」
「ゴーリラーゴリラゴーリラー♪」
ゴリラ「困った時は ゴリラパワー!」
ゴリラ「ゴーリラー」
「ゴッゴッゴーゴーリラー」
「ゴッゴッゴッゴ──」

〇黒

〇車内
シーファ「⋯⋯」
シーファ「ごっごっごーごーりらー」
シーファ「やべぇ、さっきの歌が頭から離れねぇ」

〇黒

〇美しい草原
ウータミィ「よっこいしょっと」
茶人参「二ー⋯⋯」
ウータミィ「ごめんねぇ もうちょっと待ってね」
パープルヘイズ「ニーン」
ウータミィ「手伝ってくれてありがと」
パープルヘイズ「ニ!」
ウータミィ「漬けるお水がちょっと足りないのよねぇ どうしようかな」
パープルヘイズ「ニーン」
ウータミィ「温泉宿で一泊するのがいいかなぁ? いや、でも節約したいし 野宿かなぁ」
ウータミィ「食事は⋯⋯人参ちゃん達足りないかな」
パープルヘイズ「ニー」
ウータミィ「シーファさんに 野宿でいいか聞いてみよっか」

〇車内
ウータミィ「シーファさーん 今日は野宿で⋯⋯」
シーファ「ん?」
ウータミィ「⋯⋯」
パープルヘイズ「⋯⋯」
ウータミィ「宿に泊まってお風呂入ろっか」
シーファ「えっ? あぁ、いいけど⋯⋯」
シーファ「なんだ⋯⋯?」
パープルヘイズ「なんかくっさいからじゃないかァ?」
シーファ「はぁ!? 俺のどこが⋯⋯」
シーファ「いや、なんかくっさいな さっき車から何か液体をかけられたからか あれ、ガソリンだよな?」
パープルヘイズ「⋯⋯お風呂行こうぜェ」
シーファ「え? お、おい! さっきの水はガソリンだよな!?」

〇黒

〇露天風呂
ウータミィ「ハァー いい湯だなぁ」
ウータミィ「さっきなんかジロジロ見られた気がするけど 気のせいかな」
ウータミィ「まぁいっか 気にしなーい」
ウータミィ「温泉気持ちいいなあ 声も響いて、歌いたくなっちゃう」
パープルヘイズ「ニンニーン」
ウータミィ「らんらーんらららー♪」
パープルヘイズ「ニーン♪」
人参「うーた⋯⋯ぶジ? たすかル?」
ウータミィ「⋯⋯」
ウータミィ「大丈夫だよ」
人参「よかっタ」
ウータミィ「夢を⋯⋯ オーディション受けなきゃ」
パープルヘイズ「二⋯⋯」
流しうさぎ「おねーさん お背中流しますかー?」
ウータミィ「大丈夫でーす」
流しうさぎ「はーい」
ウータミィ「さっき、パープルちゃん何か言いかけた?」
パープルヘイズ「ニーニン」
ウータミィ「気のせいかー」
パープルヘイズ「ニン!」
ウータミィ「そろそろあがろうか」
パープルヘイズ「⋯⋯」

〇クリーム

〇露天風呂
シーファ「⋯⋯」
人参?「⋯⋯」
シーファ「あれも人参⋯⋯? それとも大根? いや、野菜が湯に浸かっていいのか?」
人参?「いい湯ですナァ」
シーファ(え? 話しかけてきた? それとも独り言?)
人参?「身体中の泥が流れて なんだか肌が若返るようですナァ」
シーファ「はぁ」
人参?「温泉はよいですナァ 身体が柔らかくなった気がします」
シーファ(何か煮えたような 美味しそうな匂いがする)
人参?「さてさて、早く上がらないと 我がプリンセスがお待ちですナァ」
人参?「よっこらしょっと はぁ〜いい湯加減でしたナァ」
シーファ「⋯⋯独り言だったのか?」
シーファ「野菜は喋るし早くこの国から出ないと 頭がおかしくなりそうだぜ」

〇黒

〇旅館の受付
シーファ「⋯⋯」
ウータミィ「お待たせー」
シーファ「着替えたのか ⋯⋯個性的な服だな」
パープルヘイズ「お前着替え無いのかァ? 生乾き臭いぞォ」
シーファ「仕方ないだろう! これ一着しかないし 全裸でいるよりマシだろ」
パープルヘイズ「露出高い服着てるくせにィ」
シーファ「これしか持ってないんだよ⋯⋯」
パープルヘイズ「マァーカワイソウカワイソウ」
シーファ「お前、楽しんでるな」
ウータミィ「ねぇ、早くお部屋行こうよ」
シーファ「それなんだが 部屋って一部屋しかとってないのか?」
ウータミィ「そうだよ」
シーファ「いやいやいや さすがに部屋は別々にしようぜ なぁ?」
ウータミィ「広めの部屋とったから大丈夫だよ」
シーファ「そういうことじゃなくて」
シーファ(おいおいおい 警戒心無さすぎじゃね?)
???「ウータミィ!?」
シーファ「ん?」

〇ゆめかわ
???「なーんであんたがこんなとこにいるのよ!」
人参?「ですナァ」
???「さっき脱衣所で見かけたけど無視するし 人違いかと思ったじゃない」
人参?「ですナァ」
???「聞いてる?」

〇旅館の受付
ウータミィ「あ、あなたは⋯⋯!?」

〇旅館の受付
  突然現れた褐色少女と謎の白い野菜的な者
  彼女達は一体
  そしてウータミィとの関係は
  次回に続く!!

次のエピソード:四曲目 人参と大根のフーガ

コメント

  • 強烈に鮮明に記憶に残るゴリラ。ゴリラの立ち絵マスターの称号を授与します。ぐらっぱさんの右に出る者はいませんねw

    最後に登場したウサギと人参(大根?)は何者なのか。
    笑い声(もしくは悲鳴)がコメント欄で溢れそうですな。

  • はぁー!!!!!!😂😂😂✨✨

    もう最高ですよ!!!!!また今回もたくさん笑わせていただきました!!!!!ぐらにゃんさんワールド最高です!!!!!!!✨😍😍😍

    虜ですトリコ!!!!!!

    ごっごっごーごーりらー🎵✨🦍
    ごりらごーりらー🎵✨🦍

    立ち絵すごい使いこなしてますし、ほんとおもしろすぎです!!!!!!✨🥰

  • ゴーリラ!ゴリラ!ゴーリラ!強靭🦍ゴーリラ!ゴリラ!超握力✊(何故かバーニラッバニラのテンポで聞こえました☺)
    ガソリン(?)ぶっかけからの温泉回とは流れるようなナイス展開ですね👍立ち絵をめちゃくちゃ使いこなせてて羨ましい😂笑いました🤣🤣🤣
    …それにしても、何故道端に突然チョコボールが…🤔??

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