デス・パレードは祈りと共に

はじめアキラ

エピソード20・明の中(脚本)

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〇研究施設の廊下
須藤蒼「次のゲームなんだけど・・・」
須藤蒼「最終ゲームに関しては、僕も辿り着いたことがなくて。詳しい内容までは知らないんだ」
峯岸輪廻「そうか。じゃあ、ヒントはなしか」
須藤蒼「うん。でも、わかってることがないわけじゃない」
須藤蒼「例えば・・・エキストラ、の数」
峯岸輪廻「エキストラ?」
須藤蒼「赤井さんたちみたいな、アルバイトの人のこと。おばあちゃんは、エキストラって呼んでる」
須藤蒼「エキストラにはいろんな役目が与えられる。赤井さんたちみたいに、ゲームの参加者のふりしてコントロールしたり・・・」
須藤蒼「あとは、デモンストレーションをしたり」
峯岸輪廻「デモンストレーション?それって、まさか・・・」
須藤蒼「輪廻さんも気づいている通り。第二のゲームで見た映像。女子高校生っぽい二人が、ゲームに参加して死亡する様子が流れたでしょ?」
須藤蒼「あの二人も、エキストラとして雇われたんだと思う。それも・・・最初から、死んで、脅威を示す役として」
峯岸輪廻「初めから殺されるために、雇われた子たちだっていうのか!?」
須藤蒼「エキストラとして雇われた人の中でも、おばあちゃんは優劣をつけてたんだ」
須藤蒼「自分達の組織に従順な人や役に立ちそうな人は、危険の少ない役目を振ってたんだと思う」
須藤蒼「他にもおばあちゃんは“教祖”だったから・・・ 宗教的な理由もあったのかもしれないけど」
須藤蒼「多分あの子たちは面接の段階とかで、おばあちゃんの気に障ることを言ったか、役に立たないって判断されちゃったんだと思う」
須藤蒼「だ、だから参加者のふりをしろって台本を渡されて。何も知らずに、第二の試練で・・・死ぬように仕向けられたんじゃないかって」
峯岸輪廻「・・・っ!」

〇坑道
女子高校生B「あんたが・・・あんたが適当に掘るから!私は止めたのに、危ないって止めたのに!」
女子高校生B「こんな、こんな溶岩に飲まれて死ぬなんて絶対嫌!あんたがいると足場が狭くなる・・・さっさと落ちなさいよ、ねえ!」
女子高校生A「や、やめて!落ちちゃう、岩場から落ちちゃう!し、死んじゃう、本当に死んじゃうから!」
女子高校生B「死ねばいいのよ、あんたみたいに人の足を引っ張るやつなんか!死ね、死ね、死ね!そのまま落ちて死ね!」
女子高校生A「や、やめて・・・いや、いやあっ!」

〇研究施設の廊下
峯岸輪廻「・・・・・・!」
峯岸輪廻「じゃあ、あの女の子たちは、本当に・・・!」
須藤蒼「・・・死んじゃった、んだと思う。多分、だけど」
須藤蒼「おばあちゃんは、この世界をいずれ悪魔が襲うと本気で信じてる」
須藤蒼「その悪魔の手から世界を守る・・・その力を持つ神子を育てることこそ、自分の天命だとも」
須藤蒼「その天命を全うすれば、世界の、七十億人以上の人を救うことができる」
須藤蒼「七十億人を救うためなら、数人、数十人、数百人くらい小さな犠牲だって本気で考えてるんだと思う」
須藤蒼「そうでなければ・・・こんな恐ろしいゲームを開催して、人の命を使いつぶしたりしない」
峯岸輪廻「だろうな。・・・胸糞悪い話だ。女性だろうが、一発ブン殴りたいってのが本音だな」
須藤蒼「・・・僕、止めないよ。そうでもしなきゃ、おばあちゃんは止められないと思ってるし」
須藤蒼「・・・話は戻るけど。そのエキストラの人数を、どのゲームに割り振るかは大体決まってるんだ」
須藤蒼「今まで、第四の・・・最終ゲームまでたどり着いた人はいなかった。でも、毎回ひとつだけ確かなことがあるんだ」
須藤蒼「それは、第四のゲームでは、使われるエキストラの数が多いってこと」
須藤蒼「しかも最終ゲームだけ、一部信者の人が混じって参加することになってるみたいなんだ」
峯岸輪廻「信者・・・。つまり、お前のおばあちゃんの従順なる使徒ってことか」
峯岸輪廻「信者は、おばあちゃんにとっても“簡単に死なせたい”存在じゃないだろう」
峯岸輪廻「それでも使ってくるとしたら、考えられることは二つに一つ。命の危険が少ないか・・・」
峯岸輪廻「もしくは最終ゲームを、可能な限り思ったようにコントロールしたいか、だ」
須藤蒼「僕もそう思う」
須藤蒼「でもって、最終ゲームについておばあちゃんは僕にこうも言っていた」

〇黒背景
矢倉亮子「いいこと?」
矢倉亮子「全てのゲームで、蒼もまた命を賭けることにはなるわ。無論、ルールや仕組みを知っている分、他の人より危険は少ないけれど」
矢倉亮子「忘れないでね?貴方の役目は、一番傍で救世主を見極めることよ」
矢倉亮子「救世主候補と、お友達になることでもなければ、彼ないし彼女を助けることでもないわ」
矢倉亮子「危なくなったら、救世主候補を見殺しにしても生き残るのよ?貴方が死んだら意味ないんですからね」
矢倉亮子「特に最後のゲームは、とても危険で、覚悟が伴うゲームとなるわ。だからこそ、救世主を確定させるに相応しいものでもある」
矢倉亮子「いいこと?命を捨ててでも、貴方を守ろうとしてくれる救世主にこそ意味があるの」
矢倉亮子「それをどうか、覚えておきなさいね・・・」

〇研究施設の廊下
峯岸輪廻「見殺しにしても、か。残酷なこと言ってくれる」
須藤蒼「まったくだよ。・・・下手をしたら、ここで僕達だけじゃなく、大量のエキストラも死ぬかもしれない」
須藤蒼「だけど、僕は・・・」
須藤蒼「・・・」
峯岸輪廻「蒼?」
須藤蒼「・・・我儘を、承知で言うね」
須藤蒼「僕は・・・他の誰が死んでも、輪廻さんに生き残ってほしい。今はそう、思ってる」
峯岸輪廻「!」
須藤蒼「人の命に、軽いも重いもない。それはわかってる。というか、自分で言った言葉だし、そこは責任持つつもり」
須藤蒼「でも僕は・・・僕はもう、輪廻さんのことは、赤の他人とは思ってないから」
須藤蒼「僕にはもう、優先順位がついちゃってるから」
須藤蒼「だから、お願い。万が一、他の人が死にそうになっても、僕が死にそうになっても・・・輪廻さんは、自分が生き残ることを優先して」
須藤蒼「貴方の性格は、ゲームの中で大体わかってきたつもり。貴方はとても賢くて、正義感の強い人だ」
須藤蒼「それは貴方の長所だけど、同時に弱点でもある」
須藤蒼「僕は、自分のせいで貴方が死ぬくらいなら、自分が死んだ方が遥かにマシだ。今はそう思う」
須藤蒼「同時に・・・残酷なことを言うけど、貴方が死ぬくらいなら他の人が死んでくれた方がいい」
須藤蒼「だから・・・だから、お願いします。どうか、自己犠牲にだけは走らないで」
須藤蒼「最後まで、自分の命を一番大事にして。約束して」
峯岸輪廻「・・・」
峯岸輪廻「・・・わかったよ」
峯岸輪廻「お前の気持ちは、尊重する。自分の命を粗末にするような真似は、絶対しない」
須藤蒼「輪廻さん・・・!」
峯岸輪廻「ただし、忘れるなよ。生き残るなら、二人一緒に、だ。お前も、自分を犠牲にして頑張ろうとするな。わかったか?」
須藤蒼「う、うん・・・!うん!僕も・・・僕も頑張る!輪廻さんと共に生き残るために!」
峯岸輪廻「よし、そうと決まればそろそろ行くか。アナウンスがいつまで空気読んで待っててくれるかわからないしな」
峯岸輪廻「覚悟はいいか、蒼?」
須藤蒼「はい!」
須藤蒼「・・・行きましょう。生きて・・・未来を掴むために!」

次のエピソード:エピソード21・人の中

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