デス・パレードは祈りと共に

はじめアキラ

エピソード21・人の中(脚本)

デス・パレードは祈りと共に

はじめアキラ

今すぐ読む

デス・パレードは祈りと共に
この作品をTapNovel形式で読もう!
この作品をTapNovel形式で読もう!

今すぐ読む

〇黒背景

〇実験ルーム
峯岸輪廻「!」
須藤蒼「こ、これって・・・!?」
峯岸輪廻「なんだこの、カプセルみたいなのは?全部で三つあるようだが・・・」
須藤蒼「り、輪廻さん!よく見てください!中に・・・人!人が入ってます!」
峯岸輪廻「なんだと!?」
男の子「ひ、人!?お、お願い、助けて!」
女性「きゅ、救世主って子供じゃん!?ま、マジで!?」
老人「お、おいおい、まさかこんな子供らに、私らの運命を託せっていうんじゃないだろうな!?」
須藤蒼「男の子と、女の人と、おじいちゃん?」
峯岸輪廻「一つのカプセルに、一人ずつ閉じ込められてるのか・・・!」
峯岸輪廻「おい、ちょっと待ってろ!なんとか壊せないか試してみる!」
峯岸輪廻「・・・駄目か。俺の力で殴ったくらいじゃ、びくともしないな。ガラス製に見えるから、割れるかと思ったのに」
須藤蒼「ていうか、輪廻さん実は結構脳筋派だったりする?」
須藤蒼「さ、さすがにいきなり殴りかかってみるとは思わなかったよ・・・ガラス割れたらこっちが怪我するよ?」
峯岸輪廻「す、すまん。とりあえずやってみないといけない気がして」
峯岸輪廻「強化ガラスか・・・壊せる道具か何かないか?」
峯岸輪廻「うーん、この机なら・・・あ、無理だ。持ち上がらね」
須藤蒼「いやいやいやいや、絶対それ正解じゃないから!ゲームのルールに則って何か操作しろってことだって絶対!」
須藤蒼「というかどうしてここに来て急にギャグみたいなことやってるの!?どうしちゃったの!?焦ってる?」
峯岸輪廻「焦りもする!こんな狭いところに閉じ込められてみろ、窒息しちゃうじゃないか!」
峯岸輪廻「なるべく早く硝子割って助けないと・・・!」
男の子「・・・!お、お兄さん・・・」
男の子「!」
峯岸輪廻「来た、次のゲームのアナウンスだ!」
須藤蒼「い、いよいよ・・・」
  『皆様、皆様。ただいまから、第四の試練の説明をさせていただきます』
  『これが最後の試練になります。張り切ってクリアし、救世主としての権利と名誉を手にしてください』
峯岸輪廻「何が救世主だ、くそっ・・・!」
  『今回の試練では、こちらが用意した遠く別な装置を使います。現在、皆様がいる部屋には三つのカプセルがあります』
  『Aのカプセルには少年が、Bのカプセルには女性が、Cのカプセルには老人が』
  『いずれも社会的にか弱く、守るべきとされる存在です』
老人「待て!私のどこがか弱いっていうんだ!ああ!?」
峯岸輪廻「お、おじいさん。言いたいことはわかるがちょっと黙っててくれるか?聞こえない・・・」
老人「ぐぐっ・・・!」
  『それぞれのカプセルの前には、コードが繋がった瓶が一つずつあります。ご確認ください』
峯岸輪廻「これか?」
  『この瓶の中には、1リットルの液体が入るようになっています』
  『メモリがついているのでわかりやすいでしょう。10のメモリまで入れると1リットルになります』
  『8のメモリまで入れると800ミリリットル。5のメモリまでだと500ミリリットル、という具合です』
  『現在三つのカプセルは、酸素が循環するようになっており、この状態なら窒息の危険は一切ありません』
  『ですが、ゲームが開始しましたら、この中に水が投入されることになります』
須藤蒼「そ、そんなことしたら!」
峯岸輪廻「カプセルの中の人達が溺れちまう・・・!」
  『お二人が何もしなかった場合、カプセルの中には水が満杯まで投入されます。当然、中にいる方々は溺死してしまうでしょう』
女性「はあ!?ちょ、待ってよ、ナニソレ!?何であたし達が殺されないといけないの!?」
女性「いやだいやだいやだ!た、助かる方法あるんでしょうね!?」
須藤蒼「お、お姉さん、落ち着いて・・・!」
峯岸輪廻「そうだ、最後まで話を聞くんだ。これはゲーム、ということは必ずクリアする方法があるはずなんだ!」
女性「う、ううっ・・・!」
  『水が全て投入されますと、奥の扉が開きます。その向こうにある次のフロアへ、お二人は進むことができるでしょう』
峯岸輪廻「!?・・・今回、俺達は何もしなくてもクリアになるのか?」
峯岸輪廻(いや、待った、そうじゃない。この試練で試されているのは恐らく知恵や閃きではなく・・・!)
  『もちろん、お二人には、カプセルに閉じ込められたエキストラを助けて先に進む方法もございます』
  『それが、AとBとC、それぞれのカプセルの前にある瓶に、液体を入れること』
  『この瓶に入れられた液体の量に応じて、カプセルに投入される水の量が減少します』
  『例えばAの瓶に液体を1リットル入れることができれば、Aのカプセルには一滴も水が投入されません』
  『つまり、Aのカプセルの中に入っている少年は溺死しないで済むということ。BとCのカプセルも同様のことが言えます』
  『液体を運ぶ道具など、必要なものは室内に用意されています。何を使っても自由です』
  『三人のうち、誰を助けるか。あるいは誰も助けないか。制限時間は三十分です。三十分したら、カプセル全てに水が投入されます』
  『それでは、じっくりとお考えください。ご見当をお祈りいたします』
須藤蒼「そ、そんな・・・!三十分だなんて!」
須藤蒼「液体ってどこに?三人を助けるのに、3リットルも水が必要って言われたって・・・!」
須藤蒼「この部屋のどこかから、探さないといけないってこと?水道も何もないのに・・・!」
峯岸輪廻(・・・そういうことか)
峯岸輪廻(明らかに、ゲームで使いそうにない物騒な武器が山のように積まれている)
峯岸輪廻(これを使ってカプセルと機械を壊せってことじゃないだろうな。壊されないくらい頑丈ってことか)
峯岸輪廻(ということは、このゲームで問われているのは・・・)
須藤蒼「どうしよう、やっぱり水道なんてない。バケツに水が溜まってるなんてこともないし、これじゃ・・・!」
峯岸輪廻「聞け、蒼。恐らく、このゲームのクリア方法は一つだけだ」
須藤蒼「え!?」
峯岸輪廻「瓶の中をたっぷり満たすほどの液体。一番簡単なものがあるだろ」
峯岸輪廻「運営は言ってるんだ。三人を助けるために、俺達に・・・自分の血を捧げろってな」

次のエピソード:エピソード22・咎の中

成分キーワード

ページTOPへ